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【発明の名称】 管端拡径ダイス及び管端拡径加工方法
【発明者】 【氏名】田上 竜司

【氏名】松原 茂雄

【氏名】中本 一成

【目的】 口閉じ等の形状不良を起こすことなく、所定の外径寸法に管端を拡径加工する。
【構成】 この管端拡径加工ダイスは、拡径外径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔11及び拡径目標値よりも小さい内径をもつテーパ状の縮径孔12が連続して形成された拡管矯正ダイス10の孔部に、被加工材である管体P0 の内径より小径の挿入部21及び拡径後の管端内径に等しい外径をもち曲率が付けられた拡径部22を連続して形成した拡径パンチ20を配置している。拡径パンチ20の挿入部21をガイドとして外径矯正孔11に管端を押し込み、更にテーパ状の縮径孔12に管端を押し込んで縮径加工した後、管端の内部に位置する拡管パンチ20の拡管部22で外径寸法を拡径目標値まで管端を押し広げ、更に拡径外径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔により外径を拡径目標値にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 拡径後の外径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔及び拡径目標値よりも小さい内径をもつテーパ状の縮径孔が連続して形成された拡管矯正ダイスの孔部に、加工すべき管の内径より小径の挿入部及び拡径後の管端内径に等しい外径をもち曲率が付けられた拡径部を連続して形成した拡径パンチを配置した管端拡径加工ダイス。
【請求項2】 拡径パンチの挿入部をガイドとして拡径目標値に等しい内径をもつ外径矯正孔に管端を押し込み、更に拡径目標値より小さい内径をもつテーパ状の縮径孔に管端を押し込んで拡径目標値より小さな外径寸法に縮径加工した後、管端の内部に位置する拡管パンチの拡管部で外径寸法を拡径目標値まで管端を押し広げ、更に拡径外径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔により管端の外径を拡径目標値にする管端拡径加工方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プレス加工により管端を拡径したパイプを製造する方法及び加工用管端拡径ダイスに関する。
【0002】
【従来の技術及び問題点】金属製パイプの管端は、回転加工法,バルジ加工法,管端拡径パンチを用いたプレス加工法等によって拡径されている。なかでも、作業性が良好で生産性の高いプレス加工法が多用されている。しかし、プレス加工法では、管体のスプリングバック現象によって拡径部の口閉じや管端部の精度が低下する欠点がある。プレス加工におけるこれら欠点を解消するため、拡径パンチとパイプの外部をパイプ長手方向に移動し、パイプの外壁を扱くシリンダを使用したプレス加工による拡径方法(特開昭55−68136号公報),プレス加工でシリンダの前進時に拡径パンチで拡径し、後退時に管端修正ダイスにより縮径成形する方法(特開平7−1057号公報)等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、扱きシリンダを用いる方法では、シリンダによる扱き工程の増加,装置の複雑化等の欠点がある。他方、管端修正ダイスにより成形方法では、シリンダ後退時にダイスの修正部で拡径部の外形のみが扱き加工される。そのため、成形される管材に凹み等があると、加工後に凹みが残留することにもなる。たとえば、溶接管のビード部にある凹み等が加工後にも残留し易い。その結果、成形されたパイプの内径が不均一になる。本発明は、このような問題を解消すべく案出されたものであり、拡径後に一旦縮径し再度拡径する方式を採用することにより、生産能率が高く装置構成が簡単で、且つ拡径後の形状精度が良好な管端拡径加工方法及び拡径加工ダイスを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の管端拡径加工ダイスは、その目的を達成するため、拡径後の外径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔及び拡径目標値よりも小さい内径をもつテーパ状の縮径孔が連続して形成された拡管矯正ダイスの孔部に、加工すべき管の内径より小径の挿入部及び拡径後の管端内径に等しい外径をもち曲率が付けられた拡径部を連続して形成した拡径パンチを配置していることを特徴とする。この管端拡径加工ダイスを使用した管端拡径加工方法では、拡径パンチの挿入部をガイドとして拡径目標値に等しい内径をもつ外径矯正孔に管端を押し込み、更に拡径目標値より小さい内径をもつテーパ状の縮径孔に管端を押し込んで拡径目標値より小さな外径寸法に縮径加工した後、管端の内部に位置する拡管パンチの拡管部で外径寸法を拡径目標値まで管端を押し広げ、更に拡径外径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔により管端の外径を拡径目標値にする。
