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【発明の名称】 プレス機械の停止時間測定装置
【発明者】 【氏名】福井雅喜

【目的】 機械プレス、液圧プレス等種々のプレス機械の停止時間を測定出来るプレス機械の停止時間測定装置を提供する。
【構成】 スライドに設けた加速度センサ2の加速度値と制御手段9により構成し、制御手段9はプレス機械の停止信号1を得、カウンタ4のカウントをスタートさせ、タイムラグ設定タイマ7の設定時間T2後に生じる加速度検出器3からの0加速度信号を得、カウンタ4のカウント値Cを得、このカウント値Cを表示器5に停止時間T0を表示する制御を順次行い、停止信号が出力されてからプレス機械が停止するまでの時間であるプレス機械の停止時間T0を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】運転中のプレス機械のスライドを停止するに要する時間を測定する、プレス機械の停止時間測定装置において、プレス機械のスライドに固設する加速度センサと、制御手段により構成する。この制御手段は、前記加速度センサの出力を受け0加速度を検出する加速度検出器と、カウンタと、停止時間を表示する表示器と、タイムラグ設定タイマと、プレス機械の停止信号を受ける停止信号入力部で構成する。プレス機械のスライドに前記加速度センサを同期ストロークさせ、プレス機械の停止信号を受けると同時に前記カウンタのカウントを開始し、前記タイムラグ設定タイマで設定した時間経過後の、前記加速度センサの出力が正から負、または負から正に変化する時点の0加速度を検出し、この検出信号により前記カウンタのカウントを停止し、そのカウント値をそのまま、あるいは換算して、プレス機械の停止時間として前記表示器に表示させることを特徴とするプレス機械の停止時間測定器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】運転中のプレス機械のスライドを停止するに要する時間を測定する、プレス機械の停止時間測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】運転中のプレス機械による人身事故を防止するため、人体の一部が、運転中のプレス機械の危険範囲に一定以上接近したら、危険範囲に侵入する前にプレス機械を停止することが求められている。このために、プレス機械のスライドを停止するまでに要する時間、すなわち、プレス機械の停止時間を求め、この停止時間を基に防護装置を設置して、この防護装置が作動して停止信号が出力されたら、プレス機械を停止する。
【0003】この防護装置は、機械的防護(ガード)装置・光線式の防護装置等で行っているが、これらの防護装置の設置位置、言い換えれば防護位置と危険範囲との距離を必要十分な値とするために、プレス機械の停止時間を求めている。また、プレス機械を停止する時は、運転しているプレス機械のスライドを含む駆動部分が、停止に至るまで作用する加速度の大小により、駆動部分の各部に歪みエネルギを保有して停止する場合から、歪みエネルギを持たずに停止する場合まである。
【0004】停止のための加速度が作用しなくなると、蓄えられた歪みエネルギが大きいと、この歪みエネルギが放出されるので、スライドあるいはクランク軸等のエンコーダを設けられた測定部分は振動し、時間の経過とともに減衰して停止し、蓄えられた歪みエネルギが小さいか、無い場合は、振動しないで停止する。
【0005】従来のプレス機械の停止時間測定装置の一例に、スライドまたはクランク軸に位置を検出するエンコーダを設け、制御手段に設けたカウンタは、プレス機械に停止信号が出力されたらカウントを開始し、制御手段に設けたカウンタは、プレス機械に停止信号が出力されたらカウントを開始し、エンコーダのパルスが一定時間出力されないとカウントを停止し、このカウント値を停止時間とする装置がある(特開昭55−96489)。
【0006】また、従来のプレス機械の停止時間測定装置の別の例に、逆転パルスが出力されたらカウントを停止し、このカウンタの値を停止時間とする装置がある(実公昭55−28396)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】特開昭55−96489のように、エンコーダの出力パルスが一定時間出ない場合にカウントを停止する停止時間測定装置では、プレス機械のスライドを含む駆動部分が、作用する停止の加速度により歪みエネルギを保有して停止すると、駆動部分の各部は、歪みエネルギを放出して振動する。この振動が減衰して一定時間パルスが出力されなくならないと、カウントは停止されないので、停止時間が長く測定されてしまうと言う欠点がある。
