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【発明の名称】 支面材抜出工具
【発明者】 【氏名】▲高▼澤 勲

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 船舶に取付けられ回転軸を回動自在に支持する筒状の支面材を抜出すための支面材抜出工具であって、軸部材と、前記軸部材に取付けられストッパとしての機能を有するストッパ部材と、前記ストッパ部材と間隔をあけて前記軸部材にスライド可能に取付けられたスライド部材と、前記軸部材の軸線と交差する方向に前記軸部材と間隔をあけて設けられ、前記支面材の一方の側端部と係合し、かつ前記一方の側端部から前記支面材の内部に延在し前記一方の側端部近傍に位置する前記支面材の内周面をも支持する係合部材と、前記軸部材から離れる方向に移動可能に前記係合部材を前記ストッパ部材と前記スライド部材とに連結するための連結部材とを備え、前記スライド部材を前記ストッパ部材に近づく方向に移動させることにより、前記係合部材は前記軸部材から離れる方向に移動し、前記支面材の一方の側端部および前記支面材の内周面に当接される、支面材抜出工具。
【請求項2】 前記支面材抜出工具には、前記係合部材に対し、前記軸部材から離れる方向に弾性力を付与するための弾性手段が設けられる、請求項1に記載の支面材抜出工具。
【請求項3】 前記支面材抜出工具には、前記軸部材に接続され、前記軸部材を前記支面材とともに抜出すための動力手段が設けられる、請求項1または2に記載の支面材抜出工具。
【請求項4】 前記支面材抜出工具には、前記軸部材を移動させる際のガイドとして機能する案内手段が取付けられる、請求項1ないし3に記載の支面材抜出工具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、たとえば小型船舶の船尾に取付けられるプロペラと連結されるプロペラ軸を受入れるスタンチューブ(船尾管)の内周面上に設置されこのプロペラ軸を回動自在に支持する筒状の支面材をスタンチューブから抜出すための支面材抜出工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来から知られている一般的な船舶の一例を示す側面図である。図5を参照して、船舶の船尾には船舶を推進させるためのプロペラ30が取付けられ、このプロペラ30はプロペラ軸31を介してエンジン29に接続される。そして、このプロペラ軸31を受入れるためのスタンチューブ10が船尾に設けられる。このスタンチューブ10の内周面には、上記のプロペラ軸31をその軸線まわりに回動自在に支持するための筒状の支面材(図示せず)が設けられる。
【0003】この支面材の一例が図6に示されている。図6は、従来から使用されている支面材の一例を示す斜視図である。図6に示される支面材9は、相対的に硬度の大きい硬質部9dと、相対的に硬度の小さい軟質部9cとにより構成される。硬質部9dは、一般にフェノール樹脂等からなり、軟質部9cは一般にラバー等からなる。このような構造を有する支面材9を、プロペラ軸31とスタンチューブ10との間に介在させ、海水を潤滑水として用いるベアリングとして機能させる。
【0004】上記のような構造と機能とを有する支面材9をスタンチューブ10から取出す手法としては、次のような2つの手法が従来から一般に用いられてきた。第1の手法は、海中に潜り、プロペラ軸を取出し、その後に支面材9を割って取出すというものである。第2の手法は、屈曲部を有するある種の治具を用い、支面材9の一方の側端部にその屈曲部を係合させ、支面材9をスタンチューブ10から引出すという手法である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の第1の手法では、海中に潜って作業を行なわなければならず、作業が困難となるという問題があった。また、第2の手法でも、治具を支面材9の一方の側端部に係合させて引出すのが困難となる場合があった。図7には、図6に示される支面材9がスタンチューブ10に装着された場合の支面材9の一方の側端部近傍の拡大断面図が示されている。図7を参照して、一般的に、スタンチューブ1の内表面には、支面材9をスタンチューブ10の所定位置に固定するための凸部10aが設けられる。そのため、図6に示されるような構造を有する支面材9を使用した場合には、硬質部9dの側端部は凸部10aと当接されることとなる。そのため、上記の第2の手法の場合のように治具を支面材9の側端部に係合させて支面材9をスタンチューブ10から抜出そうとした場合には、軟質部9cが主にその治具と係合されることになる。それにより、この軟質部9cが撓み、結果として支面材9が抜出しにくくなるという問題があった。
