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【発明の名称】 傘歯車の製造方法
【発明者】 【氏名】塚 本 哲 男

【氏名】大川内 潔

【氏名】小 島 貢

【氏名】伏 見 慎 二

【氏名】梅 垣 俊 造

【氏名】松 本 隆

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 大端部と小端部との間に歯形部を有すると共にセンター穴を有する傘歯車を製造するに際し、表面硬化処理済みの加熱ブランクを型鍛造して大端部と小端部との間で歯形部を成形すると共に大端部の歯と歯の間に外バリを形成させ且つまたセンター穴内に円環状の内バリを形成させた傘歯車粗成形体を得たのち、前記傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに外バリ抜き用金型に装入して傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリを抜くと共に外バリ抜き用金型に近接して設置したサイジング用金型に移して前記外バリ抜きに連続して歯部のサイジングを温間で行うことを特徴とする傘歯車の製造方法。
【請求項2】 歯部のサイジングを温間で行ったのち、焼入れ・焼もどしを施し、さらに内バリ抜きを行う請求項1に記載の傘歯車の製造方法。
【請求項3】 歯部のサイジングを温間で行ったのち、内バリ抜きを行い、さらに焼入れ・焼もどしを施す請求項1に記載の傘歯車の製造方法。
【請求項4】 表面硬化処理は、浸炭処理ないしは浸炭窒化処理である請求項1ないし3のいずれかに記載の傘歯車の製造方法。
【請求項5】 センター穴内の円環状の内バリは、厚さが0.3mm以上で且つ1.3×tmm以下(ただし、tは表面硬化層深さ(mm)である。)に規制している請求項1ないし4のいずれかに記載の傘歯車の製造方法。
【請求項6】 鍛造余熱状態は850〜1000℃の範囲とする請求項1ないし5のいずれかに記載の傘歯車の製造方法。
【請求項7】 外バリ抜き用金型の直下にサイジング用金型を同軸状態で設置し、外バリ抜き用金型に装入された傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリが上型ピアスの降下により外バリ抜き用金型で抜かれると共に引続く上型ピアスの降下により傘歯車粗成形体をサイジング用金型内に移して歯部のサイジングを温間で行う請求項1ないし6のいずれかに記載の傘歯車の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大端部と小端部との間に歯形部を有する傘歯車をより高精度に製造するのに利用される傘歯車の製造方法に係わり、型鍛造を行う成形型の寿命を延長したうえで、高精度の傘歯車を効率良く安価に製造するのに好適な傘歯車の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】型鍛造による傘歯車の製造方法には、次に例示するようなものがある。
【0003】1)熱間(1100〜1200℃)において型鍛造した後、冷間サイジングして歯形精度を保証する製造方法。
【0004】この場合、大端部の歯と歯の間に形成された外バリは冷却後歯面を基準面とする治具で保持して旋盤により後方から旋削除去し、シャフト穴部の内バリはドリルで除去されるのが一般的である。
【0005】2)冷間において型鍛造する製造方法。
【0006】これは熱間鍛造の欠点である精度を向上させる工法で、通常、閉そく鍛造法を用いるためバリの発生は無く、バリ処理を不要とする特徴がある。
【0007】3)温間域(650〜900℃)で歯形鍛造する製造方法(特開昭59−153540号)。
【0008】これは冷間鍛造の欠点である加工荷重を低減させることが可能で、型寿命の向上に有効な工法である。
【0009】4)温間域(650〜900℃)で歯型鍛造した後、鍛造余熱状態(600〜850℃)のままシャフト穴の内バリをピアス除去し、歯部のサイジングを同時に行う傘歯車の製造方法(特開昭61−129249号)。
【0010】これは3)の製造方法で連続量産成形をした場合、金型の歯部にダレが発生して歯車精度が低下するため、温間でサイジングするもので、同時にシャフト穴部に形成された内バリをピアスで除去するため、精度の良い傘歯車を能率良く製造できる工法である。なお、大端部の歯と歯の間に形成された外バリは、1)の製造方法と同様に旋盤で旋削加工除去される。
