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【発明の名称】 耐消化性カルシア・マグネシアクリンカーおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】松井久仁雄

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 化学組成が灼熱基準で表して、 MgO+CaO 96.0重量%以上、 CaO 10重量%以上、30重量%以下、 TiO2 0.5重量%以上、3.0重量%以下、であり、クリンカー表面が主として酸化マグネシウム1種以上の水溶性塩類より成ることを特徴とする耐消化性カルシア・マグネシアクリンカー。
【請求項2】 クリンカーの表面が主として酸化マグネシウムから成ることを特徴とする請求項1に記載の耐消化性カルシア・マグネシアクリンカー。
【請求項3】 a)水酸化マグネシムと水酸化カルシウムをスラリー状態で混合して得られた混合物、あるいはこれら混合物を瀘過、乾燥、軽焼して得られた粉体に、チタン化合物をスラリー状態で、あるいは乾燥状態下で混合した後焼成して、化学組成が灼熱基準で表して、 MgO+CaO 96.0重量%以上、 CaO 10重量%以上、30重量%以下、 TiO2 0.5重量%以上、3.0重量%以下、となるクリンカーを生成し、b)得られたクリンカーを酸あるいは塩を含む水溶液に接触させ、表面に存在する酸化カルシウム粒子を除去あるいは水溶性化合物に変化させた後に乾燥することを特徴とする耐消化性カルシア・マグネシアクリンカーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は不定形耐火物原料として適する耐消化性に優れたカルシア・マグネシアクリンカーおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年製鋼炉用耐火物は、築炉の省力化および築炉環境改善のために吹き付け、流し込み材(キャスタブル)に代表される不定形耐火物が広く使用されるようになってきた。特に取鍋では、アルミナ−スピネル質、アルミナ−マグネシア質の不定形耐火物が広く普及している。一方、鋼の高級化および連続鋳造等の操業の合理化への志向から、操業温度の高温化、溶鋼処理時間の延長、あるいは取鍋精練法の導入が行われ、使用される耐火物は過酷な条件下にさらされるようになってきている。このため取鍋のスラグラインに相当する部位は、高い耐スラグ溶損性が要求されるため、MgO−Cr23質あるいはMgO−C質の塩基性定形耐火物が使用されている。これらスラグラインにおいても不定形化の要求は強いが、高耐食性を有し、かつ不定形施工時に消化しない耐火物原料が存在しないため、スラグラインの不定形化さらには全面流し込み施工は大きな課題として残されている。
【0003】MgO−CaO質クリンカーは、耐食性、耐スラグ浸潤性に優れているので、スラグライン用耐火物として好適である。しかしながらCaOの持つ高い消化性のため、不定形施工に耐えられるクリンカーは得られていないのが現状である。CaOを主な構成成分とするクリンカーの消化性を改善する方法として、従来から、Fe23、Al23、SiO2、TiO2、CaF2等の不純物を添加焼成する方法、およびCaOの表面を炭酸カルシウムやリン酸カルシウムなどの耐水和層で被覆する方法が行われている。たとえば特開昭62−182137ではCaOを10%以上含有する高純度なMgO−CaO原料にAl23を0.2〜2.0%添加した後焼成して耐消化性を高めている。耐水和層を形成する方法として、特許登録1578806では、クリンカーのCaO表面を炭酸化して耐消化性を向上させている。また特公平3−71385では生石灰含有クリンカーのリン酸カルシウム塩類から成る保護層で被覆して高い耐消化性を得ている。さらに特開平5−294713では、不純物としてTiO2とFe23を調整後、焼成して得たクリンカーをリン酸および酸性リン酸塩溶液で処理して高い耐消化性を得ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開昭62−182137および特許登録1578806の方法は、カルシアの消化性の改良を保存性、および取扱いに主眼をおいたものであり、本発明が目指すところの不定形用途、すなわち水と混練され高温の水蒸気に晒されるキャスタブルを想定したものでない。従ってその耐消化性の到達レベルも低い。特公平3−71385の方法では、キャスタブル用途を想定しているもののその耐消化性のレベルは低く、キャスタブル用クリンカーとしては不十分である。また表面処理剤を多量に使用しているため、耐食性の低下が懸念される。特開平5−294713において、不定形用途に耐えられる高い耐消化性を持ったクリンカーが得られているが、乾燥もしくは養生条件下のキャスタブル中ではさらに過酷な条件に晒されることが予想され、未だ耐消化性は十分とは言えない。さらに表面被覆物質としてリン酸化合物を多量に含んでいるため、耐火物としての性能の劣化が予想される。
