| 【発明の名称】 |
高ヤング率鋼の製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】蒲 健二郎
【氏名】山上 伸夫
【氏名】新倉 正和
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| 【目的】 |
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| 【構成】 |
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【特許請求の範囲】
【請求項1】 重量比で、C:0.005〜0.03%、Si:0.3%以下、Mn:1%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:3.5〜8%、Al:1.5〜4%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を、1000℃以上の温度から焼入れ、次いで400〜650℃の温度範囲で焼き戻すことを特徴とする高ヤング率鋼の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、自動車および機械用構造部材、あるいは建築や橋梁に用いられる高ヤング率鋼の製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、自動車用部材においては、燃費低減を目的として小型軽量化が強く望まれており、また橋梁の分野においては著しく長大化が進展している。しかしながら、通常の鋼材では主として外力による歪量の問題から部材の小型化、長大化には限界がある。このような部材の小型化、長大化に対しては、通常の鋼よりもヤング率が高い鋼を適用することにより、外力による歪量を軽減することが考えられる。この場合には、このように外力による歪量が軽減される結果、その分部材の小型化、長大化を図ることができる。 【0003】従来、鉄鋼材料において高ヤング率を得るためには、フェライト鋼の{111}面を集積させる方法が知られており、特開平7−34177号公報には、微細分散粒子を用いて<111>集合組織を形成させて、高ヤング率化を図る方法が開示されている。 【0004】しかしながら、この方法では特定方向に対しては高ヤング率が得られるものの、他の方向に対してはヤング率が低下するうえに、粉末冶金法によって製造しなければならないためにコストが高く、橋梁などの大型鋼材には適用できない。 【0005】また、特開平5−263191号公報には、未再結晶域強圧下による方法により、特定方向のヤング率を向上させる方法が開示されているが、この方法も特定方向のヤング率を向上させるものであるため、他の方向に対してはヤング率を向上させることができない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、低コストでかつ大型鋼材にも適用することができる高ヤング率鋼の製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、NiおよびAlを所定範囲で含有する鋼材に対し1000℃以上の温度で溶体化処理を施した後、400〜650℃の範囲の温度で焼戻してNiAl金属間化合物を鋼材中に析出させることにより、鋼材のヤング率を高めることができることを見出した。 【0008】本発明は、本発明者らのこのような知見に基づいてなされたものであり、重量比で、C:0.005〜0.03%、Si:0.3%以下、Mn:1%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Ni:3.5〜8%、Al:1.5〜4%を含有し、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼を、1000℃以上の温度から焼入れ、次いで400〜650℃の温度範囲で焼き戻すことを特徴とする高ヤング率鋼の製造方法を提供するものである。 【0009】 【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに照射に説明する。一般に、複合材料のヤング率は複合則に従うため、鉄よりも高ヤング率の第2相を分散させると鋼材のヤング率は上昇する。第2相を分散させる手法としては粉末冶金が一般的であるが、コストが高くしかも大型部材の製造は極めて困難である。 【0010】そこで、本発明者らは、通常の製鋼、圧延プロセスによる高ヤング率高の製造方法について検討した。その結果、NiおよびAlを添加した鋼材を1000℃以上の温度に加熱してNiおよびAlを完全に固溶させた後、焼入れを行い過飽和固溶体とし、その後400〜650℃の温度範囲で焼戻すことにより、NiAl金属間化合物が鋼中に析出し、鋼材のヤング率が高まるという知見を得て本発明を完成するに至った。 【0011】次に、化学成分の限定理由について説明する。 C: Cは粒界強化に必要な元素であるが、その効果を得るためには0.005%以上含有させることが必要である。しかしながら、0.03%を超えて添加すると、固溶Cがヤング率を低下させる。したがって、C含有量は0.005〜0.03%の範囲とする。 【0012】Si: Siは補助的な脱酸材として用い、Alの歩留を向上させることができる。