【0011】5)素材に浸炭後歯型鍛造焼入れする製造方法(特開昭62−27515号,特開平06−335827号)。
【0012】これは、超高強度な傘歯車の製造に適する傘歯車の製造方法である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の技術の如く、熱間や温間鍛造で傘歯車を製造する場合、シャフト穴に形成された内バリは冷却後にドリルまたはピアスで除去し、大端部の歯と歯の間に形成された外バリは旋盤で除去してから背球面および穴加工をして所定の図面形状に仕上げられ、最後に浸炭焼入れしてから用いられている。
【0014】この様な工法によれば、熱間や温間鍛造で得られた特性、すなわち鍛造で微細化したオーステナイト結晶粒および鍛流線効果などが浸炭時の加熱によって解放され、衝撃疲労寿命および歯元曲げ疲労強度を約5%以上超えて向上させるのは困難であるという問題点があった。
【0015】他方、冷間鍛造による傘歯車は強い塑性変形を受け、歯車各部の加工率がそれぞれ異なるため、浸炭時の加熱でオーステナイトが再結晶するとき、加工率の影響で場所によってオーステナイト粒径に差が発生し混粒となる。そして、このように混粒となった歯車は、衝撃強度が低下したり、ばらつきが大きくなったりするというおそれがあり、このような欠点を解消するためには焼ならし処理が必要であって、コスト高になるという問題点があった。
【0016】そこで、これらの問題点を解決する方法として、本発明者等が新しい浸炭鍛造焼入れ法をすでに提案している(特開昭62−27515号公報,特開平6−335827号公報)。
【0017】ところで、温間鍛造のみで歯形精度JIS3級以上の高精度に傘歯車を成形しようとすると、連続量産途中に金型の歯頂部(歯車の歯底部)にダレが発生し、高精度を維持することが困難である。この傾向は、加熱ブランクを閉そく鍛造する場合により顕著となる。すなわち、加熱ブランクと鍛造型との接触時間が長くなり、加熱ブランクの熱による焼鈍しによって鍛造型の硬度が低下し、鍛造型がダレやすくなるからである。
【0018】そのため、冷間サイジングが必要となり、生産コストが高くなるという問題点があった。
【0019】浸炭後鍛造焼入れしたものも亜熱間域(950〜1100℃)鍛造のため、同様に連続量産成形の途中約4000ショット以降で鍛造型の歯頂部にダレが発生し、JIS3級の精度をこれ以上維持することは困難な状況であった。
【0020】さらに、本工法による傘歯車は表面部に浸炭層が形成されているため、鍛造焼入れ状態で表面硬度(バリ部も含む)がHRC62〜64になる。
【0021】バリ厚さは0.3〜0.5mmに調整して鍛造するので、通常は冷間プレスでバリ抜きは可能である。また、他のバリ抜き法としては放電加工による工法も利用できる。
【0022】しかしながら、冷間プレスによるバリ抜きは型寿命数的にいって十分なものではなく、また、放電加工によるバリ抜きでは時間がかかり過ぎるため製造原価が高くなるという問題点があった。
【0023】したがって、型鍛造を行う成形型の寿命を十分良好なものとすることができ、しかも、高精度の傘歯車を量産的に効率良く低コストで製造できるようにすることが課題としてあった。
【0024】
【発明の目的】本発明は、このような従来の課題にかんがみてなされたものであって、型鍛造を行う鍛造成形型の寿命を延長したうえで、高精度の傘歯車を効率良く安価に製造できるようにすることを目的としている。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる傘歯車の製造方法は、請求項1に記載しているように、大端部と小端部との間に歯形部を有すると共にセンター穴を有する傘歯車を製造するに際し、表面硬化処理済みの加熱ブランクを型鍛造して大端部と小端部との間で歯形部を成形すると共に大端部の歯と歯の間に外バリを形成させ且つまたセンター穴内に円環状の内バリを形成させた傘歯車粗成形体を得たのち、前記傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに外バリ抜き用金型に装入して傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリを抜くと共に外バリ抜き用金型に近接して設置したサイジング用金型に移して前記外バリ抜きに連続して歯部のサイジングを温間で行う構成としたことを特徴としている。
