トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き




【発明の名称】 歯車の製造方法及びそのサイジング金型
【発明者】 【氏名】村田 真一

【目的】
【構成】 外周に軸線方向に沿う複数条の歯形部を有し、内周に大径の大径部、小径の小径部及び小径部と大径部をつなぐ段部とを有する歯車の製造方法において、予め内外形輪郭が整えられ、粗加工された予備歯形部及び段部から軸線方向で周状に突出した予備突部を形成する第一工程と、第一工程により形成された中間材の予備歯形部にサイジング加工を施すと共に予備突部の先端を押潰しレース基準面を形成する第二工程と、第二工程により形成されたサイジング材のレース基準面を切削加工の突き当て基準として、サイジング材に切削加工を施す第三工程とからなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 外周に軸線方向に沿う複数条の歯形部(25)を有し、内周に大径の大径部(2)、小径の小径部(3)及び該小径部(3)と大径部(2)をつなぐ段部(4)とを有する歯車の製造方法において、予め内外形輪郭が整えられ粗加工された予備歯形部(5)及び、段部(4)から軸線方向で周状に突出した予備突部(6)を形成する第一工程と、前記第一工程により形成された中間材(W3)の予備歯形部(5)にサイジング加工を施すと共に予備突部(6)の先端を押潰しレース基準面(16a)を形成する第二工程と、前記第二工程により形成されたサイジング材(W4)のレース基準面(16a)を切削加工の突き当て基準として、サイジング材(W4)に切削加工を施す第三工程とからなることを特徴とする歯車の製造方法。
【請求項2】 同一軸線に設けられたパンチ(62)及び、中間材(W3)を固定する固定台(79)と、該固定台(79)外周側に設けられ内周に仕上げ歯型(72a)を有するダイ(72)とを備えるサイジング金型において、前記固定台(79)が、ダイ(72)に一体的に固着され中間材(W3)に対向する端面に基準成形面(77a)を有するガイドリング(77)と、該ガイドリング(77)の外周側にクリアランス(S)を有して配置されるカラー部材(78)とからなることを特徴とするサイジング金型。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車の動力伝達機構等に用いられる歯車の製造方法及びその製造に使用されるサイジング金型に関するものであり、特に歯形部の加工精度向上を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の動力伝達機構等に用いられる歯車を製造する場合は特開昭64−18545号、実公平5−10999号に開示されるように、熱間または温間温度域において据込み加工、予備歯形部の押出し成形、穴明け加工等の一連の鍛造成形で粗加工した後、前記押出し成形により形成された予備歯形部を所定の歯形精度に仕上げるために予備歯形部にしごき加工(アイオニング)を施すサイジング加工を冷間温度域にて行なう。次いで、前述の如く塑性成形されたサイジング材に工作機械による切削加工を施し全体を所望の形状に仕上げていた。ここで切削工程においては、図7に示されるように把持装置190におけるサイジング材W104のレース基準面として内周に形成された段部104に対し、突き当て部材191を当接させた後、サイジング歯形部115の外周側に配置された複数のチャック部材192でサイジング材W104を把持して、サイジング材の外径、内径及び端面等に適宜切削加工を施していた。
【0003】しかし、上述の歯車の製造方法においては、切削加工におけるレース基準面とすべきサイジング材W104の段部104は鍛造で成形されるが、サイジング歯形部115は後工程のサイジング加工で仕上げ成形され、各々別工程の金型で形成されるため、サイジング歯形部115の歯筋に対する段部104の直角精度が得られにくく、切削加工精度が低下するということがある。
【0004】そこで出願人は、先行で出願した特開平3−155429号において、外周面に歯形部を有する小径部と大径のフランジ部からなる段付歯車を製造する方法として、フランジ部の端面に周状突起を成形し、歯形部にサイジング加工を施すとともに周状突起の先端を押潰しレース基準面を形成して、このレース基準面を切削加工突き当て基準としてサイジング材を把持しながら機械加工を施していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述の如き段付歯車の製造方法では、サイジング歯形部とレース基準面が同金型で一体的に形成されるため、サイジング歯形部の歯筋に対するレース基準面の直角精度を高めることができる。しかし、このように段付歯車であれば、大径のフランジ部の端面にレース基準面を形成する周状突起を成形できるが、周状突起を成形できる程のフランジ部を有さない歯車、又は外径が同径の歯車では周状突起を成形できないため高い直角精度が得られず、切削加工精度が低下するということがある。
