トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き




【発明の名称】 ギヤの成形方法
【発明者】 【氏名】原田 幸治

【氏名】金丸 尚信

【目的】 本発明の目的は、ギヤの充填率を向上させ、且つ金型寿命の優れたギヤの成形方法を提供することにある。
【構成】 ブランク30の軸方向の塑性流動を拘束スリーブ2,12で拘束し、対向する一対のパンチ1,10で同芯上に押圧し、ヘリカルギヤ(1)に成形した後、第2工程として対向する一対のヘリカルパンチ52,53で仕上成形する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】冷間塑性加工によりギヤを成形する方法であって、円板状のブランクと、該ブランクの中心を円錐状に上下方向からほぼ均等の圧力で押圧して塑性変形させ、外周に配置された所定のギヤ形状ダイスに沿ってギヤを成形することを特徴としたギヤの成形方法。
【請求項2】請求項1記載において、ギヤ形状ダイスは、その上下部に配置される一対の円錐状の受け型手段とで塑性変形空間を形成し、その空間に材料を塑性変形させてギヤを形成することを特徴としたギヤの成形方法。
【請求項3】冷間塑性加工によりギヤを成形する方法であって、ブランク端面の外周部を一対の受け型手段で包囲して材料の軸方向への塑性流動を拘束すると共に、前記ブランクを、外周に配置されたギヤダイスの小径と同等以下の径からなり、かつ先端にテーパ部を有して対向する一対のパンチにより同芯状に押圧することによって、半径方向に材料を塑性流動させてギヤを成形することを特徴としたギヤの成形方法。
【請求項4】請求項3記載において、ブランクは円錐台形状のパンチで押圧されることを特徴とするギヤの成形方法。
【請求項5】請求項3もしくは4記載において、受け型手段は先端部に円錐状のテーパを有することを特徴とするギヤの成形方法。
【請求項6】請求項1もしくは3記載において、ギヤの仕様がヘリカルであることを特徴とするギヤの成形方法。
【請求項7】請求項1もしくは3記載において、第1成形工程で得られた中間ブランクを、ギヤダイス内に挿入し、ギヤ形状のパンチで上下から押圧することによってギヤを成形することを特徴とするギヤの成形方法。
【請求項8】請求項1もしくは3記載において、第1成形工程で得られた中間ブランクを、第2工程でギヤダイス内に挿入配置して穴抜きを行い、その同一工程内でギヤ形状のパンチで押圧成形することを特徴とするギヤの成形方法。
【請求項9】冷間塑性加工によりギヤを成形する方法であって、ブランク端面の外周部を一対の受け型手段で包囲して材料の軸方向への塑性流動を拘束すると共に、前記ブランクを、外周に配置されたギヤダイスの小径と同等以下の径からなり、かつ先端にテーパ部を有して対向する一対のパンチにより同芯状に押圧することによって、半径方向に材料を塑性流動させて中間ギヤを形成し、その該中間ギヤを第2工程でギヤダイス内に挿入配置して孔抜きを行い、更にその後第3工程でギヤダイス内に挿入配置してギヤ形状のパンチ又はマンドレルでサイジング成形することを特徴とするギヤの成形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明はギヤの成形方法に係り、特にトランスミッション用ヘリカルピニオン等に利用するに好適なギヤの成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、特にヘリカルギヤを成形する方法については、特公平6−98450号公報及び特開平6−31373号公報に記載のような張出しによる成形法が知られているが、歯部についてはホブによる切削加工が一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来技術において、前者はブランクの片端面のみパンチで押圧成形しているので他端は材料が流動しずらく、更にはパンチからギヤ大径間が開放されているため材料は開放部分へ流動してギヤ部への充填が不充分で、そのためギヤ両端が充分に成形されずダレの大きなギヤしか得られなかった。
【0004】また後者は、ブランクの両端をリング状パンチで押圧する構成となっているが、下リング状パンチがギヤダイスに対して固定されているために材料が軸方向に流動してギヤダイスの歯部に大きな応力が生じ、更には端面をパンチで押しつぶすことによって一層ダイス寿命を著しく短かくしていた。
【0005】本発明の目的は、ギヤの充填率を向上させ、且つ金型寿命の優れたギヤの成形方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的は、ブランク端面の周囲を受け型手段で包囲し材料の軸方向への塑性流動を拘束し、ブランクをギヤダイスの小径と同等以下の径からなる先端にテーパ部を有した対向する一対のパンチにより同芯状に押圧して、半径方向に材料を塑性流動させることにより達成される。
