トップ :: C 化学 冶金 :: C21 鉄冶金




【発明の名称】 連続焼鈍における鋼板の幅方向均一冷却方法
【発明者】 【氏名】浜本 康男

【氏名】湊 研

【氏名】細島 拓郎

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連続焼鈍工程の垂直パス鋼板の冷却方法において、冷却位置の下流側で鋼板の幅方向の温度を検出することによって幅方向の温度差ΔTを測定し、関係式(1)数1で求めたノズルの傾斜角度Kで冷却媒体を鋼板に吹き付けることを特徴とする連続焼鈍における鋼板の幅方向均一冷却方法。
【数1】K=A・ΔTC +B …(1)
K:鋼板面垂直方向からの鋼板幅方向へのノズルの傾斜角度ΔT:鋼板の幅方向の温度差(鋼板の幅方向の最高温度−鋼板中央部の最低温度)
A、B、C:定数
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続焼鈍における鋼板の幅方向均一冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図4に連続焼鈍ラインの概略を示す。コイル状に捲きとられた鋼板1を捲きほどく装置2から連続焼鈍炉3に連続的に鋼板1を供給する。装置4は連続焼鈍炉3を通過した鋼板1を連続的にコイル状に捲きとる装置である。連続焼鈍炉3は、再結晶焼鈍−最終冷却、あるいは、再結晶焼鈍−冷却−過時効処理−最終冷却、あるいは、再結晶焼鈍−冷却−再加熱−過時効処理−最終冷却の工程から成り立っている。
【0003】上記の冷却、最終冷却にあたり、通常5℃以上の冷却を行う場合は冷却媒体を使用する。冷却媒体としては水(純水、軟水、香水、濾過水、浄水、酸化防止剤を含む)、ミスト(水は前記と同様、ガスは炉内使用の雰囲気ガス、大気、酸化防止のAr、N2 を含む)を使用する。
【0004】冷却の際、鋼板形状はロールクラウンなどにより様々に変化する。鋼板がフラットな場合は、図5に示す様に、冷却媒体6によって鋼板1の幅方向に均一に冷却される。しかし、鋼板1が反り状態になると、冷却媒体6を幅方向に均一に吹き付けても、図6に示すように、鋼板1との接触後の冷却媒体7が鋼板形状によって鋼板1の一部に集中する現象が起きていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のような現象が発生すると、たとえば図6に示したように鋼板1が変形した場合には、鋼板1の凹部の中央に冷却媒体7が集中し、逆に反対面では冷却媒体6が鋼板1の端部近辺5に向けて流れやすくなるため、鋼板温度は図7に示すように鋼板1の中央部と端部が極端に冷却され、幅方向に温度偏差が大となり、得られる鋼板材質のばらつきも大きくなる。
【0006】そこで本発明は、上記のような鋼板材質のばらつきが生じない連続焼鈍工程における冷却方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、連続焼鈍工程の垂直パス鋼板の冷却方法において、冷却位置の下流側で鋼板の幅方向の温度を検出することによって幅方向の温度差ΔTを測定し、関係式(1)数2で求めたノズルの傾斜角度Kで冷却媒体を鋼板に吹き付けることを特徴とする連続焼鈍における鋼板の幅方向均一冷却方法である。
【0008】
【数2】K=A・ΔTC +B …(1)
K:鋼板面垂直方向からの鋼板幅方向へのノズルの傾斜角度ΔT:鋼板の幅方向の温度差(鋼板の幅方向の最高温度−鋼板中央部の最低温度)
A、B、C:定数【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】図2に本発明の概略断面を示す。垂直パスを通過する鋼板1に対し、鋼板冷却用スプレーノズルは、従来のように鋼板1に対して垂直ではなく、鋼板面の垂直方向から鋼板幅方向へ傾斜している。これにより鋼板1に吹き付けた冷却媒体8が一方向に向いて流れるため、冷却媒体8は鋼板1面に滞留することなく、鋼板1外に速やかに排出される。従って、図3に示すように鋼板の幅方向の温度のばらつきは従来よりも小さくなり、その結果、鋼板の材質のばらつきも小さくなり、鋼板品質の向上が図られる。
【0011】ここで、ノズルの傾斜角度は以下の方法で決める。
【0012】図1に、冷却媒体吹き付けノズルの傾斜角度を変更する制御系の概略を示す。鋼板の幅方向での温度差とそれを抑制するノズルの傾斜角度との関係は、ラインテストの結果、関係式(1)数3であることが明らかとなった。
【0013】
【数3】K=A・ΔTC +B …(1)
K:鋼板面垂直方向からの鋼板幅方向へのノズルの傾斜角度ΔT:鋼板の幅方向の温度差(鋼板の幅方向の最高温度−鋼板中央部の最低温度)
A、B、C:定数【0014】そして、鋼板の反り状態は鋼板の形状・材質によって変化するため、プロセスコンピューター11内の鋼板の情報を元に各形状・材質に対応したノズルの傾斜角度の設定テーブルを設けることにより、鋼板幅方向の温度差を低減することができる。これにより、図3に示したように鋼板の幅方向の温度のばらつきは従来よりも小さくなり、その結果、鋼板の材質のばらつきも小さくなり、鋼板品質の向上が図られる。
【0015】
【実施例】次に、本発明を実施した例を説明する。
【0016】板厚1.4mm、板幅1050mmの鋼板を、ラインスピード135m/minの垂直パスにおいて冷却する際、本発明の方法により700℃から399℃まで冷却したところ、幅方向の温度分布は、図7に示す従来の温度差が約20℃あったのに対して、図3に示すように10℃と半減した。
【0017】
【発明の効果】本発明により、連続焼鈍において鋼板が幅方向に均一に冷却されるので、製造される鋼板の材質も均質となり、品質向上が図られる。
【出願人】 【識別番号】000006655
【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
【出願日】 平成7年(1995)10月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】秋沢 政光 (外1名)
【公開番号】 特開平9−118934
【公開日】 平成9年(1997)5月6日
【出願番号】 特願平7−297268