【0006】従って本発明は上述の如き課題を解決し、外周にフランジ部を有さない歯車においても、高い切削加工精度が得られる歯車の製造方法及びそのサイジング金型を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の歯車の製造方法は以下の通りである。
【0008】外周に軸線方向に沿う複数条の歯形部を有し、内周に大径の大径部、小径の小径部及び小径部と大径部をつなぐ段部とを有する歯車の製造方法において、予め内外形輪郭が整えられ、粗加工された予備歯形部及び段部から軸線方向で周状に突出した予備突部を形成する第一工程と、第一工程により形成された中間材の予備歯形部にサイジング加工を施すと共に予備突部の先端を押潰しレース基準面を形成する第二工程と、第二工程により形成されたサイジング材のレース基準面を切削加工の突き当て基準として、サイジング材に切削加工を施す第三工程とからなる。
【0009】また、本発明のサイジング金型は以下の通りである。
【0010】同一軸線に設けられたパンチ及び中間材を固定する固定台と、固定台外周側に設けられ内周に仕上げ歯型を有するダイとを備えるサイジング金型において、固定台が、ダイに一体的に固着され中間材に対向する端面に基準成形面を有するガイドリングと、ガイドリングの外周側にクリアランスを有して配置されるカラー部材とからなる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の実施例を図1乃至図6に基づいて詳細に説明する。
【0012】図1は本発明の実施例により歯車を製造する工程を表し、初めに図1の(ア)に示す如き円盤状の素材W0を鍛造成形により、図1の(イ)に示す如き両端面に凹部8,9を有する断面略H型の粗材W1に成形する。
【0013】次に、この粗材W1を鍛造成形により、図1の(ウ)に示す如き外周に予備歯形部5を有する予備材W2に成形する工程を図2に基づいて説明する。
【0014】図2は鍛造金型30を表し、左半部は成形前、右半部は成形後の状態を表す。41は下型で、内周に歯型42aを有するダイ42と、ダイ42を上下方向から保持する投入型43及びダイホルダ44とを備える。ダイ42の内周側には間隔をおいて円柱状のマンドレル47が固定され、マンドレル47とダイ42との間には、下端に外周フランジ45aを有する円筒状のノックアウトリング45が介設されている。マンドレル47の上端面には、予備材W2の予備突部6を成形する環状凹溝47aが設けられ、マンドレル47の上端面と投入型43の内周面とにより型彫空間48が画成される。そして、ノックアウトリング45とダイホルダ44との間には、ノックアウトリング45の外周フランジ45aとダイ42の下端面を軸線方向のストッパとしてスプリング46が介在し、ノックアウトリング45を常に下方に押圧する。また、31は上型で、予備材W2の小径部3を成形するパンチ32と、パンチ32の外周側に配置され予備材W2を押圧するパンチガイド32とを備える。
【0015】上記鍛造金型30で粗材W1から予備材W2を成形する場合、図2の左半部に示す如く、粗材W1を下型41の型彫空間48に投入し、その後、上型31を下降させる。そして図2の右半部に示す如く、上型31が粗材W1に当接すると同時に粗材W1はダイ42の歯型42aとマンドレル47との間に前方押出しされ、外周に予備歯形部5が成形される。また内周の段部4には、マンドレル47の環状凹溝47aにより、図4に示す如き軸線方向に突出する予備突部6が成形される。その後、上型31を後退させるとともにノックアウトリング45が上方へ突出し、成形された予備材W2が下型41から取り出され、この工程が完了する。
【0016】続いて、予備材W2の軸線方向略中央に形成された隔壁部7を打ち抜いて、図1の(エ)に示す如き円筒状の中間材W3を成形する。尚、打ち抜き装置は打ち抜きパンチを備えた一般的な装置を使用するため、その打ち抜き装置の構成及び工程の説明は省略する。
【0017】次に、中間材W3の予備歯形部5にサイジング加工を施し、図1の(オ)に示す如き所定寸法のサイジング歯形部15を有するサイジング材W4を成形する工程を図3に基づいて説明する。
【0018】図3はサイジング金型60を表し、左半部は成形前、右半部は成形後の状態を表す。71は下型で、内周上部に仕上げ歯型72aを有するダイ72と、中間材W3を固定する固定台79とを備える。固定台79は、ダイ72の内周側に円筒状の筒部77aと筒部77aの下部から外周に突出するフランジ77bとからなるガイドリング77と、筒部77aの外周側にクリアランスSを有して配置されるカラー部材78とからなる。ここでガイドリング77は、筒部77aの上端面にダイ72の仕上げ歯型72aに直角の基準成形面77aを有し、ガイドリング77とダイ72はボルト80により一体的に組付けられる。ガイドリング77の内周には、ボルト74により一体的に固着された上ノックアウトピン75及び下ノックアウトピン76が配置され、ノックアウトピン75,76の外周側に配されたスプリングによりノックアウトピン75,76は常に下方に押圧される。また、61は上型で、ダイ72の仕上げ歯型72aに対向するパンチ62と、パンチ62の外周側に配置されるパンチホルダ63とを備える。