【0005】本発明の目的は、カルシアの本来持っている優れた耐熱性を損なうことなしに、キャスタブル施工を想定した高い耐消化性を有するカルシア・マグネシアクリンカー、およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、長時間にわたり高温、高水蒸気圧下に置かれたキャスタブルの挙動に着目して研究を行った。その結果、ある化学組成の下でクリンカー表面に存在するCaO粒子を溶解除去あるいは水溶性の化合物に変化させることにより、クリンカーの耐消化性を著しく向上させ、それを用いたキャスタブルは高温、高水蒸気圧下に長時間置かれても安定であることを見出だした。これらクリンカーは実炉における不定形施工にも十分適応可能であることを確認し、さらにこれらの製造方法を確立して発明を完成するに至った。その構成は特許請求の範囲に記載の通りである。以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のキャスタブル用カルシア・マグネシアクリンカーは、化学組成が灼熱基準で表して、 MgO+CaO 96.0重量%以上、 CaO 10重量%以上、30重量%以下、 TiO2 0.5重量%以上、3.0重量%以下、であり、クリンカーの表面が、主として酸化マグネシウムと1種以上の水溶性化合物より成ることを特徴としている。
【0008】ここでクリンカー部分のMgO+CaOは、96.0重量%以上であることが必要である。これ以下ではMgOおよびCaOが本来持っている耐火性、耐食性が発揮できない。本発明の大きな特徴はクリンカー表面にCaOが存在しないことである。この様な構造を達成するためには、CaO相はクリンカー中において不連続相でなければならない。この様な組織を達成するためには、CaO量は10重量%以上、30重量%以下が必要であり、好ましくは10重量%以上、25重量%以下である。10重量%以下ではCaOの耐スラグ浸透性および不定形施工時の熱間強度等が低下してCaOの特性が消失する。また30重量%以上ではCaO粒子が連続相を形成して、クリンカー表面のCaO粒子のみを除去することが困難になり、本発明の目的とする高い耐消化性を得ることができない。
【0009】本発明においてTiO2は重要な構成成分であり、CaOと化合することにより強固な耐水和層を形成する。生成したTiO2−CaO系の耐水和層はCaOとMgOの粒界に存在して著しく耐消化性を高める。さらにこれら粒界に生成した耐水和層は、本発明の大きな特徴であるクリンカー表面からのCaO粒子のみの除去という画期的な工程を可能とする。すなわちこれら耐水和層が、CaO粒子をクリンカー表面から除去するに際に使用する酸あるいは塩を含む水溶液から、MgO粒子を守る役目を果たす。従って、一定量のTiO2の添加があって初めてクリンカーになんら影響を与えずにCaO粒子を表面から除去することが可能になる。これらのことからTiO2は0.5重量%以上、3.0重量%以下が必要であり、好ましくは1.0重量%以上、2.0重量%以下である。0.5重量%以下では本発明の高い耐消化性は得られない。さらにTiO2の含有量が3.0重量%を越すと、耐消化性は逆に低下する。
【0010】その他の不純物であるAl23とFe23は、TiO2添加に見られる様な著しい耐消化性向上の効果はなく、必要不可欠な構成成分ではない。しかし、わずかながらクリンカーの耐消化性を高める働きを有する。ただし多量に存在することは、クリンカーの耐火度を低下させる。すなわち、Al23とFe23の含有量は、Al23+Fe23の合計量で、0.1重量%以上、1.0重量%以下が好ましい。クリンカー中に存在するSiO2は、キャスタブル施工体中では消化を促進する有害な成分である。すなわちSiO2の含有量は0.3重量%以下が好ましい。さらにB23は高温強度という点から有害な成分であり、その含有量は1重量%以下が好ましい。
【0011】本発明において、嵩密度は相対密度で表して96%以上が好ましく、さらに好ましくは97%以上である。これ以下では耐消化性が低下するばかりでなく、耐火物としての強度も劣化する。
【0012】本発明において、クリンカーの表面は主として酸化マグネシウムと1種以上の水溶性化合物より成ることを特徴としている。さらに表面には、チタン化合物もチタン含有量に応じてわずかに存在する。この組織は後に述べる製造方法において、クリンカー表面からCaO粒子を除去することにより達成される。MgOはCaOに比べて高い耐消化性を有することは自明であり、主としてMgOから成る表面構造のために、キャスタブルとして良好な耐消化性が発揮されると言える。さらにリン酸コーティングの様な特殊な表面被覆物質が存在しないため、MgOおよびCaOの持つ特性を十分に発揮できるクリンカーと言える。
【0013】CaO粒子が除去されたクリンカー表面には、酸化物以外の化合物として1種以上の水溶性化合物が存在することも本発明の大きな特徴である。ここで水溶性化合物としては、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、塩化アンモニウム等である。これら水溶性化合物は、キャスタブル中でのクリンカーの耐消化性を悪化させないばかりか、逆に向上させるものも本発明者により見出だされた。ただしキャスタブルに配合するバインダーの種類によっては水洗等により除いた方が好ましい場合もある。