【0008】また、実公昭55−28396のように、クランク軸の回転位置を検出するエンコーダ、あるいはスライドの位置を検出するエンコーダを使用して、逆転パルスが出力されたらカウントを停止する停止時間検出装置では、逆転パルスが出力されないくらいの逆転量の小さい場合、あるいは逆転の無い場合は、カウントの停止信号が得られないので、停止時間が測定出来ないと言う欠点がある。
【0009】さらに、個々のプレス機械の停止時間を測定するに当たり、振動の有無、あるいはその程度を測定者が正しく判断することは、ほとんど不可能であった。しかし、この判断により、プレス機械の停止時間測定装置を選択し、例えば一定時間の測定条件を設定して停止時間を測定している。安全を確保するための重要な要素である停止時間なので、停止時間測定装置の測定条件を安全側、すなわち正しい停止時間よりも大きい停止時間となるように測定条件を設定して測定したプレス機械の停止時間のため、実際のプレス機械の停止時間より大きい停止時間になると言う欠点がある。
【0010】本発明は、上述のような従来技術の欠点を除いたプレス機械の停止時間装置を提供すること、言い換えれば、プレス機械各部の停止時の振動の有無に拘わらず、プレス機械の停止時間を測定出来る装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】プレス機械のスライドに固設する加速度センサと、この加速度センサの出力を受け0加速度を検出する加速度検出器と、カウンタと、停止時間を表示する表示器と、タイムラグ設定タイマと、プレス機械の停止信号を受ける停止信号入力部で構成する制御手段とで、運転中のプレス機械のスライドを停止するに要する時間を測定する、プレス機械の停止時間測定装置を構成する。
【0012】プレス機械のスライドに加速度センサを同期ストロークさせ、プレス機械の停止信号を受けると同時にカウンタのカウントを開始し、タイムラグ設定タイマで設定した時間経過後の、加速度センサの出力が正から負、または負から正に変化する時点の0加速度を検出し、この検出信号によりカウンタのカウントを停止し、そのカウント値をそのまま、あるいは換算して、プレス機械の停止時間として表示器に表示させる。
【0013】
【作用】運転していたプレス機械のスライドの加速度は、停止信号が出されてからプレス機械により決まるタイムラグの後に停止する方向に加速度が生じ、時間の経過とともに速度が低下し、ついには加速度が0になる。振動が無い場合は、この状態でプレス機械は停止している。ところが、振動の有る場合は、スライドの加速度は、振動が減衰して完全に停止するまでに、複数回のプラスとマイナスの加速度を有する状態と0加速度の状態が生じる。
【0014】このような状態では、初めて加速度が0になった時点が、スライドは最下点を通過して振動の中点まで上昇している状態なので、この時点をプレス停止と判定してもよい。すなわち、停止信号がだされてから、この初めての0加速度までの時間がプレス機械の停止時間となる。
【0015】上記の説明はスライドが下降中の場合を説明しているが、本発明の、このスライドの加速度から測定する場合は、停止信号の出る時点とプレス機械が停止する時点が、スライドの上昇と下降にまたがる場合は使用出来ないが、スライドの上昇中または下降中に停止信号が出て、同じ上昇中または下降中にプレス機械が停止する場合には使用出来る。
【0016】しかし、通常のプレス機械の停止時間の測定は、スライドが最大速度で下降中に停止信号を出し、スライドが下死点前で停止する状態で行われるので、何ら問題なく、停止時間を測定出来る。
【0017】
【実施例】本発明の一実施例を図1及び図2により説明する。停止信号1は、図示していない防護装置またはプレス機械の制御盤から出される。加速度センサ2は、図示していないプレス機械のスライドに固設され、スライドに同期して直線運動し、その加速度を出力する。制御手段9には、加速度検出器3、カウンタ4、表示器5、制御装置6並びにタイムラグ設定タイマ7が設けられている。
