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【発明の名称】 空缶圧潰装置
【発明者】 【氏名】川 崎 寛

【目的】 2枚の間に空缶を配置し、該2枚の板が接近、離反することにより該空缶を圧潰する空缶圧潰装置において、総圧潰力を従来の半分以下にすること。
【構成】 空缶4を挿入する空間を間に形成する固定板2および可動板1の少なくとも一方のものに細い桟3を有する圧潰面を形成する。桟3は圧潰工程中、単位面積当り大きな集中圧潰力を空間に作用させ、圧潰を容易にし、総圧潰力を少なくする。桟3は、十字形、Y字形、数条の平行桟、格子状等に形成できる。可動板1をワイヤー13で駆動することにより、不要な出っ張りを省き、装置全体を小型化できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】両端に円形端面を有する空缶の該円形端面にそれぞれ対向し、間に空缶収容空間を形成する1対の固定板および可動板と、固定板および可動板を相互に接近、離反するように駆動する手段とを有し、固定板および可動板を相互に接近するように駆動することによって、それらの間に配置した空缶を圧潰する空缶圧潰装置であって、前記固定板および可動板の少なくとも一方のものの、空缶に対向する面に、空缶の円形端面を十分に覆う大きさの桟を固定して圧潰面を形成したことを特徴とする空缶圧潰装置。
【請求項2】前記固定板および可動板の桟を有しないものの面が平面をなしていることを特徴とする請求項1に記載の空缶圧潰装置。
【請求項3】前記圧潰面の桟が十字形をなしていることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の空缶圧潰装置。
【請求項4】前記圧潰面の桟がY字形をなしていることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の空缶圧潰装置。
【請求項5】前記圧潰面の桟が数条の平行な桟からなることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の空缶圧潰装置。
【請求項6】前記圧潰面の桟が格子状をなしていることを特徴とする請求項1および2のいずれかに記載の空缶圧潰装置。
【請求項7】前記固定板および可動板を水平方向に対向状に配置し、それらの間に空缶保持台を水平に配置し、可動板の固定板に対する水平移動を案内する案内手段を設けるとともに、固定板に近接して空缶保持台に、圧潰された空缶の排出開口を形成したことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、および6のいずれかに記載の空缶圧潰装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジュース、ビール等の空缶を所定厚に押し潰す一般家庭向けの空缶圧潰に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ジュースやビール等の空缶が環境に及ぼす影響が顕著化し、いかに回収するかが問題になっている。回収された空缶の運搬、処理の効率化のため空缶を圧潰して処理することの必要性は衆人の認めるところである。
【0003】そのため、従来から種々の空缶プレス機が出願され、また実用化されている。例えば特開平6−246495号(シリンダー方式)、特開平5−57490号(ローラ式)、特開平6−23593号(ねじ軸式)等がある。しかし、これらは空缶を単に圧潰することを目的とするものや縦方向に圧潰するものであるため強い圧潰力が必要となり、そのため装置全体が強固に成らざるを得ず必然的に大型化するという問題がある。また、駆動モータ等もいきおい高出力のものを必要とせざるを得ない。
【0004】この空缶の圧潰力を小さくするために特開平6−246491号に画期的方法が公開されている。これは空缶を縦方向に圧潰するに関して、該空缶をその頂面および底面の各外周縁の一部が可動板と固定板の間に斜めに接するように配置されることを特徴とする。
【0005】該装置によれば、斜め20°(対角)で配置された場合190mlスチール缶を圧潰するに必要な圧潰力は180kgと記されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ここで問題となるのは圧潰された空缶の形状である。例えば斜め20°で圧潰した場合、圧潰後の投影占有面積は頂面および底面を平行に圧潰した場合の約1.4倍となる。ちなみに圧潰後の嵩は約25mm前後であり、これは他の方法と同値であった。また、圧潰が進み頂面および底面が可動板および固定板に密着した後の圧潰力は均等荷重とならざるを得ない。
