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【発明の名称】 熱伝導複合材料の製造方法
【発明者】 【氏名】山本 雅春

【氏名】山下 治

【氏名】植田 雅巳

【氏名】貞富 信裕

【氏名】梅田 正和

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 厚み方向に多数の貫通孔を設けた低熱膨張金属板の該貫通孔に、金属板の一方面より該貫通孔内空間体積と少なくとも同体積を有する高熱伝導金属球を振込配置し、その後プレスにて該貫通孔内に高熱伝導金属を充填し、低熱膨張金属板表面の該貫通孔位置に高熱伝導金属を露出させた複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法。
【請求項2】 請求項1において、非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱してプレスする熱伝導複合材料の製造方法。
【請求項3】 請求項1または請求項2において、得られた単層複合材料の両面に高熱伝導金属板を積層し、非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱し、板厚み方向の圧力を加えて接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行い多層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法。
【請求項4】 請求項1または請求項2において、得られた複数枚の単層複合材料の両面に高熱伝導金属板を介在させて積層し、非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱し、板厚み方向の圧力を加えて接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行い多層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法。
【請求項5】 厚み方向に多数の貫通孔を設けた低熱膨張金属板の該貫通孔に、金属板の一方面より該貫通孔内空間体積と少なくとも同体積を有する高熱伝導金属球を振込配置し、低熱膨張金属板表面の両面に高熱伝導金属板を介在させて積層し、非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱し、板厚み方向の圧力を加えて接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行い多層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法。
【請求項6】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5において、外表面にろう材を被覆した高熱伝導金属球を用いる熱伝導複合材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、パワー半導体チップ搭載用放熱基板の如く、半導体チップによる発熱を効率良く外部に放熱するための特に厚み方向の熱伝導性にすぐれた熱伝導複合材料の製造方法に係り、セラミックス等の被着相手材との熱膨張係数の整合性と良好な熱伝導性を両立できるように、熱膨張係数及び熱伝導率を任意に変化させるため、厚み方向に所要の貫通孔を有する低熱膨張金属板の該貫通孔に高熱伝導金属球を振込配置してプレスし、前記貫通孔から高熱伝導金属を低熱膨張金属板表面に露出させた複合材を得、さらに、この複合材の両面に高熱伝導金属板を積層した多層材を得るに際し、低熱膨張金属板と高熱伝導金属板を所定温度で接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行うホットプレスを施すことにより、板厚みにかかわらず高い接合強度が得られ、同時に形状加工を行うことから量産性よく高品位の熱伝導複合材料を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】大型コンピューター用のLSIやULSIは、高集積度化、演算速度の高速化が著しく、作動中における消費電力の増加に伴う発熱量が非常に大きく、また、電力用半導体パッケージも同様に発熱量が非常に大きいことが知られている。これに伴い半導体パッケージの設計も、熱放散性を考慮したものとなり、チップを搭載する基板にも放熱性が要求されるようになり、基板材料の熱伝導率が大きいことが求められ、基板にはチップと熱膨張係数が近く、かつ熱伝導率が大きいことが要求されている。
