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【発明の名称】 記録媒体及びその製造方法、記録方法及び記録装置
【発明者】 【氏名】福田 浩章

【氏名】ルジェロ ミケレット

【氏名】大津 元一

【目的】 光ファイバプローブの先端あるいは記録媒体を損傷することなく高密度記録を行なうことができる記録媒体を提供する。
【構成】 光ファイバプローブ20の先端の先鋭部21を、記録媒体10を構成する記録光の波長以下の直径を有する微小球体2の頂点から光の波長以下の位置に移動させ、先鋭部と反対方向から記録項を入射させると、先鋭部21の先端に設けられた記録光の波長以下程度の開口部23から、エバネッセント光が放射される。エバネッセント光の光強度は、開口部23からの距離が波長程度以上となると急激に減少し、感光体層4の凸部の周辺の凹部の感光体層4に到達する記録光の強度は、凸部における強度に比較して極めて弱くなり、凸部の感光体層4のみが感光する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 平板状の基盤と、該基盤上に、記録光の波長以下の直径を有する微小球体を基盤上に配列させて形成された球体配列層と、該球体配列層の上部に形成された感光体層とを備えることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】 前記微小球体がプラスチック又は高分子化合物からなることを特徴とする請求項1記載の記録媒体。
【請求項3】 記録光の波長以下の直径を有する微小球体を液体に混合する混合工程と、該微小球体を混合した液体を平板状の基盤に付着させる付着工程と、上記付着工程に先だって、上記基盤の表面の上記液体に対する親和力を増加させる親和化工程と、基盤を傾斜させた状態で、基盤に付着した液体を蒸発させることにより、基盤上に球体を配列させた球体配列層を形成する配列工程と、球体配列層の上部に感光体層を形成する感光体形成工程を備えることを特徴とする記録媒体の製造方法。
【請求項4】 前記混合工程において、プラスチック又は高分子化合物からなる微小球体の表面の前記液体に対する親和力を増加させた後、液体に混合することを特徴とする請求項3記載の記録媒体の製造方法。
【請求項5】 平板状の基盤と、該基盤上に記録光の波長以下の直径を有する微小球体を基盤上に配列させて形成された球体配列層と、該球体配列層の上面に形成された感光体層とからなる記録媒体に記録を行なう記録方法であって、光を伝搬させるコアと、コア内を伝搬する光を遮光するクラッドとからなる光ファイバの一端にコアが先細り状に先鋭化した先鋭部を有する光ファイバプローブを、上記先鋭部の先端が上記球体配列層を構成する微小球体の頂点上の感光体層の上の記録光の波長以下の位置となるように、上記光ファイバプローブ又は記録媒体を移動させ、上記光ファイバプローブの先鋭部と反対側のコアに記録光を入射させ、該記録光に基づいて上記先鋭部から放射される放射光を上記微小球体の頂点上の受光体層に照射することによって記録媒体に記録を行なうことを特徴とする記録方法。
【請求項6】 平板状の基盤と、該基盤上に記録光の波長以下の直径を有する微小球体を基盤上に配列させて形成された球体配列層と、該球体配列層の上面に形成された感光体層とからなる記録媒体に記録を行なう記録装置であって、光を伝搬させるコアと、コア内を伝搬する光を遮光するクラッドとからなる光ファイバの一端にコアが先細り状に先鋭化した先鋭部を有する光ファイバプローブと、記録光を発生し、該発生した記録光を上記光ファイバプローブの先鋭部と反対側のコアに入射させる記録光発生部と、上記光ファイバプローブ又は上記記録媒体を移動させる駆動部と、上記記録光発生部と駆動部の動作を制御する制御部とを備え、制御部は、上記光ファイバプローブの先鋭部が、上記記録媒体を構成する微小球体の頂点上の感光層の上の記録光の波長以下の位置となるように、上記駆動部を制御した後、記録光発生部を制御して記録光を発生することを特徴とする記録装置。
【請求項7】 前記光ファイバプローブは、前記先鋭部の先端の曲率半径が前記記録光の波長以下であって、先鋭部の表面に設けられた遮光部と、該遮光部の先端に設けられた記録光の波長以下の開口をと有することを特徴とする請求項6記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エバネッセント光を照射して記録を行なう記録媒体及びその製造方法に関する。また、本発明は、エバネッセント光を記録媒体に照射して記録を行なう記録方法及び記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、記録媒体に光学的に記録を行なう記録方法としては、レーザ光源等からの記録光をレンズ等の光学系を用いてスポット状に集光して記録媒体に照射し、記録媒体の偏光方向等の状態を変化させて記録を行なう記録方法が知られており、このような記録方法は、例えば光学ディスク装置等で用いられている。
