| 【発明の名称】 |
ジョイントシートおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】瀬川 透
【氏名】伊藤 修二
【氏名】中野 光行
【氏名】重留 祥一
|
| 【目的】 |
|
| 【構成】 |
|
【特許請求の範囲】
【請求項1】 石綿以外の無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ゴム、充填材および加硫剤、加硫促進剤、可塑剤等のゴム薬品からなる組成物が溶剤とともに混練されたジョイントシート形成用組成物からなるジョイントシートにおいて、ゴムに少なくともアクリロニトリルブダジエンゴムまたは水素化アクリロニトリルブダジエンゴムを使用し、充填材として粒径が0.1〜5μmの水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを単独あるいは両方または他の充填材と組み合わせて使用し、その添加量がジョイントシート中に10〜50重量%であることを特徴とするジョイントシート。 【請求項2】 厚さ1.5±0.1mmのジョイントシートのJIS R3453 石綿ジョイントシートによる応力緩和率試験法で測定した応力緩和率の値が17〜27%であることを特徴とする請求項1記載のジョイントシート。 【請求項3】 石綿以外の無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ゴム、充填材および加硫剤、加硫促進剤、可塑剤等のゴム薬品からなる組成物を溶剤とともに混練して得られたジョイントシート形成用組成物を、熱ロールと冷ロールとからなる一対のロール間に投入し、熱ロール側に積層させながら加熱圧延するジョイントシートの製造方法において、上記ゴムに少なくともアクリロニトリルブダジエンゴムまたは水素化アクリロニトリルブダジエンゴムを、また上記充填材として粒径が0.1〜5μmの水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを単独あるいは他の充填材と組み合わせて使用し、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムの添加量がジョイントシート中に10〜50重量%となるようにし、かつ前記基材繊維と水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを最初に混練した後で、その他のジョイントシート組成物を溶剤とともに混練することを特徴とするジョイントシートの製造方法。 【請求項4】 厚さ1.5±0.1mmのジョイントシートのJIS R3453 石綿ジョイントシートによる応力緩和率試験法で測定した応力緩和率の値が17〜27%となるように、前記水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを添加することを特徴とする請求項3記載のジョイントシートの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、石油化学プラント、各種工業用機械装置、自動車、家電など広範囲な分野で使用されるガスケットの基材として用いられるジョイントシートの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ジョイントシートは、基材繊維・充填材・ゴム薬品に、溶剤に膨潤させたゴム(あるいは粉末ゴムまたはラテックスに溶剤を加えたもの)をヘンシェルミキサー等で十分に混練し、ジョイントシート形成用組成物(以下混練材料と略する)を調整し、次いでこの混練材料を熱ロール(約150℃)と冷ロール(約20℃)とからなる一対のロール(カレンダーロール)間に投入し、熱ロール側に加熱・圧延しながら積層し、溶剤の蒸発・加硫を行い、所定の厚さに積層したシートを剥離することによって製造されてきた。製品によっては、加硫を進めるために得られたシート状物をさらにオートクレーブ等で二次加硫を行う場合もあった。なお、構成材料としては用途に応じて、上記のもののほか軟化剤・可塑剤・水膨潤剤・油膨潤剤が少量添加され、保管・識別の点から顔料が配合されることもある。 【0003】そして従来、ジョイントシートとしては石綿ジョイントシートが使用され、石綿繊維の独特の形状や、優れた耐熱性を利用して、水、油、空気、水蒸気などの配管や機器用のガスケットとして打抜き加工され使用されてきた。この石綿ジョイントシートは、無機物でありながら非常に柔軟で高度にフィブリル化している石綿繊維を60〜85重量%程度含んでいるため、プラントの熱油・熱水や蒸気等の高温ラインに使用される場合も全く問題がなかった。 【0004】ところが石綿繊維は天然鉱物であり資源の枯渇が心配されることや、石綿繊維が原因と推測されている健康障害が社会的問題となって世界的に石綿の使用が制限される傾向となってきた。それらの理由により、最近では石綿繊維を全く使用せず、石綿繊維以外の無機繊維と有機繊維の両方またはいずれか一方を使用したジョイントシート(アスベストフリージョイントシートまたはノンアスベストジョイントシートと呼ばれる、以下NAジョイントシートと略する)が使用されるようになってきた。