【0003】従来の半導体パッケージとしては種々の構成が提案されており、例えば基板に放熱フィンを付設した構成があり、放熱性を確保するためにクラッド板やCu−MoあるいはCu−W合金等の放熱基板用複合材料(特開昭59−141247号公報、特開昭62−294147号公報)が提案されている。前記複合体は熱膨張係数、熱伝導度とも実用上満足すべき条件にかなっているが、Mo、W等が高密度であるため重くかつ脆いため、所定の寸法を得るには研削等の非塑性加工により成形加工しなければならず、加工費が高く、歩留りが悪くなっていた。
【0004】樹脂封止の半導体パッケージにおいて多用されているリードフレーム用銅合金は、熱伝導性は優れているが機械的強度が低く、チップとの熱膨張係数の整合性が悪く、また、チップとの熱膨張係数の整合性を図った42%Ni−Fe合金等の低熱膨張係数を有するNi−Fe系合金は、熱伝導率が悪いため、現在の要求を満すだけの熱の放散性が得られていない。
【0005】そこで、出願人は半導体パッケージにおける上述の熱膨張係数および/または熱伝導率の整合性の問題を解決するため、高熱伝導金属板に厚み方向に所要の貫通孔を有する低熱膨張金属板を一体化し、前記貫通孔から高熱伝導金属を低熱膨張金属板表面に露出させた芯材の両面に高熱伝導金属箔を圧接し、これら金属板の厚さ比や貫通孔面積比を適宜選定することにより、熱膨張係数、熱伝導率を可変となし、受熱の均一化、熱拡散効果の向上をはかり、表面微細孔がなくめっきやろう材など後付け薄膜の被着性にすぐれた特徴を有する熱伝導複合材料を提案(特開平3−227621号)した。
【0006】上記の熱伝導複合材料を得るには、まずプレスによる打ち抜き加工を行い小さな孔を多数個穿孔して網目状となし、焼鈍後に巻き取ったコバール板等の低熱膨張金属板コイルを、銅板などの高熱伝導金属板コイルを巻き戻し時にその上方及び下方より巻き戻して、冷間または温間で大径ロールにより圧延接合し拡散焼鈍して芯材を得た後、さらにこの芯材の上方及び下方より巻き戻したCu、Al等の高熱伝導金属箔を重ねて、冷間または温間で圧延ロールにより圧接接合し拡散焼鈍して製造する。
【0007】かかる製造に際して、上記の芯材にCu、Al等の高熱伝導金属箔を重ねて冷間圧接するが、接合強度を高めるために圧下力を大きくすると、芯材表面のCu、Al等の高熱伝導金属の露出面の形状が円形あるいは楕円から長い楕円形状となり、貫通孔と高熱伝導金属との間に空隙が生じて充填性が悪化する上、選定した高熱伝導金属と低熱膨張金属との表面積比が変わって熱膨張係数および/または熱伝導率が変動し、また熱膨張係数に異方性が生じる問題がある。
【0008】そこで、出願人はこの熱伝導材料の圧接による製造に際し、圧下力を大きくして低熱膨張金属板に設けた貫通孔形状を大きく変化させることなく、接合強度を向上させる製造方法として、加熱した高熱伝導金属板に厚み方向に所要の貫通孔を有する低熱膨張金属板を圧接し、前記貫通孔から高熱伝導金属を低熱膨張金属板表面に露出させた3層材の両面に加熱した高熱伝導金属箔を圧接することにより製造する方法を提案(特開平5−75008号)した。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先に提案した熱伝導材料は、熱膨張係数及び熱伝導率を任意に変化させることができ、かつ相手材との接合性並びに表面性状のすぐれた特性を有するが、半導体パッケージに要求される段付き形状やキャップ形状など種々の形状に成形するため、複雑な絞り加工、プレス打ち抜き加工や切断、曲げ加工を行うと、積層した複合材に部分的な剥離の発生が懸念される問題があった。
【0010】また、得られた3層芯材表面にCu、Al等の高熱伝導金属箔を被覆するのに、上記の圧接法に代えてめっき法にて行うことが考えられるが、めっき浴に浸漬した際に芯材表面の高熱伝導金属と低熱膨張金属との境界にめっき液が残存し、これが後の拡散焼鈍時に気化してめっき膨れや剥がれを発生させる恐れがある。めっき法では低熱膨張金属の大きな剥がれは覆いきれず、熱伝導率の低下にもつながる。
【0011】この発明は、先に提案した熱伝導複合材料が有する熱膨張係数及び熱伝導率を任意に変化させることができる機能、相手材との接合性並びに表面性状のすぐれた特性を損なうことなく、接合強度を著しく向上させ、複雑なプレス打ち抜き加工や切断、曲げ加工を施しても剥離がない熱伝導複合材料の製造方法の提供を目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】発明者らは、厚み方向に多数の貫通孔を設けた低熱膨張金属板の該貫通孔へ高熱伝導金属の充填が容易にできる方法を目的に種々検討した結果、該貫通孔に孔径より少し大きな外径の高熱伝導金属球を振込配置してプレスすることにより、孔内への充填が極めて容易でかつ均一に密着性よく充填されることを知見し、また検討を加えたところ、充填性が極めて良好なことから、前記貫通孔から高熱伝導金属を低熱膨張金属板表面に露出させた複合材の両面に高熱伝導金属板を積層した多層材を得ると、高密着強度、高熱伝導性が得られ、さらに、多層材を得る際に低熱膨張金属板と高熱伝導金属板を所定温度で接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行うホットプレスを施すことにより、板厚みにかかわらず高い接合強度が得られ、同時に形状加工を行うことから量産性よく高品位の熱伝導複合材料が得られることを知見し、この発明を完成した。
