トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き




【発明の名称】 ボールジョイント用ハウジングの製造方法
【発明者】 【氏名】辻 達好

【目的】
【構成】 円柱状の素材に複数回の鍛造成形を施して、略円筒状で一端にハウジング大開口、他端にハウジング小開口を有する予備成形品を成形する予備鍛造工程と、予備成形品の内外周に切削加工を施して、ハウジング小開口が長円形状で所望する内外形状を有する荒成形品を成形する切削工程と、荒成形品のハウジング小開口側内周に打ち抜き加工を施して、ハウジング小開口側内周を仕上げると同時にそのハウジング小開口側内周に軸線方向に延びる凹溝を成形するピアス工程とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円柱状の素材(1)に複数回の鍛造成形を施して、略円筒状で一端にハウジング大開口(11)、他端にハウジング小開口(12)を有する予備成形品(3)を成形する予備鍛造工程と、前記予備成形品(3)の内外周に切削加工を施して、ハウジング小開口(12)が長円形状で所望する内外形状を有する荒成形品(4)を成形する切削工程と、前記荒成形品(4)のハウジング小開口(12)側内周に打ち抜き加工を施して、ハウジング小開口(12)側内周を仕上げると同時にそのハウジング小開口(12)側内周に軸線方向に延びる凹溝(16)を成形するピアス工程とからなることを特徴とするボールジョイント用ハウジングの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば自動車の懸架装置または操舵装置等に使用されるボールジョイントの構成部品であるハウジングの製造方法に係り、特に一端開口が長円形状を有するボールジョイント用ハウジングの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の懸架装置または操舵装置の連結部には、以前よりボールジョイントが頻繁に使用されていた。このようなボールジョイントは、図7に示す如く、球状の球頭部124とその球頭部124から突出する軸部123を有するボールスタッド122と、ボールスタッド122の球頭部124を包持するシート141と、シート141を保持し一端にハウジング小開口112を有するハウジング106と、一端がハウジング小開口112外周に装着され、他端がボールスタッド122の軸部123外周に装着されるブーツ126とを備えている。ここでボールジョイントは一般に、ボールスタッドの揺動が規制されることなく揺動されるようにハウジング小開口を円形に形成するものが多い。しかし上記図7に示すボールジョイント121はボールスタッド122の特定方向の揺動を規制するため、ハウジング小開口112を長円形状に形成している。この場合、ハウジング小開口112に対向してシート141のシート大開口143も長円形状に形成される。そしてボールジョイント121を組付ける際、ハウジング小開口112とシート大開口143が一致するようハウジング106内周及びシート141外周に凹凸が形成され、更に凹凸はハウジング106とシート141の相対的な回動を抑制していた。
【0003】このような回り止め用の凹溝を有するハウジングの製造方法は、図6に示す如く、円柱状の素材101(図6の(ア))を軸線方向に押圧して両端にくぼみ107,108とくぼみ107,108の間に隔壁部109を有するカップ状の中間成形品102(図6の(イ))を成形し、続いて中間成形品102の隔壁部109を打ち抜いて、一端にハウジング小開口112、他端にハウジング大開口111を有する略円筒状の予備成形品103(図6の(ウ))を成形する。次に予備成形品103の内外周に切削加工を施して所望する内外形状を有する荒成形品104(図6の(エ))を成形し、続いて荒成形品104のハウジング小開口112側内周に打ち抜き工程を施してハウジング小開口112側内周を仕上げた準成形品105(図6の(オ))を成形し、最後に準成形品105の内周にドリル加工等により凹溝116を成形してハウジング106(図6の(カ))を製造していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の如きボールジョイント用ハウジング106の製造方法において、その凹溝116の成形がドリル加工等の別工程で行なわれているため、製造工程が増加するとともに加工時間も増加するということがある。
【0005】そこで凹溝116の成形を、予備成形品103から荒成形品104を成形する切削加工時に同時に実施することも考えられる。しかし、荒成形品104の切削加工は周方向に加工が行なわれるため、軸線方向に加工が行なわれる凹溝116の成形を同時に行なうことはできず、結局は別工程で行なわなければならなかった。
【0006】よって本発明は上述の如き課題を解決し、凹溝成形による製造工程及び加工時間の増加を抑制するボールジョイント用ハウジングの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は以下のとおりである。
【0008】円柱状の素材に複数回の鍛造成形を施して、略円筒状で一端にハウジング大開口、他端にハウジング小開口を有する予備成形品を成形する予備鍛造工程と、予備成形品の内外周に切削加工を施して、ハウジング小開口が長円形状で所望する内外形状を有する荒成形品を成形する切削工程と、荒成形品のハウジング小開口側内周に打ち抜き加工を施して、ハウジング小開口側内周を仕上げると同時にそのハウジング小開口側内周に軸線方向に延びる凹溝を成形するピアス工程とからなる。
【0009】
