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【発明の名称】 乾式冷間等方圧加圧方法及び装置
【発明者】 【氏名】岸 新和

【目的】 製品のクラック発生、破壊防止を図る。
【構成】 圧力容器1と、該容器1内に配設される成形ゴム型7と、圧力容器1の上部開口2及び下部開口3を開閉自在に閉塞する上蓋4及び下蓋5と、圧力容器1と成形ゴム型7の間に配設される加圧ゴム型6と、成形ゴム型7の上下部開口14,29を開閉自在に閉塞する上下パンチを備えている乾式冷間等方圧加圧装置であって、上記上パンチを内外二重構造とし、上内パンチ13と下内パンチ12の隙間Cと外部とを連通する通気孔17,21を設け、成形ゴム型7内に充填された原料中に混在する空気を、加圧に伴って隙間Cから通気孔17,21を経て外部(大気中)に放出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 圧力容器内に配した加圧ゴム型及び成形ゴム型を介して粉末原料を加圧圧縮成形する乾式冷間等方圧加圧方法において、加圧成形時に成形ゴム型内の原料中に混入した空気を、成形ゴム型外に排出することを特徴とする乾式冷間等方圧加圧方法。
【請求項2】 圧力容器と、該容器内に配設される成形ゴム型と、圧力容器の上部開口及び下部開口を閉塞する上蓋及び下蓋と、前記成形ゴム型の上下部開口を開閉自在に閉塞する上下パンチとを備えている乾式冷間等方圧加圧装置において、前記上・下パンチのいずれか一方又は両方を内外二重構造とし、内外両パンチ間の成形ゴム型に連通する隙間と圧力容器外部とを連通する通気孔を設けたことを特徴とする乾式冷間等方圧加圧装置。
【請求項3】 前記内側パンチ又は内外両パンチを上下外蓋に対して着脱自在としたことを特徴とする請求項2に記載の乾式冷間等方圧加圧装置。
【請求項4】 前記通気孔の出口に強制排気手段を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の乾式冷間等方圧加圧装置。
【請求項5】 前記上下パンチのいずれか一方又は両方の少なくとも成形ゴム型側端部が連続気泡の多孔質体からなることを特徴とする請求項2,3又は4に記載の乾式冷間等方圧加圧装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加圧ゴム型を介して成形ゴム型内に充填された粉末原料を加圧圧縮成形するための乾式冷間等方圧加圧方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、圧力容器内に配した成形ゴム型内に、その上方から粉末原料を自重落下により供給し、加圧圧縮成形する乾式冷間等方圧加圧装置が知られている(実開平1−80296号公報、実開昭62−60231号公報、実開昭62−186936号公報参照)。
【0003】図5に例示する装置(実開平1−80296号公報参照)は、圧力容器41と、該容器41の上下開口を着脱自在に閉塞する上外蓋42、上中蓋43、下外蓋44、下中蓋45と、圧力容器41内に配設された加圧ゴム型46、成形ゴム型47と、上中蓋43下面に取付けられた上パンチ48と、下中蓋45上面に取付けた下パンチ49と、上・下中蓋43,45を上下から支持するプレスフレーム50とから成っている。
【0004】そして、上中蓋43及び上パンチ48を抜き出した状態で、上方から粉末原料Mを成形ゴム型47内に供給し、再び上中蓋43及び上パンチ48を上外蓋42に嵌め込んだ後、プレスフレーム30を圧力容器41の中心にセットしてこれを支持し、圧力容器41の圧媒導入口51から圧媒(液体)を導入して加圧ゴム型46外周の圧力室52内に供給する。この時に発生する圧力による軸方向の荷重を、プレスフレーム50により支持する。
【0005】前記加圧ゴム型46の圧力室52内の圧力上昇により、成形ゴム型47内の粉末原料Mが圧縮成形される。このようにして、原料の加圧圧縮成形が完了すると、圧力容器41の中心から外方にプレスフレーム50を移動させ、下中蓋45及び下パンチ49を下方に抜き出すことにより、被成形物が共に成形ゴム型47から下方に取り出される。