【0013】すなわち、この発明は、厚み方向に多数の貫通孔を設けた低熱膨張金属板の該貫通孔に、金属板の一方面より該貫通孔内空間体積と少なくとも同体積を有する高熱伝導金属球を振込配置し、その後、通常のプレスあるいは非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱するプレスにて該貫通孔内に高熱伝導金属を充填し、低熱膨張金属板表面の該貫通孔位置に高熱伝導金属を露出させた単層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法である。
【0014】また、この発明は上記の製造方法において、得られた単層複合材料の両面に高熱伝導金属板を積層し、あるいは得られた複数枚の複合材料の両面に高熱伝導金属板を介在させて積層し、非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱し、板厚み方向の圧力を加えて接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行い、高い接合強度を有しかつ高品位の多層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法である。
【0015】また、発明者らは、厚み方向に多数の貫通孔を設けた低熱膨張金属板の該貫通孔に、金属板の一方面より該貫通孔内空間体積と少なくとも同体積を有する高熱伝導金属球を振込配置し、低熱膨張金属板表面の両面に高熱伝導金属板を介在させて積層し、非酸化性雰囲気中で400℃〜1000℃に加熱し、板厚み方向の圧力を加えて接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行い多層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法を提案する。
【0016】さらに、発明者らは、上述の各製造方法において、外表面にろう材を被覆した高熱伝導金属球を用いることにより、加熱プレス時あるいはプレス後の焼鈍時にろう材が低熱膨張金属、高熱伝導金属へ拡散して、さらに密着性にすぐれた単層、多層複合材料を得る熱伝導複合材料の製造方法を提案する。
【0017】
【発明の実施の形態】この発明による熱伝導複合材料の製造方法の形態を図に基づいて詳述する。図1のAはホットプレス前の低熱膨張金属板の斜視説明図であり、図1のB〜Dは工程を示す各素材の縦断説明図である。図2のAは低熱膨張金属板の貫通孔にろう材を被覆した高熱伝導金属球を振込配置した状態を示す縦断説明図であり、Bは単層複合材料の縦断説明図である。図3のA,Bはこの発明による多層複合材料の一例を示す縦断説明図である。
【0018】所定厚みにした低熱膨張金属板1にプレス打ち抜き等の機械加工で多数の貫通孔2を設ける。次に、この低熱膨張金属板1の貫通孔2の孔径より少し大きな外径を有しかつ該貫通孔内空間体積と少なくとも同体積を有する高熱伝導金属球3を用意し、高熱伝導金属球3を低熱膨張金属板1の貫通孔2に振込配置し、更に、常温あるいは加熱雰囲気で高熱伝導金属球3をプレスにて該貫通孔2内に充填することにより、図1のCに示す貫通孔2内に高熱伝導金属3を充填し、低熱膨張金属板1表面の該貫通孔位置に高熱伝導金属を露出させた単層複合材料4を得る。
【0019】得られた単層複合材料4の両面に高熱伝導金属板5,6を対向させて圧延機により圧延一体化して3層複合材料7を得る。あるいは圧延方法に変えて、単層複合材料4の両面に高熱伝導金属板5,6を積層し、これらを非酸化性、不活性ガス雰囲気中または真空中あるいは還元性雰囲気中で、低熱膨張金属板1、孔内の高熱伝導金属及び高熱伝導金属板5,6の種類に応じて選定した400℃〜1000℃の温度に加熱し、さらに、材料厚みに応じて選定した所定圧力で板厚み方向にプレスして圧接して一体化した3層複合材料7を作製する。