【0003】しかしながら、このように光学系を用いて記録光を集光する方法では、光の回折限界によって光の波長以下程度の領域に記録光を集光することはできず、記録密度の向上に限界があった。
【0004】より小さな領域に光記録を行なう方法としては、空間中を伝搬する通常の光とは異なり、物質表面の光の波長より小さな領域に局在するいわゆエバネッセント光を用いて、平板状の記録媒体に記録を行なう記録方法(Shudong Jiang,Junichi Ishihashi,Hirosato Mononobe,Masamichi Fujita and MotoichiOhtsu:OpticsCommunications 106(1994)173.)が知られている。
【0005】すなわち、このような記録装置では、図13に示すように、その一端を先鋭化させた先鋭部71を有し、この先鋭部71の周囲を遮光性の被覆層72で覆い、この被覆層72の先端に先鋭部71の先端が被覆層72から露出した開口部73を有する構成の光ファイバプローブ74を用い、この光ファイバプローブ74の先鋭部71を記録媒体75の表面から記録光の波長程度の距離に接近させ、光ファイバプローブ74の他端より記録光を入射し、この記録光に基づいて開口部73から放射されるエバネッセント光76を記録媒体75に照射することにより記録を行なうようになっている。
【0006】ところで、エバネッセント光の伝搬は、物質表面との相互作用によって影響されるため、その強度分布も、物質表面の形状によって左右される。
【0007】すなわち、上述のような、記録装置では、先鋭部71から記録媒体73の表面に照射されるエバネッセント光76は、先鋭部71から離れるにしたがって拡散し、この拡散によって、先鋭部71の先端の大きさ(曲率半径)に比較して大きな領域77の記録媒質78の状態が変化する。
【0008】このため、高密度記録を行なうために記録媒質78の状態が変化する領域77を小さくしようとすると、先鋭部71と記録媒体75とをさらに接近させることが必要となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先鋭部71と記録媒体75とが接近した状態で、先鋭部71の位置を正確に制御することは難しく、例えばほんの少し上下方向に移動しただけでも、先鋭部71と記録媒体75の表面が接触し、先鋭部71あるいは記録媒体75を損傷する問題があった。
【0010】本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、光ファイバの先端あるいは記録媒体を損傷することなく高密度記録を行なうことができる記録媒体を提供することを目的とする。また、本発明は、高密度記録を行なうことができる記録媒体を容易に製造することができる記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】また、本発明は、光ファイバの先端あるいは記録媒体を損傷することなく高密度記録を行なうことができる記録方法及び記録装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明に係る記録媒体は、平板状の基盤と、基盤上に、記録光の波長以下の直径を有する微小球体を基盤上に配列させて形成された球体配列層と、球体配列層の上部に形成された感光体層とを備えることを特徴とする。
【0013】また、本発明に係る記録媒体は、微小球体がプラスチック又は高分子化合物からなることを特徴とする。
【0014】また、本発明に係る記録媒体の製造方法は、記録光の波長以下の直径を有する微小球体を液体に混合する混合工程と、微小球体を混合した液体を平板状の基盤に付着させる付着工程と、付着工程に先だって、基盤の表面の液体に対する親和力を増加させる親和化工程と、基盤を傾斜させた状態で、基盤に付着した液体を蒸発させることにより、基盤上に球体を配列させた球体配列層を形成する配列工程と、球体配列層の上部に感光体層を形成する感光体形成工程を備えることを特徴とする。
【0015】また、本発明に係る記録媒体の製造方法は、混合工程において、プラスチック又は高分子化合物からなる微小球体の表面の液体に対する親和力を増加させた後、液体に混合することを特徴とする。
