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【発明の名称】 油圧装置
【発明者】 【氏名】川口 晃司

【目的】 脊圧を極力少なくしオイルハンマーの減少を図ると共に、構成部材を簡単化して設備コストの低減を図る。
【構成】 油圧シリンダ17より排出される戻り配管33に用いられる管接手部材39の内部流路をロストワックス法により滑らかな面となるように製作した。このため、配管内を流れる圧油は管接手部材39に形成された滑らかな面に沿って流れるので、脊圧が発生することなく、オイルハンマーを低減させることができ、設備コストの低減が図られる。また、戻り配管33に脈動防止ダンパ35を設けたので、更にオイルハンマーを低減させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ロストワックス法により製作され、内部流路を滑らかな面にて形成した複数の管継手部材を用いて油圧シリンダより排出される油の戻り配管を構成してなることを特徴とする油圧装置。
【請求項2】 前記戻り配管の途中に脈動防止ダンパを設けてなることを特徴とする請求項1記載の油圧装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、油圧シリンダの戻り配管を改良した油圧装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大容量油圧シリンダを用いた工作機械として、例えば、油圧駆動方式のタレットパンチプレスに用いた油圧シリンダでは、大流量の圧油が流れ、この圧油をタンクへ戻す戻り回路でオイルハンマーをなくすために、配管部材であるゴムホースの種類を変えたり、ピストン型の脈動防止シリンダを用いた戻り配管が採用されていた。
【0003】すなわち、大容量油圧シリンダを作動せしめる油圧回路としては、例えば、図4に示されているごとく、油圧回路101は、タンク103内の油をフィルタ105を介して油圧ポンプ107にて送油する。この油圧ポンプ107の出側にはリリーフ弁109が設けられていると共に、チェック弁111を介してサーボバルブ113のPポートに連通していて、途中にアキュムレータ115が設けられている。
【0004】前記サーボバルブ113の出側Aポートは大容量油圧シリンダ117の上部油室119へ連通され、サーボバルブ113の出側Bポートは大容量油圧シリンダ117の下部油室121と連通している。そして、サーボバルブ113の戻りTポートは戻り配管123を通り前記タンク103へ連通している。なお、この戻り配管123の途中には大型の脈動防止ダンパ125が設けられている。
【0005】上記構成により、サーボバルブ113の流路を切換えることにより、大容量油圧シリンダ117の上部油室119へ圧油を供給するとピストン127は下降し、下部油室121内の圧油は戻り配管123を通りタンク103へ戻される。また、サーボバルブ113の流路を切換えることにより、大容量油圧シリンダ117の下部油室121ヘ圧油を供給するとピストン127は上昇し、上部油室119内の圧油は戻り配管123を通りタンク103へ戻される。
【0006】次に、前記戻り配管123について、更に詳細に説明する。
【0007】図3を参照するに、大容量油圧シリンダ117より排出された圧油は、サーボバルブ113のTポートより管路129を通りティー継手131へ入る。このティー継手131は市販品であり、ティー継手131の一方の口には前記大型の脈動防止ダンパ125が設けられ、この脈動防止ダンパ125は既に公知の構成のもので、内部にピストン板133と、このピストン板133を常に上方向へ付勢するスプリング135が内蔵されている。
【0008】前記ティー継手131の出側の口にはニップル137が接続され、このニップル137にゴムホース139に一体的に設けたホースカップリング141aが接続されている。
【0009】前記ゴムホース139に設けた他側のホースカップリング141bはニップル137を介してエルボ143に接続されている。このエルボ143の出側は管路145より図示を省略したがタンク103へ連通されている。
【0010】上記構成により、大容量の油圧シリンダ117より排出された戻り油は、管路129を通りティー継手131へ流入し、ティー継手131,ゴムホース139,エルボ143を経て管路145よりタンク103へ戻される。なお、戻り油がティー継手131やエルボ143のコーナ部に当り高い脊圧が出てオイルハンマーが発生するが、このオイルハンマーを無くすため、大型の脈動防止ダンパ125が設けられ、脈動を防ぐためピストン板133をスプリング135の弾撥力に抗して押し下げることにより、オイルハンマーを吸収する。また、ゴムホース139にてもオイルハンマーの一部を吸収することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来の戻り配管123では、大容量油圧シリンダ117からタンク103へ戻される大流量の圧油は、戻り配管123へ入ってきた時、図3の図中に示されているティー継手131のA部とエルボ143のB部に圧油がぶつかり、この部分で高い脊圧が出るためオイルハンマーが発生する。このオイルハンマーをなくすために、大型の脈動防止ダンパ125を必要としていた。また、ゴムホース139でもオイルハンマーの一部を吸収できるが、ホース径には限界があり大きくすることができず、あまり脈動吸収には効果がない。