【0014】本発明の不定形用カルシア・マグネシアクリンカーは、a)水酸化マグネシムと水酸化カルシウムをスラリー状態で混合して得られた混合物、あるいはこれら混合物を瀘過、乾燥、軽焼して得られた粉体に、チタン化合物をスラリー状態で、あるいは乾燥状態下で混合した後焼成して、化学組成が灼熱基準で表して、 MgO+CaO 96.0重量%以上、 CaO 10重量%以上、30重量%以下、 TiO2 0.5重量%以上、3.0重量%以下、となるクリンカーを生成し、b)得られたクリンカーを酸あるいは塩を含む水溶液に接触させ、表面に存在する酸化カルシウム粒子を除去あるいは水溶性化合物に変化させた後に乾燥することにより製造される。
【0015】原料の1つである水酸化マグネシウムは、海水に生石灰等のアルカリを反応させて得ることができる。この時得られる水酸化マグネシウムは酸化物換算で、MgOとして98重量%以上の高純度であることが好ましい。さらに液体サイクロン等により粗粒を除いておくことが好ましい。ここで焼結性あるいは耐消化性のさらなる向上を目的として、水溶性鉄化合物を原料海水に添加しておくこともできる。この際本発明により規定される純度が維持されなくてはならない。
【0016】他の原料である水酸化カルシウムは、生石灰を消和して得ることができる。得られた水酸化カルシウムは酸化物換算で、CaOとして98重量%以上の高純度であることが好ましい。さらに水酸化マグネシウムと同様に粗粒を除いておくことが好ましい。
【0017】これら水酸化マグネシウムと水酸化カルシウムは、スラリー状態で混合され、得られた混合物にチタン化合物が添加される。この時混合スラリーにチタン化合物を添加混合するか、混合スラリーを瀘過、乾燥、軽焼して得られた粉体にチタン化合物を添加混合する。軽焼された混合粉体にチタン化合物を添加する場合、用いるチタン化合物は平均粒径が5μm以下の微細な二酸化チタン(TiO2)粉末であることが好ましい。またチタン化合物以外に、更に耐消化性の向上を目的として、鉄化合物あるいはアルミニウム化合物を、本発明の組成範囲内で添加することもできる。必要であればこれら化合物は、チタン化合物と同様に混合スラリーあるいは混合スラリーを瀘過、乾燥、軽焼して得られた粉末に添加される。鉄化合物としては微細なFe23粉末、アルミニウム化合物としては微細なAl23粉末を用いるのが好ましい。
【0018】チタン化合物が添加された混合物は、必要ならば瀘過、乾燥、軽焼された後に焼成される。焼成にあたっては焼結性向上の目的から、ブリケットマシン等で成型しておくことが好ましい。これら粉体あるいは成形体は、1800℃以上の温度で焼成される。焼成はロータリーキルン等を使用することができる。
【0019】これら焼成により得られたクリンカーを、酸あるいは塩を含む水溶性に接触させることにより、クリンカー表面に存在する酸化カルシウム粒子が溶解除去される。使用する酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸等が使用できる。また塩を含む水溶液としては塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、酢酸マグネシウム等の水溶液、さらにはCaイオンが溶解する溶液ならばすべて使用可能である。ただし、クリンカー表面のMgO粒子までも溶解する溶液を用いると、クリンカーの耐消化性は著しく低下する。すなわち使用する酸としては、弱酸または稀薄な酸が好ましい。また酸と塩を2種以上含む緩衝液も良好な結果を与える。
【0020】クリンカーを酸あるいは塩を含む水溶液に接触する方法としては、クリンカーを溶液中に浸漬する方法、あるいは水溶液をクリンカーに噴霧または滴下混合する方法、いずれも使用可能である。
【0021】表面のCaO粒子が除去されたクリンカーは、そのままであるいは水洗された後に乾燥される。先の述べたように、使用する酸あるいは塩の種類によっては表面に酸化マグネシウム粒子の他に水溶性化合物が形成される。これらの化合物がキャスタブルに施工時にアルミナセメントの硬化遅延あるいは強度劣化を引き起こす可能性がある場合、クリンカーは水洗された後に乾燥されることが好ましい。またリン酸のような難溶性カルシウム化合物を形成する酸を用いた場合でも、乾燥前に水洗浄することにより容易に除去が可能である。
【0022】以上の工程を経て、不定形施工に耐えられる高い耐消化性を持ち、かつ高耐火性、高嵩密度の本発明のカルシア・マグネシア系クリンカーを製造することができる。本発明における種々の測定方法は下記の通りである。
【0023】(1)相対密度(RD)
カルシアの理論密度を3.345g/cm3、マグネシアを3.581g/cm3として以下の式により求めた。
【数1】RD(%)=BD/ρ×100ここでρ=100/(WC/3.345+WM/3.581)
