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【発明の名称】 無脱炭オーステンパー処理鋳鉄およびその製造方法
【発明者】 【氏名】高橋 雅寛

【氏名】中村 彰利

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 真空度が少なくとも10-1torr、望ましくは2×10-2torr以上の炉内雰囲気を有する熱処理炉内で、鋳鉄鋳造品をオーステナイト化温度に保持均熱した後、前記熱処理炉から取り出し、直ちに恒温変態処理を施すことにより、前記鋳鉄鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止したことを特徴とする無脱炭オーステンパー処理鋳鉄。
【請求項2】 真空度が少なくとも10-1torr、望ましくは2×10-2torr以上の炉内雰囲気を有する熱処理炉内で、鋳鉄鋳造品を800〜950°Cの温度で均一オーステナイト化した後、前記熱処理炉から取り出し、直ちに恒温変態処理を施すことにより、前記鋳鉄鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止したことを特徴とする無脱炭オーステンパー処理鋳鉄。
【請求項3】 前記恒温変態処理が、250〜400°Cに溶融したソルトバスに前記鋳鉄鋳造品を所定時間浸漬した後、放冷することを特徴とする請求項1または2記載の無脱炭オーステンパー処理鋳鉄。
【請求項4】 前記鋳鉄鋳造品が球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無脱炭オーステンパー処理鋳鉄。
【請求項5】 熱処理炉の炉内真空度を少なくとも10-1torr、望ましくは2×10-2torr以上とし、該熱処理炉内に鋳鉄鋳造品を装入し、800〜950の炉内雰囲気中で前記鋳鉄鋳造品を保持均熱して均一オーステナイト化した後、前記熱処理炉から取り出し、直ちに250〜400°Cに溶融したソルトバスに前記鋳鉄鋳造品を浸漬して恒温変態処理を施した後、放冷することを特徴とする無脱炭オーステンパー処理鋳鉄の製造方法。
【請求項6】 前記鋳鉄鋳造品が球状黒鉛鋳鉄であることを特徴とする請求項5に記載の無脱炭オーステンパー処理鋳鉄の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐摩耗性を要求される使用条件下で用いられる部品、例えば自動車用ヘリカルギヤーケース等、に適した鋳鉄特に外表面に脱炭層が存在しないオーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼や鋳鉄製の部材や部品は、その用途目的に応じて、種々の温度で熱処理を施される場合が多い。例えば、工具鋼の焼入や耐熱鋼の溶体化その他拡散を目的とした熱処理のための加熱は、1200〜1300℃もの高温度となる。この場合、化学組成の変化があってはならないので、高温度の加熱の際には鋼表面で酸化、脱炭等が起こらぬようにせねばならない。そのためには、なるべく熱処理部品を大気中で高温度に加熱することは避けた方がよいとされている。加熱のガス雰囲気として、下記■〜■等が知られており、これらの単独または適宜組み合わせて熱処理時加熱される。
■ アルゴンは不働(inert )の点でよいが、高価につく。
■ 窒素は不活性であるが、酸素が混入し易くて酸化性になることが多い。
■ 水蒸気を含まない水素中で加熱することは酸化が起こらなくてよいが脱炭が起こる。特に水素に水蒸気が混合していると一層脱炭し易くなる。
■ 水素と窒素との混合ガスでは、無水の液体のアンモニア(NH3 )をN2 とH2に分解させて、鋼の酸化脱炭の危険は少なくてよい。
■ メタン(CH4 )、エタン(C26 )、プロパン(C38 )等に空気を混合し、Ni触媒を用いて分解し、生じたH2Oを除去したCO約20%、H2約40%、N2約40%の組成の吸熱型ガス(エンドガスまたはRXガスとよばれる。)中で処理品を加熱する。このガスにCH4などを添加することがあり、これはエンリッチガスとよばれる。
■ 一種またはそれ以上の塩類を溶かしておき、その中に熱処理部品を浸漬する塩浴も用いられる。熱処理温度や滲炭、窒化等の表面硬化を行なうか否かで塩の種類が選定される。例えば、鋼の焼戻し等の200〜500℃の低温度のところは硝酸塩や亜硝酸塩を単独または混合物として用いられる。また、500〜1000℃の中温度用塩浴には、NaCl(融点:803℃)、CaCl2 (融点:770℃)、Na2 CO3 (融点:856℃)の混合塩が通常用いられる。
■ 光沢ある鋼の表面の酸化、脱炭を防止しながら行なう熱処理は、総称して光輝熱処理として知られている。光輝熱処理は、適当な還元性または中性雰囲気炉もしくは真空炉中で加熱、冷却することによって行なわれ、主として薄板または仕上がり部品などの焼鈍に用いられている。