【0018】本実施例でのプレス機械の停止時間の測定は、以下の通りに行われる。制御装置6は、停止信号1が入力されたら、カウンタ4にスタート信号を出力し、カウンタ4はカウントを開始する。加速度センサ2の出力信号は、加速度検出器3に入力され、加速度検出器3は、0加速度を検出すると、制御装置6に0加速度信号を出力する。タイムラグ設定タイマ7の設定時間を過ぎて、制御装置6が設定オーバ信号を得て、0加速度の信号を得たら、直ちにカウンタ4に停止信号を出力し、カウンタ4のカウントを停止する。制御装置6は、このカウンタ4のカウント値を得て、そのカウント値を表示器5に出力して表示する。この表示する値が、プレス機械の停止時間となる。
【0019】次に、停止信号が解除され、次のサイクルであるプレス機械が運転されたら、制御装置6はカウンタ4、表示器5、タイムラグ設定タイマ7を初期状態に復帰して、次のサイクルの停止時間を測定出来るようにする。なお、制御装置6は、カウンタ4に停止信号を出力する替わりに、その時のカウント値を得て、表示してもよい。
【0020】図2は、スライドが下降中にプレス機械の停止時間を測定する場合の、停止信号、スライドの変位、スライドの加速度及びカウンタの作動状態を示している。図2(a)は、プレス機械の停止信号を表し、プレス機械が運転中はONの場合を示している。
【0021】図2(b)は、スライドの変位を示しており、停止信号が出された時の状態A1から、タイムラグの時間T1を経過した状態がB1、プレス機械を停止する動作が作用してスライドが最下点を通過して振動の中点まで上昇した状態C1を経て、振動が減衰して完全な停止に至る状態を示している。
【0022】図2(c)は、スライドの加速度を示しており、停止信号が出された時の状態A2から、タイムラグの時間T1を経過した状態がB2、プレス機械を停止する動作が作用してスライドに生ずる停止の加速度が最大値を経過し通過して、加速度が0になった状態C2を経て、振動に伴う加速度が減衰して完全な停止に至る状態を示している。もちろん、振動が生じない場合は、加速度が0になった状態で、スライドは停止している。
【0023】図2(d)は、カウンタ4のカウントのスタートするA3、カウントの停止するC3を示している。スタートA3から停止C3までの時間は、カウンタ4のカウント値Cで、これがプレス機械の停止時間T0になる。カウンタ4は、1ms(ミリセコンド)を単位を単位にカウントして、その値をそのまま表示に利用してもよい。タイムラグ設定タイマ7の設定時間T2は、タイムラグT1より大きく、プレス機械のスライドが停止の動作である減速制動が始まった後の、定常加速度状態のT3からT4の間の時間に設定され、その後に生ずる加速度が0の状態C2を判別するようにしている。
【0024】なお、状態C2の前後のタイミングで、0に近い別に定められた許容値以下の加速度になると、スライドはほとんど変位しないので、この許容値以下の加速度の場合を0加速度の状態と置き換えて、プレス機械の停止時間を測定してもよい。
【0025】また、本実施例では、スライドが逆方向に動作すると、必ず加速度が0になる状態を経過し、この状態でカウントを停止させ、そのカウント値を停止時間としている。このカウントの停止のタイミングは、従来技術の逆転パルスを利用して停止時間を測定する装置のカウントの停止の状態から1/4振動周期遅れた状態である。
【0026】また、歪みエネルギが小さく逆転しない場合にも、本実施例では、スライドが停止した状態で加速度は0となり、カウントの停止のタイミングとなるから、従来技術の出力パルスが一定時間出ない状態を利用して停止時間を測定する装置に替わる装置になり、さらに振動する場合にカウントを停止するタイミングが遅れることもない。
【0027】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、プレス機械の停止状態により、従来技術では、測定装置を変えないと測定出来なかったが、本発明の停止時間測定装置は、種々の機構のプレス機械、例えば機械プレス、液圧プレス、ねじプレス等に対しても、プレス機械の停止時間を測定出来る装置を提供することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000100861
【氏名又は名称】アイダエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成7年(1995)6月23日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−10997
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−180679