【0020】上記のホットプレスの際に、プレス金型に所要の用途形状を与えておくことにより、板厚み方向にプレスして圧接と所要形状への塑性変形を同時に行うことができる。複合材の厚みによってプレス装置の圧力を代えることにより、比較的厚物の製品を得ることができ、材料の軟化時に圧接、塑性変形するため板厚みにかかわらず密着強度が安定し、また、孔形状を変形することなく塑性変形が材料全体に均一に行われる。
【0021】また、ホットプレス加熱時に高熱伝導金属と低熱膨張金属が拡散し、高い接合強度が得られるが、さらに、その後、非酸化性雰囲気中で、3層複合材の低熱膨張金属及び高熱伝導金属の種類に応じて選定した上記の加熱温度以上の温度域、例えば500℃〜1050℃の雰囲気で焼鈍処理すると、両材料の圧接界面で相互拡散が進み拡散層が形成され、この拡散層により得られた3層材の接合強度が著しく向上し、この複合材料に施した複雑な絞り加工、プレス打ち抜き加工や切断、曲げ加工後に、高熱伝導金属と低熱膨張金属との間に剥離が発生しない。
【0022】この発明において、高熱伝導金属球はプレスにて低熱膨張金属板の貫通孔内に圧入充填されることから、Cu、Cu合金、Al、Al合金等の展延伸性に富み、かつ高い熱伝導性を有する材料を用いることが好ましい。同様に表層の高熱伝導金属板にも同種の材料を選定する。また、低熱膨張金属板には、展延性のあるMo、30〜50wt%Niを含有するNi−Fe系合金、25〜35wt%Ni、4〜20wt%Coを含有するNi−Co−Fe系合金、Wなどを用いることができる。なお、高熱伝導金属球は、例えばCu線を体積を考慮して所定長さに切断し、これを所要の穴を設けた振込治具に振込配置し、Cuを溶融させることにより、容易に真球度の高い球が得られる。
【0023】図1では、低熱膨張金属板1の貫通孔2に孔径より少し大きな外径の高熱伝導金属球3を振込配置してプレスすることにより単層複合材料4を得る方法を説明したが、ホットプレスにて、下から高熱伝導金属板6、低熱膨張金属板1、振込配置された高熱伝導金属球3、高熱伝導金属板5の順に積層し、ホットプレスにて、高熱伝導金属と多数の貫通孔を設けた低熱膨張金属板1とを所定温度に加熱して軟化させて、該金属の厚み方向に加圧して接合と形状加工を同時に行うことにより、高熱伝導金属球3の貫通孔内への充填が孔形状を損なうことなく均一に行われ、この充填性が極めて良好なことから、前記貫通孔から高熱伝導金属を低熱膨張金属板1表面に露出させさらに高熱伝導金属板が積層される際にも隙間無く高強度で密着する方法を採用することができる。
【0024】この発明において、ホットプレス時の加熱温度を400℃〜1000℃とするのは、加圧時に充填材となる高熱伝導金属が加工硬化するため、それを常に軟化した状態にし、低熱膨張金属板の貫通孔へ容易に充填させるためである。さらに、加圧力としては、充填材(高熱伝導金属)の硬さおよび充填深さによって選定すればよいが、一般的には50〜250kg/cm2が望ましい。ホットプレスは、非酸化性雰囲気で行われる必要があり、ホットプレス時にカーボンに酸素を吸収させた非酸化性雰囲気などをはじめ、不活性ガス雰囲気中または真空中、あるいは還元性雰囲気中で行うことができる。
【0025】また、図2のAに示すごとく、表面にハンダ、銀ろう、錫、金、銀等のろう材3aを被覆した高熱伝導金属球3を、低熱膨張金属板1の貫通孔2に振込配置し、常温でプレスして単層複合材料4を得た後、拡散焼鈍することによりろう材を両金属材料へ拡散させて接合強度を著しく向上させることができ、複雑なプレス打ち抜き加工や切断、曲げ加工を施しても剥離がない。上記の単層複合材料4を得た後、直ちに単層複合材料4を高熱伝導金属板5,6を挟み前述のホットプレスを行うと、ホットプレス前の昇温時に拡散焼鈍することができ、同様の作用効果が得られる。
【0026】図3のAに示す多層複合材料は、先に得られた単層複合材料4を複数枚用いて高熱伝導金属板8を交互に挟み、前述のホットプレスにより選定した金属材料の種類に応じて選定した400℃〜1000℃の温度に加熱し、さらに、材料厚みに応じて選定した所定圧力で板厚み方向に所要の用途形状を与えたプレス金型にてプレスして圧接と所要形状への塑性変形を同時に行うものである。又、図3のBに示す多層複合材料の例は、図1のDで得た単層複合材料4の両面に熱伝導金属板5,6をクラッドした3層複合材料7を2枚ホットプレスにより積層したものである。従って、用途や要求される厚みなどに応じて、適宜多層化を行うが、いずれも単層複合材料4の高熱伝導金属の貫通孔への充填が良好かつ均一なため、多層化に際しても高密着強度が得られる。
