トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き




【発明の名称】 中空ボールスタッドの成形方法
【発明者】 【氏名】河内 益雄

【目的】
【構成】 略球状の球頭部と球頭部から突出する軸部とを有し、軸線方向に貫通する貫通孔を設けた中空ボールスタッドの成形方法において、円柱状の素材の両端に凹部を成形することにより、球頭部を成形する軸線方向位置に隔壁部を形成する押出し工程と、隔壁部を押圧して外周側に球頭部を膨出させる張出し工程と、隔壁部を打抜き貫通孔を成形する打抜き工程とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 略球状の球頭部(7)と該球頭部(7)から突出する軸部(9)とを有し、軸線方向に貫通する貫通孔(8)を設けた中空ボールスタッドの成形方法において、円柱状の素材(W0)の両端に凹部(4),(5)を成形することにより、球頭部(7)を成形する軸線方向位置に隔壁部(6)を形成する押出し工程と、前記隔壁部(6)を押圧して外周側に球頭部(7)を膨出させる張出し工程と、前記隔壁部(6)を打ち抜き貫通孔(8)を成形する打ち抜き工程とからなることを特徴とする中空ボールスタッドの成形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、略球状の球頭部と、球頭部から突出する軸部とを有する中空ボールスタッドの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の懸架装置等に使用されるボールジョイントは、図1に示す如き構成のものがある。このボールジョイント171は、両軸タイプのボールジョイント171である。W104はボールスタッドで、球状の球頭部107と、その球頭部107から同軸に突出する二本の軸部109,109からなり、このボールスタッドW104は中空形状である。また、ボールスタッドW104の球頭部107の外周側には合成樹脂製で円筒状のベアリング73が配設され、ベアリング73の外周側には金属製で円筒状のハウジング72が配設されている。このハウジング72の端部内周には、直接又は間接的にブーツ74,74の一端端部が装着され、ブーツ74,74の他端端部はボールスタッドW104の軸部109,109外周に装着されている。
【0003】上記ボールジョイント171に使用されるボールスタッドW104の成形方法を図6乃至図8に基づいて説明する。
【0004】図6は素材W100からボールスタッドW104を成形する成形工程を表す。まず、鋼製線材を軸線垂直方向に切断して、円筒状の素材W100(図6の(ア))を形成する。次に、素材W100の一端端部に若干凹んだ予備穴102を成形した予備素材W101(図6の(イ))を形成し、続いて、予備穴102を更に他端端部側に延ばし凹部104を成形することにより、他端端部に隔壁部106を成形した片開口材W102(図6の(ウ))を形成する。その後、隔壁部106を打ち抜いて貫通孔108を成形した円筒状の中間材W103(図6の(エ)を形成し、最後に中間材W103の軸線方向中央部を外周側に膨出させて、球状の球頭部107とその球頭部107から同軸に突出する軸部109,109からなるボールスタッドW104(図6の(オ))を形成していた。
【0005】このボールスタッドW104の成形工程の中で、特に中間材W103からボールスタッドW104を形成する工程を図7及び図8に基づいて説明する。
【0006】図7は鍛造成形前、図8は鍛造成形後の状態を表す。まず図7により鍛造装置110の構成を説明する。この鍛造装置110は、上部にボールスタッドW104の球頭部107と同一曲率で略下半球状の静型彫空間134を有し、静型彫空間134に対して前後摺動可能なノックアウトリング135とノックアウトリング135の内周に配置された静固定ピン137とを備えた静金型131と、下部にボールスタッドW104の球頭部107と同一曲率で略上半球状の動型彫空間114を有し、動型彫空間114に対して前後摺動可能なリングパンチ115とリングパンチ115の内周に配置された動固定ピン117とを備えた動金型111とからなる。
