| 【発明の名称】 |
降伏伸びおよび曲げ加工性に優れた高強度鉄筋の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】外山 雅雄
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| 【目的】 |
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| 【構成】 |
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【特許請求の範囲】
【請求項1】C :0.25〜0.40%(質量%、以下同じ),Si:0.25〜2.0%,Mn+Cr:1.0〜3.0%(Mn=0%又はCr=0%を含む),V :0.2〜0.5%,Nb:0.010〜0.10%,Al:0.005〜0.10%,N :0.002〜0.020%,残部:Feおよび不可避不純物を満足する鋼を、加熱温度:1000〜1150℃,および圧延終了温度:850超〜950℃で圧延することを特徴とする降伏伸びおよび曲げ加工性に優れた高強度鉄筋の製造方法。 【請求項2】 更に、Ni:0.5%以下(0%を含まない),Mo:0.5%以下(0%を含まない)及び/又はCu:0.5%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種を含有する請求項1に記載の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、降伏伸びおよび曲げ加工性に優れた降伏応力685N/mm2 以上の高強度鉄筋を効率よく製造することのできる方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】近年、鉄筋コンクリート構造からなる高層住宅の建設が盛んに行われている。しかし、従来の鉄筋コンクリート用棒鋼は、JIS G3112に規定される様に最も強度が高いものでも降伏応力がせいぜい490〜625N/mm2 であり、更に鉄筋の強度を高めようとすると降伏伸びが低下し、曲げ加工性も悪くなることから、鉄筋、特に主筋に要求される高強度且つ高延性の要件を満足させることができない。 【0003】そこで、降伏応力685N/mm2 級の高強度鉄筋を製造することを目的として、種々の提案がなされている。例えば、■特開平6−136441号公報には、鋼中成分としてVを添加すると共に、圧延終了後直ちに水冷処理を行うことにより高強度低降伏比の鉄筋用棒鋼を製造する方法が、また■特開平6−228635号公報には、V,Nb及びTiを添加すると共に、かなり低温の圧延終了温度(650〜850℃)で熱間圧延を行うことにより曲げ性能に優れた高強度低降伏比の鉄筋用鋼を製造する方法が、更に■特開平5−51637号公報には、多量のTiを添加すると共に圧延終了温度を低目(650〜900℃)に設定することにより高強度且つ降伏伸びの大きい鉄筋用鋼を製造する方法が開示されている。 【0004】上記■〜■の方法では、圧延後に水冷したり、或いは圧延終了温度をかなり低く設定する等の処理を施している。しかしながら、これらの方法を実現しようとすると、異形鉄筋を圧延する際、圧延ラインに特別な冷却装置が必要であり、更には極低温圧延に耐えるだけの頑丈な圧延機が必要になる等、設備的にもコスト的にも多大な負担が生じ、実用的でない。また、この様な低温度で圧延すると、割れが生じたりする等の不都合も生じる。更に、上記■や■では、鋼中にTiを添加しているが、Tiは高価な元素であり、上記■の如く多量のTiを添加するとコストが上昇すること;コストが高い割には、Tiによる析出強化作用はVを添加した場合に比べて少ないこと;Ti添加によりTiCを固溶させるには、圧延温度を、V添加の場合に比べて高める必要があり、安定して製造し難い;等の問題がある。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着目してなされたものであって、その目的は、特別の装置を設置しなくとも通常の棒鋼・線材圧延機を使用することにより、降伏伸びおよび曲げ加工性に優れた降伏応力685N/mm2 以上の高強度鉄筋を効率よく製造することのできる方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決することのできた本発明に係る降伏伸びおよび曲げ加工性に優れた高強度鉄筋の製造方法は、C:0.25〜0.40%(質量%、以下同じ),Si:0.25〜2.0%,Mn+Cr:1.0〜3.0%(Mn=0%又はCr=0%を含む),V:0.2〜0.5%,Nb:0.010〜0.10%,Al:0.005〜0.10%,N:0.002〜0.020%,残部:Feおよび不可避不純物を満足する鋼を、加熱温度:1000〜1150℃,および圧延終了温度:850超〜950℃で圧延するところに要旨を有するものである。 