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】このNAジョイントシートに用いられる繊維材料としては、有機繊維と無機繊維(石綿繊維以外)があるが、石綿繊維に比べると繊維径が太くて剛直なものが多く、耐熱性の点でもかなりの差が見られるので、用途に応じて各種繊維を組み合わせて使用しているが、引張り強さや耐蒸気性、耐熱性の点で完全に石綿ジョイントシートに匹敵するまでには至っていない。 【0006】すなわち、従来のNAジョイントシートにあっては、補強効果のある有機繊維は蒸気雰囲気下、高温下では劣化しやすいために石綿ジョイントシートに比べて製品寿命が著しく低下してしまった。また、耐熱性の高い無機繊維を併用しても、その補強効果は補強効果のある有機繊維より著しく低く、さらに製造的な面でその配合量を石綿繊維ほど多くすることができないために補強性能は上がらず、石綿ジョイントシートに比べてかなり低下したものとなる。 【0007】そこで、ゴム材料についても検討が行われ、耐熱性の高いゴムをブレンドすることにより、耐熱性、耐蒸気性の良いNAジョイントシートが得られるという発明(特開平4−359987号)が出願されているが、これらのゴムは高価なためNAジョイントシートの価格が高くなってしまうという問題が残っていた。以上のようなことから、蒸気雰囲気下、高温下で使用しても石綿ジョイントシートに匹敵する寿命を有する汎用性の高いNAジョイントシートの出現が望まれていた。 【0008】本発明の目的は、耐熱性、耐蒸気性を改良したNAジョイントシートおよびその製造方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の発明は、石綿以外の無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ゴム、充填材および加硫剤、加硫促進剤、可塑剤等のゴム薬品からなる組成物が溶剤とともに混練されたジョイントシート形成用組成物からなるジョイントシートにおいて、ゴムに少なくともアクリロニトリルブダジエンゴムまたは水素化アクリロニトリルブダジエンゴムを使用し、充填材として粒径が0.1〜5μmの水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを単独あるいは両方または他の充填材と組み合わせて使用し、その添加量がジョイントシート中に10〜50重量%であることを要旨とする。 【0010】請求項2の発明は、請求項1のジョイントシートにおいて、厚さ1.5±0.1mmのジョイントシートのJIS R3453 石綿ジョイントシートによる応力緩和率試験法で測定した応力緩和率の値が17〜27%であることを要旨とする。 【0011】また請求項3の発明は、石綿以外の無機繊維および/または有機繊維からなる基材繊維、ゴム、充填材および加硫剤、加硫促進剤、可塑剤等のゴム薬品からなる組成物を溶剤とともに混練して得られたジョイントシート形成用組成物を、熱ロールと冷ロールとからなる一対のロール間に投入し、熱ロール側に積層させながら加熱圧延するジョイントシートの製造方法において、上記ゴムに少なくともアクリロニトリルブダジエンゴムまたは水素化アクリロニトリルブダジエンゴムを、また上記充填材として粒径が0.1〜5μmの水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムを、単独あるいは他の充填材と組み合わせて使用し、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムの添加量がジョイントシート中に10〜50重量%となるようにし、かつ前記基材繊維と水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを最初に混練した後で、その他のジョイントシート組成物を溶剤とともに混練することを要旨とする。 【0012】請求項4の発明は、請求項3のジョイントシートの製造方法において、厚さ1.5±0.1mmのジョイントシートのJIS R3453 石綿ジョイントシートによる応力緩和率試験法で測定した応力緩和率の値が17〜27%となるように、前記水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを添加することを要旨とする。 【0013】本発明者らは、上記の従来技術に伴う問題点を解消するために鋭意研究を行い、蒸気ラインなどでのNAジョイントシートの製品寿命を伸ばすためには、ジョイントシートの物性のうち特に応力緩和率および劣化後の引張強さが重要であることに気がついた。そこでまず、NAジョイントシートの配合材料と応力緩和率の関係を調査したところ、繊維ではガラス繊維やカーボン繊維などの剛直な繊維が応力緩和率の改善に効果があるが、製造性との関係で一定量以上入れることは難しいこと、またガラス繊維やカーボン繊維などの剛直な繊維は、混練中に繊維が折れてしまい繊維同士の絡みが十分でないため引張強さを向上させるのが難しいこと、さらにガラス繊維、カーボン繊維は表面が不活性でゴムとの密着性が悪いために界面で空隙が生じシール性が悪くなることが判明した。そこで今度は充填材に着目して検討を行った。