| 【発明の名称】 |
油凝固剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】加藤 輝雄
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| 【目的】 |
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| 【構成】 |
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【特許請求の範囲】
【請求項1】 一般式【化1】
または【化2】
(式中Aはポリスチレンブロックを示し、Bはポリブタジエンブロックを示す)で表される構造を有するブロック共重合体を含む油凝固剤であって、前記ブロック共重合体のnが3以上である油凝固剤。 【請求項2】 ブロック共重合体は、ポリスチレンブロックとポリブタジエンブロックとが直鎖の状態で配列される請求項1記載の油凝固剤。 【請求項3】 ブロック共重合体は、粒径が2mm以下の粉末である請求項1または請求項2記載の油凝固剤。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は油凝固剤に関し、特にたとえば、鉱油あるいは有機溶剤などの油を吸着し、塊状に凝固させるための油凝固剤に関する。 【0002】 【従来の技術】鉱油あるいは有機溶剤などの油が、事故や誤操作などにより、海上、河川、湖に流出した場合には、環境保全のため、回収して廃棄する必要が生じる。また、一般製造工場、機械工場および自動車などの潤滑油用途などで使用済みになった油についても、廃棄する必要がある。 【0003】従来、このような油を廃棄する方法として、吸収材に吸収させて廃棄する方法が知られている。この吸収材としては、ポリエステル繊維、ポリプロピレン繊維などの合成繊維や天然繊維からなる編織布や不織布が用いられる。また、パルプや発泡プラスチックなどが用いられる場合もある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これらの吸収材は、吸着した油の保持力が十分でなかった。そのため、吸収材に物理的な力が加わった時には、一旦吸着されていた油が吸収材から漏出するという欠点があった。更に、これらの吸収材を使用して海上、河川、湖に流出した油を回収する場合には、水も同時に吸収してしまうといった欠点があった。 【0005】一方、海上、河川、湖に流出した油を乳化分散させて処理する方法も知られている。この方法では、たとえば脂肪酸エステルなどの界面活性剤が使用される。しかしながら、この方法では、流出した油を広範囲にわたって分散させ、長時間かけて自然浄化されるのを待つため、結果的に水質を悪化させ、生態系に悪影響をおよぼす危険があった。また、この方法では、流出油の処理に長時間を要するという問題もあった。 【0006】また、油に凝固剤を添加して廃棄する方法も知られている。この方法に使用される凝固剤としては、たとえばポリノルボルネンからなるものが知られている。この凝固剤は、油を凝固させるのに要する時間が30分〜2時間でよい。しかしながら、その凝固物の強度が弱く、プリン状であるため、これらを回収して廃棄するには相当な時間とエネルギーが必要であり、廃棄処理が面倒であった。また、この凝固剤は、たとえばトリクロロエタンやフロンなどのハロゲン系溶剤をほとんど凝固させることができないという欠点があった。 【0007】さらに、特公昭59−47718号公報には、A−B−A−B、または、B−A−B−A−B(Aはスチレン重合体ブロック、Bは1,3−ブタジエンまたはイソプレンの重合体ブロック)の一般式で表されるブロック共重合体を使用した油ゲル状化処理法が開示されている。しかしながら、このブロック共重合体は、油の吸着量が少なく、自重の3〜4倍程度の油しか吸着しないため、油を凝固させるためには添加量を多くする必要があり、コスト的に高くなってしまうという問題があった。そのため、実際には、このブロック共重合体を使用する油ゲル状化処理法は、ほとんど使用されるに至っていない。 【0008】この発明者は、これらの問題点を解決するため鋭意研究を行った結果、この発明を完成するに至った。すなわち、この発明の主たる目的は、鉱油や有機溶剤などの油を常温ですみやかに多量に吸着し、1つの塊に凝固させ、しかも、油の保持力に優れ、短時間で完全に廃棄処理することができる油凝固剤を提供することである。 【0009】 【課題を解決するための手段】この発明は、一般式【化3】
または【化4】
(式中Aはポリスチレンブロックを示し、Bはポリブタジエンブロックを示す)で表される構造を有するブロック共重合体を含む油凝固剤であって、ブロック共重合体のnが3以上である油凝固剤に関するものである。 【0010】すなわち、この発明にかかる油凝固剤は、ポリスチレンブロックとポリブタジエンブロックとからなるブロック共重合体を含む。このブロック共重合体は、熱可塑性エラストマーである。このブロック共重合体は、その末端ブロックの片方または両方が、ポリブタジエンブロックからなる。式中のnは、ブロックの繰り返し数(共重合度)を表す整数である。nが3以上のブロック共重合体は、油の吸着量が多く、油を吸着した場合には油の滲み出しのほとんどない硬い凝固物となる。しかし、ブロック共重合体のnが2以下の場合は、油の吸着量が少なく、多量の油を吸着、凝固させることができない。また、nが11以上では、ブロック共重合体の製造工程が煩雑となる。したがって、実質的には、ブロック共重合体のnは3以上10以下が好ましい。 【0011】また、この発明に用いられるブロック共重合体は、たとえばターボミルなどで機械的に粉砕するなどして使用される。その粉末の粒径は2mm以下が好ましく、さらに好ましくは1mm以下が良い。なぜなら、ブロック共重合体の粉末の粒径が大きいと、ブロック共重合体の表面積が小さくなるため、油によるブロック共重合体の潤滑速度が遅くなる。そのため、油を吸着し、塊状に凝固させるまでに時間がかかり非効率的となるからである。 【0012】さらに、この発明の油凝固剤の、鉱油あるいは有機溶剤などの油に対する添加量は、添加される油の性質によって異なり、特定することはできない。しかし、油の粘度が低いほど添加量は少なくてよく、油の粘度が高いほど添加量は多く必要になる傾向がある。通常は、油100重量部に対して2〜10重量部添加すれば、油をすみやかに吸着し、ゴム状の1つの塊に凝固させることができる。