【0007】ここで、圧延材の強度を更に高めたり曲げ加工性を向上させることを目的として、Ni:0.5%以下,Mo:0.5%以下,Cu:0.5%以下のいずれか1種以上を含有するもの(いずれの元素も0%を含まない)は本発明の好ましい実施態様である。 【0008】 【発明の実施の形態】本発明は、上記目的を達成する為に、組成的には、NbおよびVを両方含有するが高価なTiは含有しない成分系からなる鋼材に着目し、該鋼材における圧延条件について鋭意検討した結果、熱間圧延のための鋼片加熱温度および圧延終了温度をうまく制御することにより所期の目的を達成できることを見出し、本発明を完成したのである。 【0009】尚、本発明と同様の鋼組成(即ち、NbおよびVを含有するがTiを含有しない)からなる高強度非調質鉄筋棒鋼として、特開平7−268536号公報がある。しかしながら、同公報によれば、圧延条件は単に「通常」と記載しているのみであり、具体的にどの範囲の温度で実施しているのかが全く不明瞭であること、更に上記公報では単に伸びが10%以上である鉄筋鋼棒を意図しているに過ぎず、本発明の如く、鉄筋のなかでも特に主筋に要求される高度の降伏伸びについては全く言及しておらず、伸びが良いだけでは、良好な降伏伸びが得られないことは当業者間では周知であり、後記する実施例からも明瞭である。従って、本発明と上記公報とは、解決しようとする課題および構成が全く異なるものであると言うことができる。 【0010】この様に、本発明は鋼組成および熱間圧延条件を特定したところに最大の特徴を有するものであるが、以下、本発明で規定する要件の設定理由について説明する。まず、本発明における基本的な化学成分について説明する。 【0011】C:0.25〜0.40%Cは鉄筋の降伏応力を確保するのに不可欠な元素であり、その為には少なくとも0.25%以上含有させなければならない。好ましい下限値は0.30%である。しかしながらC量が多くなり過ぎると、延性や曲げ加工性が低下するので、その上限を0.40%以下に抑えなければならない。 【0012】Si:0.25〜2.0%Siは鋼材溶製時の脱酸に有効に作用すると共に、固溶強化元素として降伏応力の向上にも寄与する元素である。この様な作用を有効に発揮させるには、少なくとも0.25%以上含有させなければならない。好ましい下限値は0.6%以上であり、より好ましくは0.7%以上である。しかしながら多過ぎると延性や曲げ加工性が低下するので2.0%を上限値とする。好ましい上限値は1.5%である。 【0013】Mn+Cr:1.0〜3.0%(Mn=0%又はCr=0%を含む) MnおよびCrは、圧延後の冷却過程中におけるパーライト変態温度を低下させ、その結果、圧延材の強度を高めるのに寄与する元素である。圧延材の降伏応力を685N/mm2 以上確保する為には、少なくとも合計で1.0%以上含有する必要がある。好ましい下限値は1.2%である。しかしながら、多量に添加するとフェライト組織の生成を著しく抑制し、鉄筋に要求される降伏伸びが低下してしまうので、その上限を3.0%以下に抑えなければならない。好ましい上限値は2.0%である。 【0014】尚、Mn及びCrは、合計量が上記範囲を満足すれば良く、例えばMn=0%(この場合は、Cr単独で1.0〜3.0%とする必要がある)またはCr=0(この場合は、Mn単独で1.0〜3.0%とする必要がある)の場合も本発明の範囲内に包含される。但し、Mnは安価であるのに対しCrは高価な元素であることから、経済性を考慮すれば、CrよりもMnをできるだけ多く添加した方が好ましい。 【0015】V:0.2〜0.5%Vは析出強化元素として有効な元素である。本発明で目的とする降伏応力685N/mm2 を確保する為には、少なくとも0.2%以上の添加が必要である。好ましくは0.25%以上、より好ましくは0.30%以上である。この様にV添加による析出強化作用を高める為には、圧延加熱時の固溶V量を多くする必要があるが、Vを多量に添加すると、圧延加熱時にV炭化物が固溶し難くなる為、圧延後の析出強化作用を有効に発揮させることができない。従って、その上限を0.5%とする。好ましくは0.4%以下である。 【0016】Nb:0.010〜0.10%Nbは圧延後の結晶粒を微細化させ、圧延材の延性を改善させる作用を有する。この様な作用を有効に発揮させるには、0.010%以上の添加が必要である。好ましくは0.02%以上である。しかしながら0.10%を超えて添加しても、その作用が飽和してしまい経済的に無駄である。