【0012】更に、戻り配管123が例えば2圧2容量の回路のごとく、配管が複雑になればなるほどエルボ143やティー継手131を使用する部分が多くなり、その部分での脊圧が高くなってオイルハンマーを完全に吸収することは非常に難しいという問題があった。
【0013】この発明の目的は、脊圧を極力少なくしオイルハンマーの減少を図ると共に、構成部材を簡単化して設備コストの低減を図った油圧装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、請求項1によるこの発明の油圧装置は、ロストワックス法により製作され、内部流路を滑らかな面にて形成した複数の管継手部材を用いて油圧シリンダより排出される油の戻り配管を構成してなることを特徴とするものである。
【0015】また、請求項2によるこの発明の油圧装置は、請求項1の油圧装置において、前記戻り配管の途中に脈動防止ダンパを設けてなることを特徴とするものである。
【0016】
【作用】以上のような請求項1による油圧装置とすることにより、油圧シリンダより排出される戻り油の配管中に用いられる管継手部材の内部流路を、ロストワックス法により滑らかな面となるように製作した。
【0017】このため、配管内を流れる圧油は管継手部材に形成された滑らかな面に沿って流れるので、脊圧が発生することなくオイルハンマーを低減させることができる。
【0018】また、請求項2による油圧装置とすることにより、戻り配管の途中に脈動防止ダンパを設けたことにより、更にオイルハンマーを低減することができる。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、大容量油圧シリンダを備えた工作機械として、例えば、本実施例ではタレットパンチプレスを採用したが、この機種に限定するものではなく、すべての機械に用いられている大容量油圧シリンダを対象とするものである。
【0020】図2を参照するに、タレットパンチプレス1は門型形状のフレーム3を備えており、このフレーム3は下部ベース5、下部ベース5に立設されたサイドフレーム7と、サイドフレーム7の上部に設けられた上部フレーム9とで構成されている。
【0021】前記下部ベース3には回転自在な下部タレット11が支承されていると共に、下部タレット11の円周上には適宜な間隔で複数のダイDが装着されている。前記上部フレーム9には前記下部タレット11に対応して回転自在な上部タレット13が支承されていると共に、前記ダイDに対応した位置の上部タレット13には複数のパンチPが装着されている。
【0022】前記下部、上部タレット11,13の図2において右側部分に装着されたダイD,パンチPの位置が加工位置となっており、この加工位置にあるパンチPの上方における上部フレーム9にはストライカ15が上下動自在に設けられている。このストライカ15は上部フレーム9内に設けられた油圧シリンダ17に例えばラム19を介して連結されている。
【0023】前記下部ベース5上の図2において右端には、Y軸方向(図2において左右方向)へ移動自在なキャレッジベース21が設けられており、このキャレッジベース21にはX軸方向(図2において紙面に対して直交する方向)へ移動自在なキャレッジ23が設けられている。このキャレッジ23にはX軸方向へ適宜な間隔でワークWをクランプする複数のワーククランプ25が設けられている。
【0024】上記構成により、キャレッジベース21をY軸方向へ、キャレッジ23をX軸方向へ移動せしめることにより、キャレッジ23に設けられたワーククランプ25にクランプされたワークWがX軸,Y軸方向へ移動されて、ワークWの所望位置が加工位置に位置決めされることになる。
【0025】この加工位置にワークWの所望位置が位置決めされた状態において、上、下部タレット13,11を回動せしめて所望のパンチP,ダイDを加工位置に割出し位置決めする。次いで、油圧シリンダ17を駆動せしめてラム19を介してストライカ15を上下動せしめることにより、パンチPとダイDとの協働により、ワークWの所望位置に通常の打抜き加工が行われることになる。
【0026】前記油圧シリンダ17を作動させる油圧回路としては、従来の技術にて述べた図4に示された油圧回路101と全く同一であり、異なる点は戻り配管123と脈動防止ダンパ125のみであるため、同一部品には同一符号を付して重複する説明を省略し、異なる部品は( )内に符号を記す。
