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ピン付き部品の焼結鍛造方法 - 特開平9−19738 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ピン付き部品の焼結鍛造方法
【発明者】 【氏名】富永 浩司

【氏名】高橋 裕

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 端面外周部に突出しピンを一体的に備えたピン付き部品を成形するために、焼結体を成形するプレフォーム工程と、前記焼結体を加熱する加熱工程と、加熱された焼結体を、ピン形成凹部を有する鍛造型を用いて鍛造してピン付き部品に成形する鍛造工程とを順次行う焼結鍛造方法において、前記プレフォーム工程の際に、前記焼結体の端面の突出しピン突出部位の、前記焼結体の径方向外周側へ偏心する位置に、厚肉部を形成しておくことを特徴とする、ピン付き部品の焼結鍛造方法。
【請求項2】 前記ピン形成凹部の径が大きい程、前記厚肉部の体積を大きくする請求項1に記載のピン付き部品の焼結鍛造方法。
【請求項3】 前記ピン付き部品は、平面視略星型形状の部品本体の各外周突部に突出しピンをそれぞれ備えた、自動二輪車用ギヤチェンジのセグメントである、請求項1または請求項2に記載のピン付き部品の焼結鍛造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動二輪車用ギヤチェンジのセグメント等の、端面外周部に突出しピンを一体的に備えたピン付き部品の焼結鍛造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図9に示すように、例えば、ピン付き部品の一例としての、自動二輪車ギヤチェンジのセグメント18は、複数の突部19a〜19eおよび凹部190を有する平面視略星型形状の部品である。このセグメント18は、複数の突部19a〜19e(外周部)の一端面に突出しピン18a〜18eをそれぞれ備え、これらの突出しピン18a〜18eを平面視略星型形状の部品本体に打込みカシメで製造することができるが、大幅なコストダウン等の目的から、焼結鍛造手法を用い、例えば6本の突出しピン18a〜18eをメタルフローにより形成するのが一般的に行われている。なお、符号19は部品本体の中心部に形成された軸孔を示している。
【0003】ここで、従来の焼結鍛造方法について説明する。先ず、図8および図10に示すように、数種の粉末原料を混合して所定組成の粉末を得、複数の突部16a〜16eおよび凹部20bと、軸孔20aを有するプレフォームとしての焼結体16を成形した後、この焼結体16を所定の温度(例えば1100℃程度)に加熱する。そして、図6に示すように、ダイ11、下型および上型13,12およびコアロッド14とからなる鍛造型を用い、焼結体16を鍛造する。ここで、上型12は、前記突出しピン18a〜18e(図9参照)を形成するための5つのピン形成凹部15b,15eを有している(3つのピン形成凹部は不図示)。
【0004】鍛造工程においては、先ず、図6(a)に示すように、鍛造型内に焼結体16を挿入する。そして、図6(b)に示すように、下型13を固定したまま上型12によって圧縮するが、上型12が下降し焼結体16の圧縮を開始したところで、上型12とともにダイ11とコアロッド14を下降させ、所定の位置で圧縮を完了し、焼結鍛造品(セグメント)18を成形する。このような圧縮により、焼結体16の端面(上面)の、上型12の各ピン形成凹部15b,15eに対向する部位が、各ピン形成凹部15b,15e内に流れ込み、いわゆるメタルフロー現象により突出しピン18b,18eが形成される。次に、図6(c)に示すように、上型12を上昇させるとともに、ダイ11の上面と下型13の上面が同一面になるまでダイ11を下降させて焼結鍛造品(セグメント)18の抜き出しを完了する。
【0005】なお、上記した鍛造時の工程は一例であって、これに限られず、以下のように行ってもよい。すなわち、例えば、上型を下降させて、焼結体に当接させて加圧開始時点とし、下型および上型をそれぞれ上昇および下降して加圧を完了する。最後に、下型および上型をそれぞれ上昇させてダイより焼結鍛造品を抜き出す。