【0006】以上のように、第1と第2のいずれの手法においても、支面材9の抜出作業は困難なものであった。この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。この発明の目的は、支面材9の抜出し作業が容易となる支面材抜出工具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明に係る支面材抜出工具は、軸部材と、ストッパ部材と、スライド部材と、係合部材と、連結部材とを備える。ストッパ部材は、軸部材に取付けられストッパとしての機能を有する。スライド部材は、ストッパ部材と間隔をあけて軸部材にスライド可能に取付けられる。係合部材は、軸部材の軸線と交差する方向に軸部材と間隔をあけて設けられ、支面材の一方の側端部と係合し、かつこの一方の側端部から支面材の内部に延在しこの一方の側端部近傍に位置する支面材の内表面をも支持する。連結部材は、軸部材から離れる方向に移動可能に係合部材をストッパ部材とスライド部材とに連結するためのものである。そして、スライド部材をストッパ部材に近づく方向に移動させることにより、係合部材は軸部材から離れる方向に移動し、支面材の一方の側端部および支面材の内周面に当接される。
【0008】上述のように、この発明に係る支面材抜出工具は、軸部材の軸線と交差する方向に移動可能な係合部材を備えている。そして、この係合部材は、支面材の一方の側端部からその内部に延在するように設けられるので、支面材の一方の側端部と係合し、かつこの一方の側端部近傍に位置する支面材の内周面をも支持する。また、この係合部材は、連結部材によりストッパ部材とスライド部材とに連結される。このような係合部材を有する支面材抜出工具を、たとえば内周面に支面材が設置されたスタンチューブ内に挿入し、スライド部材をストッパ部材に近づく方向にスライド移動させる。それにより、連結部材が立上がり、係合部材は軸部材から離れる方向に移動する。そして、係合部材と支面材の一方の側端部とが係合するまで係合部材を軸部材から離れる方向に移動させる。このとき、上述のように、係合部材は筒状の支面材の内部にまで延在するような形状を有しているので、係合部材の一部表面は支面材の一方の側端部近傍に位置する支面材の内周面にも当接される。この状態で支面材抜出工具をスタンチューブ内から取出す。ここで、係合部材の一部表面が支面材の一方の側端部近傍に位置する支面材の内周面に当接されているので、支面材の内周面にラバー等からなる軟質部が設けられた場合でも、その軟質部が撓むのを効果的に抑制することが可能となる。それにより、容易かつ確実に支面材をスタンチューブから抜出すことが可能となる。
【0009】なお、上記の支面材抜出工具には、好ましくは、係合部材に対し、軸部材から離れる方向に弾性力を付与するための弾性手段が設けられる。それにより、スライド部材をストッパ部材に近づく方向に移動させることによって、係合部材を容易かつ確実に軸部材から離れる方向に移動させることが可能となる。その結果、支面材抜出工具の設置作業が容易となる。
【0010】また、上記の支面材抜出工具には、好ましくは、軸部材に接続されこの軸部材を支面材とともに抜出すための動力手段が設けられる。それにより、支面材抜出工具を容易に取出すことが可能となる。
【0011】さらに、上記の支面材抜出工具には、好ましくは、軸部材を移動させる際のガイドとして機能する案内手段が取付けられる。それにより、支面材抜出工具の設置時および取出時に、軸部材のぶれを防止できる。それにより、支面材抜出工具の設置作業および取出作業がスムーズに行なえる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図1〜図4を用いて、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る支面材抜出工具1の概略構成を示す図である。
