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【発明の名称】 ラバープレス成形型
【発明者】 【氏名】佐々木 丈夫

【氏名】飯田 恵一

【氏名】山田 雅治

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に原料粉末が充填されるゴム製のラバープレス成形型において、成形体の側面に当接する成形型側面と、成形体の上面及び/又は底面に当接する成形型上面及び/又は底面とで、ゴム厚さが異なることを特徴とするラバープレス成形型。
【請求項2】 請求項1において、前記ラバープレス成形型は、成形体の底面及び側面を囲む容器形状の底付ゴム型と、該底付ゴム型に被さるゴム蓋型とからなり、該ゴム蓋型のゴム厚さが該底付ゴム型のゴム厚さよりも薄いことを特徴とするラバープレス成形型。
【請求項3】 請求項1において、前記ラバープレス成形型は、成形体の側面を囲むゴム筒型と、成形体の上面を被うゴム蓋型と、成形体の底面を被うゴム底型とからなり、該ゴム筒型のゴム厚さが該ゴム蓋型及びゴム底型のゴム厚さよりも薄いことを特徴とするラバープレス成形型。
【請求項4】 内部に原料粉末が充填されるゴム製のラバープレス成形型において、成形体の側面に当接する成形型側面と、成形体の上面及び/又は底面に当接する成形型上面及び/又は底面とで、ゴムのヤング率が異なることを特徴とするラバープレス成形型。
【請求項5】 請求項4において、前記ラバープレス成形型は、成形体の底面及び側面を囲む容器形状の底付ゴム型と、該底付ゴム型に被さるゴム蓋型とからなり、該ゴム蓋型のゴムのヤング率が該底付ゴム型のゴムのヤング率よりも小さいことを特徴とするラバープレス成形型。
【請求項6】 請求項1において、前記ラバープレス成形型は、成形体の側面を囲むゴム筒型と、成形体の上面を被うゴム蓋型と、成形体の底面を被うゴム底型とからなり、該ゴム筒型のゴムのヤング率が該ゴム蓋型及びゴム底型のゴムのヤング率よりも小さいことを特徴とするラバープレス成形型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粉体を冷間静水圧加圧(Cold Isostatic Press:CIP)して成形体を得るためのCIP成形用ラバープレス成形型に係り、詳しくは、成形時の変形が少なく、均一な成形体を所期の形状に容易に成形することができるラバープレス成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】セラミックス等の各種粉体の成形方法としてCIP成形法が知られている。CIP成形法は、成形型内に粉体を充填し、水又は油等の加圧媒体を介して該成形型を外方から等方的に加圧して成形する方法であり、使用される成形型の少なくとも一部は、ゴム等の可撓性を有した軟質材料で構成されている。成形に使用される粉体は、通常、スプレードライ造粒粉などの流動性の良い球状顆粒である。
【0003】図3,4は、従来のラバープレス成形型の断面図であり、図3は円盤形状の成形体を成形するために用いられる成形型、図4は圧延ロール等の肉厚円筒形状の成形体を成形するために用いられる成形型である。
【0004】図3に示すラバープレス成形型11は、成形型の上面を構成するゴム蓋型12、側周部及び底面を構成する容器形状の底付ゴム型13とで構成されている。成形に際しては、ゴム蓋型12を取り、底付ゴム型13の成形用空間内に粉体Sを充填した後、ゴム蓋型12を装着する。次いで、型同士の継目部分にシールテープ10を貼り、CIP装置内に装入し、加圧媒体を加圧して成形を行う。
【0005】一方、図4のラバープレス成形型21は、成形型の上面を構成するゴム蓋型22と、底面及び側部を構成する容器形状の底付ゴム型23と、芯金型24とで構成されている。この成形型21の場合においても、底付ゴム型23内に芯金型24を配置して成形用空間に粉体Sを充填した後、ゴム蓋型22を装着してシールテープ10を貼り、上記と同様にCIP装置に装入して成形を行う(図4(a))。