【0006】以上のようにして、図9に示したような、一端面の外周部の複数の所望の位置に、突出しピン18a〜18eが一体的に突設された焼結鍛造品18(自動二輪車用ギヤチェンジのセグメント)が得られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の焼結鍛造方法においては、焼結体の外周部に突出しピンを形成するために、図7に示すように、焼結体16の外周面と、ピン形成凹部15b(15e)の、焼結体16の外周側の壁面との距離Kが小さい(距離Kは一般的に1.0〜3.0mm程度である)。このため、焼結体16の圧縮時に、ピン形成凹部15b(15e)の、焼結体16の径方向外周側の壁面に焼結材料が行き渡らず、これにより、焼結鍛造品の突出しピン18b(18e)に欠肉部10が発生し、結果的に、不良品が多発するという問題点がある。
【0008】本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、外周部に突出しピンを有するピン付き部品を突出しピンに欠肉を生じることなく、良品のみを効率的に成形できる焼結鍛造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明は、端面外周部に突出しピンを一体的に備えたピン付き部品を成形するために、焼結体を成形するプレフォーム工程と、前記焼結体を加熱する加熱工程と、加熱された焼結体を、ピン形成凹部を有する鍛造型を用いて鍛造してピン付き部品に成形する鍛造工程とを順次行う焼結鍛造方法において、前記プレフォーム工程の際に、前記焼結体の端面の突出しピン突出部位の、前記焼結体の径方向外周側へ偏心する位置に、厚肉部を形成しておくことを特徴とするものである。
【0010】また、前記ピン形成凹部の径が大きい程、前記厚肉部の体積を大きくする。さらに、前記ピン付き部品は、平面視略星型形状の部品品体の各外周突部に突出しピンをそれぞれ備えたものである。
【0011】本発明の作用は、以下のとおりである。請求項1に記載の発明では、焼結体のプレフォーム工程の際に、所定形状のパンチを用いて、焼結体の端面の、後の鍛造工程の際に前記ピン形成凹部に対向する部位に、前記ピン形成凹部に対して前記焼結体の径方向外周側へ偏心した厚肉部を形成しておく。この焼結体を所定の温度に加熱してから、鍛造型により鍛造する。この際、圧縮工程において、ピン形成凹部内に材料が流れ込む、いわゆるメタルフロー現象が起こる。本発明では、予め、プレフォーム工程の際に、前記焼結体の端面の突出しピン突出部位の、前記焼結体の径方向外周側へ偏心する位置に厚肉部を形成してあるので、圧縮工程初期において、この厚肉部の材料が、ピン形成凹部の、前記焼結体の径方向外周側の壁面に円滑に流れ、結果的に、焼結鍛造品の突出しピンに欠肉が発生しない。
【0012】また、請求項2に記載の発明では、ピン形成凹部の径すなわち突出しピンの径が大きい程、突出しピンに欠肉部が発生しやすいことから、厚肉部の体積を大きくすることにより、メタルフローの際の厚肉部の材料流れが確実に行われる。さらに、請求項3に記載の発明では、自動二輪車用のギヤチェンジのセグメントを、突出しピンに欠肉を生じることなく、効率的に成形できる。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施例について図面を参照して説明する。以下に説明する本発明の焼結鍛造方法は、図9に示した自動二輪車のギヤチェンジのセグメント8を成形するに際して、行うものであるが、成形品としては前記セグメントに限らず、例えばゼネバ機構の一部品としてのピンを有する円板のような、端面外周部に突出しピンを備えるものであるならば、如何なる成形品を焼結鍛造する際にも、本発明を適用できる。
【0014】先ず、図5に示すように、軸孔10aを有する平面視略星型形状のプレフォームとしての焼結体6を成形する。符号10bは凹部を示している。ここで、この焼結体6は、図8に示した焼結体16と、以下の点で相違する。すなわち、プレフォーム工程の際、焼結体6の各突部の端面に、鍛造工程の際に鍛造型のピン形成凹部と対向するピン突出位置(図5(a)中、一点鎖線Pで示す円内の部位)より焼結体6の径方向外周側へ偏心する位置に、厚肉部6a〜6e(図5(a)では、ハッチングで示した)をそれぞれ形成しておく。各ピン形成凹部Pは、焼結体6と同心の一点鎖線Qで示す円上に位置しており、厚肉部6a〜6eは、焼結体6の一端面でかつ円Q外の部位にある。厚肉部6a〜6eの構造は同一であるので、ここでは、1つを例に挙げて詳述する。
