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【発明の名称】 プレス方法および装置ならびに半導体集積回路装置の製造方法
【発明者】 【氏名】澤村 誠

【目的】 プレス工程の作業効率を向上するプレス方法および装置ならびに半導体集積回路装置の製造方法を提供する。
【構成】 一方の先端がプレス用の金型1の上型1aに、他方の先端がプレス荷重を受ける受圧板2にそれぞれ接続されかつ金型1の加圧方向と同方向に往復運動するロッド部材3と、受圧板2およびロッド部材3を保持するシリンダ機能を備えかつ所定の圧力を掛けた液体もしくは気体を内部に収容する封入部4と、封入部4に接続されかつ金型1の加圧方向と同方向に往復運動するプレスラム部5と、封入部4に接続されかつ封入部4に前記液体もしくは気体を供給または排出し、圧力ゲージ7および圧力調整手段8が設置された通路部6とから構成され、封入部4において、プレス加工時に受圧板2に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保ってプレス加工を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プレス用の金型によって被加工物を加工するプレス方法であって、前記金型の上型にロッド部材を介して接続された受圧部材に対して、密封状態で所定の圧力を掛けた液体もしくは気体を介してプレス荷重を掛け、プレス加工時に、前記液体もしくは気体の圧力変動を検知することにより、前記液体もしくは気体に掛ける圧力を調整し、前記受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って前記被加工物を加工することを特徴とするプレス方法。
【請求項2】 プレス用の金型の上型と下型とによって被加工物に加工を行うプレス装置であって、一方の先端が前記金型の上型に、他方の先端がプレス荷重を受ける受圧部材にそれぞれ接続され、かつ前記金型の加圧方向と同方向に往復運動するロッド部材と、前記受圧部材およびロッド部材を保持するシリンダ機能を備え、かつ所定の圧力を掛けた液体もしくは気体を内部に収容する封入部と、前記封入部に接続され、かつ前記金型の加圧方向と同方向に往復運動するプレスラム部と、前記封入部に接続され、かつ前記封入部に前記液体もしくは気体を供給または排出する通路部とを有し、前記封入部において、プレス加工時に前記受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保つことを特徴とするプレス装置。
【請求項3】 請求項2記載のプレス装置であって、前記通路部に、前記液体もしくは気体の圧力を検知する圧力ゲージと、前記液体もしくは気体の供給または排出量を調整する圧力調整手段とが設置されていることを特徴とするプレス装置。
【請求項4】 請求項2または3記載のプレス装置であって、前記液体もしくは気体が、流動性の良い油もしくは高圧ガスであることを特徴とするプレス装置。
【請求項5】 半導体素子の封止を行った多連のリードフレームを有する半導体集積回路装置を金型の所定位置に載置し、受圧部材にプレス荷重を掛ける際に、封入部内の受圧部材に、液体もしくは気体を介してプレス荷重を掛け、プレス加工時に、前記液体もしくは気体の圧力変動を検知することにより、前記液体もしくは気体に掛ける圧力を調整し、前記封入部において、前記受圧部材に掛けるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って前記リードフレームの切断または曲げ成形を行うことを特徴とする半導体集積回路装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体集積回路装置におけるリードフレームの加工技術に関し、特にリードフレームの切断・曲げ成形を安定して行うプレス方法および装置ならびに半導体集積回路装置の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】以下に説明する技術は、本発明を研究、完成するに際し、本発明者によって検討されたものであり、その概要は次のとおりである。
【0003】被加工物である半導体集積回路装置のリードフレームにおけるアウタリードの加工(切断または曲げ)工程で使用するプレス装置は、電動のプレス方式(例えば、機械プレス方式やサーボコントロールプレス方式)を用いる場合が多く、プレス時の上型の下死点位置(下限位置)が機械的、またはモータの数値制御によって固定されている。
【0004】そのため、受圧部材にプレス荷重を掛けるプレスラム部や金型に摩耗が生じても、その摩耗量の検出は困難であるため、半導体集積回路装置のアウタリードなどの被加工物の加工状態に合わせて下死点位置の設定を調整している。
