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【発明の名称】 油圧シリンダの作動方法およびその油圧回路
【発明者】 【氏名】川口 晃司

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 油圧シリンダを駆動せしめる油圧回路に設けた小流量の高圧ポンプと大流量の低圧ポンプとで構成された2連ポンプのうち、大流量の低圧ポンプの吐出側管路とタンクへの戻り管路との間に設けたアンロードバルブにより、大流量の低圧ポンプ起動時は前記アンロードバルブを作動せしめ吐出側管路とタンクへの戻り管路とを連通せしめ油圧の一部をタンクへ戻すことにより、低圧でしかも小流量で前記大流量の低圧ポンプを起動せしめ、起動後若干の時間をおいて前記アンロードバルブの流路を切換え、吐出側管路とタンクへの戻り管路を閉じることを特徴とする油圧シリンダの作動方法。
【請求項2】 油圧シリンダを駆動せしめる2圧2流量の油圧回路にして、油圧発生源として小流量の高圧ポンプと大流量の低圧ポンプとで構成された2連ポンプを設け、前記大流量の低圧ポンプの圧油吐出側管路とタンクへの戻り管路とを接続したアンロード回路に流路切換え自在なアンロードバルブを設けてなることを特徴とする油圧シリンダの油圧回路。
【請求項3】 前記油圧シリンダがタレットパンチプレスのパンチを往復動せしめる駆動装置であることを特徴とする請求項2記載の油圧シリンダの油圧回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、油圧シリンダの作動方法およびその油圧回路に係り、更に詳細には、油圧シリンダを駆動せしめる2圧2容量の油圧シリンダの作動方法およびその油圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大容量の油圧シリンダを駆動せしめる油圧回路として、例えば、油圧駆動方式のタレットパンチプレスに採用されている油圧回路では、大流量の圧油を瞬間的に流し、高ヒットレートを狙っている。そのため、圧油を送るポンプも大きくなり、それに伴いポンプモータも大きくなる。
【0003】現在ではポンプモータを極力小さくし、省エネルギーを図るために、2圧2流量回路や、2連ポンプ回路を組んで対応している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の油圧回路では、冬場の外気温の低いときは、作動油の粘性が低くなり、大容量のポンプモータが起動する時に必要以上の回転トルクがかかり、大電流が流れてサーマルリレーがトリップして、ポンプモータが回らないという問題があった。
【0005】この発明の目的は、低温時の作動油の粘性が低いときでも、油圧ポンプ駆動時にサーマルリレーがトリップすることなく、円滑にポンプモータを起動させる油圧シリンダの作動方法及びその油圧回路を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の油圧シリンダの作動方法は、油圧シリンダを駆動せしめる油圧回路に設けた小流量の高圧ポンプと大流量の低圧ポンプとで構成された2連ポンプのうち、大流量の低圧ポンプの吐出側管路とタンクへの戻り管路との間に設けたアンロードバルブにより、大流量の低圧ポンプ起動時は前記アンロードバルブを作動せしめ吐出側管路とタンクへの戻り管路とを連通せしめ圧油の一部をタンクへ戻すことにより、低圧でしかも小流量で前記大流量の低圧ポンプを起動せしめ、起動後若干の時間をおいて前記アンロードバルブの流路を切換え、吐出側管路とタンクへの戻り管路を閉じることを特徴とするものである。
【0007】また、請求項2によるこの発明の油圧回路は、油圧シリンダを駆動せしめる2圧2流量の油圧回路にして、油圧発生源として小流量の高圧ポンプと大流量の低圧ポンプとで構成された2連ポンプを設け、前記大流量の低圧ポンプの圧油吐出側管路とタンクへの戻り管路との間に流路切換え自在なアンロードバルブを設けてなることを特徴とするものである。
【0008】更に、請求項3によるこの発明の油圧回路は、前記油圧シリンダがタレットパンチプレスのパンチを往復動せしめる駆動装置であることを特徴とするものである。
【0009】以上のような請求項1,2,3による油圧シリンダの作動方法およびその油圧回路とすることにより、2連ポンプにより2圧2容量の油圧回路を取り、高圧ポンプは小流量で低圧ポンプは大流量を流す。そして、低圧大流量のポンプ吐出側管路とタンクへの戻り管路との間にアンロードバルブを組み込んだアンロード回路を設けた。
