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【発明の名称】 二重油圧シリンダの油圧回路
【発明者】 【氏名】川口 晃司

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 二重油圧シリンダを駆動せしめる小流量の高圧ポンプと大流量の低圧ポンプとを備えた2圧2流量の油圧回路にして、前記油圧回路中に流路切換え自在なロジック弁と、このロジック弁の吐出パイロット圧により作動する開閉自在なポペット電磁弁と、を備えた高低圧切換弁を設けると共に、流路切換え自在なロジック弁と、このロジック弁の吐出パイロット圧により作動する開閉自在なポペット電磁弁と、流路切換え自在なロジック弁の吐出パイロット圧により作動する開閉自在なチェック弁と、を備えた上昇、下降切換弁を設けてなることを特徴とする二重油圧シリンダの油圧回路。
【請求項2】 前記二重油圧シリンダがタレットパンチプレスのパンチを往復動せしめる駆動装置であることを特徴とする請求項1記載の二重油圧シリンダの油圧回路。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、二重油圧シリンダの油圧回路に係り、更に詳細には、二重油圧シリンダを駆動せしめる2圧2容量の油圧回路を改良した二重油圧シリンダの油圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えばタレットパンチプレスにおいて、高ヒットレートを出すためにパンチを往復動せしめる駆動装置であるドライブシリンダを二重シリンダとして、この二重シリンダを作動せしめる油圧回路は2圧2容量のポンプを備え高低圧の切換えを大容量方向制御弁で行っている。そして、二重シリンダの小シリンダでは低荷重大流量により高ヒットレート化を図り、大シリンダでは高荷重小流量により例えば30トン打抜き加工が施されていた。
【0003】前記二重シリンダを作動せしめる油圧回路として、例えば、図3に示されている油圧回路が知られている。すなわち、油圧回路101にて作動する二重シリンダ103の構成は、大シリンダ105に小シリンダ107が組み込まれ、それぞれ油室109,111,113が形成されている。なお、符号115はパンチであり、符号117はダイである。
【0004】油圧回路101は、タンク119に連通したポンプモータ121にて駆動される大流量の低圧ポンプ123が設けられ、この低圧ポンプ123の吐出側管路125はチェック弁127を経て3位置方向切換弁129のPポートへ連通されている。そして、3位置方向切換弁129の流路切換えによりPポートとAポートを連通させると、圧油は管路131を通り2位置方向切換弁133のPポートへ連通され、2位置方向切換弁133の流路切換えによりPポートとBポートを連通させると、圧油は管路135を通り前記小シリンダ107の油室109へ流入し大シリンダ105を下降させる。
【0005】なお、この時、油室111内の油は管路137を通りBポートよりTポートを通り戻り管路139を経てタンク119へ戻される。また、油室113は真空状態となり、管路141,143を介してタンク119内の油を吸い油室113内へ給油されるので大シリンダ105をスムーズに下降することができる。
【0006】前記3位置方向切換弁129の流路を切換え、PポートとBポート,AポートとTポートを連通させると、圧油は油室111へ流入し大シリンダ105を持ち上げる。大シリンダ105が上昇すると油室109の油は管路135,131を経てタンク119へ戻され、油室113内の油は管路141,143を通りタンク119へ戻される。なお、符号145は脈動防止ダンパであり、符号147はフィルタである。
【0007】次に、タンク119に連通したポンプモータ149にて駆動される小流量の高圧ポンプ151が設けられ、この高圧ポンプ151の吐出側管路153はチェック弁127を経て3位置方向切換弁155のPポートへ連通している。そして、3位置方向切換弁155の流路を切換えてPポートとAポート,BポートとTポートを連通させると、圧油は管路157を通り前記管路131と合流して、前記2位置方向切換弁133の流路を切換えPポートとAポートおよびBポートを連通させると、Pポートより小シリンダ107の油室109と113へ流入して大シリンダ105を下降させる。
【0008】なお、油室111内の油は管路137を通り3位置方向切換弁155のBポートよりTポートを通り戻り管路159,143を通ってタンク119へ戻される。
【0009】前記3位置方向切換弁155の流路を切換えPポートとBポート,AポートとTポートとすることにより、圧油は管路137を通り油室111内へ供給され大シリンダ105を持ち上げる。そして油室109と113内の油は管路135,141を通り2位置方向切換弁133のA,BポートよりPポートを通り管路157,159によりタンク119内へ戻される。
【0010】上記構成により、二重シリンダ103に設けた大シリンダ105の下降時には大流量の低圧ポンプ123に上り大量の圧油を油室109へ送り急速下降させ、また、小流量の高圧ポンプ151を作動させて、高圧油を油室109と113へ送り、高圧力でパンチ115を押してパンチング加工が施される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の油圧回路101では、一般に用いられているスプール切換方式の方向切換弁129,133,155が用いられている。しかし、高応答させるにはスプール切換方式では、ゼロラップとして無駄時間を少なくしなければならないが、洩れ流量および中立点維持の関係からスプール切換方式では不適であり、切換え応答性、ヒットレートに問題があった。