【0026】そして、本発明に係わる傘歯車の製造方法の実施態様においては、請求項2に記載しているように、歯部のサイジングを温間で行ったのち、焼入れ・焼もどしを施し、さらに内バリ抜きを行うようにしたり、あるいは、請求項3に記載しているように、歯部のサイジングを温間で行ったのち、内バリ抜きを行い、さらに焼入れ・焼もどしを施すようにしたりすることができる。
【0027】また、同じく、本発明に係わる傘歯車の製造方法の実施態様においては、請求項4に記載しているように、表面硬化処理は、浸炭処理ないしは浸炭窒化処理であるものとすることができ、請求項5に記載しているように、センター穴内の円環状の内バリは、厚さが0.3mm以上で且つ1.3×tmm以下(ただし、tは表面硬化層深さ(mm)である。)に規制しているものとすることができ、請求項6に記載しているように、鍛造余熱状態は850〜1000℃の範囲とするようになすことができる。
【0028】同じく、本発明に係わる傘歯車の製造方法の実施態様においては、請求項7に記載しているように、外バリ抜き用金型の直下にサイジング用金型を同軸状態で設置し、外バリ抜き用金型に装入された傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリが上型ピアスの降下により外バリ抜き用金型で抜かれると共に引続く上型ピアスの降下により傘歯車粗成形体をサイジング用金型内に移して歯部のサイジングを温間で行うようになすことができる。
【0029】本発明に係わる傘歯車の製造方法は、上述した構成を有するものであり、センター穴を有する傘歯車を製造する方法に関するものであるが、加熱ブランクとしては、中実状のものであってもよく、また、中空状のものであってもよい。そして、中空状のものを用いる場合に、ドリル加工等の切削加工により中空孔を形成したものでもよく、また、中実素材に対して塑性加工により中空孔を形成したものであってもよい。あるいは、パイプ形状をなすものであってもよい。
【0030】また、傘歯車の材質についても、JIS SC材,SNC材,SNCM材,SCr材,SCM材,SMn材,SMnC材等々のうち例えばはだ焼用に適する鋼材、もしくは適宜の合金元素を添加した鋼材の中から任意に選んで使用することができ、とくに限定はされない。
【0031】そして、加熱ブランクは表面硬化処理済みのものを用いるが、この場合の表面硬化処理としては、浸炭,浸炭窒化,窒化等々の適宜の表面硬化処理法が採用され、とくに限定はされないものであり、また、例えば、浸炭処理を施すとしても、普通浸炭,高温浸炭,真空浸炭等々が適宜に採用され得る。
【0032】このような表面硬化処理済みの加熱ブランクに対しては、型鍛造を行うことによって、大端部と小端部との間で歯形部を成形すると共に大端部の歯と歯の間に外バリを形成させ且つまたセンター穴内に円環状の内バリを形成させた傘歯車粗成形体を得る。
【0033】この型鍛造に際しては、例えば、センター穴を設けた表面硬化処理済みの加熱ブランクを用い、鍛造加工時に、前記センター穴の一方側から入る一方のピアス(マンドレル等の類似呼称をもつものを含む。)をそなえた一方の鍛造成形型と前記センター穴の他方側から入る他方のピアス(これもまたマンドレル等の類似呼称をもつものをも含む。)をそなえた他方の鍛造成形型を用いてセンター穴を有する傘歯車粗成形体を得る。
【0034】この鍛造加工に先立っては、加熱ブランクの表面にリン酸化成被膜,二硫化モリブデン被膜,黒鉛被膜等々の潤滑剤被覆を形成する表面潤滑処理を施しておくことも必要に応じて望ましい。
【0035】このような鍛造加工を行うことによって、大端部と小端部との間で歯形部を成形すると共に大端部の歯と歯の間に外バリを形成させ且つまたセンター穴内において前記一方のピアスと他方のピアスとの間で円環状の内バリを生じさせるが、この際、円環状の内バリの厚さ(すなわち、閉型時における一方のピアスと他方のピアスとの間隔)を0.3mm以上で且つ前記表面硬化深さt(mm)の1.3×tmm以下(すなわち、130%以下)に規制する内バリ鍛造加工を行うことが望ましい。