【0003】鋳造品に通常の熱処理を施した場合、その表層部には脱炭層(フェライト層)が生成するので、部品の用途によっては機械加工により除去せざるをえないが、特開昭55−158249号公報においては、「C:3.3〜3.6%、Si:1.6〜2.1%、Mn:0.5〜1.0%、残留Mg:0.03〜0.06%、Cu:0.8〜1.2%、Cr:0.1〜0.6%、残部Feよりなり、鋳物表面における脱炭層(フェライト層)の生成を防止した鋳放しパーライト球状黒鉛鋳鉄鋳物。」を提案している。
【0004】上記特開昭55−158249号公報における提案は、パーライト系球状黒鉛鋳鉄は、鋳放しで安定して80%以上のパーライト化率を有することが難しいため、通常は鋳造後900℃前後に加熱、続いて空冷するいわゆる焼ならし熱処理によって製作されている。この場合、鋳物表面に脱炭層(フェライト層)が生成される。鋳物表面にフェライト層が生成された場合、パーライト地に比べて機械的性質、疲労強度が低下し、更に構造用部品などの表面に亀裂が発生して疲労破壊の原因となる等の課題があった。
【0005】そこで、この提案においては、化学組成特にCr量を0.1〜0.6%と数値限定することにより、鋳物表面に脱炭層(フェライト層)の生成を防止する、としている。すなわち、Cr量の下限を0.1%未満とすると鋳物表面に脱炭層(フェライト層)が生成されて機械的性質、疲労強度の低下を招き、Cr量の上限を0.6%以上にするとセメンタイト量が増加して鋳物の材質が硬く、かつもろくなるため加工性が低下し、機械材料として使用できないようになるためである、としている。しかし、この提案においては熱処理炉の加熱雰囲気等を含めた熱処理条件については何等記載なく、また示唆もない。
【0006】また、特開昭56−116853号公報においては、Mo 0.03〜0.09%,Cu 0.3〜1.5%を含有した球状黒鉛鋳物をオーステンパー処理することによって、ギヤ類等に使用することができる球状黒鉛鋳鉄の製法を提案している。
【0007】また、特開昭59−43844号公報においては、ディファレンシャルギアケースとリングギヤの2部材を球状黒鉛鋳鉄材の一体鋳造部材として形成し、この一体鋳造部材に粒状パーライト化処理を施し、リングギヤ部分に歯切り加工を行なった後、該リングギヤ部分にオーステンパー処理による表面硬化焼入れ(高周波局部加熱焼入れ)を施してベーナイト組織とし、次いでギヤ部の仕上げ加工を行うことにより製作する車両用ディファレンシャル部材を提案している。
【0008】なお、上記特開昭59−43844号公報における提案での球状黒鉛鋳鉄材は、C 2.6〜4.0重量%、Si 1.5〜3.5重量%、Mn 0.1〜1.0重量%、P 0.15重量%以下、S 0.03重量%以下、Cu 0.3〜1.5重量%又はSn 0.03〜0.16重量%、Mo 0.03〜0.1重量%、Mg 0.025〜0.1重量%、残部Feよりなる化学組成を有するものである、としている。しかし、この提案においては、一体鋳造部材の粒状パーライト化処理、歯切り加工、オ−ステンパー処理、次いで仕上げ加工を行うという製作工数が多く、コスト高を招くという課題を有すると思料される。
【0009】また、特開昭54−133420号公報においては、「C:2.6〜4.0重量%、Si:1.5〜3.5重量%、Mn:0.1〜1.0重量%、Ni:0.8〜2.0重量%、Mo:0.1〜1.5重量%、Mg:0.02〜0.1重量%、残部が実質的にFeからなる球状黒鉛鋳鉄を、760〜950℃で0.5〜4.0時間加熱保持して後に徐冷する1次熱処理を行ない、ついで、機械加工を行ない、その後、850〜1000℃で4時間以内加熱保持した後に200〜400℃に急冷し、該温度で30分以上加熱保持するオーステンパー処理を行う球状黒鉛鋳鉄部品の熱処理方法。」および「前記オーステンパー処理を行った後、ショットピーニングを行う球状黒鉛鋳鉄部品の熱処理方法。」を提案している。
【0010】上記特開昭54−133420号公報に記載のこの提案内容は、「周知の如く、球状黒鉛鋳鉄をオーステンパー処理すると耐摩耗性及び疲労強度が向上するため、ギヤ、スプロケット及びカム等の高度の耐摩耗性及び疲労強度が要求されるものに好適に採用される。しかしながら、通常、製品(部品)を機械加工した後にオーステンパー処理をしており、該処理時に部品を加熱及び冷却した際に部品の変形を生じる。従って、高精度を要求する製品の製造時には、オーステンパー処理の後にさらに機械加工あるいは研磨する必要があるが、高硬度で高耐摩耗性を有するため、上記機械加工及び研磨作業が難しく、かつ、該作業に非常に手間がかかり、必然的に生産性が低下し、コスト高になる課題がある。