なお、この発明でいう凝固とは、多少の物理的な力を加えても油がほとんど滲み出さない状態をいう。 【0013】また、この発明にかかる油凝固剤は、常温で十分実用的であるが、凝固させるべき油をあらかじめ加温してから添加した場合は、油を吸着して凝固させる作用をより一層高めることができる。 【0014】さらに、この油凝固剤には、使用前のブロック共重合体の粉体相互間のブロッキング防止を目的として微粉のワックス、硬化油、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、二酸化ケイ素などのブロッキング防止剤を少量配合してもよい。また、帯電防止または湿潤を目的に、粉末のモノグリセリド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステルなどの界面活性剤を少量配合してもさしつかえない。 【0015】また、合成繊維、天然繊維、紙、パルプ、澱粉、蛋白、パーライトなどの表面積の大きい吸収剤を配合してもよく、これらを併用してもよい。 【0016】さらに、この発明にかかる油凝固剤は、対象となる油に直接投入して使用してもよいが、疎水性不織布、たとえばポリオレフィン、ポリエステルなどの合成樹脂繊維の不織布からなる袋に、充填した形態で使用してもよい。この袋は、平板状、棒状、円筒状、球状など用途に合わせてあらゆる形状にして用いることができる。 【0017】 【発明の効果】以上説明したようにこの発明によれば、鉱油や有機溶剤などの油を常温ですみやかに多量に吸着し、1つの塊に凝固させ、しかも、油の保持力に優れ、短時間で完全に廃棄処理することができる油凝固剤を得ることができる。すなわち、この発明にかかる油凝固剤は、たとえば原油、灯油、軽油、ガソリン、スピンドル油、A重油、B重油などの鉱油、あるいは芳香族炭化水素、直鎖状炭化水素、側鎖状炭化水素、ハロゲン系炭化水素、エーテル類などの有機溶剤に有効である。そして、この油凝固剤は、常温でたとえば1分〜1時間以内という短時間で、自重の10倍〜50倍の油を吸着し凝固させるという優れた性能を有しており、かつ油の保持力が優れている。そのため、油を吸着した後、油の離脱がなく、物理的な力による油の滲み出しもほとんどない、さらに、油が吸着されて凝固した凝固体の表面は、時間とともに油特有のねばつきがなくなり、他物体に付着しにくくなるので環境衛生上非常に有利となる。しかも、この凝固体は、弾性ゴム状の1つの塊に凝固するので極めて簡単に廃棄処理することができる。 【0018】この発明の上述の目的、その他の目的、特徴及び利点は、以下の発明の実施形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。 【0019】 【発明の実施の形態】 実施例1スチレンとブタジエンとをリビング重合法を用いて重合させることにより、表1に示す4種類のブロック共重合体を作成した。このブロック共重合体は、ポリスチレンブロックとポリブタジエンブロックとが直鎖(リニア)状に配列された構造を有する。次に、このブロック共重合体をターボミルを用いて粉砕し、18メッシュ(開口径1mm)のふるいに通して、試料(1)〜試料(4)を得た。これらを1号スピンドル油(日本石油株式会社製)100重量部に常温において添加し、凝固状態をみた。その結果を表1にあわせて示す。なお、表1中、Aはポリスチレンブロック、Bはポリブタジエンブロックをあらわす。また、表1中の凝固とは、指で押しても油がほとんど滲み出さない状態をいう。以下の表2〜5も同様である。 【0020】 【表1】
【0021】実施例2スチレンとブタジエンとを逐次モノマー法を用いて重合させることにより、表2に示す3種類のブロック共重合体を作成した。次に、このブロック共重合体を凍結粉砕機を用いて粉砕し、32メッシュ(開口径0.5mm)のふるいに通して試料(5)〜試料(7)を得た。これらをn−ヘキサン100重量部に常温において添加し、凝固状態を見た。その結果を表2に示す。 【0022】 【表2】
【0023】実施例3前記実施例1で使用した試料(1)を各種の鉱油および有機溶剤100重量部に添加し、凝固状態をみた。その結果を表3に示す。 【0024】 【表3】
【0025】表1、表2、および表3に示す結果から明らかなように、試料(1)〜試料(7)は、各種の鉱油や有機溶剤を常温ですみやかに吸着し、凝固させることがわかった。しかも、これらは油の保持力にも優れていた。 【0026】比較例1スチレンとブタジエンとを逐次モノマー法を用いて重合させることにより、表4に示す構造を有するブロック共重合体を作成した。このブロック共重合体を凍結粉砕機を用いて粉砕し、ふるいにかけて試料(8)〜試料(11)を得た。これらを、前記実施例1と同様に、1号スピンドル油(日本石油株式会社製)100重量部に常温において添加し、凝固状態を見た。その結果を表4に合わせて示す。 【0027】 【表4】
【0028】比較例2ポリプロピレン繊維からなる油凝固剤(試料12)、およびポリノルボルネンからなる油凝固剤(試料13)について実施例2と同様に、n−ヘキサンに添加して凝固状態をみた。その結果を表5に示す。 【0029】 【表5】
【0030】表4、表5から明らかなように、試料(8)〜試料(13)は、油凝固剤として満足できるものではなかった。
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| 【出願人】 |
【識別番号】596024183 【氏名又は名称】有限会社イーシーイー
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| 【出願日】 |
平成7年(1995)11月10日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】福田 武通 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開平9−137184 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)5月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平7−315815 |
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