【0036】ここで、センター穴の内部において一方のピアスと他方のピアスとの間で形成される円環状の内バリの厚さ(対向する両ピアスの間隔)が0.3mmよりも小さいときは、内バリ部分の冷却が速くなってピアス先端がより大きな抵抗を受け、ピアスの変形や摩耗が大きくなるので型寿命が短縮されるおそれがあることとなって好ましくなく、1.3×tmmよりも大きいときには表面硬化層が円環状の内バリの部分に移行してしまうことにより、仕上げ加工で前記円環状の内バリを除去した際にはセンター穴の内周面に表面硬化層が存在しない部分が発生し、使用時にシャフトと焼き付いたり、摩耗が局部的に多くなったりするおそれがでてくるので好ましくないことから、円環状の内バリの厚さ(対向する両ピアスの間隔)は0.3mm以上で且つ表面硬化層深さ(t)の130%以下(すなわち、1.3×tmm以下)とするのが好ましい。
【0037】次に、このようにして得た傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに、より好ましくは850〜1000℃の範囲にあるうちに、外バリ抜き用金型に装入して傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に成形されている外バリを抜くと共に、外バリ抜き用金型に近接して設置したサイジング用金型に移して前記外バリ抜きに連続して歯部のサイジングを温間で行う。
【0038】この場合、外バリ抜き用金型の直下にサイジング用金型を同軸状態で上下に並べて設置し、外バリ抜き用金型に装入された傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリが上型ピアスの降下により外バリ抜き用金型で抜かれると共に引続く上型ピアスの降下により傘歯車粗成形体をサイジング用金型内に移して歯部のサイジングを温間で行うようになすことができる。
【0039】次いで、サイジング用金型より中空傘歯車成形体をとりだした後、センター穴内部に形成されている内バリを除去したのち、適宜の雰囲気、例えば、カーボンポテンシャルを高めに設定した雰囲気や、不活性ないしは非酸化性雰囲気で焼入れ温度まで加熱し、冷却して焼入れすると共に、適宜焼もどしを施すなどの焼入れ・焼もどし処理を行う。
【0040】そして、焼入れ・焼もどし熱処理後にはショットブラストやサンドブラストなどによって表面の黒皮を除去したのち、仕上げ加工を行うことによって、所望の傘歯車を得る。
【0041】あるいは、サイジング用金型より中空傘歯車成形体をとりだした後、焼入れ・焼もどし処理を行い、その後センター穴内部に形成されている内バリを除去し、仕上げ加工を行うことによって、所望の傘歯車を得る。
【0042】
【発明の作用】本発明に係わる傘歯車の製造方法では、請求項1に記載しているように、大端部と小端部との間に歯形部を有すると共にセンター穴を有する傘歯車を製造するに際し、表面硬化処理済みの加熱ブランクを型鍛造して大端部と小端部との間で歯形部を成形すると共に大端部の歯と歯の間に外バリを形成させ且つまたセンター穴内に円環状の内バリを形成させた傘歯車粗成形体を得たのち、前記傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに外バリ抜き用金型に装入して傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリを抜くと共に外バリ抜き用金型に近接して設置したサイジング用金型に移して前記外バリ抜きに連続して歯部のサイジングを温間で行うようにしたから、型鍛造を行う型の寿命は熱間ないしは亜熱間鍛造となることから長いものとなり、外バリ抜き用金型およびサイジング用金型も亜熱間ないしは温間でバリ取りおよびサイジングを行うことから、加工荷重が大きく低下することとなって寿命の長いものとなり、歯形にダレが発生した際にも温間でのサイジングによって歯形精度が十分に向上したものとなることによって、より高精度の傘歯車が製造されることとなり、型鍛造後の傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに外バリ抜きおよびサイジングを行うことから熱エネルギー損失の少ない製造工程となり、高精度・高強度の傘歯車が効率良く安価に製造されることとなる。
【0043】そして、請求項2に記載しているように、歯部のサイジングを温間で行ったのち、焼入れ・焼もどしを施し、さらに内バリ抜きを行うようにしたり、請求項3に記載しているように、歯部のサイジングを温間で行ったのち、内バリ抜きを行い、さらに焼入れ・焼もどしを施すようにしたりすることによって、強靭性に優れた高品質の傘歯車が製造されることとなる。
