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【発明の名称】 かさ歯車の製造方法及びそのサイジング金型
【発明者】 【氏名】井上 要次

【目的】
【構成】 軸線の一方側に向かうにつれて大径となる歯先面と歯先面に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる歯端面を有する歯形と、歯端面に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる周状の円錐面を有する本体部とを備えるかさ歯車の製造方法において、鍛造成形で所望の円錐面の軸線に対する傾斜角より小さい傾斜角の予備円錐面と予備歯端面を各々有する予備本体部及び予備歯形を備える中間成形品を成形し、その後、中間成形品の予備円錐面を所望する円錐面の軸線に対する傾斜角と同角の傾斜を有する型により押圧成形すると同時に予備本体部を押圧して鍛造肉を予備歯形に流動させ、所望する歯形を成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸線の一方側に向かうにつれて大径となる歯先面(8a)と該歯先面(8a)に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる歯端面(8b)を有する歯形(8)と、前記歯端面(8b)に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる周状の円錐面(7a)を有する本体部(7)とを備えるかさ歯車の製造方法において、鍛造成形で所望の円錐面(7a)の軸線に対する傾斜角(H)より小さい傾斜角(G)の予備円錐面(5a)と予備歯端面(4b)を各々有する予備本体部(5)及び予備歯形(4)を備える中間成形品(W2)を成形し、その後、中間成形品(W2)の予備円錐面(5a)を所望する円錐面(7a)の軸線に対する傾斜角(H)と同角の傾斜を有する型により押圧成形すると同時に予備本体部(5)を押圧して鍛造肉を予備歯形(4)に流動させ、所望する歯形(8)を成形することを特徴とするかさ歯車の製造方法。
【請求項2】 対向する一端部にかさ歯車(W3)の歯形(8)を成形するサイジング歯型(34)を設けたダイ(32)と、対向する他端部に、かさ歯車(W3)の反歯形側を成形する押圧面(24)を設けたパンチ(22)とを同一軸線に備えるサイジング金型において、かさ歯車(W3)の歯端面(8b)外形に沿うサイジング歯型(34)の見切面(34a)の軸線に対する傾斜角(F)を、かさ歯車(W3)の円錐面(7a)を成形する押圧面(24)の押圧テーパ面(24a)の軸線に対する傾斜角(E)より小さくしたことを特徴とするサイジング金型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の動力伝達接続部、例えばディファレンシャルギア装置等に使用されるかさ歯車の製造方法、及びそのかさ歯車を製造するためのサイジング金型に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、動力伝達接続部に使用されるかさ歯車は、図5に示す如き工程により加工されていた。つまり、円柱状の素材W100(図5の(ア))に1回もしくは複数回の鍛造成形を施して、軸線の一方側に向かうにつれて大径となる予備歯先面104aとその予備歯先面104aに連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる予備歯端面104bを有する予備歯形104と、予備歯端面104bに連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる周状の予備円錐面105aを有する予備本体部105とを備える予備成形品W101(図5の(イ))を成形する。続いてこの予備成形品W101にピアス成形を施して、中心軸に沿って貫通孔106が打ち抜かれた中間成形品W102(図5の(ウ))を成形し、最後に中間成形品W102にサイジング成形を施して、歯形108を所望寸法に仕上げたかさ歯車W103(図5の(エ))を成形していた。
【0003】ここで、上記中間成形品W102からかさ歯車W103を成形する工程、及びその工程で使用するサイジング金型111を図6に基づいて説明する。図において111はサイジング金型で、左半部は成形前、右半部は成形後の状態を表す。
【0004】サイジング金型111は、サイジング歯型134を設けたダイ132を備える下型131と、下型131に対向して押圧面124を設けたパンチ122を備える上型121とからなり、サイジング歯型134はかさ歯車W103の所望する歯形108と同一形状に形成され、また押圧面124はかさ歯車W103の反歯形側外形と同一形状に形成されている。そして上型121は、下型131に対して同一軸線で進退自在に移動可能である。