【0012】この発明の目的は、二重油圧シリンダに設けた小シリンダと大シリンダの作動切換え、すなわち、高低圧の切換えを高応答にすることにより、切換時間を短縮し生産性の向上を図った二重油圧シリンダの油圧回路を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1によるこの発明の二重油圧シリンダの油圧回路は、二重油圧シリンダを駆動せしめる小流量の高圧ポンプと大流量の低圧ポンプとを備えた2圧2流量の油圧回路にして、前記油圧回路中に流路切換え自在なロジック弁と、このロジック弁の吐出パイロット圧により作動する開閉自在なポペット電磁弁と、を備えた高低圧切換弁を設けると共に、流路切換え自在なロジック弁と、このロジック弁の吐出パイロット圧により作動する開閉自在なポペット電磁弁と、流路切換え自在なロジック弁の吐出パイロット圧により作動する開閉自在なチェック弁と、を備えた上昇、下降切換弁を設けてなることを特徴とするものである。
【0014】また、請求項2によるこの発明の二重油圧シリンダの油圧回路は、前記二重油圧シリンダがタレットパンチプレスのパンチを往復動せしめる駆動装置であることを特徴とするものである。
【0015】上記の請求項1,2の発明では、高低圧切換弁は、通常は低圧供給時は閉じていて、高圧供給時にその圧力がロジック弁に入り、そのパイロット圧力によりポペット電磁弁を開き、高圧油を二重油圧シリンダ側へ供給する。同時に二重油圧シリンダの上昇、下降切換弁もロジック弁の作動によりポペット電磁弁により高応答切換えを行なう。
【0016】而して、高低圧切換えと二重油圧シリンダの上昇、下降をポペット電磁弁切換えで行なうことにより、従来採用されているスプール弁をゼロラップにする場合と比べ、約5倍切換えが早くなり高応答となる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、二重油圧シリンダを備えた工作機械として、例えば、本実施例では好適なタレットパンチプレスを採用したが、これ以外の、すべての機械に用いられている二重油圧シリンダに適用できるものである。
【0018】図2を参照するに、タレットパンチプレス1は門型形状のフレーム3を備えており、このフレーム3は下部ベース5、下部ベース5に立設されたサイドフレーム7と、サイドフレーム7の上部に設けられた上部フレーム9とで構成されている。
【0019】前記下部ベース5には回転自在な下部タレット11が支承されていると共に、下部タレット11の円周上には適宜な間隔で複数のダイDが装着されている。前記上部フレーム9には前記下部タレット11に対応して回転自在な上部タレット13が支承されていると共に、前記ダイDに対応した位置の上部タレット13には複数のパンチPが装着されている。
【0020】前記下部、上部タレット11,13の図2において右側部分に装着されたダイD、パンチPの位置が加工位置となっており、この加工位置にあるパンチPの上方における上部フレーム9にはストライカ15が上下動自在に設けられている。このストライカ15は上部フレーム9内に設けられた二重油圧シリンダ17に例えばラム19を介して連結されている。
【0021】前記下部ベース5上の図2において右端には、Y軸方向(図2において左右方向)へ移動自在なキャレッジベース21が設けられており、このキャレッジベース21にはX軸方向(図2において紙面に対して直交する方向)へ移動自在なキャレッジ23が設けられている。このキャレッジ23にはX軸方向へ適宜な間隔でワークWをクランプする複数のワーククランプ25が設けられている。
【0022】上記構成により、キャレッジベース21をY軸方向へ、キャレッジ23をX軸方向へ移動せしめることにより、キャレッジ23に設けられたワーククランプ25にクランプされたワークWがX軸,Y軸方向へ移動されて、ワークWの所望位置が加工位置に位置決めされることになる。
【0023】この加工位置にワークWの所望位置が位置決めされた状態において、上、下部タレット13,11を回動せしめて所望のパンチP、ダイDを加工位置に割出し位置決めする。次いで、二重油圧シリンダ17を駆動せしめてラム19を介してストライカ15を上下動せしめることにより、パンチPとダイDとの協働により、ワークWの所望位置に通常の打抜き加工が行われることになる。
【0024】次に、本実施の形態の主要部である前記二重油圧シリンダ17を駆動せしめる油圧回路27について、詳細に説明する。
【0025】図1を参照するに、前記二重油圧シリンダ17の構成は、大シリンダ29に小シリンダ31が組み込まれ、それぞれ油室33,35,37が形成されている。この二重油圧シリンダ17を駆動せしめる油圧回路27は、タンク38に連通したポンプモータ39にて駆動される大流量の低圧ポンプ41(例えば吐出圧75kg/cm2 )が設けられ、この低圧ポンプ41の吐出側管路43は複数のチェック弁45を経てサーボバルブ47のPポートへ連結されている。そして、サーボバルブ47の流路切換えによりPポートとAポートを連通させると、圧油は管路49を通り前記小シリンダ31用の油室33へ流入し大シリンダ29を下降させる。なお、この時、油室35内の油は管路51を通りサーボバルブ47のBポートよりTポートを通り戻り管路53を経てタンク38へ戻される。