【0044】また、請求項4に記載しているように、表面硬化処理は、浸炭処理ないしは浸炭窒化処理であるようになすことによって、耐疲労強度に優れた高品質の傘歯車が製造されることとなる。
【0045】さらにまた、請求項5に記載しているように、センター穴内の円環状の内バリは、厚さが0.3mm以上で且つ1.3×tmm以下(ただし、tは表面硬化層深さ(mm)である。)に規制しているものとすることによって、内バリの部分がより速く冷却したときにピアス先端がより大きな抵抗を受けるのが回避されることになると共にセンター穴内周面に硬化層が形成されない部分を生じるのが回避されることとなる。
【0046】さらにまた、請求項6に記載しているように、鍛造余熱状態は850〜1000℃の範囲とすることによって、外バリ抜き用金型およびサイジング用金型の寿命は良好なものになると共に傘歯車の精度も良好なものとなる。
【0047】さらにまた、請求項7に記載しているように、外バリ抜き用金型の直下にサイジング用金型を同軸状態で設置し、外バリ抜き用金型に装入された傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリが上型ピアスの降下により外バリ抜き用金型で抜かれると共に引続く上型ピアスの降下により傘歯車粗成形体をサイジング用金型内に移して歯部のサイジングを温間で行うようになすことによって、外バリ抜きとサイジングとが連続して行われることとなり、加工荷重が低いものとなって金型寿命が増大する。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明する。
【0049】図1は本発明の一実施例における工程を示す説明図、図2は傘歯車の亜熱間鍛造工程の主要部の断面説明図、図3は温間での外バリ抜き,温間ピアスおよびサイジング工程の主要部の断面説明図である。
【0050】浸炭鍛造傘歯車の製造にあたり、まず、JIS SCM418Hの組成(C:0.17%、Si:0.30%、Mn:0.63%、Ni:0.09%、Cr:1.02%、Mo:0.16%、Al:0.019%、O:0.0012%、N:0.0155%、残部:Feおよび不純物)よりなる直径:28mmの中実丸棒(図1の工程(a)に対応する。)10を必要長さに切断し、機械加工または冷間鍛造(コールドホーマー)で穴あけ加工を行って、外径:28mm、内径:16mm、高さ:31mmの中空歯車素材(図1の工程(b)に対応する。)11を得た。
【0051】次いで、上記中空歯車素材11に対して920℃×5時間の条件でガス浸炭処理を施し、有効浸炭硬化層深さ(表面硬化層深さ)が0.9mmの浸炭処理済みの中空歯車鍛造素材とした(図1の工程(c)に対応する。)。
【0052】次に、酸化,脱炭を防止するため窒素ガスを流しながら高周波加熱することによって鍛造温度である1000±10℃に加熱して浸炭処理済みの加熱ブランクとしたのち、この浸炭処理済みの加熱ブランクに対して図2に示す鍛造成形型を用いて歯形鍛造加工を行った(図1の工程(d)に相当する。)。
【0053】図2に示す鍛造成形型1において、2は一方の鍛造成形型である上部成形型、3は他方の鍛造成形型である下部成形型、4は上部成形型2にそなえた一方のピアスである上部ピアスであって、この上部ピアス4は上部成形型2に一体でそなえた固定式のものとしてある。
【0054】また、同じく図2において、5は下部成形型3にそなえた他方のピアスである下部ピアスであって、この下部ピアス5はピアス軸方向(図2において上下方向)に移動可能とした可動式のものとしてある。
【0055】さらに、同じく図2において、6は上端に球面座6aが位置する状態として下部成形型3内でかつ下部ピアス5の外周側に設けた下部補助成形型であり、この下部補助成形型6はピアス軸方向(図2において上下方向)に移動可能とした可動式のものとしてある。
【0056】図2では鍛造成形型2,3,6による閉型状態を示しており、成形型2,3,6によって、中空傘歯車粗成形体7の外周側に歯形部7aが形成されていると共にセンター穴7b内において前記一方の上部ピアス4と他方の下部ピアス5との間で円環状の内バリ7cが形成されていると共に大端部の歯と歯の間に外バリ7dを形成させているものとなっている(図1の工程(d)に対応する。)。
【0057】この実施例で用いた鍛造成形型2,3,6の素材としては、JIS SKD62を用いており、成形型2,3,6の製作に際しては銅のマスター歯形による放電加工を採用し、加工後に焼入れ・焼もどしを行って硬さをHRC60にしたものを用いた。