【実施例】以下本発明の実施例を図1乃至図5に基づいて説明する。
【0010】図3はボールジョイント21を表し、22は球状の球頭部24とその球頭部24から突出する軸部23を有するボールスタッドである。ボールスタッド22の球頭部24は、一端にシート大開口43、他端にシート小開口46を有するシート41に包持され、一端にハウジング小開口12、他端にハウジング大開口11を有する円筒状のハウジング5内部に保持される。このハウジング5の一端ハウジング小開口12はボールスタッド22の軸部23を突出させ、他端ハウジング大開口11は円盤状のプラグ25により塞がれハウジング大開口11側端部のかしめ加工により固着される。26はブーツで、一端ブーツ大開口部28がハウジング5の小開口12側端部外周に形成されるブーツ装着溝14に装着され、サークリップ30により固定される。また、ブーツ26の他端ブーツ小開口部27には補強環29が埋設され、ボールスタッド22の軸部23外周に圧入固定される。
【0011】上記ボールジョイント21のシート41及びハウジング5を詳細に説明する。
【0012】シート41は図4に示す如く、一端にシート大開口43、他端にシート小開口46を有する略同筒形状で、シート大開口43側端部から軸線方向に複数本のスリット45が形成される。また、シート大開口43は長円形状に形成され、シート大開口43側端部外周には対向する二つの凸部42,42が形成される。
【0013】ハウジング5は図1の(オ)及び図2に示す如く、一端にハウジング小開口12、他端にハウジング大開口11を有する略円筒形状で、ハウジング小開口12側端部外周に周凹状のブーツ装着溝14、ハウジング大開口11側端部外周に周凸状の鍔部13を有する。またハウジング小開口12は、シート大開口43に対向する長円形状で、ハウジング小開口12側端部内周にシート41の凸部42,42に係合する凹溝16,16及びボールスタッド22の揺動を規制する平行面17,17を有する。
【0014】ここで上記シート41とハウジング5を組付ける際、ハウジング5の凹溝16にシート41の凸部42を係合することにより、ハウジング小開口12とシート大開口43の長円形状が一致し、更にシート41とハウジング5の相対的な回動が抑制される。
【0015】次に、上記ハウジング5の製造方法を図1に基づいて説明する。
【0016】まず、円柱状の素材1(図1の(ア))を軸線方向に押圧して両端にくぼみ7,8とくぼみ7,8の間に隔壁部9を有するカップ状の中間成形品2(図1の(イ))を成形し、続いて中間成形品2の隔壁部9を打ち抜いて、一端にハウジング小開口12、他端にハウジング大開口11を有する略円筒状の予備成形品3(図1の(ウ))を成形する。次に予備成形品3の内外周に切削加工を施して所望する内外形状を有する荒成形品4(図1の(エ))を成形し、最後に荒成形品4のハウジング小開口12側内周に平行面17,17と凹溝16,16を打ち抜き加工で成形する。この打ち抜き加工を図5に基づいて説明する。
【0017】図において、左半部は打ち抜き加工前、、右半部は打ち抜き加工後の状態を表す。
【0018】初めに、荒成形品4に打ち抜き加工を施すピアス装置50を説明する。51は上型で、荒成形品4を押圧する円筒状のパンチ52と、パンチ52の内周に挿嵌される内挿ピン53と、パンチ52の外周に配されるパンチガイド54とからなる。また61は下型で、上型51に対向して、所望する凹溝16を成形する溝成形部63と所望する平行面17を成形する平行仕上部64を設けたマンドレル62と、マンドレル62を保持するホルダ65と、マンドレル62とホルダ65を支持するバックアップピン66及びベース67とからなる。
【0019】上記ピアス装置50により、荒成形品4からハウジング5を成形する工程を説明する。
【0020】図5左半部に示す如く、上型51を上方に退避させた状態で、下型61のマンドレル62に荒成形品4をハウジング大開口11側から挿嵌する。ここで、荒成形品4をマンドレル62の外周で規制しながら挿嵌し、マンドレル62の溝成形部63及び平行仕上部64が荒成形品4の内周に当接して挿嵌が完了する。次に、図5右半部に示す如く、上型51を下降させて、パンチ52で荒成形品4を下方へ押圧すると共に、マンドレル62の溝成形部63及び平行仕上部64で荒成形品4のハウジング小開口12側端部内周に凹溝16及び平行面17を成形して、ハウジング5の成形が完了する。
【0021】従って、ハウジング小開口12側端部内周に平行面17を成形するときに、凹溝16もハウジング小開口12側端部内周に成形するようにしたので、凹溝16の成形を別工程で行なうことがない。
【0022】
【発明の効果】以上のように本発明によると、円柱状の素材に複数回の鍛造成形を施して、略円筒状で一端にハウジング大開口、他端にハウジング小開口を有する予備成形品を成形する予備鍛造工程と、予備成形品の内外周に切削加工を施して、ハウジング小開口が長円形状で所望する内外形状を有する荒成形品を成形する切削工程と、荒成形品のハウジング小開口側内周に打ち抜き加工を施して、ハウジング小開口側内周を仕上げると同時にそのハウジング小開口側内周に軸線方向に延びる凹溝を成形するピアス工程とからなるため、凹溝の成形を別工程で行なうことがなく、製造工程及び加工時間の増加を抑制できる。
【出願人】 【識別番号】000238360
【氏名又は名称】武蔵精密工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)10月6日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−103839
【公開日】 平成9年(1997)4月22日
【出願番号】 特願平7−286527