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【発明の名称】 溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロス回収方法
【発明者】 【氏名】岡田 康秀

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 網籠を枠内に着脱可能に嵌入した枠体とボトムドロス吸い上げ用のポンプとをポット内の亜鉛浴中に浸漬し、ポンプを用いてポット底部に堆積したドロスを吸い上げて網籠内に移し入れ、網籠がドロスで満たされた後枠体を亜鉛浴面上に引き上げてその場で保持して網籠内のドロスに含まれる亜鉛液を直下の亜鉛浴に滴下させることを特徴とする溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロス回収方法。
【請求項2】 前記網籠のメッシュが10〜30メッシュであることを特徴とする請求項1記載の溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロス回収方法。
【請求項3】 前記網籠及び枠体の頂部開口面積がそれぞれの底部面積よりも大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロス回収方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロス回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼板の溶融亜鉛めっきラインにおける溶融亜鉛ポットでは、高温の溶融亜鉛と鋼板から溶出したFeとが反応してFeZn7 が生成され、これが10μm以上の粒状に成長してドロスを形成する。このドロスは時間とともに成長し、約100 μm以上になると沈殿し、ポット底部に堆積する。
【0003】このいわゆるボトムドロスは、その堆積量が増すとめっき処理の支障となるため、操業中にこれを定期的に回収・除去してやる必要がある。それには、従来次のような方法がある。
■ Alをポット内に投入してN2バブリングにより攪拌し、ボトムドロス(FeZn7)をAlと反応させて比重の小さいトップドロス(Fe2 Al5 )に変換して浮上させて回収する(反応式:2FeZn7 +5Al→Fe2 Al5 +14Zn)。
■ ポット底部をテーパ状にしてボトムドロスを一か所に集め、そこに設けたバルブ等を介して排出する。
■ ポットを2槽備えたラインで、休工側のポットの亜鉛を抜き、ボトムドロスを直接ショベル等で回収する。
■ 亜鉛を含んだままのボトムドロスをすくい取り、それをポット上に設けたベルトコンベアでドロス分離槽へ運び、そこでドロスを再加熱して亜鉛と分離して回収する(特開平4-52257 号公報参照)。
■ 亜鉛浴中に浸漬したエアリフト式の回収筒によりボトムドロスを吸い上げて該回収筒上部に連接したドロス溜(亜鉛浴中にある)に回収する(特開平3-31460 号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のボトムドロス除去方法には、次のような問題がある。■の方法では、一度Alを投入して反応が開始すると、Al濃度の変動やドロスの不規則な浮上・浮遊などの不安定状態が8時間以上続くので、半日休工では対応できない。また、Al投入量の決め方が困難である。すなわち過剰に投入するとボトムドロスとの反応に関与しないAlが残り、ポット内のAl濃度が操業可能の上限値を超えてしまうことがあり、逆に投入量が少なすぎるとボトムドロスの除去が不十分となる。さらに数mm以上の大きな結晶に成長したボトムドロスはAlとの反応に時間がかかるため溶けきれず、除去できない。
【0005】■及び■の方法は、ポットの設備仕様に係るから既存設備の大改造を要し、投資が過大となる。■の方法は、ボトムドロスと亜鉛との分離をポット外で行うため、ドロスを再加熱する必要があり、装置が大がかりになるとともに燃料費が別途必要となる。■の方法は、エアリフトによりボトムドロスを浮上させるため大量のN2 ガスを必要とし、また回収筒とドロス溜が一体化しているため回収後のハンドリングが手間である。
【0006】そこで本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、大がかりな装置を必要とせず、回収効率が良くしかも作業性の良い、溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロスの回収方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、網籠を枠内に着脱可能に嵌入した枠体とボトムドロス吸い上げ用のポンプとをポット内の亜鉛浴中に浸漬し、ポンプを用いてポット底部に堆積したドロスを吸い上げて網籠内に移し入れ、網籠がドロスで満たされた後枠体を亜鉛浴面上に引き上げてその場で保持して網籠内のドロスに含まれる亜鉛液を直下の亜鉛浴に滴下させることを特徴とする溶融亜鉛めっきにおけるポット内のボトムドロス回収方法である。本発明においては、前記網籠のメッシュが10〜30メッシュであることが好ましい。本発明においてはさらに、前記網籠及び枠体の頂部開口面積がそれぞれの底部面積よりも大きいことがより一層好適である。また、前記網籠の大略中央部に吊手を設けておくことが好ましい。なお、前記枠体の亜鉛浴中浸漬深さはその頂部が亜鉛浴面上に見える程度が好ましい。そして前記枠体は、ポット底部に届く脚をもたせて亜鉛浴中に自立できる構造としてもよく、また、ポンプとともに吊り下げた状態で浸漬するのが好都合な場合には、脚のない構造としてもよい。
【0008】