【0058】このような鍛造成形型2,3,6を用いて、円筒形状をなす前記寸法の中空歯車素材11に対して歯形鍛造を行う場合には、前記円筒形状をなす中空歯車素材11を球面座6aの上に載置した状態にして、上部ピアス4を中空歯車素材11のセンター穴11aの一方側すなわち上部側から入れるようにして上部成形型2を降下させると共に、下部ピアス5の位置決めは、閉型時に上下ピアス4,5の間隔が0.6〜0.7mmとなるようにあらかじめ調整した。そして、上部ピアス4と下部ピアス5との間で厚さ0.6〜0.8mmの円環状の内バリ7cを形成させていると共に大端部の歯と歯の間に外バリ7dを形成させた傘歯車粗成形体7を得た。そして、この鍛造加工では、あとに行う背面加工およびセンター穴内面の仕上げ加工において、仕上げ代が0.3〜0.5mmとなるような寸法の傘歯車粗成形体7とした。
【0059】次に、歯形部7aを形成した傘歯車粗成形体7を取り出し、この傘歯車粗成形体7が亜熱間鍛造余熱状態、たとえば、850〜1000℃程度の余熱状態にあるうちに、図3に示す複合金型21に移す(図1の工程(e)に相当する。)。
【0060】図3に示す複合金型21は、外バリ抜き用金型22と、サイジング用金型26とを同軸状態で一体化してなるものであって、外バリ抜き用金型22の直下に連続した形でサイジング用金型26が設けてある。そして、この複合金型21は、さらに、逆さの状態にした傘歯車粗成形体7を押す上型ピアス23と、外バリ押え型24と、これらを保持するダイホルダ25と、ノックアウトピン27などをそなえている。
【0061】そこで、型鍛造後の傘歯車粗成形体7を上下逆さにして、図3に示す複合金型21のうち上側の外バリ抜き用金型22に装入する。そして、この傘歯車粗成形体7はダイホルダ25に支持された外バリ押え型24の下降によって、外バリ押え型24が外バリ7dの部分を押え、傘歯車粗成形体7の背球面側が上型ピアス23により押されて降下し、大端部の歯と歯の間に形成されている外バリ7dが外バリ抜き用金型22のバリ抜き部22aに位置したとき、すなわち、仮想線で示す傘歯車粗成形体7(7A)の位置となったときに外バリ抜きが行われ、傘歯車粗成形体7は上型ピアス23によりさらに下方に押されて降下することによって、歯形26aを合わせた状態にして外バリ抜き用金型22の直下に配置されたサイジング用金型26の中に引続き装入されて破線で示す傘歯車粗成形体7(7B)はサイジングされる。このときの上型ピアス23による押し込み量は約0.1mm以下に調整することが望ましく、これよりも多く押し込むと歯車全体の変形によって歯形の精度が低下することとなりかねない。
【0062】このようにして、亜熱間鍛造後に外バリ抜きと温間サイジングとを連続して実施すると、鍛造用成形型1の型寿命は2〜4倍延長される。また、サイジング用金型26の寿命は従来の冷間サイジングと同等以上の金型寿命になり、かつその金型寿命の間はJIS3級以上の歯形精度が維持される。
【0063】サイジングを終了してノックアウトピン27によりノックアウトされた傘歯車は、焼入れ温度を揃えると共に脱炭を防止しそしてまた再結晶を促進させるために、不活性ガスを流した状態としかつ内部温度を820〜840℃に調整したトンネル式加熱炉中を約30秒間で通過させて焼入れ温度まで加熱した後、80〜100℃の油中に投入して焼入れを行い(図1の工程(f)に相当する。)、その後、170℃で2時間の焼もどしを施す(図1の工程(g)に相当する。)焼入れ・焼もどし処理を行ったあと、冷間プレスでセンター穴中央の内バリ7cを除去し(図1の工程(h)に相当する。)、サンドブラストクリーニング処理を行う(図1の工程(i)に相当する。)ことによって表面の黒皮を除去した。なお、センター穴中央の内バリ7cを除去したあと、焼入れ・焼もどし処理を行ってもよい。
【0064】このようにして得た浸炭鍛造焼入れ傘歯車をその歯面を基準面とした治具に取り付け、センター穴内面と背球面のみをc−BN(立方晶窒化ほう素)工具を用いた仕上げハードターニング加工(高硬度材旋削加工)を行うことにより高精度の歯形部17aを有すると共に同心度の高いセンター穴17bを有する傘歯車17を得た(図1の工程(j)に相当する。)。
【0065】