しかし、その含有量が0.3%を超えると、固溶Siがヤング率を低下させる。したがって、Si含有量は0.3%以下とする。 【0013】Mn: MnはSiと同様、補助的脱酸材としての効果が期待できると共に、固溶強化により材料の高強度化に寄与するが、固溶Mnはヤング率を低下させるため、その含有量は制限を受ける。しかし、1%までは顕著な悪影響を及ぼさない。したがって、Mn含有量は1.0%以下とする。 【0014】P: Pは粒界に析出して粒界強度を弱める元素であるため、その含有量は低いほどよい。P含有量が0.03%までは顕著な悪影響を及ぼさないため、その含有量を0.03%以下とする。好ましくは0.01%以下である。 【0015】S: SもPと同様に粒界を弱める元素である。しかし、0.01%までは顕著な悪影響を及ぼさないため、その含有量を0.01%以下とする。 Ni: Niは強度を付与するとともに、NiAl金属間化合物として鋼中に析出し、ヤング率を高める重要な元素である。このような効果を得るためには最低3.5%は必要である。しかしながら、8%を超えて添加すると著しいコストアップとなり、安価なプロセスで製造することができるというメリットが消失してしまう。したがって、Ni含有量は3.5〜8%の範囲とする。 【0016】Al: Alは鋼の脱酸のために必要であるとともに、NiAl金属間化合物として鋼中に析出し、ヤング率を高める重要な元素である。このような効果を得るためには最低1.5%は必要である。しかしながら、4%を超えて添加すると、靭性が著しく劣化し、また加工性も低下する。したがって、Al含有量は1.5〜4%の範囲とする。 【0017】次に、製造条件について説明する。本発明では、以上のように組成が規定された鋼を、1000℃以上の温度から焼入れ、次いで400〜650℃の温度範囲で焼き戻す。 【0018】ここで、1000℃以上の温度から焼入れるのは、NiおよびAlを完全に固溶させるためである。なお、本発明において、焼入れる前の鋼片の履歴は任意であり、例えば、鋳造後そのままでもよいし、圧延材であってもかまわない。 【0019】焼入れ後に400〜650℃の温度範囲で焼戻すのは、NiAl金属間化合物を時効析出させ、複合効果によりヤング率を高めるためである。この際に、焼戻し温度が400℃未満であるとNiおよびAlの拡散速度が小さいため析出に長時間を要し、650℃を超えるとNiおよびAlの固溶度が大きくなり析出量が減少してヤング率を高める効果が低下する。 【0020】 【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。なお、本発明が以下の実施例に限定されないことはいうまでもない。表1に示す成分組成を有する板厚50mmのスラブを熱間圧延にて板厚15mmの鋼板とした。なお、熱間圧延の条件は加熱温度1200℃、仕上温度1000℃とした。その後、表2に示す条件で熱処理を施し、熱処理後の鋼板から10mm×20mm×25mmの試験片を作製した。この試験片を用いて超音波パルス法にてヤング率を測定した。また、引張試験片を用いて引張特性を測定した。その結果を表2に併記する。 【0021】 【表1】
【0022】 【表2】
【0023】表2に示すように、本発明の条件にしたがって製造された本発明鋼であるA1〜A4はいずれも220GPa以上の高いヤング率を有することが確認された。これに対して、本発明の条件から外れる比較鋼のうちB1〜B3はNi量およびAl量の一方または両方が不足しているためにNiAl金属間化合物が十分に析出せず、ヤング率は210GPa以下であった。また比較鋼のうちB4は、焼戻し温度が400℃未満であったためにNiおよびAlの拡散速度が遅く金属間化合物として析出しなかったため、ヤング率が高くならなかった。比較鋼のうちB5,B7は、焼戻し温度が650℃を超えたために、NiおよびAlが固溶した状態となり、ヤング率は206GPa以下であった。B6は焼入れ温度が1000℃未満であったため、未固溶のNiAlが存在し、焼戻しにより金属間化合物が析出しなかったため、ヤング率が210GPaであった。 【0024】 【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、低コストでかつ大型鋼材にも適用することができる高ヤング率を製造することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004123 【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
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| 【出願日】 |
平成7年(1995)9月6日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】鈴江 武彦
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| 【公開番号】 |
特開平9−71815 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)3月18日 |
| 【出願番号】 |
特願平7−229056 |
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