【0005】
【実施の形態】本発明に従った管端縮径加工ダイスは、図1に断面図(a)及び軸方向側面図(b)を示すように、拡径内径に等しい内径をもつ円筒状の外径矯正孔11に続いて拡径目標値より小さい内径をもつテーパ状の縮径孔12を形成した拡径矯正加工ダイス10を備えている。拡径矯正加工ダイス10の内部には、拡径パンチ20が配置される。拡径パンチ20には、被加工材である管体P0 (図2,3参照)の内径よりも小径の挿入部21及び拡径後の管端内径に等しい外径で曲率が付けられた拡径部22が連続して形成されている。拡径部22に付けた曲率は、ダイス10が後退しながら加工する際の負荷を軽減すると共に、拡径された管体P0 の内部に疵等をつくることがなく、拡径部のパイプ長手方向に沿った形状不良を改善する作用を呈する。また、加工時の負荷が低減されるので、拡径パンチの寿命も向上する。更に、曲率を付けることにより再拡管時に曲率部が管体P0に接触し易くなり、加工負荷が低減される。曲率は、接触面積が大きくなるため、加工負荷が増大しない程度の4〜6mmとすることが好ましい。拡径部22の外径は、拡径目標値からパイプの肉厚を差し引いた値に設計されており、拡径後に縮径孔12で縮径された管端を再度拡径する作用を呈する。再度の拡径は、パイプを肉厚変動させることなく,良好な内径及び外径をもち、長手方向の形状不良が改善され且つ真円度の高い管端拡径パイプを得る上で有効である。
【0006】管端拡径加工ダイスを使用した加工では、図2に断面(a)及び軸方向側面(b)を示すように、ダイスをシリンダヘッド31に取り付け、被加工材である管体P0 をクランプ用ダイス32で把持する。このとき、拡径長さに必要な長さだけクランプ用ダイス32から突出させて管体P0 を固定する。拡径加工ダイスを取り付けたシリンダを油圧等で前進させながら、管体P0 の端部を拡径パンチ20で拡径加工する(図3のa→b)。更に管体P0 を押し込むことにより、縮径孔12により管端が縮径される(図3のc)。管端が縮径された管体P0 は、シリンダ31の後退によって拡径ダイスから引抜かれる(図3のd)。このとき、縮径された管端部が拡径パンチ20の拡径部22で再度拡径される。また、外径矯正孔11により管端が矯正される。その結果、所定の寸法に精度良く成形され、口閉じがなく、長手方向に関して良好な平坦度及び真円度をもつ管端拡径パイプP1 が得られる(図3のe)。
【0007】
【実施例】直径25.4mm,肉厚0.5mmのステンレス鋼パイプを供試材(管体P0)とし、管端外径の目標値を28.5mmとする拡径加工を次のように行った。管端拡径ダイスとして、内径が28.5mmの外径矯正孔11に続いて内径が30.0mmから25.0mmまで変化するテーパ状の縮径孔12を設けた拡径矯正ダイス10を使用した。拡径矯正ダイス10の内部には、外径24.2mmの挿入部21に続き、外径27.5mmで4Rを付与した拡径部22を備えた拡径パンチ20を配置した。シリンダヘッド31に管端拡径ダイスを取り付け、シリンダを前進させて管体P0 の管端を一旦拡径し、次いで縮径孔12で縮径した。その後、シリンダを後退させ、拡径部22により再度拡径し、更に外径矯正孔12で管端を矯正した。このようにして、目標形状まで管端を拡径したパイプP1 が得られた。管端拡径パイプP1 について、管端部の寸法を測定した。その結果、内部及び外部の矯正により肉厚が0.5mmと均一化されており、口閉じ等の形状不良がなく、パイプ長手方向に関して管端部は外径28.5mmの真円状であった。
【0008】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の管端拡径ダイスを使用した縮径加工では、管端を拡径目標値に拡径した後、拡径目標値より小さな外径寸法にまで一旦縮径する。次いで、管端を拡径目標値まで再度拡径し、更に外形を矯正する。この縮径,再拡径及び矯正を経ることにより、拡径加工された管端は、正確な寸法精度で仕上げられ、口閉じ等の形状不良がない管端となる。また、使用するダイスとしても構造が簡単であり、生産能率も高い。
【出願人】 【識別番号】000004581
【氏名又は名称】日新製鋼株式会社
【出願日】 平成8年(1996)6月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 亘
【公開番号】 特開平9−327732
【公開日】 平成9年(1997)12月22日
【出願番号】 特願平8−168301