【0026】また、油室37は真空状態となり、チェック弁55が開かれ管路57,53を経てタンク38内の油を吸い油室37内へ給油されるので大シリンダ29をスムーズに下降することができる。
【0027】前記サーボバルブ47の流路を切換え、PポートとBポート,AポートとTポートを連通させると、圧油は油室35へ流入し大シリンダ29を持ち上げる。大シリンダ29が上昇すると油室33内の油は、管路49,53を経てタンク38へ戻され、油室37内の油は、チェック弁55を通り管路57,53を経てタンク38へ戻される。なお、前記チェック弁55は、低圧時でもチェック弁55の設定圧以上となると詳細を後述するロジック弁59の流路が切替わり、チェック弁55が開き油室37内の油を管路57,53を経てタンク38へ排出できる。次に、小流量の高圧回路について説明する。この回路は、ロジック弁61のパイロット圧により作動するポペット電磁弁63を備えた高低圧切換弁65と、ロジック弁67のパイロット圧により作動するポペット電磁弁69と前記ロジック弁59のパイロット圧により作動する前記チェック弁55とで構成された上昇、下降切換弁71とが設けられている。
【0028】すなわち、タンク38に連通したポンプモータ73にて駆動される小流量の高圧ポンプ75(例えば吐出圧195kg/cm2 )が設けられ、この高圧ポンプ75の吐出側管路77はチェック弁79を経て前記ロジック弁61,59,67とポペット電磁弁63に連通されている。そして、高低圧切換弁65に備えたロジック弁61の流路を切換えると圧油はパイロット圧としてポペット電磁弁63を開き、管路81を通り管路43に合流してサーボバルブ47のPポートへ連通される。サーボバルブ47の流路を切換えてPポートとAポート,BポートとTポートを連通させると、圧油は管路49を通り小シリンダ31の油室33へ流入し大シリンダ29を下降させる。
【0029】同時に、管路77を通り上昇、下降切換弁71に備えたロジック弁67へ通じた圧油は、ロジック弁67の流路を切換えることにより圧油はパイロット圧としてポペット電磁弁69を開き、前記管路49より分岐した管路83よりポペット電磁弁69を介して管路57を通り油室37へ圧油が供給され大シリンダ29を下降させる。なお、油室35内の油は管路51を通りサーボバルブ47のBポートよりTポートを経て管路53を通ってタンク38へ戻される。
【0030】前記サーボバルブ47の流路を切換えてPポートとBポート,AポートとTポートを連通させると、圧油は管路51を通り大シリンダ29の油室35へ流入し大シリンダを上昇させる。小シリンダ31内の油室33内の油は管路49を通りAポートよりTポートを経て管路53を通ってタンク38へ戻される。また、油室37内の油は、ロジック弁67の流路を切換えて閉状態とするとパイロット圧は作動しなくなり、ポペット電磁弁69は閉となる。そして、ロジック弁59の作動によりチェック弁55を開き油室37内の油を管路57,53を通りタンク38へ排出する。
【0031】更に、前記吐出側管路77がポペット電磁弁63へ流入する直前で分岐した管路85には減圧弁87(例えば設定圧力140kg/cm2 )が設けられていて、減圧弁87の出側パイロット管路89は前記サーボバルブ47の制御部47Aへ接続されている。
【0032】上記構成により、高低圧切換弁65は、低圧ポンプ41が作動時は閉じていて通常の低圧回路にて二重シリンダ17は上昇、下降される。そしてワークに加圧力を高めてワークにパンチング加工を行うときには、高低圧切換弁65を作動させる。すなわち、高圧の圧油はロジック弁61に入り、そのパイロット圧力によりポペット電磁弁63を開き、高圧油をサーボバルブ47へ送る。これと同時に上昇、下降切換弁71に設けたロジック弁67へ高圧油を送り、そのパイロット圧力によりポペット電磁弁69を開き高圧油を油室33,37へ送って大シリンダ29を高圧で下降してパンチング加工が施される。
【0033】而して、高低圧切換と二重シリンダ17の上昇、下降を各ポペット電磁弁63,69で切換えを行なうことにより、従来のごとくスプール弁をゼロラップする場合に比べ、洩れ流量が少なくなり、切換応答性も約5倍速くなり、ヒットレートがアップして生産性の向上を図ることができる。
【0034】なお、この発明は前述した実施の形態の例に限定されることなく、適宜な変更を行なうことにより、その他の態様で実施し得るものである。
【0035】
【発明の効果】以上のごとき実施の形態の例の説明より理解されるように、請求項1,2,によるこの発明によれば、二重油圧シリンダを上昇、下降させる油圧回路に、高低圧切換弁と上昇、下降切換弁を設けた。そして、この高低圧切換弁をロジック弁の開放によるパイロット圧で作動するポペット電磁弁で構成し、上昇、下降切換弁をロジック弁の開放によるパイロット圧で作動するポペット電磁弁とロジック弁の開放によるパイロット圧で作動するチェック弁とで構成した。
【0036】而して、従来のゼロラップスプール弁にくらべ、洩れ流量が少なくなり、切換応答性が約5倍速くなり、ヒットレートが向上することにより生産性の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
【出願日】 平成7年(1995)7月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開平9−19799
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平7−169798