【0007】本発明の好ましくは、第1成形工程で得られた中間ブランクを、ギヤダイス内に挿入しギヤ形状のパンチで押圧することにより達成される。
【0008】
【作用】本発明のブランクは、ギヤダイスの小径と同等以下の径からなり、対向する一対のパンチにより同芯状に押圧されるので、極端なビア樽変形は抑制され、材料がギヤダイス内を半径方向に塑性流動する。
【0009】また、パンチの先端テーパ部は、材料をより半径方向に流れ易くし、更に、ブランク端面の周囲は受け型手段で包囲されているので、材料の軸方向への塑性流動が拘束され、ギヤの充填率の向上が図られる。従って、材料の軸方向への塑性流動が拘束され半径方向に塑性流動するので、ギヤダイスの歯部に大きな応力が生じることがなくギヤが成形されていく。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図6に基づき説明する。
【0011】図1は本発明によるヘリカルギヤの塑性加工方法の一例で、塑性流動完了時の状態を示しており、図2は塑性流動開始直前の状態を示している。
【0012】上型は円柱状のパンチ1と、該パンチをスライド自在に保持する拘束スリーブ2と、上部副油圧シリンダ装置3と、パンチホルダ4とから構成される。前記パンチ1は好ましくは円錐台形状で端面にフラット面1Aとその周囲にテーパ面1Bを有しており、拘束スリーブ2のスライド穴2Aにスライド可能に嵌合ガイドされると共に、パンチホルダ4にパンチシキ5と共に保持されている。
【0013】パンチ1の直径φdはギヤダイス6の小径(ギヤの歯底に相当)φDより小さく設定されている。またパンチホルダ4はプレスラム側に締結されるT字管状のホルダ7に締結されている。また拘束スリーブ2は先端拘束面2Bとガイド部2Cを有し、ホルダ7とパンチホルダ4により構成された上部副油圧シリンダ装置3にネジリング8により保持されている。
【0014】下型は前記ギヤダイス6と前記パンチ1に対向配置された円柱状のパンチ10と、拘束スリーブ12と、下部副油圧シリンダ装置13とからなり、ギヤダイス6は下部副油圧シリンダ装置13と一体に作動する拘束スリーブ12によってプレスボルスタ側に締結されたホルダ14,15内にバネ体16を介してフローティング保持されている。
【0015】ギヤダイス6は内径部にヘリカルギヤ成形用内歯17と、その上下の開口端にそれぞれガイド穴6A,6Bが形成されている。ギヤダイス6は実際には複数のパーツを組み合わせてなる多重ばめされたダイス構造を有している。パンチ10は前述の上型と同様に円錐台形状で端面にフラット面10Aとその周囲にテーパ面10Bを有しておりパンチ1と同一形状,同一寸法で、拘束スリーブ12のスライド穴12Aにスライド可能に嵌合ガイドされ、パンチホルダ18にパンチシキ19と共にスライド可能に保持されている。パンチホルダ18は管状のホルダ14に締結されている。また拘束スリーブ12も前述の上型と同様に先端拘束面12Bとガイド部20を有し、ホルダ14とパンチホルダ18により構成された下部副油圧シリンダ装置13にネジリング21により保持されている。
【0016】上記構成において成形過程は、まず図2に示すように上型においては、上部副油圧シリンダ装置3を作動させておき、下型においては、下部副油圧シリンダ装置13を作動させ拘束スリーブ12のガイド部20がギヤダイス6のガイド穴6Bに嵌合し、拘束面12Bが内歯端面6Cと当接しギヤダイス6をホルダ15に突き当たるまで浮上させておく。
【0017】ここで、ホルダ15はギヤダイス6の内歯端面6Cとパンチ10のフラット面10Aが同一平面上に位置するようギヤダイス6を保持している。次にブランク30をギヤダイス6に挿入してパンチ10に載置後、図示しないプレスラムを下降させると拘束スリーブ2のガイド部2Cがギヤダイス6のガイド穴6Aに嵌合し、拘束面2Bがギヤダイス6の内歯端面6Cと当接し、ブランク30の軸方向を拘束した状態で且つギヤダイス1をフローティング保持する。この状態が塑性流動開始直前である。
【0018】この状態はギヤダイス6に対して拘束スリーブ2,12が一体となってその中にブランクが閉じ込められている状態である。その後更にプレスラムが下降すると、パンチ1がブランク30を押圧して進入し、同時にギヤダイス6も追随して下降するので同時にパンチ10もブランク30に進入する。従って、対向する2つのパンチの進行によりブランク30の材料は、フラット面1A,10Aにより中央部が圧縮されると同時に、テーパ面1B,10Bに沿って半径方向の変形応力がより多く与えられギヤ成形用内歯17方向に塑性流動する。