【0027】すなわち、図4に示されているごとく、油圧回路101は、タンク103内の油をフィルタ105を介して油圧ポンプ107にて送油する。この油圧ポンプ107の出側にはリリーフ弁109が設けられていると共に、チェック弁111を介してサーボバルブ113のPポートに連通していて、途中にアキュムレータ115が設けられている。
【0028】前記サーボバルブ113の出側Aポートは油圧シリンダ17の上部油室27へ連通され、サーボバルブ113の出側Bポートは油圧シリンダ17の下部油室29と連通し、油圧シリンダ17の内部にはピストン31が上下方向へ移動自在に設けられている。そして、前記サーボバルブ113の戻りTポートは戻り配管33を通り前記タンク103へ連通している。なお、戻り配管33の途中には小型の脈動防止ダンパ35が設けられている。
【0029】上記構成により、サーボバルブ113の流路を切換えることにより、油圧シリンダ17の上部油室27へ圧油を供給するピストン31は下降し、下部油室29内の圧油は戻り配管33を通りタンク103へ戻される。また、サーボバルブ113の流路を切換えることにより、油圧シリンダ17の下部油室29へ圧油を供給するとピストン31は上昇し、上部油室27内の圧油は戻り配管33を通りタンク103へ戻される。
【0030】次に、本実施例の主要部である前記油圧シリンダ17の戻り配管について、更に詳細に説明する。
【0031】図1を参照するに、戻り配管33は、図示を省略したが油圧シリンダ17より排出された油は、図1の図中に矢印で示されているごとく、管路37を通り管接手部材39であるティー継手41に入る。このティー継手41は、ロストワックス法(インベストメント鋳造に用いられる方法で、鋳型の間のろう製の原型を溶融して除き、それに溶融金属を流入させて作る製法。)にて製作されたもので、内部を流れる圧油が滑らかに流れるよう図1においてティー継手41のC部は曲線状に製作されている。
【0032】そして、前記ティー継手41の一方の口(図1において下側)には小型の脈動防止ダンパ35が垂下して設けられている。なお、脈動防止ダンパ35は既に公知の構成のものであり、内部にピストン板43と、このピストン板43を常時上方向へ付勢するスプリング45とが内蔵されている。
【0033】前記ティー継手41の出側の口(図1において左側)にはニップル47が接続され、このニップル47にゴムホース49に一体的に設けたホースカップリング51aが接続されている。
【0034】前記ゴムホース49に一体的に設けた他側のホースカップリング51bは、ニップル47を介して管接手部材39であるエルボ53に接続されている。なお、エルボ53は前記ティー継手41と同様にロストワックス法により製作されたもので、内部を流れる圧油が滑らかに流れるよう図1においてエルボ53のD部は曲線状に製作されている。そして、エルボ53の出側は管路55にてタンク(図示省略)へつながっている。
【0035】上記構成により、油圧シリンダ17より排出された戻り油は、管路37を通りティー継手41へ流入し、ティー継手41,ゴムホース49,エルボ53を経て管路55よりタンクへ戻される。なお、この際、脊圧が発生しても小型の脈動防止ダンパ35が設けられているので、ピストン板43をスプリング45の弾撥力に抗して押し下げることによりオイルハンマーを吸収することができる。また、ゴムホース49にてもオイルハンマーの一部を吸収することができる。
【0036】上述したごとく、ロストワックス法により製作した管接手部材39としてティー継手41,エルボ53は、図1に示されているC部,D部が滑らかな曲線状に形成されているので、圧油がぶつかっても乱流にはならず脊圧が低くなるので、オイルハンマーが低減する。このため、複雑な油圧回路でも脈動防止ダンパ35を小型にでき、あるいは、脈動防止ダンパ35を不要とすることができ、設備コストの低減を図ることができる。
【0037】なお、この発明は前述した実施例に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の態様で実施し得るものである。例えば、本実施例では脈動防止ダンパ35を採用したが、この脈動防止ダンパ35は無くても可能である。
【0038】
【発明の効果】以上のごとき実施例の説明より理解されるように、請求項1によるこの発明によれば、油圧シリンダより排出される戻り配管を構成する管接手部材をロストワックス法により製作した。
【0039】このため、大量に排出される圧油は滑らかに戻り配管の中を流れ、脊圧が低くなりオイルハンマーを低減させ、設備コストの低減を図ることができる。
【0040】また、請求項2によるこの発明によれば、戻り配管中に脈動防止ダンパを設けたので、更にオイルハンマーの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
【出願日】 平成7年(1995)6月22日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開平9−11000
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−156080