【0007】この鍛造装置110で鍛造成形する場合、予め円筒状に成形された中間材W103を静型彫空間134に投入し、ノックアウトリング135の上面で支持する。続いて、動金型111を前進させリングパンチ115を中間材W103に当接させると共に、動金型111を前進させリングパンチ115を動金型111内部に収容する。その後、更に動金型111は前進し、リングパンチ115が中間材W103に荷重をかけ、図8に示す如く中間材W103の軸線方向中央付近を型彫空間114,134に沿って外周側に膨出させてボールスタッドW104を形成していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述の如く予め円筒状の中間材W103を形成後、軸線方向中央付近を外周側に膨出させてボールスタッドW104を成形すると、図9に示す如く外周側に膨出すると共に、更に内周側にも余肉199が張出すことがある。この場合、内周側に張出した余肉199だけ外周側の膨出が減り、球頭部107に欠肉が発生して球頭部107の精度が低下するということがある。
【0009】従って、本発明は上述の如き課題を解決し、球頭部の精度の高いボールスタッドを成形する方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は以下のとおりである。
【0011】略球状の球頭部と球頭部から突出する軸部とを有し、軸線方向に貫通する貫通孔を設けた中空ボールスタッドの成形方法において、円柱状の素材の両端に凹部を成形することにより、球頭部を成形する軸線方向位置に隔壁部を形成する押出し工程と、隔壁部を押圧して外周側に球頭部を膨出させる張出し工程と、隔壁部を打抜き貫通孔を成形する打抜き工程とからなる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図4に基づいて説明する。
【0013】図1は本発明の実施例により成形されたボールスタッドW5を使用したボールジョイント71を表す。ボールスタッドW5は、球状の球頭部7とその球頭部7から同軸に突出する二本の軸部9,9を有する中空形状で金属製である。73は合成樹脂製で円筒状のベアリングで、ボールスタッドW5の球頭部7の外周側に配設されている。ベアリング73はボールスタッドW5の軸部9,9を突出させるための開口を両端に備えており、内側にボールスタッドW5の球頭部7と略同一曲率の内球面73aを有すると共にボールスタッドW5の球頭部7を揺動回動自在に保持する。72は略円筒状で両端に開口を有するハウジングで、一端端部の内周側には略円筒状で内側に延びるフランジ形状を有する抜け止めリング75が固定され、ベアリング73の軸線方向への移動が規制されている。74はゴム弾性体製の略円筒状のブーツで、両端が開口され、大開口部に断面L字で金属製の環状のカラー76が埋設されている。このブーツ74,74は抜け止めリング75の内周とボールスタッドW5の一方柄部9の外周との間と、ハウジング72の一端端部内周とボールスタッドW5の他方柄部9の外周との間に夫々配設されている。
【0014】上記ボールジョイント71に使用されるボールスタッドW5の成形方法を図2乃至図4に基づいて説明する。
【0015】図2は素材W0からボールスタッドW5を成形する成形工程を表す。まず鋼製線材を軸線垂直方向に切断して、円筒状の素材W0(図2の(ア))を形成し、続いて、素材W0の両端に若干凹んだ予備穴2,3を成形した予備素材W1(図2の(イ))を形成する。次に、予備素材W1の一方予備穴2を更に他端端部側に延ばし凹部4を成形した片開口材W2(図2の(ウ))を形成するとともに、連続的に片開口材W2の他方予備穴3を延ばし凹部5を成形することにより、軸線方向中央付近に隔壁部6を成形した両開口材W3(図2の(エ))を形成する。その後、隔壁部6を押圧すると同時に外周側に膨出させて球頭部7を成形した中間材W4(図2の(オ))を成形し、最後に中間材W4の隔壁部6を打抜き貫通孔8を成形してボールスタッドW5(図2の(カ))を形成する。
【0016】このボールスタッドW5の成形工程の中で、特に両開口材W3から中間材W4を形成する工程を図3及び図4に基づいて説明する。
【0017】図3は鍛造成形前、図8は鍛造成形後の状態を表す。まず図3により鍛造装置10の構成を説明する。この鍛造装置10は、固定された静金型31と、静金型31に対して進退可能に設けられた動金型11とからなる。