いろいろな充填材について検討を行った結果、金属水酸化物の中でも特に水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを添加すると応力緩和率が飛躍的に改良され、劣化後の引張強さも保持されることが判明した。 【0014】これは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは構造中に含まれる水酸基(−OH)のために粒子表面が活性化している状態であり、ゴムや繊維などの配合材料との親和性が強く接着性が向上し、この接着効果により応力緩和率が改善されるのではないかと推定している。また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは、水にほとんど溶けないため蒸気ラインなど水がジョイントシート中に浸透する場合でも引張強さを保持している。ただし同じ金属水酸化物でも水酸化カルシウムは水に溶け水溶液は強いアルカリ性を示すため、水の浸透する場合には引張強さ等の物性の低下が大きい。なお、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは180℃以上の高温で結晶水を放出するために配合量を多くするとNAジョイントシートに難燃性を与えるという効果もある。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムの粒径は、平均粒径で0.1〜5μmがよい。粒径が小さいと粒子同士が凝集して二次粒子を形成しジョイントシートへの分散が難しくなる。粒径が大きいと補強効果が望めない。 【0015】また、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは粒子表面に水酸基が多く、親水性が大きく、親水性の大きい基材繊維特にフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維と最初に混合し十分に分散させた後にその他のジョイントシート形成用組成物を混合することにより水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムをジョイントシート中に分散させることができる。この方法では、フィブリル化した芳香族ポリアミド繊維の分散性も向上する。 【0016】 【発明の実施の形態】請求項1の発明の実施の態様において、ジョイントシートで用いる基材繊維とは、ロックウール、カーボン繊維、ガラス繊維、セピオライト、セラミック繊維、溶融石英繊維、化学処理高シリカ繊維、溶融珪酸アルミナ繊維、アルミナ連続繊維、安定化ジルコニア繊維、窒化ホウ素繊維、チタン酸アルカリ繊維、ウォラストナイト、ウィスカー、ボロン繊維、金属繊維等の無機繊維や、芳香族ポリアミド繊維、ポリアミド系繊維、ポリオレフィン系繊維、ポリエステル系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ尿素系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリフルオロカーボン系繊維、フェノール系繊維、セルロース系繊維等の有機繊維を単独あるいは併用して用いることができる。 【0017】ゴムは、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムの水酸基と結合しやすいアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)が好適である。ただし、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴム、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレン、エチレン酢ビゴム、塩化ポリエチレン、塩化ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、ニトリルイソプレンゴム、天然ゴム、イソプレンゴム等のゴムをブレンドして用いることができる。 【0018】ゴム薬品としては、硫黄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、過酸化物、ジニトロソベンゼン等の加硫剤、ポリアミン系化合物、アルデヒドアミン系化合物、チウラム系化合物、ジチオカルバミン酸塩系化合物、スルフェンアミド系化合物、チアゾール系化合物、グアニジン系化合物、チオウレア系化合物、キサントゲン酸塩系化合物等の加硫促進剤や、老化防止剤、スコーチ防止剤、可塑剤、着色剤等従来ジョイントシート形成用ゴム薬品として公知のゴム薬品が広く用いられる。 【0019】水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム以外の充填材としては、クレー、タルク、硫酸バリウム、重炭酸ナトリウム、マイカ、グラファイト、カオリナイト、セリサイト、ワラストナイト、焼成クレー、カーボンブラック等が用いられる。また、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)の平均粒径は0.1〜5μm程度がよい。粒径が小さいと、粒子同士が凝集して分散が難しくなる。