【0015】図3に示すように、鍛造時に、焼結体6の厚肉部6bの中心線O2は、上型2のピン形成凹部5bの中心線(軸線)O1に対して、距離Xだけ焼結体6の径方向外周側に偏心している。距離X(偏心量)としては、一般的に1.0〜3.0mm程度である。また、厚肉部6bの内周面は下方に向けて末広がり状の傾斜面61dになっており、これにより、厚肉部6bの先端に何等かの衝撃が加わっても、欠けが発生しにくい。厚肉部6bの内周端と、ピン形成凹部5bの、焼結体6の径方向外周側の壁面O3とはYだけ離れており、すなわち、ピン形成凹部5bの上方からの焼結体6への投影部は、符号Yで示す部位だけ厚肉部6bと重なっている。距離Yとしては、一般的に0〜5.0mm程度である。さらに、厚肉部6bの内周面(傾斜面61d)と、ピン形成凹部5bの、焼結体6の径方向内周側の壁面との間には距離Zだけ隙間がある。距離Zとしては、一般的に0〜5.0mm程度である。
【0016】なお、厚肉部の位置は、上記のものに限らず、例えば、以下の図4に示すものが挙げられる。すなわち、図4に示すように、焼結体600の厚肉部600bの内周面は鉛直面になっており、また、厚肉部600bはピン形成凹部5bの上方投影部より焼結体600の径方向外周側へ完全に外れているものでもよい。厚肉部600bの中心線O2は、上型2のピン形成凹部5bの中心線(軸線)O1に対して、焼結体600の径方向外周側へ距離Wだけ偏心している。距離W(偏心量)としては、一般的に1.0〜3.0mm程度である。また、厚肉部600bの内周端は、ピン形成凹部5bの、焼結体600の径方向内周側の壁面と、距離S(ピン形成凹部5bの直径)だけ離れている。
【0017】焼結体6(プレフォーム)は、所定の組成の粉末に、成形時の潤滑剤としてステアリン酸亜鉛の粉末を添加し、混合機でよく混合した後、粉末成形プレスで加圧して得られる。焼結体6は、一例として、組成および密度がそれぞれ、Fe−2Ni−0.5Mo−0.5C,6.8g/cm3のものである。なお、金型でプレフォームを成形する方法の他に、ゴム型を用いる方法もあり、この場合、型潤滑剤を添加しなくても成形できる。いずれにしても、粉末成形工程までは、通常の粉末冶金部品の製造工程と全く同じである。特徴的なこととしては、次工程で加圧・鍛造して密度上昇させる工程があるため、圧粉体の密度は真密度の80〜90%程度とするが、それほど気にしなくてもよい場合がある。しかし、プレフォームの各部重量配分によって鍛造品の密度が決まるので、重量配分については、プレフォーム成形の段階で注意を払う必要がある。
【0018】以上のようにして成形した焼結体6を所定の温度(例えば1100℃程度)に加熱する。そして、図1に示すように、ダイ1、下および上型3,2およびコアロッド4とからなる鍛造型を用い、以下のようにして焼結体6を鍛造する。ここで、上型2は前記突出しピンを形成するための5つのピン形成凹部5b,5eを有している(3つのピン形成凹部は不図示)。
【0019】鍛造工程においては、先ず、図1(a)に示すように、鍛造型内に焼結体6を挿入する。そして、図1(b)に示すように、下型3を固定したまま上型チ2によって圧縮するが、上型2が下降し焼結体6の圧縮を開始したところで、上型2とともにダイ1とコアロッド4を下降させ、所定の位置で圧縮を完了し、焼結鍛造品8を成形する。このような圧縮により、焼結体6の、上型2の各ピン形成凹部5b,5eに対向する部位が、各ピン形成凹部5b,5e内に流れ込み、いわゆるメタルフロー現象により突出しピン8b,8eが形成される。圧縮の過程でダイ1を下降させるのは、焼結体6に下方向からの圧縮を加え両押成形するためである。すなわち、ダイ1を下降させることは、相対的に下型3を上昇させることと同じ効果を生むことになる。なお、薄板形状の焼結体の場合には、片押成形でも比較的均一な密度になるので、圧縮過程でダイを下降させない場合もある。次に、図1(c)に示すように、上型2を上昇させるとともに、ダイ1の上面と下型3の上面が同一面になるまでダイ1を下降させて焼結鍛造品8の抜き出しを完了する。