【0018】静金型31は、上部にボールスタッドW5の球頭部7と同一曲率の略下半球状で両開口材W3を投入する静型彫空間34を有するダイ32と、ダイ32を保持するダイホルダ42とを備え、ダイ32には静型彫空間34に連続して内部を軸線方向に貫通するノックアウト孔33が設けられている。ノックアウト孔33内には、静型彫空間34に対して前後摺動可能なノックアウトリング35とカラー36とが配設され、その内周に静ピンガイド38で固定される静固定ピン37が挿嵌されている。更に静ピンガイド38は、ノックアウト孔33を塞ぐ静カバー39にボルト40で一体に固定され、この固定される静ピンガイド38と静カバー39にはその内部を貫通しカラー36に当接する静支持ピン41が挿嵌される。
【0019】また動金型11は、下部にボールスタッドW5の球頭部7と同一曲率で略上半球状の動型彫空間14を有するパンチガイド12と、パンチガイド12を保持するガイドホルダ22とを備え、パンチガイド12には動型彫空間14に連続して内部を軸線方向に貫通するパンチ孔13が設けられている。パンチ孔13内には、動型彫空間14に対して前後摺動可能なリングパンチ15とカラー16とが配設され、その内周に動ピンガイド18で固定される動固定ピン17が挿嵌されている。更に動ピンガイド18は、パンチ孔13を塞ぐ動カバー19にボルト20で一体に固定され、この固定される動ピンガイド18と動カバー19にはその内部を貫通しカラー16に当接する動支持ピン21が挿嵌される。尚、リングパンチ15は成形前の状態でパンチガイド12の端面より突出しており、このリングパンチ15に追従してカラー16と動ピンガイド18も動型彫空間14側に移動している。
【0020】上記鍛造装置10で鍛造成形する場合、予め両端に凹部4,5を成形した断面H型の両開口材W3を静金型31の静型彫空間34に投入し、ノックアウトリング35の上面で支持する。続いて、動金型11を前進させリングパンチ15を両開口材W3に当接させると共に、動金型11を前進させリングパンチ15を動金型11内部に収容する。このとき収容されたリングパンチ15にかわり動固定ピン17の先端がリングパンチ15先端より突出し、静固定ピン37と動固定ピン17との間で両開口材W3の隔壁部6が挟持押圧され、外周側の静型彫空間34及び動型彫空間14に余肉が膨出して、図4に示す如く球頭部7を成形する中間材W4を形成する。その後、動金型11が退避するとともに、静支持ピン41によりノックアウトリング35が静型彫空間34側に突出され中間材W4が静金型31から取出され、本工程による成形が完了する。
【0021】よって、静固定ピン37と動固定ピン17との間で両開口材W3の隔壁部6が挟持押圧されるので、容易に所定量だけ外周側の静型彫空間34及び動型彫空間14に余肉を膨出できる。
【0022】尚、上記実施例では両軸タイプのボールスタッドW5を例に取り成形方法を説明したが、本発明はこのような両軸タイプのボールスタッドW5に限定されるものではなく、図5に示す如く、片軸タイプのボールスタッドW6でも良い。この場合、隔壁部は軸の端部に成形し、球頭部97成形後、隔壁部を打抜き貫通孔98を成形する。
【0023】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、略球状の球頭部と球頭部から突出する軸部とを有し、軸線方向に貫通する貫通孔を設けた中空ボールスタッドの成形方法において、円柱状の素材の両端に凹部を成形することにより、球頭部を成形する軸線方向位置に隔壁部を形成する押出し工程と、隔壁部を押圧して外周側に球頭部を膨出させる張出し工程と、隔壁部を打抜き貫通孔を成形する打抜き工程とからなるため、隔壁部の余肉が所定量だけ外周側に膨出するので、ボールスタッドの球頭部を高い精度で成形することができる。
【出願人】 【識別番号】000238360
【氏名又は名称】武蔵精密工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月31日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−47838
【公開日】 平成9年(1997)2月18日
【出願番号】 特願平7−215372