【0007】また、斜めに空缶を配置して圧潰する場合のもう一つの欠点は、可動板および固定板に圧潰力の分力が働き、これに抗するために装置全体を強固にする必要があることである。
【0008】なお、この場合も可動板の駆動は、ボールねじまたは流体シリンダーであるため、送りストロークの関係で装置は大型化する。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑み、空缶の軸線方向に直角をなす固定板および可動板により空缶軸線方向に圧潰するにもかかわらず空缶の圧潰力を従来の半分以下にし、かつ圧潰後の空缶の投影占有面積も最小であり、その上、圧潰装置が小形で済む空缶圧潰装置得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明によれば、両端に円形端面を有する空缶の該円形端面にそれぞれ対向し、間に空缶収容空間を形成する1対の固定板および可動板と、固定板および可動板を相互に接近、離反するように駆動する手段とを有し、固定板および可動板を相互に接近するように駆動することによって、それらの間に配置した空缶を圧潰する空缶圧潰装置において、固定板および可動板の少なくとも一方のものの、空缶に対向する面に、空缶の円形端面を十分に覆う大きさの桟を固定して圧潰面を形成する。
【0011】請求項2の発明によれば、固定板および可動板の桟を有しないものの面が平面をなすようにする。
【0012】また、請求項3、4、5および6の発明によれば、圧潰面の桟をそれぞれ十字形の桟、Y字形の桟、数条の平行な桟、格子状の桟より構成する。
【0013】さらに、請求項7の発明によれば、固定板および可動板を水平方向に対向状に配置し、それらの間に空缶保持台を水平に配置し、可動板の固定板に対する水平移動を案内する案内手段を設けるとともに、固定板に近接して空缶保持台に、圧潰された空缶の排出開口を形成する。
【0014】
【作用】請求項1の発明では、固定板に対して可動板が接近することにより圧潰工程が、行われるにつれ、空缶は圧潰面の桟が細いことにより単位面積あたり大きな集中圧潰力を受け、単なる平面による圧潰力を受ける場合に比し、圧潰に要する総圧潰力は極端に少なくなる。
【0015】空缶に働く総圧潰力は作用点が少ないほど低くて済むが、空缶を圧潰開始から終了まで安定して圧し続けるためには、空缶の円形端面に対して3か所以上の作用点が必要である。
【0016】請求項2の発明のように、固定板および可動板の桟を有しないものの面が平面をなすようにすることによって、該平面において空缶の端面への接触支持が安定してなされる。
【0017】また、請求項3、4、5および6の発明のように、圧潰面の桟をそれぞれ十字形の桟、Y字形の桟、数条の平行な桟、格子状の桟により構成することにより、空缶の端面に対する桟の食い込みが種々の形状でなされ、同様に、空缶の端面の単位面積あたり大きな集中圧潰力が発生し、単なる平面による圧潰力を受ける場合に比し、圧潰に要する総圧潰力は大きく減少する。
【0018】また、請求項7の発明のように、固定板および可動板を水平方向に対向状に配置し、それらの間に空缶保持台を水平に配置し、可動板の固定板に対する水平移動を案内する案内手段を設けるとともに、固定板に近接して空缶保持台に、圧潰された空缶の排出開口を形成することにより、固定板および可動板の間で空缶保持台に水平状態で保持されつつ圧潰された空缶は、最後に排出開口から落下する。案内手段は可動板の固定板方向への移動を案内し、圧潰作用を一層安定したものとする。
【0019】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。図1は、この発明の空缶圧潰装置の一例を原理的に示したもので、同図中、1は空缶圧潰装置の可動板で、それに対向して固定板2が設けられている。可動板1と固定板2との間には空缶4を挿入する空間が設けられていて、空缶4はその長手方向軸線が可動板1と固定板2を結ぶ方向と一致するように挿入される。空缶4の両端面は円形をなしている。可動板1と固定板2はそれらの対向する支持面が平面をなしており、可動板1の空缶に対向する支持面には桟3が一体的に固定されて圧潰面が形成されている。桟3は、その空缶4側の縁が鋭角に加工されており、これによって、桟3は空缶4の端面に食い込みやすくなっている。桟3の形状については後述する。