【0006】図3,4に示すラバープレス成形型は、外型がすべてゴム型で構成されているため、安価に提供される。このようなラバープレス成形型は、従来すべてのゴム型について、同一の材質のゴムを用い、同一厚さに形成されている。
【0007】なお、成形に当り、シールテープによるシール部分から成形型内に水や油等の加圧媒体が浸入するのを防止するため、或いは、成形型が水や油等の加圧媒体に濡れることを防止するために、成形型全体を薄手のビニール袋やゴム袋に入れてCIP装置に装入することも行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の成形型に粉体を充填してCIP成形を行う場合、加圧時に粉体Sは等方的に圧縮変形するが、成形型内の全ての部位において粉体Sは均一な密度に充填されているわけではないため、成形により得られる成形体mは、図3(b)及び図4(b)に示す如く、そのほぼ全外表面において、複雑な形状に変形する。また、この変形が著しい場合には、成形体に割れや亀裂が生じる。
【0009】従来は、この成形時の変形は、ラバープレス成形型を用いる場合には、外面がゴム型に接触している以上回避し得ないものとして、得られた成形体又は仮焼体を機械加工して所望の形状に整えることにより対処している。このため、加工の手間がかかり、また、加工では対処し得ない変形もある上に、割れや亀裂が生じた成形体では、製品とし得ないという問題がある。
【0010】本発明は上記従来の問題点を解決し、均一で変形が少ない所期形状の成形体を容易に成形することができる安価なラバープレス成形型を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1のラバープレス成形型は、内部に原料粉末が充填されるゴム製のラバープレス成形型において、成形体の側面に当接する成形型側面と、成形体の上面及び/又は底面に当接する成形型上面及び/又は底面とで、ゴム厚さが異なることを特徴とする。
【0012】成形型内に充填された粉体は、成形時の加圧開始初期の段階では未だ十分に圧密されておらず、ゴム型を指で押せば容易に変形する程度の流動性を有している。
【0013】このため、請求項1に従って、側面と上面又は底面とでゴム厚さの異なる成形型を用いて成形を行った場合、ゴム厚さの厚い部分に接する成形体面は変形が少なく、ゴム厚さの薄い部分に接する成形体面は変形が大きいものとなる。
【0014】従って、大きく変形させたい部位或いは変形しても何ら支障のない部分に薄いゴムを配し、また、変形を可能な限り抑制させたい部位に厚いゴムを配することにより、粉体の圧縮で均一な密度を有し、しかも、所望の形状に近似した成形体を容易に得ることができる。
【0015】請求項4のラバープレス成形型は、内部に原料粉末が充填されるゴム製のラバープレス成形型において、成形体の側面に当接する成形型側面と、成形体の上面及び/又は底面に当接する成形型上面及び/又は底面とで、ゴムのヤング率が異なることを特徴とする。
【0016】請求項4に従って、側面と上面又は底面とでゴムのヤング率の異なる成形型を用いて成形を行った場合、ヤング率の大きい部分に接する成形体面は変形が少なく、ヤング率の小さい部分に接する成形体面は変形が大きいものとなる。従って、大きく変形させたい部位或いは変形しても何ら支障のない部分にヤング率の小さいゴムを配し、また、変形を可能な限り抑制させたい部位にヤング率の大きいゴムを配することにより、粉体の圧縮で均一な密度を有し、しかも、所望の形状に近似した成形体を容易に得ることができる。
【0017】特に、成形体の底面及び側面を囲む容器形状の底付ゴム型と、この底付ゴム型に被さるゴム蓋型とからなる成形型において、ゴム蓋型のゴム厚さを底付ゴム型のゴム厚さよりも薄くするか、或いは、ゴム蓋型のゴムのヤング率を底付ゴム型のゴムのヤング率よりも小さくすることにより、ゴム蓋型に当接する成形体の上面のみを主に変形させ、その他の側面及び底面の成形体の変形を抑えて、良好な形状の成形体を成形することができる。このラバープレス成形型は、特に円盤形状の成形体の成形に有効である。
