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【発明の名称】 成形用プレス機械
【発明者】 【氏名】刑部 猛

【氏名】小原 博史

【目的】 本発明は、杵によって加圧したときに加圧方向と直角方向に働く力を検出すると共に力が許容値を超えたときに停止する成形用プレス機械に関し、杵で臼内の金型に加圧したときに異物による加圧方向と直角方向の応力を検出すると共に許容値を超えたときに加圧を停止し、加圧時に金型の横方向への応力が許容値を超えて破損する事態を防止することを目的とする。
【構成】 臼に対して杵を加圧方向に摺動させるめのガイドポストと、この杵が上記ガイドポストを摺動して臼内の充填物を加圧したときに当該ガイドポストの傾きを検出するゲイジと、このゲイジによって検出した信号をもとに加圧方向と直角方向の上記杵に対する応力を検出する手段とを備えるように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】臼に対して杵を加圧方向に摺動させるためのガイドポストと、この杵が上記ガイドポストを摺動して臼内の充填物を加圧したときに当該ガイドポストの傾きを検出するゲイジと、このゲイジによって検出した信号をもとに加圧方向と直角方向の上記杵に対する応力を検出する手段とを備えたことを特徴とする成形用プレス機械。
【請求項2】上記ガイドポストの周囲に当該ガイドポストの少なくともに2方向の傾きを検出するストレインゲイジを取付け、これらストレインゲイジによって検出した信号をもとに加圧方向と直角方向の面内の上記杵に対する応力の大きさおよび方向を検出する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の成形用プレス機械。
【請求項3】上記検出した加圧方向と直角方向の上記杵に対する応力が許容値を超えたときに上記杵による加圧を停止する手段を備えたことを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の成形用プレス機械。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、杵によって加圧したときに加圧方向と直角方向に働く力を検出すると共に力が許容値を超えたときに停止する成形用プレス機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、プレス機械において、上杵を下降させ、臼内に充填した粉末を加圧して成形する場合、臼内の金型に加わる加圧方向の力を測定し、許容値を超えたら停止させ、臼や臼内の金型、または杵や臼の金型の破損をさせないようにしていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、粉末成形において、成形した成形品が確実にプレス機械の臼内の金型から取り出されていればよいが、時には成形した成形品の結着力が弱く、取り出す際に破損して一部分が金型の中に異物として残ってしまう場合がある。このような場合には、次の成形のための粉末を充填して上杵を下降させ、加圧すると、この金型内に残っていた異物の部分の成形圧力が局部的に異常上昇してしまい、金型が破損してしまうという問題があった。
【0004】この際、通常は、上杵で加圧する加圧方向の成形圧力は測定して許容圧力を超えたときに停止させ、金型の破損を防止できる。一方、上杵で加圧して異物によって加圧方向と横方向に力を受けた場合、従来の加圧方向のみの圧力を検出して許容圧力を超えたときに停止させる機構では対処できなく、金型が破損してしまうという問題があった。
【0005】本発明は、これらの問題を解決するため、杵で臼内の金型に加圧したときに異物による加圧方向と直角方向の応力を検出すると共に許容値を超えたときに加圧を停止し、加圧時に金型の横方向への応力が許容値を超えて破損する事態を防止することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】図1を参照して課題を解決するための手段を説明する。図1において、臼1は、粉末を充填して加圧して成形するためのものである。
【0007】下杵2および上杵3は、臼1内の図示外の金型に充填された粉末を加圧するものである。ガイドポスト6は、上杵3を臼1に対して加圧方向に摺動し得るように案内するものである。
【0008】ストレインゲイジ7は、ガイドポスト6の傾きを検出するものである。
【0009】
【作用】本発明は、図1に示すように、図示外の加圧機構によって上杵3がガイドポスト6を摺動して臼1内の図示外の金型に充填した粉末を加圧する方向に移動されたときに、ガイドポスト6に装着したストレインゲイジ7からの信号をもとに加圧方向と直角方向の応力を検出するようにしている。
【0010】この際、ガイドポスト6の周囲に少なくともに2方向(例えばX方向およびY方向)の傾きを検出するストレインゲイジ7を取付け、これらストレインゲイジ7によって検出した信号をもとに加圧方向と直角方向の面内の応力の大きさおよび方向を検出するようにしている。
