| 【発明の名称】 |
車両の軸部材 |
| 【発明者】 |
【氏名】伊藤 寿浩
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| 【目的】 |
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| 【構成】 |
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【特許請求の範囲】
【請求項1】13〜16%Cr、1〜3%Al、0.5%Y2O3を含む粒子微細分散高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成したことを特徴とする車両の軸部材。 【請求項2】前記表面硬化処理として、窒化処理または浸炭焼入れ処理を用いたことを特徴とする請求項1記載の車両の軸部材。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、車両のピストンピン、クランクピン等に用いられる車両の軸部材に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、一般的に用いられているピストンピンは、SCM415等の合金肌焼き鋼に浸炭焼き入れ処理を施して用いられている。特に、ピストンピンは、エンジンの出力向上のために軽量化が図られ、例えばパイプを用い、しかも薄肉にすること等が行なわれる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、このようなピストンピンは、強度と剛性を確保する必要性から充分な軽量化が果たせず、エンジン回転数を上げ、高出力化する上での障害となっている。即ち、ピストンピンの薄肉化により軽量化を図ろうとすると剛性不足が生じ、ピストンピンが作動によって撓みピストンのピン孔の内周面及びピストンピンの異常摩耗、疲労破壊、さらにピストンのピン孔が形成されるピンボス破壊等の問題が生じる場合がある。 【0004】従来の材料の場合、表面硬化処理により強度は向上できるが、弾性率は変わらない。そのため、薄肉化による軽量化を行なうと強度は保つことができても剛性が足りずにピストンが破損してしまう。 【0005】この発明は、かかる実情を背景にしてなされたもので、弾性率は高弾性率鋼を用いることで向上させた状態で表面硬化処理するにより疲労強度及び耐摩耗性を向上させ、硬性を保ちつつ、軽量なピンピストン等の車両の軸部材を提供することを目的としている。 【0006】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、請求項1記載の発明の車両の軸部材は、13〜16%Cr、1〜3%Al、0.5%Y2O3を含む粒子微細分散高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成したことを特徴としている。 【0007】このように、車両の軸部材が、高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成されており、ヤング率を高くすることで弾性変形を低減し、さらに表面硬化処理により耐摩耗性及び疲労強度を向上させることにより、強度と剛性を両立させた軽量な軸部材となり、作動時の撓みを低減し、振動低減が可能で、かつ高精度作動が可能になる。 【0008】請求項2記載の発明の車両の軸部材は、前記表面硬化処理として、窒化処理または浸炭焼入れ処理を用いたことを特徴としている。 【0009】このように、表面硬化処理として、窒化処理を用い、処理時間を長くすることで厚い硬化層を得ることができる。また、表面硬化処理として、浸炭焼入れ処理を用いることで、表面硬さが高く、硬化深さを大きくすることが可能で、内部の硬さも高くすることができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、この発明の車両の軸部材の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。 【0011】まず、この発明の車両の軸部材が用いられるピストンピン及びクランクピンについて説明する。 【0012】図1はピストンとピストンピンの連結を示す断面図である。ピストン1は、図示しないシリンダに往復動可能に設けられ、ピストン1のピンボス1aにはピン孔1bが形成されている。このピン孔1bにはピストンピン2が挿入され、このピストンピン2はパイプ状に形成されている。ピストンピン2には、コンロッド3の小端部3aが回動可能に設けられている。コンロッド3は、図示しない大端部をクランクピンに回動可能に設けられ、ピストンの往復動をクランクピンを介してクランク軸に伝達して回転させる。 【0013】図2はクランク軸とコンロッドの連結を示す断面図である。左右のクランク軸10,11のクランクウェブ10a,11aにピン孔10b,11bが形成され、このピン孔10b,11bにクランクピン12を挿着し、このクランクピン12で左右のクランク軸10,11が連結されている。この左右のクランク軸10,11は、軸受13,14を介して図示しないクランクケース20に回動可能に軸支されている。クランクピン12には、コンロッド15の大端部15aがニードル軸受16を介して回動可能に軸支されている。 【0014】このようにピストンピン及びクランクピンに用いられる車両の軸部材は、13〜16%Cr、1〜3%Al、0.5%Y2O3を含む粒子微細分散高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成している。 【0015】13〜16%Cr、1〜3%Al、0.5%Y2O3を含む粒子微細分散高ヤング率鋼は、フェライト系組成粉末にY2O3の分散粒子を分散させ、<111>集合組織が形成される温度にて再結晶熱処理を行なうことにより、ヤング率290GPaが得られ、ヤング率を高くすることで弾性変形を低減することができる。 【0016】この高ヤング率鋼の特性を、従来の鋼S45Cと比較し、その結果を表1に示す。 【0017】 【表1】