【0005】このサイジング金型111で歯形サイジングを行なう場合図6左半部に示す如く、上型121を上方へ位置させた状態で、予備歯形104がサイジング歯型134に合致するように中間成形品W102を下型131の下型彫空間133に投入する。続いて上型121を下降させ、図6右半部に示す如く、中間成形品W102を下型131のダイ132と上型121のパンチ122との間で狭圧して、所望する歯形108を有するかさ歯車W103を成形していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く、かさ歯車W103を成形する場合、中間成形品W102に歯形サイジングを行なうことにより歯形108の精度が向上し、所望する歯形108を有するかさ歯車W103を製造できるということがある。尚、ここで歯形サイジングの際、歯形108の外周に鍛造肉が流動しバリが発生することがあるが、外周に発生したバリはかさ歯車W103の軸線方向に稼働するプレス機等で容易に排除できる。
【0007】ところが、かさ歯車W103における歯端面108bの歯形外形に沿って発生するバリは、軸線に対して傾斜し、更に歯形外形がインボリュート曲線を含む複雑な形状の場所に発生するため、プレス機ではバリの排除は難しく、作業者が手作業でバリを排除していた。そのため、バリの排除に時間がかかり、生産性が低いということがあった。
【0008】そこで、歯端面108bの歯形外形にバリが発生するのを抑制するため、歯形サイジングの際の中間成形品W102にかける荷重を小さくして、歯形108成形のための変形量を少なくすることが考えられる。しかし、変形量を少なくすると、サイジング歯型134への押圧力が低下して、かさ歯車W103の歯形108を高い精度に仕上げられないということがある。
【0009】従って、本発明は上述の如き課題を解決し、かさ歯車における歯形の精度が高く、歯端面の歯形外形にバリが発生しないかさ歯車の製造方法及びそのかさ歯車を製造するためのサイジング金型を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明のかさ歯車の製造方法は以下のとおりである。
【0011】軸線の一方側に向かうにつれて大径となる歯先面と歯先面に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる歯端面を有する歯形と、歯端面に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる周状の円錐面を有する本体部とを備えるかさ歯車の製造方法において、鍛造成形で所望の円錐面の軸線に対する傾斜角より小さい傾斜角の予備円錐面と予備歯端面を各々有する予備本体部及び予備歯形を備える中間成形品を成形し、その後、中間成形品の予備円錐面を所望する円錐面の軸線に対する傾斜角と同角の傾斜を有する型により押圧成形すると同時に予備本体部を押圧して鍛造肉を予備歯形に流動させ、所望する歯形を成形する。
【0012】また、本発明のサイジング金型は以下のとおりである。
【0013】対向する一端部にかさ歯車の歯形を成形するサイジング歯型を設けたダイと、対向する他端部に、かさ歯車の反歯形側を成形する押圧面を設けたパンチとを同一軸線に備えるサイジング金型において、かさ歯車の歯端面外形に沿うサイジング歯型の見切面の軸線に対する傾斜角を、かさ歯車の円錐面を成形する押圧面の押圧テーパ面の軸線に対する傾斜角より小さくする。
【0014】
【実施例】以下本発明の実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0015】図1は、本発明のかさ歯車W3を製造する工程を表す。まず、円柱状の素材W0(図1の(ア))に一回もしくは複数回の鍛造成形を施して、軸線の一方側に向かうにつれて大径となる予備歯先面4aとその予備歯先面4aに連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる予備歯端面4bを有する予備歯形4と、予備歯端面4bに連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる周状の予備円錐面5aを有する予備本体部5とを備え、軸線方向両端に凹溝9,9を有する予備成形品W1(図1の(イ))を成形する。続いて、この予備成形品W1の両凹溝9,9間に形成される隔壁部10を打ち抜いて、中心軸に沿って貫通孔6が設けられる中間成形品W2を成形し、最後に中間成形品W2にサイジング成形を施して、歯形8を所望寸法に仕上げるかさ歯車W3を成形する。
【0016】ここで、上記中間成形品W2からかさ歯車W3を成形する工程、及びその工程で使用するサイジング金型11を図2に基づいて説明する。図において11はサイジング金型で、左半部は成形前、右半部は成形後の状態を表す。
【0017】31は下型で、中心に中間成形品W2を投入する下型彫空間33を有し、下型彫空間33に接してかさ歯車W3の歯形8を仕上げるサイジング歯型34を設けたダイ32と、ダイ32の外周を保持するダイケース37とを備え、ダイ32とダイケース37の下方にはベース38が配設される。また、ダイ32の軸心には、貫通するノックアウト孔35が設けられ、ノックアウト孔35内に昇降可能なノックアウトピン36が配設される。