【0011】また、ストレインゲイジ7によって検出した加圧方向と直角方向の応力が許容値を超えたときに加圧を停止するようにしている。従って、杵で臼1の金型内の粉末を加圧したときに異物による加圧方向と直角方向の応力を検出すると共に許容値を超えたときに加圧を停止することにより、加圧時に異物などにより金型の横方向への応力を検出すると共に許容値を超えて破損する事態を防止することが可能となる。
【0012】
【実施例】次に、図1から図3を用いて本発明の実施例の構成および動作を順次詳細に説明する。
【0013】図1は本発明の要部構成図を示す。ここで、図1の(a)は要部構成図を示し、図1の(b)はストレインゲイジを貼付けた様子を示す。図1の(a)において、臼1は、金型などを装着(図示外)してその中に粉末を充填し、ここでは下杵2を所定位置に移動した後、上杵3を下降させて加圧し成形品を製造するためのものである。この際、図示のように、前回に成形した成形品を取り出すときに一部が破損した異物21が残留していると、新たな粉末を充填して上杵3を下降させたときに当該異物21の部分が局部的に圧力が高まりここで、矢印を付した右方向に上杵3が移動させる力が働く。この力は、上杵3を加圧方向に摺動するガイドポスト6を曲げる方向に働く。
【0014】下杵2は、臼1内の図示外の金型内に充填された粉末を下方向から上方向に加圧するものである。この図示の例では、先頭の部分が平らのために上杵3のように異物21によって加圧方向と直角方向に働く力は殆ど生じない。
【0015】上杵3は、臼1内の図示外の金型内に充填された粉末を上方向から下方向に加圧するものである。ここでは、先頭が図示のように傾斜しているため、異物21によって加圧方向と直角方向に大きな力が働く。
【0016】パンチプレート4は、上杵3が加圧方向にガイドポスト6を摺動して移動させるものである。ブッシュ5は、パンチプレート4がガイドポスト6を滑らかに加圧方向に摺動させるためのものである。
【0017】ガイドポスト6は、パンチプレート4を加圧方向に加圧するためのガイド(支柱)であって、通常は、上杵3を中心に左右に2本を設けたものである。ストレインゲイジ7は、ガイドポスト6の傾きを検出するものである。この傾きの検出は、後述する図3に示すように、ガイドポスト6の周囲に対向してストレインゲージを加圧方向の伸びあるいは縮みを検出できるように組みとして貼付け、その信号の差をとって加圧方向と直角方向の成分の応力を検出するようにしている。このストレインゲイジ7をガイドポスト6の周囲に2組みを設け、例えばX方向(上杵3の中心からガイドポスト6の中心に向かう方向)とY方向(加圧方向の直角の面内でX方向に直角方向))の応力を検出する。
【0018】固定部8は、ガイドポスト6を臼1に固定する部分である。ここでは、この固定部8に可及的に近いガイドポスト6の根元の部分にストレインゲイジ7を張り付ける。
【0019】図1の(b)において、ストレインゲイジ7は、ガイドポスト6の固定部8に可及的に近い根元に部分に張り付け、ここでは、上杵3とガイドポスト6とを結ぶ線分上および直角方向にそれぞれ対に2組み張り付ける。これら組みのストレインゲイジ7によって得られた信号の差分を取ることによって加圧方向と直角方向の面内の力を検出することができる。
【0020】次に、図1の構成のもとで、異物21による上杵3の加圧方向と直角方向の力(応力)を検出するときの動作を詳細に説明する。
(1) 臼1内の図示外の金型に粉末を充填して下杵2を所定位置に上昇させた状態で、上杵3を下降させて粉末を加圧して成形する。
【0021】(2) (1)の上杵3を下降させて粉末を加圧して成形しようとする際に、前回の成形品を取り出すときに一部が欠けてその破片が図示異物21として残留していた場合、この成形済みの異物21の周りに新たな粉末を充填して上杵3を下降させて加圧して成形しようとすると、この異物21の部分が局部的に圧力が異常上昇してここでは矢印を付した右方向の力が臼1から上杵3に対して働く。
【0022】(3) (2)で異物21によって上杵3を右方向の働いた力は、上杵3を支えるパンチプレート4を伝わって、摺動するガイドポスト6を右方向に傾けようとする力として働く。
【0023】(4) (3)でガイドポスト6を矢印のように右方向に傾けようとする力が働くため、臼1のガイドポスト6上の固定部8の近傍に張りつけたストレインゲイジ7がガイドポスト6が曲がったことを検出(ガイドポスト6の外側に張りつけたストレインゲイジ7が縮み、内側に張りつけたストレインゲイジ7が伸び、両者の信号の差を求めてガイドポスト6がここでは、異物21によって右方向に移動する力を検出)する。
【0024】(5) (4)でガイドポスト6の異物21による右方向への力を検出し、許容値を超えたときに上杵3を下降させて加圧する動作を停止させ、臼1内の金型の破損を防止する。