【0018】また、成形体の側面を囲むゴム筒型と、成形体の上面を被うゴム蓋型と、成形体の底面を被うゴム底型とからなる成形型において、ゴム筒型のゴム厚さを、ゴム蓋型及びゴム底型のゴム厚さよりも薄くするか、或いは、ゴム筒型のゴムのヤング率をゴム蓋型及びゴム底型のゴムのヤング率よりも小さくすることにより、ゴム筒型に当接する成形体側面のみを主に変形させ、その他の上面及び底面の成形体の変形を抑えて、良好な形状の成形体を成形することができる。このラバープレス成形型は、圧延ロール等の肉厚円筒形状の成形体の成形に有効である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して本発明のラバープレス成形型を詳細に説明する。
【0020】図1,2は各々本発明のラバープレス成形型の一実施例を示す断面図である。
【0021】図1に示すラバープレス成形型1は、円盤形状の成形体を成形するための成形型であって、成形型の上面を構成するゴム蓋型2、側部及び底面を構成する容器形状の底付ゴム型3とで構成されている。
【0022】本実施例において、ゴム蓋型2のゴム厚さは、底付ゴム型3のゴム厚さよりも薄く、設計されている。
【0023】成形に際しては、ゴム蓋型2を取り、底付ゴム型3の成形用空間内に粉体Sを充填した後、ゴム蓋型を装着する。次いで、型同士の継目部分にシールテープ10を貼り、CIP装置内に装入し、加圧媒体を加圧して成形を行う(図1(a))。
【0024】この成形型1では、加圧により、ゴム厚さの薄いゴム蓋型2は大きく変形し、ゴム厚さの厚い底付ゴム型3は変形が小さいため、図1(b)に示す如く、得られる成形体Mは、ゴム蓋型2に接する上面Maのみが主に変形し、凹んだ湾曲面となるが、その他の側面Mbや底面Mcについては変形の小さいものとなる。
【0025】従って、このような成形体であれば、全く後加工を行うことなく、或いは、必要に応じて、上面のみを加工により平坦面とすることにより、容易に製品とすることができる。
【0026】なお、図1に示すラバープレス成形型1において、ゴム蓋型2と底付ゴム型3とで厚さを変える代りに、ゴム蓋型2としてヤング率の小さいゴムを用い、底付ゴム型3としてヤング率の大きいゴムを用いても同様の効果を得ることができる。
【0027】図2に示すラバープレス成形型4は、圧延ロール等の肉厚円筒形状の成形体を成形するための成形型であって、成形型の上面を構成するゴム蓋型5と、側面を構成するゴム筒型6と、底面を構成するゴム底型7と、芯金型8とで構成されている。
【0028】本実施例において、ゴム筒型6のゴム厚さは、ゴム蓋型5及びゴム底型7のゴム厚さよりも薄く設計されている。
【0029】なお、本実施例において、ゴム筒型6のゴム厚さが薄く、ゴム蓋型5及びゴム底型7のゴム厚さが厚いため、成形型の形状安定性等の確保のために、ゴム筒型6の上部開口及び下部開口にそれぞれゴム蓋型5及びゴム底型7が嵌合するように各ゴム型の内径及び外径が設定される。
【0030】成形に際しては、ゴム底型7をゴム筒型6の下部開口に嵌め込み、シールテープ10を貼り、芯金型8を配置して成形用空間に粉体Sを充填した後、ゴム蓋型5を装着してシールテープ10を貼り、上記と同様にCIP装置に装入して成形を行う(図2(a))。
【0031】この成形型1では、加圧により、ゴム厚さの薄いゴム筒型6は大きく変形し、ゴム厚さの厚いゴム蓋型5及びゴム底型7は変形が小さいため、図2(b)に示す如く、得られる成形体M’は、ゴム筒型6に接する側面M’bが主に変形し、凹んだ湾曲面となるが、その他の上面M’aや底面M’cについては変形が小さく、図5に示すような形状の成形体9となる。
【0032】従って、このような成形体9であれば、全く後加工を行うことなく、或いは、必要に応じて、側面のみを加工することにより、容易に製品とすることができる。
