| 【発明の名称】 |
摺動材料 |
| 【発明者】 |
【氏名】浜坂 直治
【氏名】斉藤 秀明
【氏名】石川 勝司
【氏名】大川 聡
【氏名】小西 晃子
|
| 【目的】 |
生分解性油中での耐腐食性に優れているし、相対材とのなじみ性が良い材料とする。 |
| 【構成】 |
Sn9.0〜15.0重量%、Pb8.5〜11.0重量%、Ni3重量%以下、Zn3.0〜10.0重量%、残りCuより成る摺動材料。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 Sn9.0〜15.0重量%、Pb8.5〜11.0重量%、Ni3重量%以下、Zn3.0〜10.0重量%、残りCuより成る摺動材料。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、油圧機器の摺動部品等に用いられ、摺動性に優れていると共に、生分解性油に対して優れた耐腐食性を示す摺動材料に関する。 【0002】 【従来の技術】油圧機器、例えば油圧ポンプ・油圧モータはシリンダーブロック、バルブプレート、クレードル、ピストンシュー等の油に触れながら摺動する部品を多数備え、これらの摺動部品は摺動材料により製作されてている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】前述の油圧ポンプ・油圧モータ等の油圧機器には一般的に石油系の油が使用されており、この石油系の油は良好な潤滑特性を示すが自然界では分解しないため、環境汚染の原因の一つになっている。 【0004】例えば、建設機械は工事現場等の屋外で点検、修理することがあり、前述の油圧ポンプ・油圧モータ等の油圧機器を点検、修理する際に内部の油が地面に落下すると、その油が分解しないので環境汚染の原因の一つになっている。 【0005】この環境汚染を防止するため自然界で自然に分解するようにバクテリアによる分解性(生分解性)を付与した油が知られているが、このような生分解性油を油圧機器に使用すると、前述の摺動材料を腐食させて油圧機器の耐久性を低下させるという問題がある。 【0006】そこで、本発明は前述の課題を解決できるようにした摺動材料を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は前述の生分解性油が摺動材料を腐食させる事由について鋭意研究したとところ、生分解性油としては植物油をベースにしたものが多いが、焼きつき防止を目的としてイオウ(S)などを極圧添加材として添加しているものもある。このSは特に鉛青銅系材料(Cu−Sn−Pb系)に対してCuを溶出させ、腐食の原因となること、及び同じ生分解性油に対して黄銅系(Cu−Zn系)材料では腐食がしにくいことを見い出した。 【0008】この青銅系材料と黄銅系材料の生分解性油に対する耐腐食性の差については明確な原因については不明であるが、亜鉛の存在がサルファーアタック防止に対して有効である可能性がある。一方、鉛青銅系材料と黄銅系材料の摺動特性を比較した場合、黄銅系材料は硬度、強度が高いため、高い面圧下には良い摺動特性を有するが、比較的、面圧が低い場合には、むしろ、なじみ性が良い比較的硬度の低い鉛青銅系材料が有効である。なじみ性というのは、摺動した場合、局部的に摩耗して相手材との接触面積を増やすことをいうが、比較的柔らかい鉛青銅材では局部面圧を下げて結果として耐面圧性を向上する効果がある。 【0009】以上のことから、摺動材料としては生分解性油に対する耐腐食性が優れているばかりでなく、なじみ性が良いことが必要であることが判明し、この条件を満足する摺動材料を得るために種々の実験をした結果本発明に至り、本発明の摺動材料は、Sn9.0〜15.0重量%、Pb8.5〜11.0重量%、Ni3重量%以下、Zn3.0〜10.0重量%、残りCuである成分範囲の摺動材料である。 【0010】以下に本発明の摺動材料における成分範囲の規定理由について述べる。 ■Cu−Sn−Pb本成分は鉛青銅材の基本成分であり、摺動性の確保より以下のように上下限を設定した。 Sn:9〜15wt%,Pb:8.5〜11.0wt%【0011】Snは鉛青銅の基本元素であるが、Cuの結晶強化に必要な9wt%を下限とした。また、Cuに完全固溶させる上限として15%を設定した。Pbも鉛青銅の基本元素であるが、切削加工性の確保から下限を8.5%とした。またPbは増加するにつれて、強度を低下させる傾向にあり、摺動材の強度(硬さ)を確保するために上限を11%とした。 【0012】■Zn本成分は、耐腐食性向上のための必須元素である。その結果は3wt%以上で顕著になる。一方、添加量が0wt%を越えると酸化亜鉛になりやすく材料欠陥となる確率が高い。以上のような理由より最大10wt%とした。 【0013】■NiNiはPbの偏析を防止するとともに強度向上に寄与する元素であるが、3wt%をこえると硬さが増加し、反面相手摺動材とのなじみ性が低下するので、なじみ性確保のため最大3wt%とした。 【0014】 【実 施 例】 【0015】 【表1】
【0016】前記表1に試験材料の化学成分を示す。開発材としてはZn量の異なる3種類を試験した。また比較材として黄銅系材料2種類、青銅系材料1種類を試験した。耐腐食性の試験方法として、生分解性油である植物油に複数の所定温度で240時間加熱保持して、試験前後のテストピースの重量変化量により評価した。 【0017】この結果は図1、図2、図3に示すようになり、このことより従来の鉛青銅系材料であるベース材(記号C)に比較して開発材は100℃以上での環境下における耐腐食性が大幅に改善されていることがわかり、黄銅系材料と同等の耐腐食性を有することが確認された。 【0018】図4、図5に青銅系材料(C)と開発材1を対象に摺動速度を4,10m/秒の2水準で定速摩擦摩耗試験した結果を示す。試験方法はピン状に成形した被試験材を円盤状のディスク(SCM420H 浸炭焼入れ材)と一定の荷重、回転速度の条件下で摺動させながら摩耗量を計測するもので、荷重を徐々にあげながら焼き付きに至る限界面圧を測定した。下記にはテスト条件をまとめて示す。 【0019】(定速摩擦摩耗試験条件) (1)相手材:SCM420H(2)潤滑油:80℃(3)速度:4m/秒、10m/秒(4)荷重条件:200Kg/cm2 以上の面圧領域は一定荷重で5分試験後50Kg/cm2 づつ荷重を上げていく。 【0020】図4(速度4m/秒)、図5(10m/秒)より従来の青銅材(C)と比較してZnを3wt%添加した開発材(A1材)の摩耗量、限界面圧は同等レベルであることが分かる。 【0021】次に本発明の銅系の摺動材料より成る摺動部品の一例を説明する。図6に示すように、油圧ポンプのおけるピストン1が摺動自在に嵌挿するシリンダー孔2を有するシリンダーブロック3、このシリンダーブロック3と摺動するバルブプレート4、クレードル5、ピストンシュー6等である。 【0022】また、図7(a)に示すようにシリンダーブロク3のシリンダー2内とバルブプレート摺動面3a及び図7(b)に示すようバルブプレート4の摺動面4a並びに図7(c)に示すようにクレードル5の摺動面5aに銅系の摺動材料を溶着したもの。 【0023】図8に示すように、油圧モータのシリンダーブロク10、バルブプレート11、ベアリング12、センタボール13等である。 【0024】図9に示すように、シリンダのピストンロッド20を摺動ガイドするブッシュ21である。 【0025】 【発明の効果】生分解性油中での耐腐食性が優れていると共に、相手材とのなじみ性の良い摺動材料となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001236 【氏名又は名称】株式会社小松製作所
|
| 【出願日】 |
平成7年(1995)8月29日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】浜本 忠 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開平9−67630 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)3月11日 |
| 【出願番号】 |
特願平7−220375 |
|