【作用】以下に本発明の作用を、図をもって説明する。ここに用いた図は本発明の実施態様を説明するものであって、本発明の要旨が、同図によって限定されるものでないことは勿論のことである。本発明の実施態様の説明図を図1に示す。図1において、1はポンプ、2はモータ、3はポット、4は亜鉛浴、5はボトムドロス、6は枠体、7は網籠、8はフック、13は吐出管、15は脚である。図1に示されるように、網籠7を枠内に嵌入した枠体6と、モータ2に連結されたポンプ1とをフック8で吊って亜鉛浴4中に浸漬し、モータ2を回転させてボトムドロス5を亜鉛液ごと吸い上げ吐出管13を介して網籠7に移し入れる。本実施態様では枠体6は亜鉛浴面上にその頂部が見える深さに浸漬されるように長さを調節された脚15でポット3の底面に立脚している。網籠7がドロスで満杯になったらモータ2を停止し、フック8をクレーン(図示せず)で上昇させて枠体6を亜鉛浴4から引き上げ、浴面上に数分〜数十分保持する。このとき網籠7内に溜まったドロスに含浸する亜鉛液は重力により直下の亜鉛浴に滴下するので、最終的には網籠7内のドロスには、わずかな量の亜鉛が残るだけである。こうして一か所の回収・亜鉛分離が済めば、枠体6をポット脇にシフトし、空の網籠付き枠体と交換する。網籠7は枠体6に着脱可能に嵌入されているので、亜鉛分離後のドロスを網籠7ごと枠体6から抜き出してハンドリングでき、枠体6は再利用可能である。そして、他の回収地点へ移動して回収を繰り返す。ボトムドロスの堆積量が多い個所はポットの4隅やシンクロール下あたりであるからそこを重点的に狙って回収すればよい。
【0009】すなわち、本発明は上記のように構成したので、ポンプ、網籠及び枠体という簡素ながらも機動性ある道具立てでボトムドロスを効率よく排出でき、しかも網籠内に回収されたドロスからの亜鉛の分離が、大がかりな装置を用いずとも極めて容易にできる。しかし、網籠のメッシュが、10メッシュより粗い場合には微細なドロスが網目から抜けやすく、また30メッシュより細かい場合にはドロスに含浸する亜鉛液の抜けが悪くなってドロス中に残る亜鉛の量が増えるため、網籠のメッシュは10〜30とするのが好ましい。
【0010】本発明の他の実施態様の説明図を図2に示す。図2において、1〜8及び13は図1に同じ、9は吊りビーム、10はバランスウェイト、11はチェーンブロック、12は台車、14は吊手である。図2において、図1で説明済の実施態様と異なる点は、枠体6が脚をもたずかつ枠体6とポンプ1とが、同じ吊りビーム9によって吊られており、そして枠体6がチェーンブロック11を介して吊りビーム9に掛けられていることである。図2の実施態様は、クレーンに余裕がないときには、吊りビーム9のような専用の吊具を用いてポンプ1と枠体6を同時に吊ってもよいこと、また、亜鉛浴の深さが場所によって異なる場合には脚で枠体6の浸漬深さを調節するのは厄介なので、チェーンブロック11で枠体6の吊り高さを調節できるようにしておくとよいこと、を示している。なお網籠7はドロスが溜まるにつれて重量が変化するので、図2に示されるように、枠体6を吊りビーム9の中央に吊り、ポンプ1は吊りビーム9の一端で吊って他端をバランスウェイト10で釣り合わせるのが好ましい。なお、ドロスから亜鉛を分離した後、枠体6は台車12によってドロス処理場(図示せず)に搬送される。
【0011】さらに図2では、それぞれの頂部開口面積が底部面積よりも大きい網籠7及び枠体6を用いる例、並びに網籠7の大略中央部に吊手14を設けた例が示されている。このことに関し、網籠の外観斜視図を図3(a)〜(e)に例示する。図3(a)及び(b)に示した網籠は頂部開口面積と底部面積がほぼ等しいもので、これでも本発明に用いることが可能であるが、図3(c)及び(d)に示されるような頂部開口面積が底部面積よりも大きい、換言すれば上広型の網籠を用いることにより、網籠内のドロスの鉛直下向きの面積が拡大するので、ドロスを亜鉛浴面上に保持している際に亜鉛をより効果的に分離でき、かつ亜鉛分離後、凝固収縮するドロスに網目が係合して網籠も収縮し網籠と枠体との間隙が拡がって、網籠の枠体からの抜き出しが容易になるから、一層好ましい。なおこの場合枠体も当然のことながら網籠の外形に合わせた形状とする必要がある。また図3(e)に示されるように網籠内に吊手14を設けておくことにより、凝固後のドロスのハンドリングがさらに容易となる。
【0012】
【実施例】本発明の図2に示した実施態様にて、ポット内のボトムドロスの回収を実施した。本発明実施前と実施後のボトムドロス堆積高さの経時変化を図4に示す。なお、本発明実施前はAlを投入する方法を採用していた。図4中のトン数は本発明方法により排出されたボトムドロスの量を表している。またボトムドロス堆積高さはポット内の19箇所に高さ測定用の竿を立てて測定し、それらの測定値を平均して求めた。
【0013】図4からわかるように、本発明実施前には 300mmを超えて堆積していたボトムドロスが、本発明実施後には高々 150mmの堆積高さで推移するようになり、本発明の効果を如実に物語る結果が得られた。
【0014】
【発明の効果】本発明によれば、ポンプ、網籠及び枠体という簡素ながらも機動性ある道具立てでボトムドロスを効率よく排出でき、しかも重力を利用してドロスに含浸した亜鉛を分離するから、網籠内に回収されたドロスからの亜鉛の分離が、大がかりな装置を用いずとも極めて容易にでき、また枠体から網籠ごとドロスを抜き出せるから、回収後のドロスのハンドリングも容易となるという、種々の顕著な効果を奏する。なお、本発明は亜鉛以外の溶融金属めっきにも適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【出願日】 平成7年(1995)6月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英一
【公開番号】 特開平9−13154
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−160795