【0013】図1を参照して、本発明に係る支面材抜出工具1は、主軸ボルト2と、この主軸ボルト2に螺合されたストッパ用ナット3と、このストッパ用ナット3と間隔をあけて主軸ボルト2に取付けられた締付ナット4と、締付調整パイプ5と、主軸ボルト2に取付けられたブロック6a,6bと、支面材9と係合される爪金具8a,8bと、この爪金具8a,8bとブロック6a,6bとを連結するアーム7a,7b,7c,7dとを備える。
【0014】また、ブロック6a,6b間に位置する主軸ボルト2にはスプリング21が取付けられる。ストッパ用ナット3は図1に示される位置で固定され、ブロック6bのストッパとしての機能を有する。爪金具8a,8bは、主軸ボルト2の軸線と交差する方向にこの主軸ボルト2と間隔をあけて配置される。そして、爪金具8aはアーム7c,7dを介してブロック6a,6bと連結され、爪金具8bはアーム7a,7b介してブロック6a,6bに連結される。ブロック6aと締付調整パイプ5とはともにスライド可能に主軸ボルト2に取付られ、締付ナット4を回動操作することによりこれらは所望の方向に移動される。
【0015】スタンチューブ10内には支面材9が挿入されており、この支面材9の一方の側端部はスタンチューブ10の一方端側の内表面に設けられた凸部に当接されている。また、スタンチューブ10の他方端には案内板11が取付けられている。この案内板11の中央には穴が設けられており、この穴内に主軸ボルト2と締付調整パイプ5とが挿入される。この案内板11は、主軸ボルト2および締付調整パイプ5の移動の際のガイドとしての機能を有している。なお、スタンチューブ10の一方の開口端には、管路13が接続される。
【0016】支面材抜出工具1には、好ましくは、図1に示されるように、シリンダ18が取付けられる。このシリンダ18は、図1に示されるように、取付足固定板12と、取付足15と、取付板17とを介してスタンチューブ10に取付けられる。そして、このシリンダ18を貫通するように主軸ボルト2aが設けられ、シリンダ固定ナット20によってシリンダ18は主軸ボルト2aに固定される。そして、主軸ボルト2aと主軸ボルト2とは締付ナット4を介して連結される。また、主軸ボルト2aの一方端近傍には、安全ナット16が取付けられる。この安全ナット16と取付板17との間の間隔が、シリンダ18の最大ストロークとなる。
【0017】次に、図2〜図4を用いて、支面材抜出工具1の構造についてより詳しく説明する。図2は、支面材抜出工具1の斜視図である。図3は、図2に示される支面材抜出工具1の正面図である。図4は、図1に示される支面材抜出工具1の部分拡大断面図である。
【0018】まず図2を参照して、アーム7c,7d下には、このアーム7c,7dを介して爪金具8aに主軸ボルト2から離れる方向に弾性力を付与するための板ばね23が設けられる。それにより、アーム7c,7dおよび爪金具8aは、常に主軸ボルト2から離れる方向に弾性力を受けることとなる。そのため、ブロック6aをたとえばブロック6bに近づける方向に移動させた場合に、アーム7c,7dは容易かつ確実に立上がり、それにより確実に爪金具8aは主軸ボルト2から離れる方向に移動される。なお、他のアーム7a,7b,7e,7f,7g,7h下にもそれぞれ板ばね23は設けられる。それにより、他の爪金具8b,8c,8dも常に主軸ボルト2から離れる方向に弾性力を受ける。
【0019】ブロック6bおよびブロック6aには、図3に示されるように、4組の爪金具8a,8b,8c,8dとアーム7b,7d,7f,7hとが設けられる。それにより、支面材抜出工具1がスタンチューブ10内に挿入された場合に、これらの4つの爪金具8a,8b,8c,8dによって4点で支面材9が支持されることとなる次に、図4を参照して、スタンチューブ10の内表面には凸部10aが設けられ、この凸部10aにその一方の側端部9bが当接されるように支面材9がスタンチューブ10内に挿入される。爪金具8a,8bは、屈曲形状を有しており、その一方端に支面材9の一方の側端部9bと係合する係合部26を有している。また、爪金具8a,8bは支面材9の一方の側端部9bから連続して筒状の支面材9の内部に延在し、支面材9の一方の側端部9b近傍に位置する支面材9の内周面9aを支持する支面材内周面支持部27を有する。
