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【発明の名称】 ヘリカルギアの製法及びヘリカルギアのダイス装置
【発明者】 【氏名】赤松 基次

【目的】
【構成】 型孔内面にヘリカルギアの歯面に対応する捩れ突条を有するダイス3の該型孔にブランクを打込んで、ブランク外周に捩れ突条によって捩れ溝を形成し、突出しピン4によってブランクを型孔から突き出すヘリカルギアの製法において、突出しピン4は、複数のピン部材を一直線上に並べて構成され、少なくとも1つのピン部材の端面中央に隣合うパンチに点当りとなる突起を有しており、突出しピン4が前進してブランクを突き出す際、点当りとなっている2つのピン部材の内、ブランク側のピン部材は、ブランクが捩れ突条に沿って回転するのに追従して回転しながら前進する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 型孔内面に捩れ突条(24)を形成したダイス(3)の該型孔にブランクを打込んで、ブランク外周に捩れ突条(24)によって捩れ溝を形成し、突出しピン(4)によってブランクを型孔から突き出すヘリカルギアの製法において、突出しピン(4)はブランク側端面中央に突起(41)を有し、突出しピン(4)がブランクを突き出す際、突出しピン(4)の突起(41)はブランクの端面中央に点当りとなることを特徴とするヘリカルギアの製法。
【請求項2】 型孔内面に捩れ突条(24)を形成したダイス(3)の該型孔にブランクを打込んで、ブランク外周に捩れ突条(24)によって捩れ溝を形成し、突出しピン(4)によってブランクを型孔から突き出すヘリカルギアの製法において、突出しピン(4)は、複数のピン部材を一直線上に並べて構成され、少なくとも1つのピン部材の端面中央に隣合うピン部材に点当りとなる突起(45)を有しており、突出しピン(4)(4a)が前進してブランクを突き出す際、点当りとなっている2つのピン部材の内、ブランク側のピン部材は、ブランクが捩れ突条(24)に沿って回転するのに追従して回転しながら突出し側へ前進することを特徴とするヘリカルギアの製法。
【請求項3】 型孔内面にヘリカルギアの歯面に対応する捩れ突条(24)を有するダイス(3)と、ブランクを型孔に打ち込むパンチ(6)と、ダイスに打込まれたブランクを突き出す突出しピン(4)との組合せによるダイス装置であって、突出しピン(4)は、複数のピン部材を一直線上に並べて構成され、少なくとも1つのピン部材の端面中央に、隣合うピン部材或いはブランクの端面中央に点当りとなる突起(45)を有しているヘリカルギアのダイス装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鍛造・圧造によりヘリカルギアを製造する方法及びヘリカルギアのダイス装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術および解決すべき課題】ヘリカルギアを鍛造・圧造により製造することが提案されている。これは完成ヘリカルギアの歯先径と同径或いは該歯先径よりも少し大径のブランクをダイスに打ち込んで行なうものである。
【0003】ダイスの型孔には、ヘリカルギアの歯に対応する捩れ突条が形成されているため、型孔に打込んだブランクを突出しピンにて突き出す際、ブランクは捩れ突条に対応して回転しながら突き出される。従って、突出しピンを単に前進させるだけでは、ブランクと突出しピンの接触面に強い摩擦が生じて該接触面が焼き付き、ブランクをスムーズに突き出すことができない。
【0004】そこで出願人は以前、突出しピンの外周に型孔の捩れ突条(24)に対応する捩れ溝条を開設し、該捩れ溝条に固定ピンを係合して、突出しピンの前進に伴って該突出しピンを強制的に回転させ、ブランクと突出しピンの摩擦をなくしてブランクを円滑に突き出すことを提案した。突出しピンを強制的に回転させる構造を採用する場合、突出しピンに対する溝条の加工、ダイス内への固定ピンの取付け等、加工に手間が掛り、又、溝条の加工、ピンの取付孔の加工により、突出しピン及びダイスの強度が低下することは避けられない。本発明は、上記問題を解決するヘリカルギアの製法及びヘリカルギアのダイス装置を明かにするものである。
【0005】
【課題を解決する手段】本発明のヘリカルギアのダイス装置は、型孔内面にヘリカルギアの歯面に対応する捩れ突条(24)を有するダイス(3)と、ブランクを型孔に打ち込むパンチ(6)と、ダイスに打込まれたブランクを突き出す突出しピン(4)との組合せによるダイス装置であって、突出しピン(4)は、複数のピン部材を一直線上に並べて構成され、少なくとも1つのピン部材の端面中央に、隣合うピン部材或いはブランクの端面中央に点当りとなる突起(45)を有している。