【0018】そして、この車両の軸部材は、高ヤング率鋼に表面硬化処理を施して形成され、この表面硬化処理として、窒化処理または浸炭焼入れ処理を用いている。窒化処理とは、鋼の表面から窒素原子を固溶させることで表面近傍を硬くすることを目的とする処理である。その強化機構は窒素原子が鉄原子の間に入り込むことによる固溶強化と、入り込んだ窒素原子が鋼中の合金元素、例えばCr,Al,Vと化合物をつくり、微細に析出することによる析出強化の2つが存在する。析出強化の方が効果が大きい。 【0019】今回の材料は、後者の機構に寄与する合金元素が多量に含まれており、また拡散を阻害する炭素が殆ど含まれていないため、窒化処理時に著しい硬度上昇を得ることができる。 【0020】窒化処理は処理時間を長くすることで、深い硬化層が得られるが、硬化深さの点では浸炭焼き入れ処理の方が短い時間で同等の深さが得られる。熱歪みは窒化処理の方が浸炭焼き入れ処理よりも小さい。 【0021】この実施例での窒化処理は、NH3雰囲気中で約570±10℃に、50〜100時間程度に保つことによりNを、高ヤング率鋼に拡散浸透させてオイル焼入れをする。このように、表面硬化処理として、窒化処理を用いることで、厚い硬化層を得ることができる。この高ヤング率鋼は、Cr、Al等の窒化物生成元素を多量に含み、窒素の拡散を阻害するCを殆ど含んでいないため、窒化後の特性として優れた表面硬さを示す。 【0022】また、浸炭焼入れ処理は、Cpを0.85%、CO2を0.25%を含む雰囲気中で、例えば900℃に1時間25分程度に保ち、高ヤング率鋼の表面から所定の深さまでCを拡散浸透させてからオイル焼入れを行ない、この焼入れ後、190℃に1時間程度に保ち、空気冷却を行ない焼戻しをする。このように、表面硬化処理として、浸炭焼き入れ処理を用いることで、表面硬さが高く、硬化深さを大きくすることが可能で、内部の硬さも高くすることができる。 【0023】このように、車両の軸部材が、高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成されており、ヤング率を高くすることで弾性変形を低減し、さらに表面硬化処理により耐摩耗性に優れ、強度と剛性を両立させた軽量な軸部材となり、作動時の撓みを低減し、振動低減が可能で、かつ高精度作動が可能になる。 【0024】従って、図1に示すピストンピン2を高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成すると、強度と剛性を両立させた軽量なピストンピン2になり、エンジン回転数を上げ、高出力化することができる。また、ピストンピン2の薄肉化により軽量化しても、ピストンピン2の強度と剛性が確保され、ピストン1のピン孔1bの内周面及びピストンピン2の異常摩耗、疲労破壊、さらにピストン1のピン孔1bが形成されるピンボス1aの破壊等が防止される。 【0025】同様に、図2に示すクランクピン12を高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成すると、強度と剛性を両立させた軽量なクランクピン12になり、エンジン回転数を上げ、高出力化することができる。また、クランクピン12の薄肉化により軽量化しても、クランクピン12の強度と剛性が確保され、クランク軸10,11のピン孔10b,11bの内周面及びピストンピン12の異常摩耗、疲労破壊、さらにクランクピン12のピン孔10b,11bが形成されるクランクウェブ10a,11aの破壊等が防止される。 【0026】なお、この発明の車両の軸部材は、前記したピストンピン及びクランクピンに限定されることなく、クランク軸、カム軸、ドライブ軸等の種々の軸部材に適用することができる。 【0027】 【発明の効果】前記したように、請求項1記載の発明は、13〜16%Cr、1〜3%Al、0.5%Y2O3を含む粒子微細分散高ヤング率鋼に、表面硬化処理を施して形成したから、ヤング率を高くすることで弾性変形を低減し、さらに表面硬化処理により耐摩耗性に優れ、強度と剛性を両立させた軽量な軸部材となり、作動時の撓みを低減し、振動低減が可能で、かつ高精度作動が可能である。 【0028】請求項2記載の発明は、表面硬化処理として、窒化処理を用い、処理時間を長くすることで厚い硬化層を得ることができる。また、表面硬化処理として、浸炭焼入れ処理を用いることで、表面硬さが高く、硬化深さを大きくすることが可能で、内部の硬さも高くすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000010076 【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
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| 【出願日】 |
平成7年(1995)11月20日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鶴若 俊雄
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| 【公開番号】 |
特開平9−143631 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)6月3日 |
| 【出願番号】 |
特願平7−300828 |
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