好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.04%以下である。 【0017】Al:0.005〜0.10%Alは鋼材溶製時の脱酸元素として有効に作用する他、窒化物を生成することによってオーステナイト結晶粒を微細化させ、延性の向上に寄与する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには0.005%以上含有させなければならない。好ましい下限値は0.010%である。しかし、多過ぎるとオーステナイト結晶粒が粗大化して延性に悪影響を及ぼす様になるので、その上限を0.10%以下に抑えなければならない。好ましい上限値は0.06%である。 【0018】N:0.002〜0.020%NはAl等の窒化物形成元素と結合してオーステナイト結晶粒を微細化し、延性や曲げ加工性を向上させる作用を有する。更にNは、微細なVNを析出させ、析出強化を促進する作用もある。この様な作用を有効に発揮させるには0.002%以上含有させなければならない。好ましい下限値は0.004%である。しかし、多過ぎると圧延加熱時にV窒化物が固溶せず固溶V量が少なくなり、結果的に圧延後のV炭化物の析出量も少なくなることから、V添加による析出強化作用を有効に発揮させることができない。よって、その上限を0.020%以下に抑えなければならない。好ましくは0.015%以下である。 【0019】本発明は、基本的に上記元素を必須成分とし、残部:Feおよび不可避不純物からなるものであるが、更に、圧延材の強度を高めたり、曲げ加工性を向上させることを目的として、以下の選択元素を積極的に添加することができる。 【0020】Ni:0.5%以下,Mo:0.5%以下,Cu:0.5%以下のいずれか1種以上(いずれの元素も0%を含まない) これらの元素は、いずれも圧延材の強度を高めるのに有用な元素である。しかしながら、Cuの多量添加は圧延中に生じる表面疵の増加を招き、また、NiやMoは、多量に添加しても表面疵は生じないが高価な元素である為、経済性などを考慮して、その上限をいずれも0.5%以下にすることが好ましい。 【0021】更に、その他の成分として、例えばSやO等の不純物元素は鋼中の介在物を増加させて曲げ加工性を低下させる為、できるだけ少な目に制御することが好ましい。具体的にはS≦0.02%,O≦0.0030%が望ましい。次に、上述した鋼を用いて圧延するときの条件設定理由について説明する。 【0022】圧延加熱温度:1000〜1150℃圧延加熱温度は、圧延材の強度および降伏伸びに重要な役割を果たすものである。本発明者らの検討結果によれば、上記成分からなるビレットを圧延加熱温度1000℃未満で圧延すると、オーステナイト中へのVの溶け込みが少なくなり、VCによる析出強化作用を有効に発揮させることができないことが分かった。好ましくは1040℃以上である。一方、圧延加熱温度が1150℃を超えると、圧延材の結晶粒度が粗くなり、圧延材の延性が低下してしまう。好ましくは1100℃以下である。 【0023】圧延終了温度:850超〜950℃圧延終了温度は、圧延材の結晶粒微細化に深く関係し、その結果、圧延後の降伏伸びに大きな影響を及ぼす元素である。圧延終了温度が850℃以下では、棒鋼圧延の如く連続圧延を施す場合には、圧延機の負荷が大きくなり過ぎ、実用的でない。好ましくは860℃以上である。一方、圧延終了温度が950℃を超えるとNbによる結晶粒微細化作用を有効に発揮させることができない。好ましくは925℃以下である。 【0024】この様に本発明法では、優れた強度と曲げ加工性を得るべく、鋼材の成分組成および圧延条件(加熱温度と圧延終了温度)を上記の様に特定したところに特徴を有するのであって、その他の工程については特に限定されず、通常の鉄筋の製造工程を採用することができる。 【0025】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。 【0026】 【実施例】 実施例1本実施例では、鋼材の化学成分を種々変化させた場合における圧延材への影響を調べた。まず、表1に示す種々の化学組成からなる鋼を実験炉で溶製した後、圧延加熱温度1080℃,圧延終了温度900℃にて、JIS G3112に準じた公称直径41mmの凸異形鉄筋棒に圧延した。 【0027】 【表1】