【0020】図1において、可動板1が固定板2に向かって図示を省略した駆動装置により矢印A方向に移動させられると、固定板2の平面状支持面は空缶4を安定した状態で支持する。この時、固定板2の支持面全体にわたって圧潰反力が作用する。これは、駆動装置が作用させる総押圧力に等しい。一方、可動板1からは、その桟3を介して空缶4の端面に力が作用するが、この力は細い桟3のみを介して空缶4に作用するので、空缶4の端面には、単位面積あたり大きな集中圧潰力が作用し、単なる平面による圧潰力を受ける場合に比し、圧潰に要する総圧潰力は極端に少なくなる。
【0021】図1の実施例では、桟3は可動板1に設けられているが、桟3は図2に示すように固定板2に設けるようにしてもよい。また、図3に示すように、可動板1および固定板2の両方に設けてもよい。
【0022】図4乃至図7は圧潰部の桟3の形状を示す。図4の例は桟3を十字形に設けたものであり、図5の例は桟3Y字形に設けたものである。また、図6の例は桟3を平行に数条設けたものであり、図7の例は桟3を格子状に設けたものである。
【0023】なお、桟3の高さは3mm乃至7mm程度とするのがよい。なぜならば、低すぎると桟3の効果がなく、高すぎると圧潰後の缶が桟3に噛み込むからである。図6および図7の平行桟および格子状桟の間隔は概略30mmピッチとするのがよい。
【0024】以下、空缶圧潰の実験データを表1に示す。なお、表1の最上段の値は2枚の平板(固定板、可動板)を空缶の端面に平行にして桟を用いることなく圧潰した場合の値である。これを縦圧縮と呼ぶ。使用した空缶は190mlスチール缶(サントリーBOSSコーヒー缶)である。
【0025】また、実験は十字形桟(図4に示す)、Y字形桟(図5に示す)については可動板1に桟3を設けた場合(図1に示す)と固定板2に桟3を設けた場合(図2に示す)の2種類を、平行桟(図6に示す)、格子桟(図7に示す)については、上述の2種類の実験と、それとは別に可動板1および固定板2の両方に桟3を設けた場合(図3に示す)の計3種類とした。
【0026】十字形桟、Y字形桟について可動板および固定板の両方に桟をつけた場合を実験しなかったのは、各々、その桟の交点に正しく空缶の円形端面を配することが困難なため実用性の面を考慮したからである。
【0027】
【表1】

ここで最大圧潰力とは圧潰工程の荷重変化のうちの最大値をいい、平均圧潰力とは圧潰工程中変動する荷重の値を平均した値をいう。なお、実験は各々5回ずつ行った。
【0028】上記実験データより、桟3を設けた場合、縦圧縮と同一の方向性を有しながらも、その最大圧潰力は縦圧縮の場合の最大圧潰力600kgの半分以下となっていることが分る。平均圧潰力はいずれにおいてもさしたる変化はみられない。ちなみに、圧潰速度は20mm/分、100mm/分および500mm/分で実験したが速度による圧潰力の変化はみられなかった。
【0029】なお、桟付で斜め圧縮の圧潰力はどのようになるのかという疑問から以下のような実験も実施した。
【0030】図9は、平行な数条の桟3′の各々の高さを順次変え、桟3′を並べた場合に約3°の傾斜角αがつくように構成した圧潰面をもつ可動板1(固定板2でも可)を示す。また、図10は、平行な数条の桟3′と、それに直交する平行な数条の桟3″を組み合せて格子状にし、桟3′の高さを順次変え、格子に桟3″の長手方向に3°の傾斜をつけたものを示す。これにより、格子面が傾斜した圧潰面をもつ可動板1(固定板2でも可)が得られる。このような圧潰面と平面を有する圧潰面との間に空缶4を配置し圧潰したところ、表2の結果が得られた。
【0031】図11は、図10の約3°の傾斜をもつ格子面を有する可動板1と同じ格子面を有する固定板2を互いに90°の位相差で対向させ、空缶4に斜め圧縮と同時にねじれを発生させるようにした場合を示す。
【0032】実験に用いた圧潰速度は100mm/分とした。また、桟の取付ピッチは同じく30mmピッチとした。空缶は同じくサントリーBOSSコーヒー缶を使用した。実験結果は以下の通りであった。
【0033】
【表2】