【0020】この支面材内周面支持部27を有することにより、支面材9の内周面9aにラバーなどからなる軟質材が設けられた場合であってもその軟質材が撓むのを効果的に抑制することが可能となる。それにより、支面材9の抜出作業が容易となる。なお、図4に示されるように、この支面材内周面支持部27は比較的長いものであることがこのましい。それにより、より安定して支面材9をスタンチューブ10から抜出すことが可能となる。
【0021】また、アーム7a,7b,7c,7dにはその端部近傍に1対の穴24が設けられ、この穴24内にピン25が装着される。このとき、穴24の径はピン25の径より大きい、いわゆるばか穴であることが好ましい。
【0022】さらに、図4に示されるように、アーム7a〜7dの先端は丸められている。それにより、締付ナット4を回動操作することにより締付調整パイプ5およびブロック6aを矢印28に従って移動させた場合に、アーム7a〜7dはスムーズに立上がる方向あるいはその逆の方向に移動する。その結果、爪金具8a,8bの移動もスムーズなものとなる。このとき、板ばね23がアーム7a〜7dに沿って設けられていることもそのスムーズな動作に効果的に寄与し得る。
【0023】さらに、アーム7a〜7dの先端が丸められることによって、結果として爪金具8a,8bはそれぞれのアーム7a〜7dによって2点で支持されることになる。より詳しくは、爪金具8a,8bには、図4に示されるように、アーム7a〜7dの一方の先端部を受入れる凹部32a,32b,32c,32dが設けられており、この凹部32a〜32dは、アーム7a〜7dの先端の一部がそれぞれ当接される底面と、この底面からほぼ垂直に立上がる側壁面とを有している。アーム7a〜7dの先端部は、図4に示されるように、この側壁面とも当接される。
【0024】その結果、上述のように、アーム7a〜7dによって爪金具8a,8bは2点で支持されることとなる。それにより、アーム7a〜7dによって爪金具8a,8bは、主軸ボルト2の軸線方向と、その主軸ボルト2の軸線方向と直交する方向との二方向の力を受けることとなる。それにより、アーム7a〜7dによって、爪金具8a,8bは、支面材9に押付けられる方向に力を及ぼされることになる。それにより、支面材9の内周面を強く支持することが可能となり、支面材9の内周面9aに軟質材が設けられた場合であってもその撓みをより効果的に抑制することが可能となる。
【0025】次に、この発明に係る支面材抜出工具1を用いた支面材9の抜出方法について図1と図4とを用いて説明する。まず、図1を参照して、主軸ボルト2にスプリング21と、爪金具8a,8bとをセットする。そして、締付調整パイプ5とストッパ用ナット3とを主軸ボルト2に取付ける。次に、締付調整パイプ5に案内板11を挿入し、締付ナット4を取付ける。この状態の主軸ボルト2を支面材9内に挿入する。そして、締付ナット4を回動操作することにより、爪金具8a,8bを主軸ボルト2から離れる方向に移動させ、図4に示されるように、爪金具8a,8bと支面材9の一方の側端部とを係合させる。それと同時に、爪金具8a,8bによって、支面材9の一方の側端部近傍に位置する支面材9の内周面9aも支持される。
【0026】次に、再び図1を参照して、主軸ボルト2aに安全ナット16を取付けた後、この主軸ボルト2aを締付ナット4に取付ける。そして、スタンチューブ10にボルトなどを用いて、取付板17,取付足15,取付足連結板14および取付足固定板12を取付ける。それにより、シリンダ18の取付台がスタンチューブ10にセットされる。次に、安全ナット16の位置を調整する。そして、主軸ボルト2aにシリンダ18を挿入し、シリンダ固定ナット20で締付ける。そして、たとえば手動ハンドポンプのカプラをシリンダ18にセットし、レバーをジャッキアップして図4に示される矢印33の方向に主軸ボルト2a,2を移動させ、支面材9の抜出作業を行なう。
【0027】なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【出願人】 【識別番号】000125901
【氏名又は名称】株式会社▲高▼澤製作所
【出願日】 平成7年(1995)7月24日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】深見 久郎 (外2名)
【公開番号】 特開平9−29661
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−186824