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【発明の名称】 金属球状体の製造方法および装置
【発明者】 【氏名】加藤 勝機

【氏名】阿久沢 辰雄

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 塑性変形可能な金属からなる金属棒を所定の長さに切断する工程と、切断した金属棒を、球状の成形用空間部をもつ型内に押し込み、前記金属棒を球状体に塑性成形する工程と、からなる金属球状体の製造方法。
【請求項2】 前記金属棒がメッキ用アノード材であり、前記金属球状体がボールアノードである請求項1記載の金属球状体の製造方法。
【請求項3】 前記金属棒の材料がはんだであり、前記金属球状体がメッキのボールアノードである請求項1記載の金属球状体の製造方法。
【請求項4】 複数の型要素のアッセンブリからなり、閉じられたときに内部に球状の成形用空間部をもつ型と、前記型が閉じられたときに、少なくとも1つの型要素によって形成される、前記成形用空間部と外部とを連通するパンチガイド穴と、前記パンチガイド穴に摺動可能に挿入されるすえ込みパンチと、前記すえ込みパンチを前記成形用空間部に向って押す油圧シリンダーと、前記すえ込みパンチに組み込まれた、前記すえ込みパンチに対して相対動可能なピンと、からなる金属球状体の製造装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属球状体(たとえば、メッキで用いられるボールアノード)の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金属球状体は種種の分野で用いられる。たとえば、メッキでは、メッキ中にアノードが溶けても所定容積のアノードが確保されるように、複数の金属球状体(ボール)を籠に入れてアノード(ボールアノードとよばれる)として用いることが行われている。金属球状体は、従来、図4に示すように、半球状に彫った金型1、2を組み合わせた時に型内に形成される成形用空間部3に、金属の溶湯を注湯し、凝固後、バリ4の付いたボール5を型から取り出し、湯口部のバリ4を除去してボール5とすることにより、製造していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の金属球状体の製造方法には、つぎの問題がある。ボールが小径の場合、たとえば15〜20mm径のはんだボールの場合は、単位重量あたりのボール数が多い、またそれを1個ごと鋳造する、さらに1個ごと湯口部のバリを切断する、等のために、生産に時間がかかり、生産性が悪い。ボールが大径の場合、たとえば30mm以上の径のはんだボールの場合も、溶融金属の凝固、冷却に時間がかかるため、生産性が悪い。また、ボールの外周部と中心部とで冷却速度が異なり、ボール径が大になる程冷却速度の異なりが大になり、その結果凝固後の金属組織が互いに異なってしまい、メッキのボールアノードとして使用した場合、メッキ実行中にボールの溶出状況が変化して、メッキの品質異常を生じることがある。また、ボール径の大小を問わずにいえることは、鋳造による製造のため、ボールの金属組織が緻密にならず、ボールアノードとして使用した場合、メッキ品質が悪くなる。本発明の目的は、生産性がよく、ボールの外周部、中心部を問わず組織が一定でかつ緻密となる、金属球状体の製造方法とその装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成する本発明の方法、装置はつぎの通りである。
(1) 塑性変形可能な金属からなる金属棒を所定の長さに切断する工程と、切断した金属棒を、球状の成形用空間部をもつ型内に押し込み、前記金属棒を球状体に塑性成形する工程と、からなる金属球状体の製造方法。
(2) 前記金属棒がメッキ用アノード材であり、前記金属球状体がボールアノードである(1)記載の金属球状体の製造方法。
(3) 前記金属棒の材料がはんだであり、前記金属球状体がメッキのボールアノードである(1)記載の金属球状体の製造方法。
(4) 複数の型要素のアッセンブリからなり、閉じられたときに内部に球状の成形用空間部をもつ型と、前記型が閉じられたときに、少なくとも1つの型要素によって形成される、前記成形用空間部と外部とを連通するパンチガイド穴と、前記パンチガイド穴に摺動可能に挿入されるすえ込みパンチと、前記すえ込みパンチを前記成形用空間部に向って押す油圧シリンダーと、前記すえ込みパンチに組み込まれた、前記すえ込みパンチに対して相対動可能なピンと、からなる金属球状体の製造装置。
【0005】上記(1)の方法では、金属棒を球状の成形用空間部に押し込み(すえ込み)、塑性変形させて金属球状体を製造するので、鋳造工程、バリ取り工程がなくなり、生産性が高まる。また、溶湯の凝固工程がないので、金属球状体の外周部と中心部とで組織は同じであり、かつ緻密となる。上記(2)、(3)の方法は、金属球状体がメッキのボールアノードである場合であるが、この方法で製造したボールアノードは、外周部と中心部とで組織は同じであり、かつ緻密であり、メッキの品質を高めることができる。上記(4)の装置では、型内の球状の成形用空間部にパンチガイド穴を通してすえ込みパンチにより金属棒をすえ込み、金属球状体に成形する。金属球状体がすえ込みパンチにはりついたときにはピンを作動させて金属球状体をすえ込みパンチから払い出す。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明実施例の装置を図1〜図3を参照して説明する。本発明実施例の装置は、複数(図示例では3つ)の分割された型要素11、12、16のアセッセンブリからなる型10を有する。型要素11、12、16は、型が閉じられた時に、型10の内側に、球状の成形用空間部14を形成する。図示例では成形用空間部14のうち半球状の部分が型要素11に形成されており、残りの成形用空間部14の半球状の部分は型要素12、16に形成されている。型要素16は、すえ込みパンチとして機能し、型要素12に対して摺動可能とされている。型要素12には材料である金属丸棒20を供給するための開口部24が設けられている。型要素12、16はシリンダー17に連結され、型要素11はシリンダー25に連結されている。