【0006】また、実開昭62−60231号公報に開示された乾式冷間等方圧加圧装置は、図示していないが図5に示す下中蓋45とプレスフレーム50の間にバックアップシリンダを設け、被成形物の減圧時の破壊を防止するようになっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記各従来技術において粉末原料を成形ゴム型に投入した際、空気が混入しているが、加圧時に、成形ゴム型47が加圧力によって上下パンチ48,49の外周面を締め付け、シール状態となって隙間がなくなるので、空気が成形ゴム型47内に閉じ込められる。
【0008】上記従来技術では、成形ゴム型47内に閉じ込められた空気は、加圧によって圧縮されるが、成形完了後の除圧時に膨張して元の体積に戻ろうとする。この空気の膨張による衝撃で、被成形体にクラックが生じたり破壊されるという問題がある。本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、クラックの発生や破壊を防止して良品質の被成形体を得ることができる乾式冷間等方圧加圧方法および装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。即ち、本発明方法は、上述のように、圧力容器内に配した加圧ゴム型及び成形ゴム型を介して粉末原料を加圧圧縮成形する乾式冷間等方圧加圧方法において、加圧成形時に成形ゴム型内の原料中に混入した空気を、成形ゴム型外に排出することを特徴としている。
【0010】また、本発明装置は、圧力容器と、該容器内に配設される成形ゴム型と、圧力容器の上部開口及び下部開口を閉塞する上蓋及び下蓋と、前記成形ゴム型の上下部開口を開閉自在に閉塞する上下パンチとを備えている乾式冷間等方圧加圧装置において、前記上・下パンチのいずれか一方又は両方を内外二重構造とし、内外両パンチ間の成形ゴム型に連通する隙間と圧力容器外部とを連通する通気孔を設けたことを特徴としている。
【0011】そして、本発明装置は、前記内側パンチ又は内外両パンチを上下外蓋に対して着脱自在としたことを特徴としている。さらに、本発明装置は、前記通気孔の出口に強制排気手段を設けたことを特徴としている。さらにまた、本発明装置は、前記上下パンチのいずれか一方又は両方の少なくとも成形ゴム型側端部が連続気泡の多孔質体からなることを特徴としている。
【0012】
【作用】本発明によれば、内外二重構造とされたパンチの内外側パンチ間に成形ゴム型に連通する若干の隙間(粉末原料の粒子が入り込まない程度)を設けることで、該隙間に通じる通気孔を介して成形ゴム型内と大気側(圧力容器外部)とを連通させることができる。
【0013】したがって、上パンチを上昇させて成形ゴム型内にその上方から粉末原料を充填し、再び上パンチを下降させて成形ゴム型を閉塞した後、加圧ゴム型の外周に圧媒を供給して加圧成形を開始すると、成形ゴム型の上下端部が上下外側パンチの外周面に密着される。しかし、内外側のパンチ間の隙間は依然として密閉されていないので、粉末原料の加圧に伴って該原料中に混入している空気が、前記隙間から通気孔を経て圧力容器外部(大気中)に放出される。このようにして、成形ゴム型内に空気が閉じ込められることはなくなり、成形された製品即ち被成形体内にも空気が残存しないため、成形完了後の減圧段階において空気の膨張がなく、したがって、被成形体にクラックや破壊が発生しない。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。図1は、本発明方法を実施する装置の第1実施例を示している。同図において、1は乾式の冷間等方圧加圧装置における筒状の圧力容器で、上部及び下部に夫々開口2,3が形成され、夫々上・下蓋4,5によって閉塞されており、圧力容器1内には筒状とされた加圧ゴム型6及び成形ゴム型7が組み込まれている。そして、圧力容器1の胴部には、内周面と加圧ゴム型6の外周の間に形成された加圧室8内に圧媒液体を供給する圧媒供給路9が形成されている。
