トップ :: B 処理操作 運輸 :: B30 プレス




【発明の名称】 プレス型
【発明者】 【氏名】向井 淳

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 個々の被加工部分の形状は異なるものの、同一形状の共通部分を有するワークを対象としたプレス型において、前記の共通部分を利用してワークを位置決めできるベースに対し、形状の異なる被加工部分に対応した形状の複数種の加工面を備えたダイスが、その加工面の一つを選定するための操作可能に設けられていることを特徴としたプレス型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば異なる車種のドア用インナパネルにおいてプレスによる被加工部分(ピアシング部分など)の形状は異なるが、内装トリム取付け部などのように共に同一形状の共通部分を有するワークを対象としたプレス型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のワークをプレス加工するには、それぞれの被加工部分の形状に対応させた金型を用意している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これでは形状の異なる被加工部分の種類と同じ数の金型が必要であり、設備費が増すとともに加工のための準備に多くの時間を要する。
【0004】本発明の目的は、形状の異なる被加工部分を一つのプレス型によって加工可能とし、設備費の低減及び加工の準備に要する時間の短縮を図ることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、個々の被加工部分の形状は異なるものの、同一形状の共通部分を有するワークを対象としたプレス型において、前記の共通部分を利用してワークを位置決めできるベースに対し、形状の異なる被加工部分に対応した形状の複数種の加工面を備えたダイスが、その加工面の一つを選定するための操作可能に設けられていることを特徴とする。前記ダイスを操作してワークの被加工部分の形状に応じた加工面を選定し、かつ前記の共通部分を利用してワークをベースに位置決めする。つまりダイスの加工面をワークの被加工部分の形状に応じて使い分け、これによって一つのプレス型でもって形状の異なる複数種の被加工部分を加工できる。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明する。図1はプレス型を表した平面図、図2は図1の右側面図である。このプレス型は、ワーク40を下型12にセットして図2で示す上型10を下降動作させることにより、上型10のピアシングパンチ(図示外)でワーク40の所定箇所にピアス孔を加工するためのものである。
【0007】図3に前記ワーク40が斜視図で示され、図4に図3のA−A線断面図が示されている。これらの図面で示すようにワーク40は、車両用ドアにおいてアウタパネル41と接合する前のインナパネルである。このワーク40は、前記の上型10と下型12とによってピアス孔が加工されるヘミング面などの被加工部分42を有し、またこの被加工部分42に近い箇所に内装トリム取付け部分などの共通部分44が後工程で接合される構成になっている。被加工部分42はワーク40の種類、つまり車種が異なるドアのインナパネルによってその形状が異なるものの、共通部分44についてはワーク40の種類が違っても同一形状である。なお図3において被加工部分42に示されている仮想線42aが加工されるべきピアス孔の箇所である。
【0008】図5は図1の主要部材を拡大して表した平面図、図6は図5の側面図である。また図7は図5,6で示されている部材の外観斜視図である。これらの図面に示されているベース14は前記下型12に固定されるもので、その平面上の四箇所には挿入孔16が上下に貫通して形成され、また下面には位置決め溝17が形成されている。この位置決め溝17を下型12の突起(図示外)に合わせ、かつ各挿入孔16にボルト(図示外)をそれぞれ通して締付けることにより、下型12に対してベース14が正規の位置に固定される。
【0009】前記ベース14には上向きに開放した円弧面状の支持凹部18が形成されていて、ここにはドラム形状をしたダイス26の外周面がその軸線回りの回転自在に支持されている。ベース14の両側面には、ダイス26の軸線方向の位置を規制するためのプレート20がボルト止めされている。さらにベース14の上面には、ワーク40の前記共通部分44が、その孔(製品としての孔)を利用してピン46を締付けることにより取付けられている。この共通部分44はベース14に対してワーク40を位置決めしてセットする機能と、図6,7で明らかなように前記ダイス26の外周面を押さえて保持する機能とを兼ねている。ただしダイス26を押さえる機能については専用ブロックを用意し、共通部分44はワーク40を位置決めするためだけに利用してもよい。なお共通部分44は必要に応じてスペーサー48を使用してベース14に位置決めされる。