【0007】型10が閉じられたときに、成形用空間部14は型10に形成されたパンチガイド穴15により外部と連通されており、このパンチガイド穴15は少なくとも1つの型要素によって形成される。図示例では、パンチガイド穴15は、型10が閉じられたときに型要素12によって形成される。パンチガイド穴15の軸芯は球状成形用空間部14の中心を通っている。球状体21に成形される金属棒20は、このパンチガイド穴15を通して、成形用空間部14内に供給される。パンチガイド穴15にはすえ込みパンチ(押棒)16が摺動可能に挿入される。すえ込みパンチ16は金属棒20を成形用空間部14に向って押し込む。すえ込みパンチ16の成形用空間部14側の先端は、部分球面状をしており、球状成形用空間部14の球面に一致したとき、成形用空間部14の球面の一部を構成する。すえ込みパンチ16は、油圧シリンダー17に連結されており、油圧シリンダー17のロッドによって押される。
【0008】すえ込みパンチ16の軸芯上には、すえ込みパンチ16より小径のピン(ジニックピンとよばれる)19がすえ込みパンチ16と相対動可能に組み込まれている。ピン19の先端部も部分球面状としてある。ピン19は、すえ込みパンチ16と油圧シリンダー17との連結機構に組み込まれたピストン22と空圧室23からなるシリンダー機構によって駆動される。そして、スプリング等からなる緩衝部18が設けられていて、ピン19に過大な押力がかからないようになっている。ピン19は、金属棒20の軸芯部の長手方向の位置出しを行うとともに、成形後、金属球状体21がすえ込みパンチ16や型にはりついたときの払い出しを行う。ピン19は型要素11側にも、型要素11を貫通するように、かつ型要素11に対し相対動可能に、設けられている。型要素11側のピン19も、金属球状体21の位置出しを行うとともに、成形後、金属球状体21が型要素11にはりついたときの払い出しを行う。
【0009】つぎに、本発明実施例の方法を説明する。本発明実施例の方法は、金属棒(丸棒)20を所定の長さに切断する工程と、切断した金属棒20を、型10の成形用空間部14に押し込み(すえ込み)、材料を成形用空間部14に充満させ、金属棒20を金属球状体21に塑性成形する工程と、からなる。成形完了後、型10を開放し、ピン19により製品の払い出しを行う。なお、型10を型要素11、12、16に3分割した場合は製品の型10からの取り出しは円滑であった。
【0010】上記において、金属棒20の材料は、塑性変形可能な金属材料、たとえば■金、銀、アルミニウム、鉛、錫、銅、ニッケル、亜鉛、等の非鉄金属、■またはそれらの合金(たとえば、はんだ)、■または鉄、■または鉄合金、からなる。また、所定の長さとは、切断された金属棒20の体積と成形用空間部14の体積(金属球状体21の体積)とが等しくなる長さをいう。素材に金属棒を使用するので、ある球径までは金属棒径を変化させることなく、切断長さのみを変更することで、所定の球径の金属球状体21を成形できる。
【0011】また、成形工程においては、成形用空間部14が球形であり、すえ込みパンチ16もピン19も先端が球面としてあるので、真球に近い金属球状体21が成形される。また、ジニックピン19により材料の芯出しを行っているので、荷重を適正にかけることができ成形を安定して行うことができる。また、緩衝機構18を設けてあるので、ジニックピン19に過大な荷重がかからず、ジニックピン19の曲がり、座くつを防止できる。また、金属棒20の成形用空間部14への押込みは、冷間で行ってもよく、あるいは温間で行ってもよい。温間で行う方が押し込み力は小で済む。金属棒20の材料がはんだである場合、80〜110°C程度の温間で押し込みを行うと円滑な塑性成形が行われるので、望ましい。なお、金属球状体21が小径である場合は2〜3個並列に同時成形を行うこともできる。
【0012】この方法は、鋳造によらずに金属球状体21を成形するので、生産性がよく(従来の鋳造に比べて2倍以上)、ばりとり工程も必要でない。また、製造された金属球状体21は、鋳造のように冷却速度が部位によって異なることがないので、外周部と中心部との組織が同じであり、しかもその組織は緻密である。メッキのボールアノードを製造する場合は、金属棒20の材料をはんだとして、上記の方法により直径が15〜60mmの金属球状体21を成形すればよい。この方法によって製造されたボールアノードは、外周部と中心部との組織が同じであり、しかもその組織は緻密である。したがって、メッキ実行中に、メッキの品質が変動することを防止でき、高品質のメッキ品が得られる。
【0013】
【発明の効果】請求項1の方法によれば、金属棒を球状の成形用空間部に押し込み(すえ込み)、塑性変形させて金属球状体を製造するので、鋳造工程、バリ取り工程がなくなり、生産性が高まる。また、溶湯の凝固工程がないので、金属球状体の外周部と中心部とで組織は同じであり、かつ緻密となる。請求項2、3の方法によれば、上記方法でボールアノードを製造することにより、ボールアノードの外周部と中心部とで組織を同じにかつ緻密にでき、メッキの品質を高めることができる。請求項4の装置によれば、型とすえ込みパンチとピンを設けたので、金属棒を型内の球状成形用空間部にすえ込み成形し、金属球状体に成形できる。そこでは、鋳造工程、バリ取り工程がなくなり、生産性が高まる。また、溶湯の凝固工程がないので、金属球状体の外周部と中心部とで組織は同じであり、かつ緻密となる。
【出願人】 【識別番号】000110251
【氏名又は名称】トピー工業株式会社
【識別番号】595163375
【氏名又は名称】株式会社日本フィラーメタルズ
【出願日】 平成7年(1995)11月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】田渕 経雄
【公開番号】 特開平9−141379
【公開日】 平成9年(1997)6月3日
【出願番号】 特願平7−301427