【0015】前記上蓋4は、中央にパンチ挿入孔10を有する上外蓋11と、該孔10に挿脱自在とされた内外二重構造の上外パンチ12及び上内パンチ13とにより構成され、上内パンチ13が上外パンチ12(スリーブ状)に対して挿脱自在に嵌装されており、上パンチ12,13により前記成形ゴム型7の上部開口14が開閉自在に閉塞されている。
【0016】前記上外蓋11はフランジ部11Aを備え、該蓋11の前記孔10に挿通されたスリーブ状の上外パンチ12の上端に設けたフランジ部12Aが、前記フランジ部11A上に載置され、中央に上内パンチ13を摺動自在に嵌合する孔15Aを有する下部スペーサー15を介して、両フランジ部11A,12Aが圧力容器1の上端にボルト16により取付けられている。
【0017】また、上内パンチ13には、その上端にフランジ部13Aが設けられると共に、下端部外周面及び上端部外周面に連通する通気孔17が設けられており、前記フランジ部13Aが上部スペーサ18を介して、上パンチ昇降台19の下面にボルト20により取付えられ、前記通気孔17の上端開口部が上部スペーサ18に設けた通気孔21に連通されている。
【0018】なお、通気孔21の外端は大気開放となっている。そして、前記上内パンチ13の下端部(少なくとも通気孔17の下部開口部まで)嵌め合い部分は、若干の隙間C(粉末原料の粒子が入り込まない程度の大きさ)が設けられており、この隙間Cに前記通気孔17の下部開口部が連通するようにしてある。前記下蓋5は、被成形体取出口22を有する下外蓋23と、上端に下パンチ24を備えかつ前記取出口22に挿脱自在とされた下中蓋25とからなり、下パンチ24は下中蓋25にボルト26により取付けられており、下パンチ昇降台27により昇降自在とされている。なお、下外蓋23は、前記圧力容器1の下面に、固定具28により着脱自在に取付けられている。
【0019】また、下パンチ24の上端部は、前記成形ゴム型7の下部開口29を、開閉自在に閉塞しており、前記下中蓋25と共に前記下パンチ昇降台27により上下動されて、前記下部開口29を開閉する。なお、30はプレスフレームで加圧時における軸方向荷重を支持するものである。
【0020】上記第1実施例において、粉末原料Mを圧縮成形する場合、まず、プレスフレーム30を待機位置に移動させ、上パンチ昇降台19を上昇動させることにより、前記両スペーサー15,18間が離れて上パンチ昇降台19、スペーサー18と共に上内パンチ13が上昇し、成形ゴム型7がスリーブ状上外パンチ12の内孔を介して大気開放される。
【0021】そこで、スペーサー15の孔15A上方から粉末原料Mを投入して成形ゴム型7内に充満させた後、上パンチ昇降台19を下降動させて、上外パンチ12に上内パンチ13を挿入し、成形ゴム型7を閉塞する。続いて、プレスフレーム30を移動させて前記上・下パンチ昇降台19,27の上下所定位置に停止させ、圧媒供給孔9から加圧室8内に圧媒液体を供給して加圧成形を開始する。
【0022】加圧開始により、成形ゴム型7の上下端部は、上下パンチ12,24の外周面に密着するが、上外パンチ12と上内パンチ13の隙間Cは密着しないので、粉末原料Mに混在している空気が、前記隙間Cから通気孔17を通って外部(大気中)へ放出され、これによって、脱気が十分に行なわれ、成形ゴム型7内に空気が閉じ込められなくなる。
【0023】なお、前述のように、前記隙間Cは、粉末原料の粒子が入り込まない程度の大きさであるから、前記粒子が詰まって脱気が不能になることはない。このようにして、加圧圧縮成形が完了すると、前記圧力室8内の圧媒液体を排出し、プレスフレームを所定待機位置へ移動させた後、下パンチ昇降台27を下降させ、下パンチ24と共に製品(被成形体)を成形ゴム型7から下方に取り出す。