【0005】なお、半導体集積回路装置のアウタリードの切断または曲げ工程と、そこで使用するプレス用の金型については、例えば、1993年5月31日、日経BP社発行「実践講座VLSIパッケージング技術(下)」香山晋、成瀬邦彦(監)、47頁〜50頁に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記した技術においては、被加工物である半導体集積回路装置の形状(またはタイプ)が変わるごとにプレス用の金型を交換する必要がある。
【0007】その結果、金型やプレスラム部の摩耗の状態によって上型の下死点位置を変更したり、さらに、金型を交換するごとに下死点位置の変更作業を行わなければならないため、プレス工程における作業効率の低下が問題とされる。
【0008】そこで、本発明の目的は、プレス工程の作業効率を向上するプレス方法および装置ならびに半導体集積回路装置の製造方法を提供することにある。
【0009】本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】すなわち、本発明によるプレス方法は、プレス用の金型の上型にロッド部材を介して接続された受圧部材に対して、密封状態で所定の圧力を掛けた液体もしくは気体を介してプレス荷重を掛け、プレス加工時に、前記液体もしくは気体の圧力変動を検知することにより、前記液体もしくは気体に掛ける圧力を調整し、前記受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って前記被加工物を加工するものである。
【0012】また、本発明によるプレス装置は、一方の先端がプレス用の金型の上型に、他方の先端がプレス荷重を受ける受圧部材にそれぞれ接続されかつ前記金型の加圧方向と同方向に往復運動するロッド部材と、前記受圧部材およびロッド部材を保持するシリンダ機能を備えかつ所定の圧力を掛けた液体もしくは気体を内部に収容する封入部と、前記封入部に接続されかつ前記金型の加圧方向と同方向に往復運動するプレスラム部と、前記封入部に接続されかつ前記封入部に前記液体もしくは気体を供給または排出する通路部とを有し、前記封入部において、プレス加工時に前記受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保つものである。
【0013】さらに、本発明によるプレス装置は、前記通路部に、前記液体もしくは気体の圧力を検知する圧力ゲージと、前記液体もしくは気体の供給または排出量を調整する圧力調整手段とが設置されているものである。
【0014】また、本発明による半導体集積回路装置の製造方法は、半導体素子の封止を行った多連のリードフレームを有する半導体集積回路装置を前記金型の所定位置に載置し、前記受圧部材にプレス荷重を掛ける際に、前記封入部内の受圧部材に、液体もしくは気体を介してプレス荷重を掛け、プレス加工時に、液体もしくは気体の圧力変動を検知することにより、液体もしくは気体に掛ける圧力を調整し、前記封入部において、前記受圧部材に掛けるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って前記リードフレームの切断または曲げ成形を行うものである。
【0015】
【作用】上記した手段によれば、プレス加工時に、プレスラム部から液体もしくは気体を介して受圧部材にプレス荷重を掛け、さらに液体もしくは気体の圧力変動を検知して、液体もしくは気体に掛ける圧力を調整することにより、予め設定したプレス荷重より大きな荷重が受圧部材に掛かると、プレスラム部とロッド部材とを独立させて動かすことができる。
【0016】これにより、受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って被加工物を加工することが可能になる。
【0017】その結果、上型と下型との接触位置が変わったり、または、金型などの摩耗あるいは金型の交換によって上型の下死点位置が変化しても、下死点位置の変更作業を行わなくて済むため、プレス工程の作業効率を向上することができる。
【0018】また、液体もしくは気体の通路部に、液体もしくは気体の圧力を検知する圧力ゲージと、液体もしくは気体の供給または排出量を調整する圧力調整手段とが設置されていることにより、液体もしくは気体に掛ける圧力を精度良く調整することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0020】図1は本発明によるプレス装置の構造の一実施例を一部破断して示す部分正面図、図2は本発明によるプレス装置を用いた半導体集積回路装置の製造方法の一実施例を示す拡大部分断面図である。