【発明の効果】本発明に係わる傘歯車の製造方法では、請求項1に記載しているように、大端部と小端部との間に歯形部を有すると共にセンター穴を有する傘歯車を製造するに際し、表面硬化処理済みの加熱ブランクを型鍛造して大端部と小端部との間で歯形部を成形すると共に大端部の歯と歯の間に外バリを形成させ且つまたセンター穴内に円環状の内バリを形成させた傘歯車粗成形体を得たのち、前記傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに外バリ抜き用金型に装入して傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリを抜くと共に外バリ抜き用金型に近接して設置したサイジング用金型に移して前記外バリ抜きに連続して歯部のサイジングを温間で行うようにしたから、型鍛造を行う型の寿命は熱間ないしは亜熱間鍛造となることから長いものとすることが可能となり、外バリ抜き用金型およびサイジング用金型も亜熱間ないしは温間でバリ取りおよびサイジングを行うことから、加工荷重が大きく低下することとなって寿命を長いものとすることが可能となり、歯形にダレが発生した際にも温間でのサイジングによって歯形精度が十分に向上したものにできることによって、より高精度の傘歯車を製造することが可能となり、型鍛造後の傘歯車粗成形体が鍛造余熱状態にあるうちに外バリ抜きおよびサイジングを行うことから熱エネルギー損失の少ない製造工程とすることが可能となり、高精度・高強度の傘歯車を効率良く良好なる生産性のもとで安価に製造することが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0066】そして、請求項2に記載しているように、歯部のサイジングを温間で行ったのち、焼入れ・焼もどしを施し、さらに内バリ抜きを行うようにしたり、請求項3に記載しているように、歯部のサイジングを温間で行ったのち、内バリ抜きを行い、さらに焼入れ・焼もどしを施すようにしたりすることによって、強靭性に優れた高品質の傘歯車を生産性良く製造することが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0067】また、請求項4に記載しているように、表面硬化処理は、浸炭処理ないしは浸炭窒化処理であるようになすことによって、耐疲労強度に優れた高品質の傘歯車を生産性良く製造することが可能であるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0068】さらにまた、請求項5に記載しているように、センター穴内の円環状の内バリは、厚さが0.3mm以上で且つ1.3×tmm以下(ただし、tは表面硬化層深さ(mm)である。)に規制しているものとすることによって、内バリの部分がより速く冷却したときにピアス先端がより大きな抵抗を受けるという不具合を回避することが可能になると共にセンター穴内周面に硬化層が形成されない部分が生じるのを回避することが可能となって局部的に摩耗が生じるのを防止することが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0069】さらにまた、請求項6に記載しているように、鍛造余熱状態は850〜1000℃の範囲とすることによって、外バリ抜き用金型およびサイジング用金型の寿命を良好なものにすることが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0070】さらにまた、請求項7に記載しているように、外バリ抜き用金型の直下にサイジング用金型を同軸状態で設置し、外バリ抜き用金型に装入された傘歯車粗成形体の大端部の歯と歯の間に形成されている外バリが上型ピアスの降下により外バリ抜き用金型で抜かれると共に引続く上型ピアスの降下により傘歯車粗成形体をサイジング用金型内に移して歯部のサイジングを温間で行うようになすことによって、外バリ抜きとサイジングとを連続して行うことが可能となり、加工荷重を低いものとすることが可能であって金型寿命を増大させることが可能になるという著しく優れた効果がもたらされる。
【出願人】 【識別番号】000227157
【氏名又は名称】日鍛バルブ株式会社
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月27日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小塩 豊
【公開番号】 特開平9−38747
【公開日】 平成9年(1997)2月10日
【出願番号】 特願平7−192177