【0016】本発明に係る記録方法は、平板状の基盤と、該基盤上に記録光の波長以下の直径を有する微小球体を基盤上に配列させて形成された球体配列層と、該球体配列層の上面に形成された感光体層とからなる記録媒体に記録を行なう記録方法であって、光を伝搬させるコアと、コア内を伝搬する光を遮光するクラッドとからなる光ファイバの一端にコアが先細り状に先鋭化した先鋭部を有する光ファイバプローブを、先鋭部の先端が球体配列層を構成する微小球体の頂点上の感光体層の上の記録光の波長以下の位置となるように、光ファイバプローブ又は記録媒体を移動させ、光ファイバプローブの先鋭部と反対側のコアに記録光を入射させ、記録光に基づいて先鋭部から放射される放射光を微小球体の頂点上の受光体層に照射することによって記録媒体に記録を行なうことを特徴とする。
【0017】本発明に係る記録方法は、光ファイバプローブとして、先鋭部の先端の曲率半径が記録光の波長以下であって、先鋭部の表面に設けられた遮光部と、遮光部の先端に設けられた記録光の波長以下の開口とを有する光ファイバプローブを使用して記録を行なうことを特徴とする。
【0018】また、本発明に係る記録装置は、平板状の基盤と、基盤上に記録光の波長以下の直径を有する微小球体を基盤上に配列させて形成された球体配列層と、球体配列層の上面に形成された感光体層とからなる記録媒体に記録を行なう記録装置であって、光を伝搬させるコアと、コア内を伝搬する光を遮光するクラッドとからなる光ファイバの一端にコアが先細り状に先鋭化した先鋭部を有する光ファイバプローブと、記録光を発生し、発生した記録光を光ファイバプローブの先鋭部と反対側のコアに入射させる記録光発生部と、光ファイバプローブ又は上記記録媒体を移動させる駆動部と、記録光発生部と駆動部の動作を制御する制御部とを備え、制御部が、光ファイバプローブの先鋭部が、記録媒体を構成する微小球体の頂点上の感光層の上の記録光の波長以下の位置となるように、駆動部を制御した後、記録光発生部を制御して記録光を発生することを特徴する。
【0019】また、本発明に係る記録装置は、光ファイバプローブが、先鋭部の先端の曲率半径が前記記録光の波長以下であって、先鋭部の表面に設けられた遮光部と、遮光部の先端に設けられた記録光の波長以下の開口をと有することを特徴する。
【0020】
【作用】本発明に係る記録媒体は、本発明に係る記録媒体の製造方法によって製造される。
【0021】本発明に係る記録媒体の製造方法では、親和化工程において平板状の基盤の表面の混合工程で使用する液体に対する親和力を増加させる。
【0022】そして、混合工程において微小球体を液体に混合させる。あるいは、この混合工程において、プラスチック又は高分子化合物からなる微小球体の表面の液体に対する親和力を増加させた後、液体に混合する。
【0023】つぎに、付着工程において微小球体を混合した液体を基盤に付着させ、配列工程において基盤を傾斜させた状態で、基盤に付着した液体を蒸発させる。
【0024】このとき、基盤が傾斜させられると、基盤の上部での液体の層の厚さが、基盤の下部での液体の層の厚さに対して薄くなる。
【0025】この状態で、液体が蒸発すると、まず基盤表面の上部での液体の層の厚さが微小球体の直径以下となり、この位置の微小球体が移動できなくなって基盤に固着される。
【0026】続いて、この固着された微小球体と、この微小球体付近に位置する微小球体との間に液体の凹面部が形成され、この凹面部に働く表面張力によって、これらの微小球体間に引力が働く。しかしながら、固着された微小球体が移動しないため、固着された微小球体付近に位置する微小球体が、固着された微小球体に引き寄せられ、固着された微小球体に接触する。
【0027】そして、液体の蒸発が進むと、これらの固着された微小球体付近に位置する微小球体が徐々に引き寄せられ、液体が全て蒸発してしまうと、微小球体が集中されて2次元状に配列され、球体配列層が形成される。
【0028】最後に、配列工程において形成された球体配列層の上面に感光体層を形成する。
【0029】このようにして製造された本発明に係る記録媒体は、平板状の基盤上に記録光の波長以下の直径を有する微小球体を配列させて形成された球体配列層の上面に、感光体層を有している。
【0030】球体配列層は、平板上の基盤と、基盤上に記録光の波長以下の直径を有する微小球体を混合した液体を付着させた後、基盤を傾けた状態で液体を蒸発させることによって形成されているため、液体が蒸発する際に整列され、均一な配列となっている。