【0020】ところで、鍛造工程においては、焼結鍛造品8の外周部に突出しピン8a〜8e(図9参照)を形成するために、図2に示すように、焼結体16の外周面とピン形成凹部15b(15e)の、焼結体6の径方向外周側の端との距離が小さい。しかしながら、本発明では、上述のような厚肉部6a〜6eを予め形成しておくので、圧縮初期において、矢印Qで示すように、この厚肉部6b(6e)の焼結材料が、ピン形成凹部15b(15e)の、焼結体6の外周側の壁面に円滑に行き渡り、これにより、成形品の突出しピン18b(18e)に欠肉部が発生せず、結果的に、良品のみを効率的に鍛造成形できる。もちろん、ピン形成凹部5b(5e)の、焼結体6の径方向内周側の壁面にも、矢印Pで示すように、従来と同様に焼結材料が円滑に流れ込み、欠肉部が発生しない。
【0021】ここで、ピン形成凹部5a〜5eの径が大きい程、欠肉が発生しやすいことから、厚肉部6a〜6eの体積を大きくする。また、ピン形成凹部5a〜5eの径や体積および焼結材料の流動性等にも依存するが、厚肉部6a〜6eの体積は、0.01〜0.06cm3程度が好ましい。この範囲より小さいと、充分なメタルフローが発生しにくく、一方、この範囲より大きいと、ピン部のメタルフローが過剰になり、金型破損の要因になるという不具合が起こるからである。
【0022】以上のようにして、図9に示したような、一端面の外周部の複数の所望の位置に、突出しピン8a〜8eが一体的に突設された焼結鍛造品8(自動二輪車用ギヤチェンジのセグメント)が得られる。そして、この焼結鍛造品8を浸炭焼入れをする。なお、焼結鍛造品8の密度は7.8g/cm3であった。
【0023】なお、上記した鍛造法は一例であって、これに限られない。例えば、上型を下降させ、焼結体に当接させて加圧開始時点とし、下型および上型をそれぞれ上昇および下降して加圧を完了する。最後に、下型および上型をそれぞれ上昇させてダイより焼結鍛造品を抜き出してもよい。
【0024】ここで、上記のようなメタルフローの際の材料流れを確実に行って欠肉部の発生を確実に防止するために、ピン形成凹部の径すなわち突出しピンの径が大きい程、厚肉部の偏心量が小さいことが好ましく、例えばピン付き部品が自動二輪車用のギヤチェンジのセグメントの場合、一般的に、ピン形成凹部の径すなわち突出しピンの径は2.0〜5.0mmであるので、偏心量を1.0〜3.0mmの範囲にする。また、ピン形成凹部の体積すなわち突出しピンの体積が大きい程、厚肉部の偏心量が小さいことが好ましく、例えばピン付き部品が自動二輪車用のギヤチェンジのセグメントの場合、一般的に、ピン形成凹部の体積すなわち突出しピンの体積は0.01〜0.06cm3であるので、偏心量を1.0〜3.0mmの範囲にする。
【0025】以上説明した図3および図4の各実施例のように、前記プレフォーム工程の際に、前記焼結体の端面の突出しピン突出部位の、前記焼結体の径方向外周側へ偏心する位置に、厚肉部を形成し、この厚肉部の外周端が、ピン形成凹部の、焼結体の径方向外周側の壁面より前記径方向外周側へ位置するとともに、厚肉部の内周端が、ピン形成凹部の、焼結体の径方向内周側の壁面と一致するかあるいは前記径方向外周側へ位置することにより、突出しピンに欠肉を生じることなく、良品のみを効率的に焼結鍛造成形できる。
【0026】
【発明の効果】本発明は、以上説明したとおりに構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。請求項1に記載の発明は、外周部に突出しピンを一体的に有するピン付き部品を、突出しピンに欠肉を生じることなく、良品のみを効率的に焼結鍛造成形できる。請求項2に記載の発明は、上記効果の他、ピン形成凹部の径すなわち突出しピンの径が大きい程、厚肉部の体積を大きくすることにより、メタルフローの際の材料流れを確実に行うことができ、欠肉部の発生を確実に防止できる。請求項3に記載の発明は、自動二輪車用のギヤチェンジのセグメントを、突出しピンに欠肉を生じることなく効率的に成形でき、結果的に、前記ギヤチェンジの信頼性が向上する。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成7年(1995)7月5日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
【公開番号】 特開平9−19738
【公開日】 平成9年(1997)1月21日
【出願番号】 特願平7−170030