【0018】また、21は上型で、下型31の下型彫空間33に対向して上型彫空間23を有し、上型彫空間23に接してかさ歯車W3の反歯形側外形と同一形状の押圧面24を設けたパンチ22と、パンチ22の上方にカラー26が配設され、パンチ22及びカラー26の外周側にはパンチ22及びカラー26を一体的に保持するパンチホルダ25が配される。
【0019】このサイジング金型11におけるダイ32のサイジング歯型34とパンチ22の押圧面24との関係を、図3を基に説明する。ダイ32のサイジング歯型34は所望するかさ歯車W3の歯形8と略同一形状を有し、またパンチ22の押圧面24は所望するかさ歯車W3の反歯形端面と略同一形状を有する。ここでサイジング歯型34の、特にかさ歯車W3の歯端面8b外形に沿う見切面34aの軸線に対する傾斜角Fは、押圧面24の、特にかさ歯車W3の円錐面7aを成形する押圧テーパ面24aの軸線に対する傾斜角Eより小さく設定されている。尚、中間成形品W2の予備歯端面4b及び予備円錐面5aは、軸線に対する傾斜角Gが同一角になるように形成されており、その傾斜角Gはサイジング歯型34の見切面34aの傾斜角F及び押圧面24の押圧テーパ面24aの傾斜角Eより小さく設定される。
【0020】次に、上記サイジング金型11により中間成形品W2からかさ歯車W3を成形する工程を説明する。
【0021】まず、図2左半部に示す如く、上型21を上方へ位置させた状態で、予備歯形4がサイジング歯型34に合致するように中間成形品W2を下型31の下型彫空間33に投入する。続いて上型21を下降させ、図2右半部に示す如く、中間成形品W2を下型31のダイ32と上型21のパンチ22との間で狭圧して、所望する歯形8を有するかさ歯車W3を成形する。このとき、かさ歯車W3の歯形8の成形状態を図4を基に説明すると、ダイ32の下型彫空間33に投入された中間成形品W2は、二点鎖線で示す如く、予備歯端面4b及び予備円錐面5aの軸線に対する傾斜角Gがサイジング歯型34の見切面34aの傾斜角Fより小さく設定されているので、中間成形品W2の予備歯端面4bはサイジング歯型34の見切面34aより内側に入り込み、予備円錐面5aは見切面34aより外側に突出する。この状態で、見切面34aの傾斜角Fより大きい傾斜角Eの押圧テーパ面24aを有するパンチ22が上方から下降するため、中間成形品W2の予備円錐面5aは押圧テーパ面24aに押圧され、鍛造肉が予備歯形4へ流動され歯形8が成形されるが、中間成形品W2の予備歯端面4bはパンチ22により直接押圧されることはない。そして図2に示す如く、このように成形されたかさ歯車W3は上型21が上方へ退避後、ノックアウトピン36が上方へ突出することにより下型31から取り外され、かさ歯車W3の製造が完了する。
【0022】従って、上述の如くかさ歯車W3を製造することにより、予備歯端面4bは直接押圧されることがないので、歯形8外形にバリが発生しない。また、上述の如きサイジング金型11を使用することにより、サイジング歯型34の見切面34aと押圧面24の押圧テーパ面24aとの間の隙間が外周に向かって大きくなるよう設定できるので、予備歯端面4bを直接押圧しないでかさ歯車W3を製造することが容易にできる。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明の歯車の製造方法によれば、軸線の一方側に向かうにつれて大径となる歯先面と歯先面に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる歯端面を有する歯形と、歯端面に連続し軸線の一方側に向かうにつれて小径となる周状の円錐面を有する本体部とを備えるかさ歯車の製造方法において、鍛造成形で所望の円錐面の軸線に対する傾斜角より小さい傾斜角の予備円錐面と予備歯端面を各々有する予備本体部及び予備歯形を備える中間成形品を成形し、その後、中間成形品の予備円錐面を所望する円錐面の軸線に対する傾斜角と同角の傾斜を有する型により押圧成形すると同時に予備本体部を押圧して鍛造肉を予備歯形に流動させ、所望する歯形を成形するため、予備歯端面は直接押圧されることがないので、歯形外形にバリが発生せず、歯車の歯形は高い精度が得られる。
【0024】また、本発明のサイジング金型によれば、対向する一端部にかさ歯車の歯形を成形するサイジング歯型を設けたダイと、対向する他端部に、かさ歯車の反歯形側を成形する押圧面を設けたパンチとを同一軸線に備えるサイジング金型において、かさ歯車の歯端面外形に沿うサイジング歯型の見切面の軸線に対する傾斜角を、かさ歯車の円錐面を成形する押圧面の押圧テーパ面の軸線に対する傾斜角より小さくしたため、サイジング歯型の見切面と押圧面の押圧テーパ面との間の隙間が外周に向かって大きくなるよう設定できるので、予備歯端面を直接押圧しないでかさ歯車を製造することが容易にできる。
【出願人】 【識別番号】000238360
【氏名又は名称】武蔵精密工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)9月26日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−85385
【公開日】 平成9年(1997)3月31日
【出願番号】 特願平7−271797