【0010】而して、大流量の低圧ポンプ起動時にはアンロードバルブの流路を切換えて、ポンプ吐出側管路とタンク戻り管路とを連通させて、圧油の一部をタンクへ戻し少ない電流で大流量の低圧ポンプを起動させることができるので、作動油の粘性が低くてもサーマルリレーがトリップすることはない。
【0011】なお、大流量の低圧ポンプ起動後は、若干の時間をおいてアンロードバルブの流路を切換えて、ポンプ吐出側管路とタンクへの戻り管路を閉じ、本来の大流量の回路にして作動される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態の例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、大容量油圧シリンダを備えた工作機械として、例えば、本実施例ではタレットパンチプレスを採用したが、この機種に限定するものではなく、すべての機械に用いられている大容量油圧シリンダを対象とするものである。
【0013】図3を参照するに、タレットパンチプレス1は門型形状のフレーム3を備えており、このフレーム3は下部ベース5、下部ベース5に立設されたサイドフレーム7と、サイドフレーム7の上部に設けられた上部フレーム9とで構成されている。
【0014】前記下部ベース3には回転自在な下部タレット11が支承されていると共に、下部タレット11の円周上には適宜な間隔で複数のダイDが装着されている。前記上部フレーム9には前記下部タレット11に対応して回転自在な上部タレット13が支承されていると共に、前記ダイDに対応した位置の上部タレット13には複数のパンチPが装着されている。
【0015】前記下部、上部タレット11,13の図3において右側部分に装着されたダイD、パンチPの位置が加工位置となっており、この加工位置にあるパンチPの上方における上部フレーム9にはストライカ15が上下動自在に設けられている。このストライカ15は上部フレーム9内に設けられた油圧シリンダ17に例えばラム19を介して連結されている。
【0016】前記下部ベース5上の図3において右端には、Y軸方向(図3において左右方向)へ移動自在なキャレッジベース21が設けられており、このキャレッジベース21にはX軸方向(図3において紙面に対して直交する方向)へ移動自在なキャレッジ23が設けられている。このキャレッジ23にはX軸方向へ適宜な間隔でワークWをクランプする複数のワーククランプ25が設けられている。
【0017】上記構成により、キャレッジベース21をY軸方向へ、キャレッジ23をX軸方向へ移動せしめることにより、キャレッジ23に設けられたワーククランプ25にクランプされたワークWがX軸、Y軸方向へ移動されて、ワークWの所望位置が加工位置に位置決めされることになる。
【0018】この加工位置にワークWの所望位置が位置決めされた状態において、上、下部タレット13,11を回動せしめて所望のパンチP、ダイDを加工位置に割出し位置決めする。次いで、油圧シリンダ17を駆動せしめてラム19を介してストライカ15を上下動せしめることにより、パンチPとダイDとの協働により、ワークWの所望位置に通常の打抜き加工が行われることになる。
【0019】次に、本実施の形態の例の主要部である前記油圧シリンダ17を駆動せしめる油圧回路27について、詳細に説明する。
【0020】図1および図2を参照するに、油圧回路27は、タンク29よりフィルタ31,33を介してポンプモータ35にて駆動される小流量の高圧ポンプ37と大流量の低圧ポンプ39とが連結された2連ポンプ41が設けられている。
【0021】前記小流量の高圧ポンプ37の吐出側管路43は、フィルタ45とチェック弁47を介してサーボ弁49のPポートに接続されている(図2参照)。そして、吐出側管路43の前記サーボ弁49とチェック弁47との間に高圧ライン用アキュムレータ51が設けられている。なお、吐出側管路43は、図1に示すA記号と図2に示すA記号とが結ばれている。
【0022】前記大流量の低圧ポンプ39の吐出側管路53は、フィルタ55とチェック弁57を介してサーボ弁49のTポートに接続されている(図2参照)。そして、吐出側管路53の前記サーボ弁49とチェック弁57との間に低圧ライン用アキュムレータ59が設けられている。なお、吐出側管路53は、図1に示すB記号と図2に示すB記号とが結ばれている。
【0023】前記サーボ弁49は、図2に示されているごとくサーボ弁49の出側のA,Bポートに連結された管路61は1本化されて3位置切換弁63のPポートへ接続されている。そして、3位置切換弁63の出側Aポートは油圧シリンダ17の上部油室65へ接続され、油圧シリンダ17の下部油室67より排出された圧油は3位置切換弁63のBポートへ入り、Tポートよりタンク29へ戻り管路69を通り圧油は戻される。また、この戻り管路69の途中には脈動を防ぐ脈動防止ダンパ71が設けられている。