【0006】本発明のヘリカルギアの製法は、型孔内面にヘリカルギアの歯面に対応する捩れ突条(24)を有するダイス(3)の該型孔にブランクを打込んで、ブランク外周に捩れ突条(24)によって捩れ溝を形成し、突出しピン(4)によってブランクを型孔から突き出すものであって、突出しピン(4)に形成した突起(41)(41a)がブランクの端面中央に点当りとなって、ブランクは突き出す。複数のピン部材を一直線上に組合せ、少なくとも1つのピン部材の端面中央に隣合うピン部材側に向けて突起を有する突出しピンを用いた場合は、該突起が相手ピン部材に点当りとなる。
【0007】
【作用及び効果】突出しピン(4)が前進してブランクを突き出す際、ブランクと突出しピンがブランク端面の中央に点当りとなっている場合は、ブランクと突出しピンの摩擦が小さいため、突出しピンが突出し方向に前進するとき、ブランクと突出しピンとの間に焼き付きは生じず、ブランクは捩り突条に沿ってスムーズに回転しながら突き出される。
【0008】複数のピン部材を一直線上に組合せ、少なくとも1つのピン部材の端面中央に隣合うピン部材側に向けて突起を有する突出しピンを用いた場合は、該突起が相手ピン部材の端面中央に点当りとなる。点当りで隣合うピン部材間の摩擦は小さく、ブランク側のピン部材に回転力が作用すれば、該ピン部材は容易に回転する。従って、ブランクを突き出す際、ブランクが捩り突条に沿って回転すると、ブランクに押圧接触しているピン部材も回転し、即ち、ブランクを、円滑に型孔から突き出すことができる。従来の様に、突出しピンを強制的に回転させるための複雑な加工、構成は必要とせず、又、加工に伴うダイス及び突出しピンの強度の低下を無くすことができ、稼働時のトラブルも少ない。
【0009】
【実施例】図1、図2は、本発明のヘリカルギアの製造工程の一例を示しており、剪断工程と第1〜第3の3つの鍛造・圧造工程を実施する。上記各鍛造・圧造工程は、パーツホーマと称される多段式横型トランスファープレスのダイブロックに横一列にセットされたダイス内に、パンチによりブランクを打ち込んで行なう。剪断工程は、第1鍛造・圧造工程の前段に設けられた剪断装置(図示せず)によって行なわれる。図1、図2において、上側がパンチ側、下側がダイス側である。剪断工程では、焼鈍等の熱処理、及び表面にボンデ処理(潤滑処理)を施した線材Wを、所定の長さに剪断してブランクB1を形成する。
【0010】第1鍛造・圧造工程では、上記ブランクのダイス側の端面外周縁にテーパ面b1を形成する(図1のNo1)。第2鍛造・圧造工程では、上記テーパ面b1付きブランクB2を反転させて加圧し、前記と反対側の外周縁にもテーパ面b2を形成する(図1のNo2)。第3鍛造・圧造工程ではブランクに歯面b3を予備形成する(図2のNo3)。以下、第3鍛造・圧造工程をダイス装置の構成と一緒に詳述する。
【0011】
【歯面予備鍛造・圧造工程】図3に示す鍛造・圧造工程のダイス装置(1)は、ダイブロックに収容され前部位置するたダイス(3)、後部に位置するスペーサ(5)、ダイス(3)とスペーサ(5)を一連にスライド可能に貫通した突出しピン(4)及びブランクをダイスに打ち込むパンチ(6)とによって構成されている。ダイス(3)は、ダイケース(31)の軸芯のパンチ(6)側にニブ収容孔(12)及び該孔に連続して奥側に突出しピンスライド孔(13)が開設され、ニブ収容孔(12)にニブ(2)が圧入或いは焼嵌めされている。
【0012】ニブ(2)の軸芯には型孔(23)が貫通開設され、該型孔(23)のパンチ(6)側は、第2鍛造・圧造工程が終了したブランクB3が緊密に嵌まる真円状の案内孔(21)、奥側は、形成すべきヘリカルギアに対応する捩れ突条(24)を周方向に等ピッチで突設した型部(22)となっている。型孔(23)の内面に、化学蒸着法又は物理蒸着法により、厚み5〜10μmのTiC、TiCN或いはTiNの層が形成されている。TiC、TiCN或いはTiNは、優れた耐焼付け性および耐摩耗性を有しており、ブランクと繰り返し加圧接触するニブ(2)の寿命延長を画ることができる。
【0013】各捩れ突条(24)の前端は、ブランクに食い込み易い様に斜面(25)となっており、軸芯を中心に斜面(25)(25)の成す角度αは、90〜120゜である。上記各捩れ突条(24)の前端の斜面(25)(25)の成す角度αは、ブランクの食い付きと、形成される歯面の精度に大きな影響があり、角度αが小さいほど、ブランクを絞り易くなるが、ブランクの肉が径方向に張る力よりも、軸方向に伸びる力が大きくなって、ブランクに形成される歯面の先端部にヒケが生じ、歯面の有効長さが短くなる。角度αが大きくなると、ブランクを絞り難くなるが、ブランクに形成される歯面の先端部に生じるヒケは小さくて済む。テスト結果より、捩れ突条(24)の前端の斜面(25)(25)の成す角度αは、90〜120゜が適当であることが判った。