【0019】上記サイジング金型60で中間材W3からサイジング材W4を成形する場合、図3左半部に示す如く、中間材W3の予備歯形部5がダイ72の仕上げ歯型72aに合致するよう中間材W3を下型71に配置し、その後、上型61を下降させる。続いて図3右半部に示す如く、上型61のパンチ62が中間材W3に当接すると同時に、中間材W3の予備歯形部5はダイ72の仕上げ歯型72a内に押し込まれサイジング加工が施される。このサイジング加工時、中間材W3の大径部2を規制するカラー部材78はガイドリング77との間にクリアランスSを有しているため、径方向に自由に移動して中間材W3の予備歯形部5が全周にわたって均一にサイジングされる。そしてサイジング加工の最終段階で、中間材W3の予備突部6はガイドリング77の基準成形面77aに押圧され、図5に示す如く、突部16の先端にレース基準面16aが成形されるとともに、サイジング歯形部15が成形される。その後、上型61を後退させるとともにノックアウトピン75,76が上方へ突出し、成形されたサイジング材W4が下型71から取り出され、この工程が完了する。
【0020】そして最後にサイジング材W4に切削加工を施して、図1の(カ)に示す如き歯車W5を仕上げる工程を図6に基づいて説明する。
【0021】図6は把持装置90を表し、サイジング材W4のレース基準面16aに当接しサイジング材W4を正確に位置決めする突き当て部材91と、サイジング材W4のサイジング歯形部15に当接して前記突き当て部材91と相関してサイジング材W4を把持する複数のチャック部材92とからなる。
【0022】上記把持装置90でサイジング材W4から歯車W5を成形する場合、まずサイジング材W4の突部16に形成されたレース基準面16aに突き当て部材91を当接させて、サイジング材W4の位置決めを行なう。次に、突き当て部材91と相関して外周側からチャック部材92がサイジング歯形部15に当接して、サイジング材W4を移動不能に把持する。その後、図示せぬバイトによりサイジング材W4の内外周面及び端面を切削加工し、連続して切削済み内外周面を把持し未切削部に切削を施し、歯車W5の製造が完了する。
【0023】従って、本発明の歯車の製造方法では、内周の段部4にレース基準面16aを有する突部16が形成されるので、段部4のレース基準面16aを切削加工時の突き当て基準にできる。
【0024】また、本発明のサイジング金型60では、レース基準面16aを段部4に成形するガイドリング77とサイジングの仕上げ歯型72aを有するダイ72が一体的に固着されているため、基準成形面77aと仕上げ歯型72aの歯筋との直角精度が高く、よって成形されたサイジング歯形部15の歯筋とレース基準面16aとの直角精度も高い。更に、カラー部材78が径方向に移動が可能であり、予備歯形部5が全周にわたって均一にサイジングされる。
【0025】
【発明の効果】以上のように本発明の歯車の製造方法によれば、外周に軸線方向に沿う複数条の歯形部を有し、内周に大径の大径部、小径の小径部及び小径部と大径部をつなぐ段部とを有する歯車の製造方法において、予め内外形輪郭が整えられ、粗加工された予備歯形部及び段部から軸線方向で周状に突出した予備突部を形成する第一工程と、第一工程により形成された中間材の予備歯形部にサイジング加工を施すと共に予備突部の先端を押潰しレース基準面を形成する第二工程と、第二工程により形成されたサイジング材のレース基準面を切削加工の突き当て基準として、サイジング材に切削加工を施す第三工程とからなるため、内周の段部にレース基準面を有する突部が形成されるので、段部のレース基準面を切削加工時の突き当て基準にでき、外周にフランジ部を有さない歯車においても、高い切削加工精度が得られる。
【0026】また、本発明のサイジング金型によれば、同一軸線に設けられたパンチ及び中間材を固定する固定台と、固定台外周側に設けられ内周に仕上げ歯型を有するダイとを備えるサイジング金型において、固定台が、ダイに一体的に固着され中間材に対向する端面に基準成形面を有するガイドリングと、ガイドリングの外周側にクリアランスを有して配置されるカラー部材とからなるため、基準成形面と仕上げ歯型の歯筋との直角精度が高く、よって成形されたサイジング歯形部の歯筋とレース基準面との直角精度も高いので、高い切削加工精度が得られる。更に、カラー部材が径方向に移動が可能であり、予備歯形部が全周にわたって均一にサイジングされるため、サイジング精度も向上する。
【出願人】 【識別番号】000238360
【氏名又は名称】武蔵精密工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月20日
【代理人】
【公開番号】 特開平9−29381
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−206445