【0028】この様にして得られた圧延材について、圧延の表面形状のままで引張試験および曲げ加工性試験を行った。また、上記異形鉄筋の降伏伸びを正確に評価することは難しいことから、降伏伸びを評価するに当たっては、便宜上、引張試験での応力−歪曲線にて、降伏の開始点から応力が755N/mm2 に達するまでの歪量を降伏歪(ε)と定義し、これを降伏開始での歪(εp)で除した値(ε/εp)で評価した。(ε/εp)の値が3以上であれば鉄筋に要求される降伏伸びを満足することができる。尚、曲げ加工性は、圧延後の鉄筋を長さ500mmに5本切断した後、上記公称直径の4倍の曲げ直径で180゜まで曲げる180゜曲げ加工性試験を行い、鉄筋の折損本数を測定することにより評価した。その際、1本でも折損が発生すれば鉄筋として使用するには曲げ加工性が不充分であると言える。得られた結果を表2に示す。 【0029】 【表2】
【0030】鋼種1〜14は、本発明の要件を満足する本発明例であり、いずれも685N/mm2 級の高強度鉄筋に要求される高度の降伏応力、降伏歪、および曲げ加工性を有している。このうち、鋼種8〜10は、選択元素であるNi,MoまたはCuを夫々本発明で推奨される範囲内に添加した例であるが、これら元素の添加による強度上昇作用を有効に発揮させることができる。 【0031】これに対して、C量が少ない鋼種15、Si量が少ない鋼種17、(Mn+Cr)量が少ない鋼種19、V量が少ない鋼種21では、いずれも降伏応力が685N/mm2 未満になる。 【0032】一方、逆にC量が多い鋼種16、Si量が多い鋼種18、(Mn+Cr)量が多い鋼種20、V量が多い鋼種22、Nb量が少ない鋼種23及び多い鋼種24、Alが多い鋼種25、並びにN量が多い鋼種No.26は、いずれも降伏伸びの評価値(ε/εp)が3未満となり、鉄筋として使用するには安全性の観点から問題である。また、Ni,Mo,Cuの含有量が本発明の好ましい範囲を超える鋼種27,28,29も降伏伸びが悪い。このうち鋼種16,18,20,22〜29は、曲げ加工時に折損が発生し、鉄筋には全く適さないことが分かった。 【0033】実施例2本実施例では、圧延条件を変化させた場合における圧延材への影響を調べることを目的として、表1の鋼種1,5,9及び11(いずれも本発明の成分組成を満足するもの)を用い、圧延加熱温度および圧延終了温度を表3に示す如く変化させたこと以外は実施例1と同様にして凸異形鉄筋棒に圧延した後、上記評価項目を測定した。尚、本実施例では、伸び(直径の4倍のゲージレングスで測定)も併せて測定した。これらの結果を表3に併記する。 【0034】 【表3】
【0035】表3に示す如く、本発明の圧延条件を満足するNo.5〜8は、いずれの評価項目も優れた特性を有している。これに対して、加熱温度が低いNo.1〜4は、Vの固溶量が低下する為、降伏応力が低下し、一方、加熱温度が高いNo.9〜12、および圧延終了温度が高いNo.13〜16は、圧延材の組織が粗大になり曲げ加工性が悪くなる。また、線材や棒鋼の圧延では連続的に圧延されることから、圧延終了温度のみを加熱温度に比べて大幅に低くしたり或いは高くすることは、圧延機に負荷される荷重が大きくなり過ぎるので実施しなかった。勿論、従来技術に開示されている様に圧延ラインに特別の冷却装置を設置すれば可能ではあるが、本発明では、あくまでも「特別の装置を設置しなくとも通常の棒鋼・線材圧延機を使用すること」を目的としている以上、対象外である。更に、同表の結果から、伸びが良好であっても降伏伸びは必ずしも良くないことを、例えばNo.9や13から明瞭に読み取ることができる。 【0036】 【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているので、特別の装置を設置しなくとも通常の棒鋼・線材圧延機を使用することにより、降伏伸びおよび曲げ加工性に優れた降伏応力685N/mm2 以上の高強度鉄筋を効率よく製造することのできる方法を提供することができた。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001199 【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
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| 【出願日】 |
平成8年(1996)6月7日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】小谷 悦司 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平9−324215 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)12月16日 |
| 【出願番号】 |
特願平8−146205 |
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