上記以上に粒径が大きいと、補強効果が望めない。更にジョイントシートへの水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウム等の添加量は10〜50重量%とするのがよい。この添加量が少ないと効果が望めず、多いとゴムとの結合が強くなりすぎ、混練材料が固くなり製板性が悪くなる。 【0020】請求項2の発明の実施の態様では、請求項1の発明のジョイントシートとして、応力緩和率の値が17〜27%となるものを用いることを提案する。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは水酸基があるため、ゴム、特に極性ゴムであるNBR、HNBRと結合しやすく、擬似架橋構造を生成するため、ゴムの架橋密度が上がり、応力緩和率がよくなると考えられる。 【0021】請求項3の発明の実施の態様としては、基材繊維と水酸化アルミニウムおよびまたは水酸化マグネシウムを最初に混練させ、十分分散した後に、その他のジョイントシート組成物を溶剤とともに混練することを提案する。水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムはその粒子表面に水酸基(−OH)があるため、ゴムへの分散が悪く、また粒子同士が凝集して2次粒子を形成するが、ジョイントシート組成物を混練する時、ゴムは溶剤に膨潤した粘度の低いノリ状となっているためにせん弾力がかかりにくい状態であり、この2次粒子を破壊しずらい。しかるに基材繊維、特にフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維と水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムはともに親水性で相溶性がよいことから、請求項3の発明では、まず、これらを混合し、繊維の間に十分水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを分散させた状態で他の組成分を混練する方法により、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムのジョイントシートへの分散をよくすることができるものである。更にフィブリル化した芳香族ポリアミド繊維の分散もよくなる。 【0022】請求項4の発明の実施の態様は、請求項3の方法の実施に当り、応力緩和率の値が17〜27%となるように、水酸化アルミニウムおよび/または水酸化マグネシウムを添加することを提案する。 【0023】 【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。 実施例1ゴム素練りロールにより0.2mmに薄だし処理したNBRを所定量計量した後、トルエン中で膨潤させ、表1の実施例1に示す基材繊維、ゴム薬品、水酸化アルミニウムとともにヘンシェルミキサーにて80分間混練した。これによって得られた混練材料を、150℃に加熱された熱ロールと20℃に保たれた冷ロールのカレンダーロールにより積層し、厚さ1.5mmのNAジョイントシートを得た。この場合、水酸化アルミニウムは50重量%を添加した。 【0024】実施例2〜4表1の実施例2〜4に示す配合の材料で実施例1と同様に製造し、厚さ1.5mmのNAジョイントシートを得た。この場合、実施例2では水酸化マグネシウム50重量%、実施例3では水酸化アルミニウム30重量%、タルク20重量%、実施例4では水酸化アルミニウム10重量%、タルク40重量%をそれぞれ添加した。表1の比較例1〜3に示す配合の材料で実施例1と同様に製造し、厚さ1.5mmのNAジョイントシートを得た。この場合、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムは添加されていない。 【0025】実施例1〜4および、比較例1〜4のNAジョイントシートの引張強さ、圧縮率、復元率、応力緩和率および難燃性を表2に示す。なお、NAジョイントシートの引張強さ、圧縮率、復元率、応力緩和率は、JIS R3453、難燃性は鉄道車両材料燃焼試験に準じて測定した。実施例1〜4で、応力緩和率の非常に良いNAジョイントシートが得られ、更に、水酸化アルミニウムと水酸化マグネシウムの配合量が多いと難燃性が得られた。比較例1〜3では、応力緩和率の良いものが得られなかった。 【0026】 【表1】
【表2】
【0027】 【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば水酸化アルミニウムおよびまたは水酸化マグネシウムを添加することによって耐熱性が良いNAジョイントシートが得られる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000110804 【氏名又は名称】ニチアス株式会社
|
| 【出願日】 |
平成7年(1995)8月14日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】永田 武三郎
|
| 【公開番号】 |
特開平9−53062 |
| 【公開日】 |
平成9年(1997)2月25日 |
| 【出願番号】 |
特願平7−228536 |
|