【0033】このラバープレス成形型4においても、ゴム筒型6とゴム蓋型5及びゴム底型7とで厚さを変える代りに、ゴム筒型6としてヤング率の小さいゴムを用い、ゴム蓋型5及びゴム底型7としてヤング率の大きいゴムを用いても同様の効果を得ることができる。
【0034】本発明において、成形原料として用いられる粉体としては、スプレードライ造粒粉など、流動性に優れた球状造粒粉体が好適である。また、その材質としては、各種セラミックス粉、金属粉やサーメット粉などが挙げられる。
【0035】また、本発明において、各ゴム型を構成するゴム厚さやヤング率は、目的とする成形体の形状等に応じて適宜決定されるが、各ゴム型の厚さについては、2〜50mmの範囲で設定するのが好ましい。また、ヤング率については10〜200kgf/cm2 の範囲で設定するのが好ましい。
【0036】なお、各ゴム型に同材質のゴムを用いる場合、厚さとヤング率とはある程度比例関係があるが、本発明においては、各ゴム型について異なる材質のゴムを用い同一厚さで異なるヤング率を有するようにすることもできる。
【0037】また、ゴム厚さやヤング率は、少なくとも成形型の側面を構成するゴム型と、上面及び/又は底面を構成するゴム型とで異なるように設定されていれば良く、例えば、図1の成形型において、成形型の底面部分のゴム厚さ又はヤング率が成形型の側面部分のゴム厚さ又はヤング率と異なっていても良い。また、成形型の上面部分、側面部分及び底面部分で、ゴム厚さ又はヤング率がすべて異なっていても良い。
【0038】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0039】実施例1純度99.5%のアルミナ造粒粉を用いて、図1に示す成形型により円板のCIP成形を行った。底付ゴム型には硬度90°、ヤング率132kgf/cm2、厚さ40mmのウレタンゴムを使用した。また、ゴム蓋型には、硬度50°、ヤング率15kgf/cm2 、厚さ3mmのクロロプレンゴムを使用した。
【0040】得られた成形体は上面が凹に湾曲していたが、側面と底面には変形が殆どなく、反り、割れのない良好な成形体であった。
【0041】実施例2純度99.5%のアルミナ造粒粉を用いて、図2に示す成形型により圧延ロール形状品のCIP成形を行った。上下のゴム蓋型及びゴム底型には硬度90°、ヤング率132kgf/cm2 、厚さ40mmのウレタンゴムを使用した。また、ゴム筒型には硬度50°、ヤング率27kgf/cm2 、厚さ3mmのウレタンゴムを使用した。
【0042】得られた成形体は、図5に示す如く、上下面の変形は殆どなく、側面は製品形状に近い湾曲面であり、クラックのない良好な成形体であった。
【0043】比較例1底付ゴム型及びゴム蓋型ともに硬度70°、ヤング率46kgf/cm2 、厚さ5mmのウレタンゴムを使用したこと以外は実施例1同様に円板を成形した。得られた成形体はその全表面に複雑な変形が認められ、数分割に割れていた。
【0044】比較例2ゴム蓋型、ゴム筒型及びゴム底型に硬度70°、ヤング率46kgf/cm2、厚さ5mmのウレタンゴムを使用したこと以外は、実施例2と同様に圧延ロール形状品の成形を行った。得られた成形体にクラック等の欠陥は発生しなかったが、側面の湾曲が少なく、成形体の上下面、特に上面は下方に大きく変形していた。
【0045】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のラバープレス成形型によれば、成形時の加圧による成形体の圧縮変形の程度又は変形箇所を、ゴム型の変形量の差で目的に応じて任意に調整することにより、均一で所期形状を有する成形体を容易に成形することができる。しかも、本発明のラバープレス成形型は、外型がすべてゴム型で構成されるため安価に提供される。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開平9−24497
【公開日】 平成9年(1997)1月28日
【出願番号】 特願平7−173437