そこで、球状黒鉛鋳鉄素材を、1次熱処理した後、機械加工を行い、その後、オーステンパー処理を行うものである。以上述べたように、各種各様の提案がなされている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】自動車用ギヤーケース等には耐摩耗性を付与するために、浸炭処理や窒化(軟窒化)された鍛造品が使用されているが、■鍛造品は鋳造品よりコスト高である。■鍛造品では振動音を軽減できないので、騒音上課題を有する。一方、■鋳鉄鋳造品は鍛造品に比べて安価に製造できること。■鋳鉄では振動のエネルギーが組織中の黒鉛に吸収されるため減衰能が高く、部材相互のかみあい音、振動音を軽減できる等の利点がある。従来部品の製作は、まず鋳造品を粗加工した後、オーステンパー処理を施し、次いで仕上げ加工を行っていた。該オーステンパー処理は大気雰囲気を有する熱処理炉中で加熱後、ソルトバス中に浸漬して恒温変態処理が施されていた。このため、鋳造品の表層部に硬度が低く、耐摩耗性に劣る脱炭層(フェライト層)が生成し、オーステンパー処理後に、機械加工により脱炭層(フェライト層)の削除を余儀なくされていた。なお、鋳造品の表層部の脱炭を防止または軽減するために、鋳造品の表面に前もって脱炭防止剤を塗布した後、大気雰囲気を有する熱処理炉中で加熱したとしても、熱処理後に脱炭防止剤の除去工程を必要とする課題もあった。
【0012】本発明者等は、鋳造品の表層部に生成する数10ミクロン厚さの脱炭層が大気雰囲気を有する熱処理炉内での鋳造品の加熱中に生ずることをつきとめ、鋳造品を真空中で加熱処理する熱処理を施すことにより鋳造品の表層部での脱炭層の生成を未然に防止する手段等に関し、鋭意研究の結果本発明をなした。本発明の目的は、鋳鉄鋳造品、特に球状黒鉛鋳鉄鋳造品、を加工した後、該鋳造品を真空雰囲気を有する熱処理炉内での加熱工程を含むオ−ステンパー処理を施すことにより、該鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止した無脱炭オーステンパー処理鋳鉄およびその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の無脱炭オーステンパー処理鋳鉄は、真空度が少なくとも10-1torr、望ましくは2×10-2torr以上の炉内雰囲気を有する熱処理炉内で、鋳鉄鋳造品をオーステナイト化温度に保持均熱した後、前記熱処理炉から取り出し、直ちに恒温変態処理を施すことにより、前記鋳鉄鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止することを特徴とする。オーステナイト化温度は800〜950°Cの温度範囲とし、鋳鉄鋳造品を均一オーステナイト化するため真空雰囲気を有する熱処理炉内で保持均熱した後、前記熱処理炉から取り出し、直ちに恒温変態処理を施すことにより、前記鋳鉄鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止することを特徴とする。前記恒温変態処理は、250〜400°Cに溶融したソルトバスに前記鋳鉄鋳造品を所定時間浸漬した後、放冷する。前記鋳鉄鋳造品が球状黒鉛鋳鉄である。
【0014】本発明の無脱炭オーステンパー処理鋳鉄の製造方法は、熱処理炉の炉内真空度を少なくとも10-1torr、望ましくは2×10-2torr以上とし、該熱処理炉内に鋳鉄鋳造品を装入し、800〜950の炉内雰囲気中で前記鋳鉄鋳造品を保持均熱して均一オーステナイト化した後、前記熱処理炉から取り出し、直ちに250〜400°Cに溶融したソルトバスに前記鋳鉄鋳造品を浸漬して恒温変態処理を施した後、放冷することを特徴とする。前記鋳鉄鋳造品が球状黒鉛鋳鉄である。
【0015】オーステナイト化温度については、800°C未満の温度では均一なオーステナイトが得られず、950°Cを越える温度ではオーステナイト結晶粒の粗大化を招くので、800〜950°Cに設定する。また、恒温変態処理のためのソルトバス温度については、250°C未満の温度ではマルテンサイト変態を伴い靱性が低下し、400°Cを越える温度では均一なベーナイト基地が得られないため、250〜400°Cに溶融ソルトバスの温度を設定する。なお、オーステナイト化温度および恒温変態処理での保持時間については、熱処理する鋳造品の大きさによって適宜設定する必要があるが、大略0.5〜3時間である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について実施例に基づいて比較例と共に説明する。本発明においては、鋳鉄鋳造品、特に球状黒鉛鋳鉄鋳造品、の表層部での脱炭層の生成を防止するために、真空雰囲気を有する熱処理炉内で保持加熱し、次いでソルトバス内で恒温変態処理を施すが、この熱処理を図1に示す熱処理パターンにより説明する。