【0024】なお、油圧シリンダ17の上部油室65へ供給される圧力を検出する圧力スイッチ73と、上、下の油室65,67を結ぶ管路には止め弁75が設けられている。更に、前記戻り管路69の端末には冷却器77が設けられている(図1参照)。
【0025】前記高圧ポンプ37の吐出側管路43と低圧ポンプ39の吐出側管路53に設けたチェック弁47,57の出側に分岐してそれぞれチェック弁79,81を介して戻り管路83が設けられ、この戻り管路83の途中に2位置電磁切換弁85が設けられている。
【0026】更に、この実施の形態の例の主要部であるアンロード回路87が設けられていて、このアンロード回路87は、前記大容量の低圧ポンプ39の吐出側管路53より分岐して設けられ、分岐された戻り管路89の途中にアンロードバルブ91が設けられ、アンロードバルブ91は2位置電磁切換弁である。そして、戻り管路89は前記戻り管路83と一体となりタンク29へ圧油は戻される。なお、符号93は圧力計であり、95は圧力警報器である。更に、戻り管路69は図1に示されているC記号と図2に示されているC記号とがつながっているものである。
【0027】上記構成により、その作用としては、油圧シリンダ17に設けたピストン97を下降してワークにパンチング加工を行なう時は、例えば、3位置切換弁63の流路を切換え、図2に示されている右側流路とする。そして、大流量(例えば65L/min)の低圧ポンプ39を駆動して低圧で大流量の圧油を油圧シリンダ17の上部油室65内へ供給して、ピストン97を下降させる。
【0028】ピストン97が下降してワークに加工が施される直前でサーボバルブ49を切換えると共に、小流量(例えば20L/min)の高圧ポンプ37により高圧油をシリンダ17の上部油室65へ送り、ワークにパンチング加工が施される。
【0029】そして、加工終了後はサーボ弁49と3位置切換弁63の流路を切換えて小流量(例えば20L/min)の高圧ポンプ37と大流量(例えば65L/min)の低圧ポンプ39との駆動により、大量の圧油を油圧シリンダ17の下部油室67内へ供給してピストン97を上昇させる。なお、油圧シリンダ17に設けたピストン97の上昇、下降時に排出される油は3位置切換弁63のTポートより戻り配管69を通りタンク29へ戻されるが、戻り配管69の途中に設けた脈動防止ダンパ69により、オイルハンマーを低減させることができる。
【0030】次に、本実施の形態の主要部であるアンロード回路87の作用について説明する。
【0031】アンロード回路87は、ポンプ起動時に過電流が流れる低圧大流量の吐出側管路53と戻り管路89との間にアンロードバルブ91が設けられている。なお、高圧小流量の吐出側管路43は、高圧加工時にのみ用いられるので、ポンプ起動時には使用しないのでアンロード回路は不要である。
【0032】ポンプモータ35を起動する時は、アンロード回路87に設けたアンロードバルブ91により低圧でしかも小流量で起動するため、少ない起動電流で行なうことができる。このため、低圧小流量でポンプモータ35が起動できるので、低温時の作動油の粘性が低い時でも、ポンプモータ35に過負荷をかけずに起動させることができ、サーマルリレーがトリップしない。
【0033】なお、ポンプモータ35起動後は、例えばタイマーなどで数秒後にアンロードバルブ91の流路を切換えて、戻り管路89を閉として、本来の大流量の回路として使用される。
【0034】なお、この発明は前述した実施の形態の例に限定されることなく、適宜な変更を行なうことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0035】
【発明の効果】以上のごとき実施の形態の例の説明より理解されるように、請求項1,2,3によるこの発明によれば、油圧シリンダを駆動せしめる油圧回路において、大流量を流す低圧ポンプの吐出側管路とタンクへの戻り管路とを開閉自在としたアンロードバルブを備えたアンロード回路を設けた。
【0036】而して、ポンプ起動時にはアンロードバルブを開き、吐出側管路と戻り管路を連通したことにより、低温時の作動油の粘性が低い時でもポンプモータに過負荷をかけずに起動させることができ、サーマルリレーがトリップすることがなく円滑にポンプモータを起動させることができる。
【出願人】 【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
【出願日】 平成7年(1995)7月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開平9−19800
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平7−169799