【0021】まず、本実施例のプレス装置の構成について説明すると、一方の先端がプレス用の金型1の上型1aに、他方の先端がプレス荷重を受ける受圧部材である受圧板2にそれぞれ接続されかつ金型1の加圧方向と同方向に往復運動するロッド部材3と、受圧板2およびロッド部材3を保持するシリンダ機能を備えかつ所定の圧力を掛けた液体もしくは気体を内部に収容する封入部4と、封入部4に接続されかつ金型1の加圧方向と同方向に往復運動するプレスラム部5と、封入部4に接続されかつ封入部4に前記液体もしくは気体を供給または排出する通路部6とから構成され、封入部4において、プレス加工時に受圧板2に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って加工を行うものである。
【0022】さらに、通路部6には、前記液体もしくは気体の圧力を検知する圧力ゲージ7と、前記液体もしくは気体の供給または排出量を調整する圧力調整手段8とが設置され、封入部4内の圧力の変動を常に検知し、変動を検知した場合には、圧力調整手段8によって封入部4に前記液体もしくは気体を供給または排出する。
【0023】ここで、プレスラム部5は駆動装置9によって制御され、かつプレスラム部5の軸心方向(金型1の加圧方向)と同方向に往復運動するものであり、そのストローク長は固定化されている。
【0024】また、封入部4はシリンダ機能を備えているため、その内部は中空である。さらに、封入部4には、その内部の圧力が、例えば、所定圧力Pになるよう前記液体もしくは気体が通路部6を通って供給されている。
【0025】なお、前記液体もしくは気体には、例えば、流動性の良い油もしくは窒素系の高圧ガスあるいはエアーなどが用いられる。
【0026】また、受圧板2の直径は、封入部4の内径とほぼ等しく形成され、さらに、受圧板2とロッド部材3とが封入部4によって、滑る程度に接触して保持されているため、ロッド部材3と受圧板2とがピストンとなり、プレスラム部5の軸心方向(金型1の加圧方向)と同方向に往復運動する。
【0027】ここで、ロッド部材3と上型1aとは、固定的に接続されていても、また、フリーシャンク(嵌合などによる点接触)による接続であってもよい。
【0028】次に、本実施例のプレス方法についてその概略を説明する。
【0029】まず、受圧部材である受圧板2にプレス荷重を掛ける際に、密封状態で所定圧力Pを掛けた液体もしくは気体を介して受圧板2にプレス荷重を掛ける。
【0030】その後、プレス加工時に、圧力ゲージ7によって前記液体もしくは気体の圧力変動を検知することにより、圧力変動を生じた場合には、前記液体もしくは気体に掛ける圧力を圧力調整手段8によって調整する。
【0031】これにより、受圧板2に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保ってプレス加工を行う。
【0032】次に、本実施例のプレス装置を用いた半導体集積回路装置の製造方法について説明する。
【0033】まず、金型1の上型1aと下型1bとの間付近に設置された搬送ガイド部材10によって、金型1内に、半導体素子11の封止を終えた多連のリードフレーム12を有する半導体集積回路装置(被加工物)13を搬送し、金型1の所定位置に載置する。
【0034】続いて、下型1b上に載置された半導体集積回路装置13が所定位置に載置されていることを確認した後、プレスラム部5の移動を制御する駆動装置9によってプレスラム部5を下降する。
【0035】ここで、受圧部材である受圧板2にプレス荷重を掛ける際に、封入部4内の受圧板2に、前記液体もしくは気体を介してプレス荷重を掛ける。
【0036】なお、受圧板2には、封入部4内において、例えば、設定した所定荷重Pが掛かっており、封入部4内が所定荷重Pを保った状態でプレスラム部5が下降していく。
【0037】その後、上型1aのプレッシャパッド部1cと下型1bの曲げダイ部1dとが、リードフレーム12を挟んで固定し、さらに、プレッシャパッド部1cに備えられた曲げポンチ部1eが下降することにより、リードフレーム12の曲げ加工を行う(リードフレーム12の切断加工であってもよい)。
【0038】ここで、上型1aと下型1bとが接触し、リードフレーム12の加工終了後も、プレスラム部5とロッド部材3(受圧板2)とが、前記液体もしくは気体を介して独立しているため、プレスラム部5はさらに下降しようとする。
【0039】これによって、封入部4内の圧力(受圧板2にかかるプレス荷重)が所定荷重Pより大きくなるため、これを前記液体もしくは気体の通路部6に設置された圧力ゲージ7が検知し、圧力調整手段8に信号を送る。
【0040】前記信号を受けた圧力調整手段8は、封入部4内の圧力が所定荷重Pになるように、前記液体もしくは気体を封入部4内から排出する(前記液体もしくは気体に掛ける圧力を調整する)。
【0041】その結果、封入部4において、受圧板2に掛けるプレス荷重を予め設定した状態(ここでは、設定荷重P)に一定に保ってリードフレーム12の切断または曲げ成形を行うことができる。
【0042】次に、本実施例のプレス方法および装置ならびに半導体集積回路装置の製造方法によれば、以下のような効果が得られる。
