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【発明の名称】 機構部品・等速ジョイント部品の製造方法
【発明者】 【氏名】牧本 文夫

【目的】 等速ジョイントのアウターハウジングジョイント部材または同様形状の機構部品を高精度で低コストに製造する製造法を提供する。
【構成】 アウターハウジングジョイント部材10の受け部20を高炭素鋼管材から冷間プレスで成形し、軸部材30を丸材からロール転造等で成形し、受け部20と軸部材30を溶接して一体化し、機械加工と高周波焼き入れと研磨加工を施すように構成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】嵌合する相手部材を受け入れる陥入形状の受け部の中心に軸部材を突設して成る機構部品の製造方法において、高炭素鋼管材を所定寸法に切断し、冷間プレスにより一端を絞りこんで前記受け部を形成し、該受け部の中心に前記軸部材の基端を溶着して突設し、その後に表面硬化処理をすることを特徴とする機構部品の製造方法。
【請求項2】角度変位可能かつ回転伝達可能に嵌合するインナージョイント部材を受け入れる陥入形状の受け部の中心に軸部材を突設して成るアウターハウジングジョイント部材を製造するための等速ジョイント部品の製造方法において、高炭素鋼管材を所定寸法に切断し、冷間プレスにより一端を絞りこんで前記受け部を形成し、該受け部の中心に前記軸部材の基端を溶着して突設し、その後に表面硬化処理をすることを特徴とする機構部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機構部品・等速ジョイント部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては、例えば図8に示すようなものがある。すなわち、アウターハウジングジョイント部材や同様の形状を呈する機構部品の製造方法において、目的物を一体素材から温間鍛造又は熱間鍛造と前後処理を含む各種工程により製造する方法がある。
【0003】アウターハウジングジョイント部材は等速ジョイントの構成部品であって、陥入形状の受け部と該受け部の中心に突設される軸部材から成る。図8において、従来技術の製造方法の工程を示す。■丸材から素材を切り出す。■エッジ除去と■加熱の前処理を経て、■温間鍛造を4〜5工程加える。続いて■焼鈍と■スケール落としの後処理を経て、■機械加工、■焼き入れ、■研磨を行って製造するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の技術では、鍛造型の工具鋼が熱により劣化するため、鍛造型を再製作して更新する必要があり、製造コストが低減できないという問題点があった。
【0005】また、製品には多くの型式と、それぞれの型式に異なる大きさがあり、陥入形状の受け部あるいは軸部材が共通でも組み合わせが異なると鍛造型も異なるので、それぞれの製品の型式と大きさ全てに対する数を用意しなければならないという問題点があった。
【0006】また、温間や熱間鍛造は鍛造の工程が多い上に、その前後処理の工程が加わって煩雑なため、製造コストが低減できないという問題点があった。
【0007】本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、工程が削減できる他、工具の寿命が永く、共通化によって必要な工具の種類と数も削減することができるようにした製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
【0009】1.嵌合する相手部材を受け入れる陥入形状の受け部(20)の中心に軸部材(30)を突設して成る機構部品(10)の製造方法において、高炭素鋼管材を所定寸法に切断し、冷間プレスにより一端を絞りこんで受け部(20)を形成し、受け部の中心に軸部材(30)の基端を溶着して突設し、その後に表面硬化処理をすることを特徴とする機構部品(10)の製造方法。
【0010】2.角度変位可能かつ回転伝達可能に嵌合するインナージョイント部材を受け入れる陥入形状の受け部(20)の中心に軸部材(30)を突設して成るアウターハウジングジョイント部材(10)を製造するための等速ジョイント部品の製造方法において、高炭素鋼管材を所定寸法に切断し、冷間プレスにより一端を絞りこんで受け部(20)を形成し、受け部の中心に軸部材(30)の基端をを溶着して突設し、その後に表面硬化処理をすることを特徴とする機構部品(10)の製造方法。
【0011】そして、前記発明では、等速ジョイントを構成するアウターハウジングジョイント部材は陥入形状の受け部の中心に軸部材を突設して成る。受け部はインナージョイント部材を角度変位可能かつ回転伝達可能に嵌合できる陥入形状となっている。
【0012】アウターハウジングジョイント部材並びに同様の形状を有する機構部品の製造方法において、受け部と軸部をそれぞれ別に形成した後溶着するものである。
【0013】受け部は高炭素鋼管材を所定寸法に切断し、冷間プレス等の工法により一端を絞りこんで形成する。一方軸部は炭素鋼素材から冷間鍛造又はロール転造等の工法により形成する。次に受け部の中心に前記軸部材の基端を溶着して突設し、その後に機械加工と表面硬化処理並びに研磨加工の処理を行う。
【0014】受け部にあっては高炭素鋼管材の高炭素鋼を素材とすることにより、冷間加工で形成が可能であるとともに、表面硬化処理も容易であり、従来技術のように熱間加工や温間加工の必要がなく工程を削減し加工コストを節減できるものである。表面硬化処理は例えば、高周波焼入れ、レーザー焼入れ、炎をあてながら冷やすフレームハード処理等により行われる。