【0019】上記塑性流動は更に、拘束スリーブ2,12の先端テーパ面に沿って空間を埋めて行くので、歯部がゆるやかにバランスして成形されて行く。なお、成形中、ブランク材料の軸方向周囲は上部油圧シリンダ装置3と下部油圧シリンダ装置13により等しい力で押圧される拘束スリーブ2,12の拘束面2B,12Bにより塑性流動するのを阻止されている。
【0020】この様にして得られたギヤ部材は、比較的ラフな使い方をする歯車装置ではこれでも十分に機能するが、更に精度が要求されるものでは図3に示すような仕上げ加工が施される。すなわち、ヘリカルサイジング用内歯51を有し、フローティング保持されるヘリカルギヤダイス50で前記ギヤ部材の周囲を拘束し、上下からギヤ完成品と同様の歯型を有し、前記ヘリカルサイジング用内歯51に軸方向に移動可能に嵌合されるヘリカルパンチ52,53で押圧成形することにより上下端面及び歯部が平坦に成形された精度の高い製品が得られる(プレスによる押圧サイジング加工)。
【0021】上記実施例では一対のパンチの先端を円錐台形としているが、円錐状であっても、先端が衝突しない範囲で成形可能に構成されていれば何ら差し支えが無いもである。
【0022】以上のように構成した本実施例によれば、ブランク40の両端面41,42を円錐状の拘束スリーブ4,5で包囲することで軸方向を塑性変形を拘束し、ギヤダイス6の小径より小さな径からなり先端を円錐状にした一対のパンチ1,10により同芯状に押圧してギヤを成形するので、半径方向にブランク材料をバランスよく塑性流動させることができる。特にヘリカルギヤ成形用内歯17に軸方向応力がほとんど作用しないので、ギヤダイス6の寿命は著しく延びると共に比較的充填率の高いヘリカルギヤを成形できる。それにより製造工程の合理化と共に製造コストの低減を図ることができる。
【0023】また、本発明によれば第1成形工程で得られたヘリカルピニオン(A)40にわずかに残ったギヤの未充填部41,42をサイジング成形することによりギヤの充填率を飛躍的に高められる。図4,図5及び図6にその様子を示すがブランク30と第1成形後のヘリカルピニオン(A)40の高さは等しくHであり、第2成形後のヘリカルピニオン(B)50の高さhはHに対し5%前後短くなるが軸方向に塑性流動する未充填部は加工硬化していないので型寿命に影響はない。次に本発明の他の実施例を図7乃至9において説明する。
【0024】本実施例はピニオンギヤの中心にシャフト挿入孔もしくは取付孔を設けたものを示したもので、図5の工程で得られた中間ブランク製品に図7の工程が加えられる。
【0025】即ち、図5の第1工程で得られた中間ブランク40を図8に示すような金型で孔抜きを行い中空ブランク67を得る。次に図9に示すような金型でヘリカルギヤ71,孔72,タンメン73,74等のサイジング成形を行うことによって、高精度のヘリカルスプライン70を得ることが出来る。
【0026】上記孔抜き工程を図8により説明するならば、プレスラムが加工すると油圧又は空圧で予圧されたクッションスリーブ61が先ずギヤダイス62に嵌合し、同軸位置を保持した状態で雄歯60がクションスリーブ61にガイドされて下降し、ギヤダイス62のヘリカルギヤ内歯63にヘリカルギヤ64をもって同軸に嵌合している雌歯65の内径に抜きかすを放出して孔抜きを完了する。
【0027】この様にギヤダイス内で孔抜きを行うことによりヘリカルスプラインの外周を拘束し孔抜き力による変形を防止するようにしている。次にサイジング工程を図9により説明するならば、孔抜きにより得られた中空ブランク67をギヤダイス50内に挿入し、対向する一方にマンドレル58を備えたギヤ形状のパンチ56と57を押圧してサイジング成形を完了する。これら一連の工程において、ヘリカルギヤダイス内歯は第1工程<孔抜き工程<サイジング工程の順に大きく設定する。この様な工程を経て得られたピニオン製品は同軸精度の高い孔を付加したものとなり結果的に高精度のギヤが得られる。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、充填率の高いギヤを高精度に成形することができ、特に金型寿命を大幅に延ばすことができるので製造工程の合理化と製造コストの低減を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成7年(1995)6月30日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男
【公開番号】 特開平9−10883
【公開日】 平成9年(1997)1月14日
【出願番号】 特願平7−165133