ただし、WC:MgO+CaO=100%とした時のCaOの重量%WM:MgO+CaO=100%とした時のMgOの重量%BD:日本学術振興会第124委員会で提案された学振法2「マグネシアクリンカーの見掛け気孔率、見掛け比重及び嵩比重の測定法」に準じて測定したカルシア・マグネシア系クリンカーの嵩比重の値。
【0024】(2)化学組成試料をディスクミルを用いて約10μm以下に微粉砕した後、0.5gを正確に計り取る。これらを塩酸で加熱溶解して250mlに希釈する。これら試料溶液をアルゴンプラズマ発光分光分析装置にて、MgO、CaO、SiO2、Fe23、Al23、B23、TiO2の各成分を分析した。さらに1000℃における灼熱減量をそれら分析値に加え、ほぼ100%になることを確かめたうえで、以上7成分をもって100%に換算した。
【0025】(3)耐消化性(134℃)
日本学術振興会第124委員会で提案された学振法7「ドロマイトクリンカーの消化性試験方法(案)(II)オートクレーブによる方法、に準じて測定した。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例および比較例を挙げ具体的に説明する。
【0027】実施例1海水に水酸化カルシウムを反応させて得たスラリーを、液体サイクロンを用いて精製して水酸化マグネシウムスラリーを得た。さらに生石灰を消和して得たスラリーを液体サイクロンを用いて精製して水酸化カルシウムスラリーを得た。こけら2種のスラリーをMgO:CaOが重量比で80:20になる様に混合後、濾過してケークを得た。これを解砕した後、900℃で軽焼を行い焼成用原料粉体を得た。これら粉体に平均粒径が1μmの二酸化チタン粉末を焼成用原料粉体に対して重量比で1.0%、および平均粒径が1μmの酸化アルミニウム粉末を0.25%添加混合した後に、ブリケットマシンを用いてアーモンド状に成型した。得られた成型体は酸素とプロパンガスを熱源とする焼成炉を用いて1800℃で焼成されクリンカーを得た。
【0028】これらクリンカーをステンレス製のカゴに入れて、10%リン酸溶液に30秒浸漬した後、取り出してすぐに十分に水洗を行った後に110℃で1時間乾燥した。この時クリンカー中に残留しているリンの濃度を、他の成分と同様にしてアルゴンプラズマ発光分光分析装置を用いて測定したところ、P25として0.02重量%であった。これらクリンカーの化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表1に示す。
【0029】さらにキャスタブル乾燥時における耐消化性を比較するために、表3の配合比でキャスタブルを作成し、30×30×120mmの金型に流し込んだ。これらを相対湿度85%、温度20℃の下で24時間養生した後に脱型し、得られたブロックをオートクレーブ中130℃の条件下で10時間保持した。冷却後オートクレーブ処理前後の寸法変化を測定し、以下の式で線変化率を測定した。測定結果を表1に示した。
【0030】
【数2】
線変化率(%)=(L1−L0)/L0×100L0:オートクレーブ処理前長さL1:オートクレーブ処理後長さ【0031】実施例2海水に水酸化カルシウムを反応させて得たスラリーを、液体サイクロンを用いて精製して水酸化マグネシウムスラリーを得た。さらに生石灰を消和して得たスラリーを液体サイクロンを用いて精製して水酸化カルシウムスラリーを得た。これら2種のスラリーをMgO:CaOが重量比で75:25になる様に混合後、瀘過してケークを得た。これを解砕した後、900℃で軽焼を行い焼成用原料粉体を得た。これら粉体に平均粒径が1μmの二酸化チタン粉末を焼成用原料粉体に対して重量比で1.0%、および平均粒径が0.4μmのFe23粉末を0.5%添加混合した後に、ブリケットマシンを用いてアーモンド状に成型した。得られた成型体は、酸素とプロパンガスを熱源とする焼成炉を用いて1800℃で焼成されクリンカーを得た。これらクリンカーをステンレス製のカゴに入れて、10%リン酸水溶液に30秒浸漬した後、取り出してすぐに十分に水洗を行った後に110℃で1時間乾燥した。この時クリンカー中に残留しているリンの濃度を、実施例1と同様にして測定したところ、P25として0.03重量%であった。これらクリンカーの化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表1に示す。さらに実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表1に示す。
【0032】実施例3実施例1において焼成後の未処理クリンカーを、0.1N塩酸溶液に30秒浸漬した後に、取り出して十分に水洗を行い110℃で1時間乾燥してクリンカーを得た。これらクリンカーについて化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表1に示す。さらに実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表1に示す。