【0024】上記実施例によれば、成形ゴム型7内の粉末原料中に混入していた空気は排出されるため、成形完了後の減圧段階(圧媒液体排出時)において、製品にクラックや破壊が生起せず、良品質の製品を得ることができる。図2は、本発明装置の第2実施例を示し、第1実施例と異なるところは、スペーサー15をなくして上外パンチ12のフランジ部12Aをスペーサー18にボルト31により着脱自在に取付け、上外パンチ12と上内パンチ13を共に挿脱して、成形ゴム型7の上部開口14を完全に開閉するようにした点であり、原料の投入・充填が十分にかつ容易に行なえ、被成形体上部の形状不良(ネッキング)が防止できるほかは第1実施例と同様の作用効果を期待することができる。
【0025】したがって、第1実施例と共通する構成については、図1と同符号を付し、詳細説明を省略する。図3は、本発明装置の第3実施例を示し、第1実施例と異なるところは、下パンチが内外二重構造とされ、下部からも成形ゴム型7内の脱気を行ない得るようにした点であり、具体的にはスリーブ状の下外パンチ24Aと下内パンチ24Bが共に下中蓋25にボルト26により一体的に取付けられ、下外パンチ24Aには両パンチ24A,24Bの間の間隙Cに通じる通気孔32が設けられ、下外蓋23には下外蓋23と下中蓋25及び下外パンチ24Aの間隙から通気孔32に通じる通気孔33が設けられている。
【0026】そして、下内・外パンチ24A,24Bは、一体的に上下動して成形ゴム型7の下部開口29を開閉するので、両パンチ24A,24B間の隙間Cからも、成形ゴム型7内の通気を行ない得る点以外は、第1実施例と同じ作用効果を期待することができる。したがって、第1実施例と共通する構成は、図1と同符号を付し、詳細説明を省略する。
【0027】また、第3実施例において、通気孔21,33の外端に、夫々真空ポンプ34等の強制排気手段を設けることによって、脱気効果を十二分に高めることができる。なお、第1及び第2実施例においても、通気孔21の外端に強制排気手段を接続することができる。図4は、本発明装置の第4実施例の要部を示し、上内パンチ13の成形ゴム型7上端開口側端部(下端部)を連続気泡による多孔質体35により構成した点において、第1〜第3実施例と異なっている。第4実施例によれば、脱気間隙を増大し効率的な脱気を行なうことができ、製品の品質向上が図れる。
【0028】なお、前記多孔体35は、上外パンチ12の内端部又は上両パンチ12,13の内端部(下端)に設けることができ、さらに、第1〜第3実施例にも採用することが可能である。本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、例えば、内・外両パンチ12,13,24A,24B間を通気路とすることができ、また、下パンチ24にのみ図3に示す脱気手段を設けるなど、適宜設計変更可能である。
【0029】
【発明の効果】本発明は、上述のように、加圧成形時に成形ゴム型内の粉末原料中に混在する空気を、成形ゴム型外に排出するので、被成形体(製品)中に空気が残存せず、加圧圧縮成形完了後の減圧段階における空気膨張がなく、したがって被成形体にクラックや破壊が生起しない。
【0030】また、本発明装置は、上・下パンチのいずれか一方又は両方を、内外二重構造とし内外両パンチ間の隙間と外部とを連通する通気路を設けているので、構造が簡単でかつ十分な脱気を行なうことができる。そして、本発明装置は、内側パンチ又は内外両パンチを上下外蓋に対して着脱可能としたので、原料投入及び被成形体取出しに支障をきたすことはない。
【0031】さらに、本発明装置は、通気孔の出口(外端)に強制排気手段を設けたので、脱気効率を格段に向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成7年(1995)6月21日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄
【公開番号】 特開平9−1397
【公開日】 平成9年(1997)1月7日
【出願番号】 特願平7−155005