表2の実験結果により、格子面を傾斜させても、あるいは90°の位相差で格子を対向させても、平行に圧潰した時に較べ著しい圧潰力の軽減はみられず、なおかつ、圧潰後の空缶形状の不均一、および力の分力の影響が著しいことが判明した。
【0034】図8は本発明による空缶圧潰の具体的実施例を示す。可動板1および固定板2(いずれも圧潰面の桟3は図示せず)は空缶4が配置可能に間隔をあけて水平方向に対向して配設されている。空缶4は空缶投入口(図示せず)から投入されると、可動板1と固定板2の間に水平に固定した樋状空缶保持台5の上に導かれる。空缶保持台5はその一端を固定板2に固着され、固定板2との間に圧潰後の空缶の排出口7を形成するため隙間Aを有している。空缶保持台5の他端は可動板1を摺動自在に貫通している。可動板1には空缶保持台5が嵌通可能な切り欠き部6が加工されている。
【0035】可動板1はワイヤー13に拘持され該ワイヤー13の動きに従動する。可動板1の移動時の揺動を防止するため2本以上のガイド棒12が可動板1を嵌通している。ワイヤー13は、一端をプーリ10に繋着した後可動板1の移動量に相当する長さをプーリ10に巻回され、プーリ10a,10bを介して可動板1に途中が拘持され、更にプーリ10cを介してプーリ10に他端を繋着されている。このように構成されているため、プーリ10の回転駆動によりワイヤー13は可動板1をガイド棒12に沿い固定板2に対して接近、離反させる。
【0036】プーリ10は中間に歯車9eを挿着した駆動軸11の両端に固着され、モータ8の出力軸に装着された歯車9、該歯車9に順次噛み合わされた歯車9a、9b、9cおよび9dにより減速駆動される。
【0037】本発明の上記実施例は上述のごとく構成されているから、先ず、空缶投入口(図示せず)から投入された空缶4は空缶保持台5上に導かれる。次にモータ8を稼動させることにより、歯車9、9a、9b、9c、9dおよび9eを介して、プーリ10が回転し、該プーリ10に巻回したワイヤー13は解かれ、該ワイヤー13の他端側は巻き取られる。従って、ワイヤー13に拘持された可動板1は固定板2に接近する。空缶4はその円形端面を細い桟3で押されるため単位面積あたり極めて大きい集中圧潰力により圧潰される。また、圧潰中の空缶4の桟3側の円形端面は該桟3の集中圧潰力により変形し、各桟3を挾持する状態になるため圧潰中の空缶4が上方等へ飛び出すことを防止できる。空缶4が完全に圧潰された後、モータ8を逆転することにより可動板1は固定板2から離反する。このとき圧潰されて偏平になった空缶4′は排出口7から下方へ落下する。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているため、空缶の端面に細い桟を介して単位面積当り大きな集中圧潰力が作用することにより、圧潰を起し易く、空缶の圧潰に必要な総圧潰力が従来の半分以下となりエネルギーコストの低減を図ることができる。また、空缶をその長手方向軸線方向に、しかもその軸線に直交する面の間で平行に圧潰するため力の分力が作用しないので、装置製造において強固に製作する部品は可動板及び固定板のみで良く、設計が容易で製造コストが安くて済む。
【0039】また、桟を十字形、Y字形、平行桟、格子状に形成することにより、桟と空缶端面の接触をバランスのとれたものとし、圧潰を確実にすることができる。
【0040】さらにまた、可動板の移動をワイヤーによって行う場合には、装置全体が小型化できるという利点がある。
【0041】また、本発明では空缶をその長手方向軸線方向に圧潰するので、圧潰後の缶の形状は偏平な円形をなして安定したものとなり、缶のプルタブ部が突出する等の問題がなく、圧潰後の缶を手にもった場合の危険がなくなり、圧潰物の嵩が小さくなる。これに対し、空缶をその長手方向軸線に直交する方向に圧潰する(缶の横方向に圧潰する)場合には、圧潰後の缶の投影面積は上記場合より大きくなり、また缶の形状も不規則で安定性がなく、圧潰過程でプルタブ部に亀裂が入り外側に出張って危険であり、また仮に桟を介在させて圧潰を行なった場合でも、桟が缶の周面に局部的に当たる等の問題があり、桟の効果はあまり期待できない。
【出願人】 【識別番号】591252105
【氏名又は名称】株式会社カワサキ製作所
【出願日】 平成7年(1995)6月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
【公開番号】 特開平9−1394
【公開日】 平成9年(1997)1月7日
【出願番号】 特願平7−150544