【0010】前記ダイス26の外周面には、図6,7で示すように回転方向へ所定の角度(ほぼ90°)だけずれた位置において相互に種類の異なる加工面30,31がそれぞれ形成されている。これらの両加工面30,31は、前記のようにワーク40の種類によって形状の異なる被加工部分42にそれぞれ対応させた形状になっている。なお加工面30,31は、その両端寄りの箇所においてピアス加工時に前記上型10のピアシングパンチ(図示外)が入るピアシング孔32を備えているのであるが、図5及び図7では一方の加工面30のピアシング孔32だけが示されている。前記加工面30,31はピアシング孔32の箇所にだけあればよいので、その他の箇所(ダイス26の中間箇所)についてはワーク40と干渉しない小径の円周面とし、ベース14及びワーク40の共通部分44に対するダイス26の接触面を増やすことも可能である。
【0011】前記ダイス26の一方の端部には、このダイス26を回転操作するためのハンドル28が設けられている。またダイス26には両加工面30,31と対応させて位置決め孔36,37がそれぞれ径方向に貫通して形成されている。これらの位置決め孔36,37は、前記ベース14に対してその前面側から前記支持凹部18に向けて形成された挿入孔24と選択的に一致するように設定されている。例えば図面で示すように一方の加工面30を選定して上面に位置させたとき、この加工面30に対応する位置決め孔36がベース14の挿入孔24と一致し、ここに図5,6で示すようにロックピン38を差し込むことにより、ダイス26がベース14に対して回転不能にロックされる。
【0012】つづいて前記のプレス型によるピアス孔の加工について説明する。まず準備作業としては、前記ロックピン38を抜き取った状態でダイス26をそのハンドル28の操作によって回転させ、ワーク40の種類、つまりその被加工部分42の形状に対応した加工面30(あるいは加工面31)を上面に位置させる。ここでベース14の挿入孔24から加工面30と対応するダイス26の位置決め孔36にロックピン38を差し込み、このダイス26をベース14にロックする。
【0013】つぎにベース14に取付けられている前記共通部分44にワーク40の所定箇所を乗せれば、互いに対応する凹凸形状などが嵌まり合うことでベース14にワーク40が位置決めされる。この状態においてワーク40の被加工部分42はダイス26の加工面30の上面に位置しており、図3の仮想線42aで示されているピアス孔の加工箇所はダイス26のピアシング孔32の位置と一致している。そこで図2で示す上型10を下降動作させることにより、すでに説明したように上型10のピアシングパンチ(図示外)で被加工部分42にピアス孔が加工される。なおこの加工によって生じたスクラップはダイス26及びベース14を通過して図1,2で示す下型12で受けられて処理される。
【0014】ワーク40の種類に合わせて前記の加工面30を他方の加工面31に切替える場合は、前記ロックピン38を抜き取るとともにダイス26を回転させて加工面31を上面に位置させ、この状態でベース14の挿入孔24から加工面31と対応するダイス26の位置決め孔36に再びロックピン38を差し込む。このように簡単な作業により、ダイス26の加工面30,31をワーク40の種類(被加工部分42の形状)に応じて使い分けることができる。なお前記ピンの抜き差し及びダイス26の回転をシリンダーやモーターなどのアクチュエータで制御すれば、加工面30,31の切替えを自動化することが可能となる。
【0015】以上は前記加工面30,31を被加工部分42の形状が異なる二種類のワーク40対応させた場合について説明したが、これらの加工面30,31を一種類のワーク40において形状の異なる二種類の被加工部分42に対応させた場合でも同じことである。また加工面30,31の種類は、ダイス26の回転方向に関する加工面間の角度を小さく設定するなどして三つ以上に増やすことも可能である。さらに加工面30,31を切替えるためのダイス26の操作は、回転式に代えてスライド式としてもよく、その場合はダイス26の形状も任意となる。一方、ワーク40についてはドアのインナパネルに限られるものではなく、かつワーク40に対する加工はピアス加工の他に曲げ加工なども含む。
【0016】以上、本発明の実施の形態を説明したが、この実施の形態には特許請求の範囲に記載した技術的事項の他につぎのような各種の技術的事項が含まれていることを付記しておく。
1.請求項1記載のプレス型において、加工面の一つを選定するためのダイスの操作には、このダイスをベースに対してロックし、あるいはそのロックを解除する操作が含まれていることを特徴としたプレス型。
2.前記1項記載のプレス型において、ベースとダイスとにかけてロックピンを差し込んだり抜き取ったりすることにより、ベースに対するダイスのロックあるいは解除を可能としたことを特徴とするプレス型。これによってベースに対するダイスのロックあるいはロック解除が容易で、かつロック状態は安定したものとなる。
3.請求項1記載のプレス型において、ダイスがベースに対して回転操作可能に支持されたドラム形状で、その外周に形状の異なる複数種の加工面が設けられていることを特徴としたプレス型。これによって複数種の加工面を比較的容易に確保することができ、また加工面の選定操作も簡単となる。
4.請求項1記載のプレス型において、プレス加工がワークにピアス孔をあける加工であることを特徴としたプレス型。
【0017】
【発明の効果】プレス加工のための設備費の低減ならびに加工の準備に要する時間を短縮できる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 英彦 (外1名)
【公開番号】 特開平9−24499
【公開日】 平成9年(1997)1月28日
【出願番号】 特願平7−178794