【0025】以上のように、臼1内の図示外の金型に異物21が残留し、新たな粉末を充填して上杵3を下降させて加圧しようとしたときに、異物21によって上杵3が加圧方向と直角方向の力を受けた場合、ガイドポスト6の固定部8に近い根元に張りつけたストレインゲイジ7によって加圧方向と直角方向の力を検出し、この検出した力が許容値を超えたときに上杵3を下降させて加圧する動作を停止させ、金型の横方向への異常圧力による破壊を防止することが可能となる。
【0026】次に、図2を用いて全体の構成を説明する。図2は、本発明の1実施例構成図を示す。図中1ないし8は、図1と同一のものである。
【0027】ガイドポスト6は、上杵3に固定したパンチプレート4内のブッシュ5が摺動するように構成し、上杵3を中心に左右に2本設けたものである。ストレインゲイジ7は、ガイドポスト6の臼1側の固定部8の近傍にここでは、上杵3からガイドポスト6に向かう方向(X方向とする)に、当該ガイドポスト6の両側に対象に張り付けると共に、直角方向(Y方向とする)にも張り付けたものである。このX方向およびY方向にストレインゲイジ7をガイドポスト6に組みにして張りつけたことにより、後述する図3に示すように、異物21により上杵3の加圧方向の直角方向の面内での力および方向を検出することができる。
【0028】図3は、本発明の応力検出説明図を示す。図3の(a)は、図1、図2の上杵3が臼1内の図示外の金型内の異物21の存在する位置を示す。ここで、実線の円で表す異物は各実線の矢印の方向の加圧方向と直角方向の力を発生する。同様に、点線の円で表す異物は各点線の矢印の方向の加圧方向と直角方向の力を発生する。
【0029】図3の(b)は、図2の左側のガイドポスト6にストレインゲイジ7を貼付け、当該ストレインゲイジ7の伸びおよび縮む様子を示したものである。図3の(c)は、同様に、図2の右側のガイドポスト6にストレインゲイジ7を貼付け、当該ストレインゲイジ7の伸びおよび縮む様子を示したものである。
【0030】(1) 図3の(a)中の実線の○の位置に異物21があった場合、(1−1) 上杵は実線の矢印のように右方向に力を受ける。
(1−2) 上杵3が右方向に力を受けたことに対応して、図3の(b)の左側のガイドポスト6は、実線の矢印で示すように、上杵3に近い方のストレインゲイジ7が縮み、遠い方のストレインゲイジ7が伸びる。従って、両者のストレインゲイジ7の信号の差を求めると、右方向の力を検出する。
【0031】(1−3) 上杵3が右方向に力を受けたことに対応して、図3の(c)の右側のガイドポスト6は、実線の矢印で示すように、上杵3に近い方のストレインゲイジ7が伸び、遠い方のストレインゲイジ7が縮む。従って、両者のストレインゲイジ7の信号の差を求めると、右方向の力を検出する。
【0032】以上の(1−2)および(1−3)によって求めた力から上杵3が異物21によって右方向(X方向)の力を受けたことを検出できる。
(2) 同様に、図3の(a)中の点線の○の位置に異物21があった場合、(2−1) 上杵は点線の矢印のように上方向に力を受ける。
【0033】(2−2) 上杵3が上方向に力を受けたことに対応して、図3の(b)の左側のガイドポスト6は、点線の矢印で示すように、上側のストレインゲイジ7が縮み、下側のストレインゲイジ7が伸びる。従って、両者のストレインゲイジ7の信号の差を求めると、上方向の力を検出する。
【0034】(2−3) 上杵3が上方向に力を受けたことに対応して、図3の(c)の左側のガイドポスト6は、点線の矢印で示すように、上側のストレインゲイジ7が縮み、下側のストレインゲイジ7が伸びる。従って、両者のストレインゲイジ7の信号の差を求めると、上方向の力を検出する。
【0035】以上の(2−2)および(2−3)によって求めた力から上杵3が異物21によって上方向(Y方向)の力を受けたことを検出できる。
(3) 同様にして、異物21がX方向およびY方向の間の任意の位置に存在して任意の方向の力を上杵3が受けた場合、(1)および(2)でX方向およびY方向のそれぞれの力を検出し、ベクトル和として任意の方向の力を検出できる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、杵で臼の金型内の充填物に加圧したときに異物21による加圧方向と直角方向の応力を検出すると共に許容値を超えたときに加圧を停止する構成を採用しているため、加圧時に異物などによる金型から受ける加圧方向と直角方向への応力を容易かつ簡単な構成で検出できると共に、許容値を超えたときに加圧を停止して金型の破損を防止できる。
【出願人】 【識別番号】000237721
【氏名又は名称】富士電気化学株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 守弘
【公開番号】 特開平9−29496
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−190001