【0027】この発明による熱伝導複合材料は、低熱膨張金属板の両面の全面に高熱伝導金属板を積層化するに際し、低熱膨張金属板の貫通孔に高熱伝導金属球を振込配置してプレスで孔内に嵌入させるが、この低熱膨張金属板の全面あるいは部分的に厚み方向の貫通孔を所要間隔、パターンで配置し、例えば貫通孔の孔寸法、配置パターン等を種々変えたり、芯材の金属板の厚さ比および/または低熱膨張金属板表面に露出した高熱伝導金属と低熱膨張金属との表面積比を選定するなどの手段を選定組み合せることにより、材料の全体あるいは部分的に、用途、目的に応じた熱膨張係数及び熱伝導率を設定でき、例えば、所要の金属、セラミックス、Si等の半導体、プラスチックス等の相手材の熱膨張係数との整合性を図り、かつ所要の熱伝導性を有する材料が得られる。
【0028】
【実施例】
実施例1板厚0.35mmのコバール板(29Ni−17Co−Fe合金)に、各々孔径0.8mm、孔間隔1.3mmで多数の穿孔を施した。振動式の振込装置を使用し、コバール板表面の多数の貫通孔に外径0.81mmのCu球を振込配置した後、窒素ガス雰囲気、800℃に加熱して圧力20kg/cm2でプレスし、図1のCに示すごとき単層複合材料を得た。なお、得られた複合材の主面におけるCu露出面は変形が少なくほぼ円形で、孔間隔も変動がなかった。
【0029】更に、続いて単層複合材料を板厚み0.22mmのCu板で挟み、窒素ガス雰囲気、1000℃に加熱して圧力150kg/cm2でホットプレス成形し、板厚み1.0mm、内径20mm、深さ0.3mm、鍔外径30mm寸法のキャップ状の多層複合材料を得た。さらに、得られた多層材を水素雰囲気で、1000℃、15分の条件で焼鈍処理を施し、割れや剥がれのないキャップ材が作製できた。なお、得られた多層複合材料の内面におけるCu露出面は変形が少なくほぼ円形で、孔間隔も変動がなかった。
【0030】また、コバール板の30〜200°Cにおける平均熱膨張係数は 5.2×10-6/°Cであり、Cu板の30〜200°Cにおける平均熱膨張係数は17.2×10-6/°Cであり、得られた3層材の厚み方向の熱伝導率は160W/m・K、及び各主面における熱膨張係数は8×10-6/℃であった。
【0031】実施例2実施例1で得られた単層複合材料を3枚用い、板厚み0.15mmのCu板を4枚交互に挟み、窒素ガス雰囲気、1000℃に加熱して圧力150kg/cm2でホットプレス成形し、板厚み2.0mm、内径20mm、深さ0.7mm、鍔外径30mm寸法のキャップ状の断面が図3のAに示すごとき多層複合材料を得た。さらに、得られた多層材を水素雰囲気で、1000℃、15分の条件で焼鈍処理を施し、割れや剥がれのないキャップ材が作製できた。なお、得られた多層複合材料の内面におけるCu露出面は変形が少なくほぼ円形で、孔間隔も変動がなかった。
【0032】実施例3板厚0.35mmのコバール板(29Ni−17Co−Fe合金)に、各々孔径0.8mm、孔間隔1.3mmで多数の穿孔を施した。振動式の振込装置を使用し、コバール板表面の多数の貫通孔に外径0.81mm、外周面にAgろうを被覆したCu球を振込配置した後、常温で圧力50kg/cm2でプレスし、図2のBに示すごとき単層複合材料を得た。なお、得られた複合材の主面におけるCu露出面は変形が少なくほぼ円形で、孔間隔も変動がなかった。
【0033】得られた単層複合材料を2枚用い、板厚み0.28mmのCu板を4枚用い、心材にCu板が2枚となるように交互に挟み、窒素ガス雰囲気、1000℃に加熱して圧力150kg/cm2でホットプレス成形し、板厚み1.5mm、内径20mm、深さ0.5mm、鍔外径30mm寸法のキャップ状の断面が図3のBに示すごとき多層複合材料を得た。さらに、得られた多層材を水素雰囲気で、1000℃、15分の条件で焼鈍処理を施し、割れや剥がれのないキャップ材が作製できた。なお、得られた多層複合材料の内面におけるCu露出面は変形が少なくほぼ円形で、孔間隔も変動がなかった。
【0034】
【発明の効果】この発明は、厚み方向に所要の貫通孔を有する低熱膨張金属板の該貫通孔に高熱伝導金属球を振込配置してプレスし、前記貫通孔から高熱伝導金属を低熱膨張金属板表面に露出させた複合材を得るが、高熱伝導金属の貫通孔内への充填が小さな圧力で可能でかつ均一に実施でき、さらにかかる充填性が良いため、この複合材の両面に高熱伝導金属板を積層した多層材を得るに際し、隙間がなく高密着強度が得られ、また、低熱膨張金属板と高熱伝導金属板を所定温度で接合並びに所要形状への塑性変形を同時に行うホットプレスを施すことにより、板厚みにかかわらず高い接合強度が得られ、同時に形状加工を行うことから量産性よく高品位の熱伝導複合材料が得られる。
【出願人】 【識別番号】000183417
【氏名又は名称】住友特殊金属株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月13日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良久
【公開番号】 特開平9−24500
【公開日】 平成9年(1997)1月28日
【出願番号】 特願平7−201472