【0033】実施例4実施例1において焼成後の未処理クリンカーに対して、0.5%酢酸水溶液を5重量%添加して十分に混合した。これらクリンカーを水洗せずに110℃で1時間乾燥してクリンカーを得た。これらクリンカーについて化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表1に示す。さらに実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表1に示す。
【0034】比較例1実施例1において、リン酸水溶液に浸漬する前のクリンカーを、なんら処理を施さずに試験試料として用いた。これらクリンカーについて化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表2に示す。さらにこのクリンカーを用いて、実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表2に示す。
【0035】比較例2実施例1において、リン酸水溶液に浸漬する前のクリンカーを、700℃に加熱してCO2ガスと1時間接触させ、CaO粒子表面にCaCO3層を形成させた。これらクリンカーについて化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表2に示す。さらに実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表2に示す。
【0036】比較例3海水に水酸化カルシウムを反応させて得たスラリーを、液体サイクロンを用いて精製して水酸化マグネシウムスラリーを得た。さらに生石灰を消和して得たスラリーを液体サイクロンを用いて精製して水酸化カルシウムスラリーを得た。これら2種のスラリーをMgO:CaOが重量比で80:20になる様に混合後、瀘過してケークを得た。これを解砕した後、900℃で軽焼を行い焼成用原料粉体を得た。これら粉体に、平均粒径が1μmの酸化アルミニウム粉末を重量比で0.5%添加混合した後に、ブリケットマシンを用いてアーモンド状に成型した。得られた成型体は、酸素とプロパンガスを熱源とする焼成炉を用いて1800℃で焼成されクリンカーを得た。
【0037】これらクリンカーをステンレス製のカゴに入れて、10%リン酸水溶液に30秒浸漬した後、取り出してすぐに十分に水洗を行った後に110℃で1時間乾燥してクリンカーを得た。この時クリンカー中に残留しているリンの濃度を、実施例1と同様にして測定したところ、P25として0.03重量%であった。これらクリンカーについて化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表2に示す。さらに実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表2に示す。
【0038】比較例4海水に水酸化カルシウムを反応させて得たスラリーを、液体サイクロンを用いて精製して水酸化マグネシウムスラリーを得た。さらに生石灰を消和して得たスラリーを液体サイクロンを用いて精製して水酸化カルシウムスラリーを得た。こけら2種のスラリーをMgO:CaOが重量比で60:40になる様に混合後、濾過してケークを得た。これを解砕した後、900℃で軽焼を行い焼成用原料粉体を得た。これら粉体に平均粒径が1μmの二酸化チタン粉末を焼成用原料粉体に対して重量比で1.5%添加混合した後に、ブリケットマシンを用いてアーモンド状に成型した。得られた成型体は、酸素とプロパンガスを熱源とする焼成炉を用いて1800℃で焼成されクリンカーを得た。
【0039】これらクリンカーをステンレス製のカゴに入れて、10%リン酸溶液に30秒浸漬した後、取り出してすぐに十分に水洗を行った後に110℃で1時間乾燥してクリンカーを得た。この時クリンカー中に残留しているリンの濃度を、実施例1と同様にして測定したところ、P25として0.05重量%であった。これらクリンカーについて化学組成、物性および耐消化性を測定した結果を表2に示す。さらに実施例1と同じ条件で測定したキャスタブル線変化率を同じく表2に示す。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明の耐消化性カルシア・マグネシアクリンカーは、著しく高い耐消化性を有しており、特にその性能は不定形施工を行った時に発揮される。さらになんら特殊な表面処理剤を含まないため、十分な耐火度と耐食性が要求されかつ従来キャスタブル施工が不可能であった取鍋スラグラインへの適応を可能にするものである。さらに本発明の耐消化性カルシア・マグネシア系クリンカーは、本発明の製造方法によれば、工業的規模で容易に製造が可能である。
【出願人】 【識別番号】000111683
【氏名又は名称】ハリマセラミック株式会社
【識別番号】000119988
【氏名又は名称】宇部化学工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月28日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀岳 (外3名)
【公開番号】 特開平9−40452
【公開日】 平成9年(1997)2月10日
【出願番号】 特願平7−193346