ここで、図1の横軸は時間、縦軸は温度を示し、熱処理パターン上のAはオーステナイト化加熱工程、Bは熱処理炉を開蓋して鋳造品を取り出し、ソルトバスに浸漬するまでの時間、Cはソルトバス中での浸漬保持による恒温変態処理工程、Dは放冷工程を示している。本発明においては熱処理炉を真空にしながら、あるいは真空とした後、加工した鋳造品を熱処理炉内に装入し、800〜950°Cの温度で均一オーステナイトとなし、次いで該鋳造品を取り出し、直ちに250〜400°Cに溶融のソルトバスに浸漬保持して恒温変態処理を施した後、放冷する。この熱処理を施すことにより、鋳鉄鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止することができ、熱処理後の機械加工を必要としない鋳鉄鋳造品を得ることができる。
【0017】
【実施例】重量比率で、C3.6%、Si2.4%、Mn0.4%、Cu0.5%、Mg0.041%、残部実質的にFeよりなる組成の球状黒鉛鋳鉄のテストピース(図2に示すように寸法が20mm×20mm×100mm)を、該テストピースの表面処理状態は、脱脂なし、脱炭防止剤なし、の条件で以下の(1)〜(4)の工程でオーステンパー処理を施した。
(1)熱処理炉を真空ポンプで真空にしながら、該テストピースを熱処理炉内に装入し、600°Cまで昇温した。この時間経過時点(図1に示すX)での真空度は10-1torrを越える程度になっていた。
(2)熱処理炉の真空度が2×10-2となり、炉内温度が875°Cにおいて60分間保持均熱してオーステナイトとした。
(3)次いで、熱処理炉を開蓋し、該テストピースを熱処理炉から取り出し、直ちに380°Cの溶融ソルトバスに60分間浸漬保持して恒温変態処理した。なお、熱処理炉の開蓋から該テストピースを取り出して搬送し、溶融ソルトバスに浸漬するまでの時間は55秒を要した。ソルトバスへ浸漬される以前に、該テストピースが大気に触れ、表層の変態がCCT曲線のパーライトノーズをかすめる虞れがあるため、可能な限り短い時間内に浸漬することが望ましい。
(4)その後、該テストピースを放冷した。
【0018】以上の熱処理を施した図2に示すテストピースの点線位置を切断して、20mm×20mm×20mmの試験片を採取し、硬度(Hv)および組織写真を調査した。図4は試験片の表面から0.1mm(100ミクロン)毎の硬度(Hv)の変化を示し、実線で示す硬度変化は真空雰囲気熱処理炉内で加熱してオーステンパー処理を施した本実施例の結果である。なお、点線で示す硬度変化は後述の比較例のRXガス雰囲気熱処理炉内で加熱してオーステンパー処理を施した結果を示す。また、本実施例の試験片の断面の組織写真は、図5(倍率:100倍)、図6(倍率:400倍)、図7(倍率:1000倍)に示すように、表層部での脱炭層の生成を確認できなっかった。本実施例では、鋳鉄の内球状黒鉛鋳鉄について述べたが、ネズミ鋳鉄や合金元素を含有する合金鋳鉄等についても本発明を適用できることは当然である。
【0019】
【比較例】オーステンパー処理にRXガス雰囲気熱処理炉を適用した以外は、前述の実施例と同様の条件で熱処理を施した。なお、熱処理炉の開蓋から該テストピースを取り出して搬送し、溶融ソルトバスに浸漬するまでの時間は45秒を要した。表面からの硬度(Hv)変化については、前述のとおりである。また、本比較例の試験片の断面の組織写真は、図8(倍率:100倍)、図9(倍率:400倍)、図10(倍率:1000倍)に示すように、表層部での脱炭層の生成が確認された。このことは、図4出示す硬度(Hv)の変化において、表面から0.3mmまでの範囲で硬度が低下していることからも実証できる。熱処理炉の開蓋から該テストピースを取り出して搬送し、溶融ソルトバスに浸漬するまでの時間は、比較例では45秒で、実施例での55秒よりも短い時間内に浸漬したにもかかわらず、表層部での脱炭層の生成が確認されたことは、熱処理炉内でのオーステナイト化加熱雰囲気が影響していると考えられる。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、真空雰囲気熱処理炉を適用してオーステンパー処理を施す本発明によれば、鋳造品の表層部での脱炭層の生成を防止できるので、熱処理後の機械加工を必要とせず、工数低減が可能である。また熱処理後の鋳造品は機械的性質に優れるため、鋳鉄本来の特性を発揮する各種部材や部品に適用できる。
【出願人】 【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
【出願日】 平成8年(1996)2月7日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】本間 崇
【公開番号】 特開平9−209034
【公開日】 平成9年(1997)8月12日
【出願番号】 特願平8−20829