【0015】また軸部にあっては冷間鍛造又はロール転造等の工法により形成が可能であり、従来技術のように熱間加工や温間加工の必要がなく工程を削減し加工コストを節減できるものである。
【0016】また受け部を大きさ毎に標準化しておき、これに軸部のみ用途に応じた専用品を組み合わせることにより、全ての用途に対応することができるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態を示している。
【0018】本実施の形態はツエッパ型等速ジョイントのアウターハウジングジョイント部材10を製造するものであり、アウターハウジングジョイント部材10は、嵌合する相手部材を受け入れる陥入形状の受け部20と、受け部20の中心に突設される軸部材30から成り、受け部20と軸部材30は溶接部40で溶接されている。
【0019】受け部20は図示しないインナージョイントが陥入するように全体がカップ型をしており、トルクを伝達する図示しない6個のボールが嵌入する6本の溝が設けてある。また、受け部20は高炭素鋼管材を冷間プレスで形成したものであり、温間または熱間鍛造よりも高精度の加工ができる。そして、高炭素鋼管は高周波焼き入れによって表面硬度と靱性の背反的特性を高水準で両立させることができる。
【0020】軸部材30には、スプライン31とネジ32と割りピン穴33が設けてある。スプライン31は図示しない車輪等のハブが嵌合してにトルクを伝達する。ネジ32にはハブの脱落を止める図示しないロックナットが螺嵌する。割ピン穴33はロックナットの緩解を防止する割ピンが嵌合する。
【0021】軸部材30は冷間鍛造またはロール転造などの工法で高精度に低コストで形成できる。
【0022】受け部20と軸部材30をそれぞれ形成した後両者を溶接40で一体化し、次に表面硬化処理として高周波焼入れを行なうことにより、既に形成された精度の高さを損なうことなく高強度を付与することができる。最後に研磨加工で完成となる。
【0023】図1は、第1の実施の形態における製造方法を工程順にあらわしている。まず■BL(ラフブランク)は管材からの切り出しである。軸部材は別途小径の丸材である。次に前処理無しに■−A〜Eのプレス加工5工程があり、次に軸部材と受け部とが■溶接される。なお、軸部材は別に転造あるいは切削等の機械加工で製造される。後処理無しに、■機械加工、■焼き入れ、■研磨で完了する。実施の形態の主工程は冷間加工であるから加工精度が高く、後の■機械加工が簡素化される。なお、焼入れは高周波焼入れで行われ、材質としてはS40C〜S50Cなどの炭素量0.35〜0.55%程度の材料が適している。
【0024】等速ジョイントを組み込む対象として例えば自動車のプロペラシャフトやドライブシャフトがあり、自動車のモデル毎に軸部材が異なっても受け部は共通に使える場合が多い。従って受け部は段階的に大きさを標準化しておき、軸部材のみ対象モデルに合わせた専用を組み合わせることができる。実に比較しても大きく無駄が省けることが明らかである。
【0025】図4、5は本発明の第2の実施の形態に係る製造対象を示している。なお、第1の実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0026】本第2の実施の形態は摺動式トリポード型等速ジョイントのアウターハウジングジョイント部材10である。アウターハウジングジョイント部材10は受け部20と軸部材30から成り、受け部20と軸部材30は溶接部40で溶接されている。インナージョイント部材が受け部20の内部で摺動するので、本実施の形態の受け部20は深いものとなっている。受け部20は管材の高炭素鋼を冷間プレスで形成したものであり、温間または熱間鍛造よりも高精度の加工ができる。
【0027】図6、7は本発明の第3の実施の形態に係る製造対象を示している。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付し重複した説明を省略する。
【0028】本第3の実施の形態はダブルオフセット型等速ジョイントのアウターハウジングジョイント部材10である。アウターハウジングジョイント部材は受け部20と軸部材30から成り、受け部20と軸部材30は溶接部40で溶接されている。受け部20は管材の高炭素鋼を冷間プレスで形成したものであり、温間または熱間鍛造よりも高精度の加工ができる。
【0029】なお、前記実施の形態においては、等速ジョイントのアウターハウジングジョイント部材を示したが、同様形状の機構部品の製造に応用してもよいことはいうまでもない。また、図1では、■−A〜Eのプレス加工5工程を示したが、対象部材の形態により適宜工程を簡略化したり、逆に工程を増やしたりしてもよいことは言うまでもない。
【0030】また、表面硬化処理としては、高周波焼入れのほか、レーザー焼入れ、炎をあてながら冷やすフレームハード処理等の炭素成分を浸透させないで行なう処理が採用される。
【0031】
【発明の効果】本発明にかかる機構部品・等速ジョイントの製造法によれば、高炭素鋼管材から冷間プレスにより受け部を形成し、これに軸部材の基端を溶着して突設してから、表面硬化処理をするようにしたから、工程が削減され、主たる部材が標準化され、また主要工具であるプレス型が標準化されるとともに長寿命化されるとともに、共通化によって必要な工具の種類と数も削減することができるので、高精度で高品位の等速ジョイントを低コストで供給することができる。
【出願人】 【識別番号】591217193
【氏名又は名称】株式会社啓愛社製作所
【出願日】 平成7年(1995)7月17日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】笹井 浩毅
【公開番号】 特開平9−29380
【公開日】 平成9年(1997)2月4日
【出願番号】 特願平7−180117