【0014】突出しピン(4)は、実施例では第1〜第の4本のピン部材(41)(42)(43)(44)を一直線状に配置して構成され、ブランクに直接に接する第1ピン部材(41)の先端面には半球状の突起(41)が突設されている。突起(41)は焼入れがなされて、硬度が高く、且つ突起表面には前記型孔(23)の内面と同様にして、厚み5〜10μmのTiC、TiCN或いはTiNの層が形成されている。前記ダイス(3)の突出しピンスライド孔(13)に第1突出しピン部材(41)がスライド可能に嵌まり、該突出しピン部材(41)の先端部はニブ(2)内に臨出し、先端は捩れ突条(24)の長さ方向の略中央に位置して待機している。
【0015】ブランクB3は、パンチ(6)によって、突出しピン(4)に当るまで型孔(23)に打ち込まれ、ブランクB3の全長の7割程度を型部(22)に食い込ませる。パンチ(6)が後退し、突出しピン(4)が前進してブランクB4を突き出す。ブランクと第1突出しピン部材(41)が突起(45)による点当りとなっているため、ブランクと第1突出しピン部材(41)の摩擦が小さい。又、突起(45)はブランクの端面中央に点当りとなっているため、突出しピン(4)が突出し側に前進するとき、ブランクと第1突出しピン部材(41)との間に焼き付きは生じず、ブランクは捩り突条(24)に沿ってスムーズに回転しながら突き出される。
【0016】突起(45)は焼入れがなされて硬度が高いため、ブランクに繰り返し当接しても、短時間で突起(45)が潰れることはない。又、突起(45)にはTiC、TiCN或いはTiNの優れた耐焼付き性、耐摩耗性の層が形成されているため、ブランクとの焼着き防止に一層効果的である。
【0017】上記ブランクB4は、歯無しボス部b4を有するものの、歯面b3は完成しているため、このまま歯無しボス部を駆動軸或いは従動軸に連繋して使用でき、或いは図2のNo4に示す様に、ブランクB4の軸心に貫通孔をb9開設して、該貫通孔b9にシャフトを取り付けて使用することができる。又、歯無しボス部b4が相手ヘリカルギアとの噛み合いの邪魔になる場合、2点鎖線L1示す如く、歯無しボス部b4を切断除去すればよい。歯無しボス部b4の反対側部分の歯面には、ブランクの肉が流動進展した際に僅かながらヒケが生じているため、このヒケを含む端部を線L2から切断除去してもよい。
【0018】
【突出しピンの他の実施例】図4は、突出しピン(4)の他の実施例を示しており、第1突出しピン(41)と第2突出しピン(42)の互いの対向面の何れか一方の面の中央に突起(45)を突設したものである。この場合、該突起(45)が相手ピン部材に点当りとなり、点当りで隣合うピン部材間の摩擦は小さく、ブランク側の第1ピン部材(41)に回転力が作用すれば、該ピン部材(41)は容易に回転する。従って、ブランクを突き出す際、ブランクが捩り突条に沿って回転すると、ブランクに押圧接触している第1ピン部材(41)も回転し、即ち、ブランクを、円滑に型孔から突き出すことができる。
【0019】第2ピン部材(42)と第3ピン部材(43)の対向面の何れか一方の面の中央部、第3ピン部材(43)と第4ピン部材の対向面の何れか一方の面の中央部に突起を突設しても、突起からブランク側のピン部材の回転を許容できるため、前記同様の効果を奏する。
【0020】
【突起の他の実施例】図5は、突起形成の他の実施例を示しており、ピン部材の端面中央に穴(46)を開設して、該穴面を焼入れして硬度を高め、該穴(46)に硬度の高いボールを固定配備或いは回転可能に配備している。上記の場合、硬球の交換によりピン部材の寿命を延長できる。
【0021】上記実施例は、多段式横型トランスファープレスにより、線材の剪断から孔抜きまでを行なうが、これに限ることはなく、バー材を所定の長さに切断してブランクを形成し、該ブランクに対し、予備鍛造・圧造並びに必要に応じて焼鈍等の熱処理を行ない、更にボンデ処理(表面潤滑処理)を施し、このブランクに対し、縦型或いは横型のプレスにて、歯面予備鍛造・圧造工程、歯面完成鍛造・圧造工程を経てヘリカルギアを製造できるのは勿論である。本発明は、上記実施例の構成に限定されることなく、特許請求の範囲に記載の範囲で種々の変形が可能である。
【出願人】 【識別番号】392020277
【氏名又は名称】アカマツフォーシス株式会社
【出願日】 平成7年(1995)10月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 敏之 (外2名)
【公開番号】 特開平9−108770
【公開日】 平成9年(1997)4月28日
【出願番号】 特願平7−273914