【0031】また、感光体層は、球体配列層の上に形成されているため、その上面に記録光の波長以下の間隔で規則的に繰り返す凹凸を有している。
【0032】このような感光体層の表面に記録光を照射すると、凹部での光強度に対して凸部での光強度が強くなり、凸部の感光体がより強く感光される。
【0033】また、1つの微小球体に対応する感光体層の凸部のみに記録光を照射すると、この微小球体の上部の感光体層のみが感光され、微小球体の直径が記録光の波長以下であることから、記録光の波長以下の領域の感光体層が感光されることになる。
【0034】本発明に係る記録方法は、本発明に係る記録装置において適用されている。
【0035】また、本発明に係る記録装置は、本発明に係る記録媒体に光学記録を行なう。この記録装置では、制御部は、まず、光ファイバプローブの先鋭部が、記録媒体を構成する微小球体の頂点上の感光体層から記録光の波長以下の位置となるように、上記駆動部を制御する。そして、駆動部は、制御部からの制御に基づいて光ファイバプローブを移動させる。
【0036】先鋭部の先端が、微小球体の頂点に相当する位置の感光体層から記録光の波長以下の位置に到達すると、制御部は、記録光発生部を制御して記録光を発生させる。
【0037】記録光発生部により発生された記録光は、光ファイバプローブの先鋭部と反対側のコアに入射され、コア中を伝搬して、先鋭部の先端から記録媒体に対して放射される。
【0038】具体的には、光ファイバプローブの先鋭部の先端の曲率半径は、記録光の波長以下程度となっており、先鋭部の表面には遮光部が形成されており、遮光部の先端には、記録光の波長以下の開口が設けられている。
【0039】先鋭部の表面の遮光部が突出部からの光の放射を遮光する遮光部として機能する。このため、波長以下の開口のみから記録光を感光体層に照射することができる。このような開口から放射される記録光は、物質表面の光の波長以下程度の領域に存在するいわゆるエバネッセント光からなる。
【0040】このエバネッセント光は、先鋭部の先端からの距離が記録光の波長以上となると、その強度が急激に減少する性質がある。
【0041】すなわち、先鋭部の先端が微小球体の頂点と記録光の波長以下の距離にあり、双方が同程度の大きさである場合、エバネッセント光のカップリング効率が最大になり、かつエバネッセント光は、光の波長以下の領域に局在しているため微小球体の頂点以外では、その強度が急激に減少する。
【0042】このため、微小球体の頂点のに相当する領域のみに記録光が入射された状態と同様となり、この領域の感光体層のみを感光させる。
【0043】これにより、1つの微小球体の頂点に相当する領域の感光体層のみを感光させることができる。
【0044】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を図面を参照しながら詳細に説明する。
【0045】まず、本発明に係る記録媒体を適用した第1実施例について説明する。
【0046】この記録媒体は、例えば図1に示すように、スライドグラス等の平板状のガラス板からなる基盤1と、この基盤1上に微小球体2が1層に配列された球体配列層3と、この球体配列層3の上面に設けられた感光体層4とからなる。
【0047】球体配列層3を構成する微小球体2は、例えば直径50nm乃至100nmのラテックス球からなる。このような微小球体2は、平板上で1つの粒子の周囲に6つの粒子が接触するいわゆる2次元最密構造となっている。
【0048】また、感光体層4は、いわゆるLBフィルムからなり、蒸着等により球体配列層3の上面に10nm程度の厚さに形成されている。
【0049】このような構造の記録媒体10では、感光体層4は、球体配列層3上に形成されているため、その表面に凹凸を有する。このため、この感光体層3の凸部に集光した記録光を照射することにより、凸部の感光体層4が感光し、これによって光学記録を行なうことができる。
【0050】また、1つの微小球体2に対応する感光体層4の凸部のみに記録光を照射することにより、記録光の波長以下の領域の感光体層4を感光させることができる。
【0051】つぎに、本発明に係る記録媒体の製造方法を適用した第2実施例について説明する。
【0052】上述の図1に示すような構造を有する記録媒体は、本発明を適用した記録媒体の製造方法によって製造される。
【0053】この記録媒体の製造方法は、例えば図2に示すように、親和化工程と、混合工程と、付着工程と、配列工程と、感光体形成工程とからなる。