【0043】すなわち、プレス加工時に、プレスラム部5から液体もしくは気体を介して受圧部材である受圧板2にプレス荷重を掛け、さらに液体もしくは気体の圧力変動を検知して、液体もしくは気体に掛ける圧力を調整することにより、予め設定したプレス荷重より大きな荷重が受圧板2に掛かると、プレスラム部5とロッド部材3とを独立させて動かすことができる。
【0044】これにより、受圧板2に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って被加工物である半導体集積回路装置13のリードフレーム12を加工することが可能になる。
【0045】その結果、上型1aと下型1bとの接触位置が変わったり、または、金型1などの摩耗あるいは金型1の交換によって上型1aの下死点位置が変化しても、下死点位置の変更作業を行わなくて済むため、プレス工程の作業効率を向上することができる。
【0046】また、受圧板2に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保ってリードフレーム12を加工することができるため、半導体集積回路装置13の製造不良を低減することができる。
【0047】その結果、半導体集積回路装置13の品質を安定化させることができる。
【0048】さらに、前記液体もしくは気体の通路部6に、前記液体もしくは気体の圧力を検知する圧力ゲージ7と、前記液体もしくは気体の供給または排出量を調整する圧力調整手段8とが設置されていることにより、前記液体もしくは気体に掛ける圧力を精度良く調整することができる。
【0049】その結果、前記同様に、半導体集積回路装置13の製造不良を低減することができ、さらに、半導体集積回路装置13の品質を安定化させることができる。
【0050】また、封入部4に収容する液体もしくは気体が、流動性の良い油または高圧ガスであることにより、封入部4内の圧力増加時におけるフィードバック制御の応答性を高めることができる。
【0051】その結果、被加工物である半導体集積回路装置13の製造不良を低減することができる。
【0052】以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0053】例えば、前記実施例においては、被加工物の一例として半導体集積回路装置を取り上げ、そのリードフレームのプレス加工について説明したが、前記被加工物は、半導体集積回路装置以外の他の板金部材などのように、全てのプレス加工(成形)部材に適用することができる。
【0054】
【発明の効果】本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0055】(1).プレス加工時に、プレスラム部から液体もしくは気体を介して受圧部材にプレス荷重を掛け、さらに液体もしくは気体の圧力変動を検知して、液体もしくは気体に掛ける圧力を調整することにより、予め設定したプレス荷重より大きな荷重が受圧部材に掛かると、プレスラム部とロッド部材とを独立させて動かすことができる。これにより、受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って被加工物を加工することが可能になる。
【0056】その結果、上型と下型との接触位置が変わったり、または、金型などの摩耗あるいは金型の交換によって上型の下死点位置が変化しても、下死点位置の変更作業を行わなくて済むため、プレス工程の作業効率を向上することができる。
【0057】(2).受圧部材に掛かるプレス荷重を予め設定した状態に一定に保って被加工物を加工できるため、被加工物の製造不良を低減することができる。その結果、半導体集積回路装置などの被加工物の品質を安定化させることができる。
【0058】(3).前記液体もしくは気体の通路部に、液体もしくは気体の圧力を検知する圧力ゲージと、液体もしくは気体の供給または排出量を調整する圧力調整手段とが設置されていることにより、液体もしくは気体に掛ける圧力を精度良く調整することができる。
【0059】その結果、前記同様に、半導体集積回路装置などの被加工物の製造不良を低減することができ、さらに、前記被加工物の品質を安定化させることができる。
【0060】(4).封入部に収容された液体もしくは気体が、流動性の良い油または高圧ガスであることにより、封入部内の圧力増加時におけるフィードバック制御の応答性を高めることができる。その結果、被加工物である半導体集積回路装置の製造不良を低減することができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】000233594
【氏名又は名称】日立北海セミコンダクタ株式会社
【出願日】 平成7年(1995)6月26日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
【公開番号】 特開平9−10999
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−158857