【0054】この記録媒体の製造方法では、まず、親和化工程において平板状の基盤の表面の混合工程で使用する液体に対する親和力を増加させる。例えば混合工程において使用する液体として水を使用する場合では、この親和化工程では、97%程度の濃度の能硫酸に24時間程度浸すことによって平板状の基盤の表面の水に対する親和力を増加させて親水化処理を行なう。
【0055】つぎに、混合工程においてプラスチック又は高分子化合物からなる微小球体を液体に混合する。例えば微小球体として直径50nm乃至100nmのラテックス球を使用し、この微小球体を水あるいはアルコール等からなる液体に混合する。あるいは、この混合工程において、上述のラテックス球の代わりに、表面の水あるいはアルコールに対する親水力を増加させたラテックス球を使用してもよい。
【0056】そして、付着工程において微小球体を混合した液体を基盤に付着させる。この付着工程において基盤に付着させる液体の量及びこの液体中の微小球体の量すなわち濃度は、液体層が広がる領域を1層の微小球体が覆うことができる程度となるように設定されている。
【0057】さらに、配列工程において基盤を傾斜させた状態で、基盤に付着した液体を蒸発させる。
【0058】この配列工程では、例えば図3に示すように、付着工程において液体5を付着させた平板状のスライドグラス等からなる基盤1をいわゆるペルチエ素子20上に載置し、このペルチエ素子20を5〜10度程度傾いた状態でチャンバー21内に載置する。
【0059】そして、チャンバー21内に窒素を供給し、窒素の弱い流れ22を発生させることにより湿度を50%程度に維持し、ペルチエ素子20の温度を25度から0.1度の範囲内に制御した。
【0060】このとき、チャンバー21内に傾斜させて載置された基盤1上の液体5は、例えばその断面を図4に示すように、基盤1の上部での液体5の層の厚さが、基盤1の下部での液体5の層の厚さに対して薄い状態となる。
【0061】このように、基盤1の上部での液体5の層の厚さが薄くなると、基盤1の上部での液体5がより蒸発しやすい状態となる。
【0062】この状態で、液体が蒸発すると、例えば図5に示すように、まず、基盤1表面の上部での液体5の層の厚さが微小球体2の直径以下となり、この位置の微小球体2aが移動できなくなって基盤1に固着される。
【0063】続いて、この固着された微小球体2aと、この微小球体2a付近に位置する微小球体2bとの間に液体5の凹面部が形成され、この凹面部に働く表面張力によって、これらの微小球体2a、2b間に引力が働く。しかしながら、固着された微小球体2aが移動しないため、固着された微小球体2a付近に位置する微小球体2bが、固着された微小球体2aに引き寄せられ、微小球体2aに接触する。
【0064】そして、液体5の蒸発が進むと、これらの固着された微小球体2a、2b付近に位置する微小球体2が徐々に引き寄せられ、液体5が全て蒸発してしまうと、微小球体2が集中されて2次元状に配列され、図6に示すような球体配列層3が形成される。
【0065】ところで、平面上で球体が最密構造をとる場合、1つの球体の周囲に正6角形状に6つの球体が接触した配置となる。すなわち、4つの球体に着目すると、この4つの球体の中心が頂点となった菱形となり、対角短辺の2つの球体が接触した状態に配置される。
【0066】具体的には、親水化処理を行なった直径50μmのラテックス球を微小球体2として用い、微小球体2を混合する液体5として水を用いた場合には、例えば図7に示すように、一部に微小球体2の直径の不統一による乱れがあるが、全体として微小球体2が均一に配列された球体配列層3が得られる。
【0067】また、親水化処理を行なっていない直径50μmのラテックス球を微小球体2として用い、微小球体2を混合する液体5として水を用いた場合には、例えば図8に示すように、親水化処理を行なった直径50μmのラテックス球を使用した場合に比して、均一性が劣り、微小球体2の集合とこれらの間の空間が生じるが、微小球体2が良好に配列された球体配列層3が得られる。
【0068】また、微小球体として直径100μmのラテックス球を用い、微小球体2を混合する液体5として水を用いた場合には、例えば図9に示すように、上述の図7に示す球体配列層3と同様に微小球体2が均一に配列された球体配列層3が得られる。
【0069】また、微小球体として直径100μmのラテックス球を用い、微小球体を混合する液体としてアルコールを用いた場合には、例えば図10に示すように、微小球体2の集合とこれらの間の空間を有する球体配列層3が得られる。この場合の微小球体2の集合の間の空間は、上述の図8に示す場合に比して大きくなっている。
【0070】最後に、感光体形成工程において、球体配列層3の上に、LBフィルム等からなる感光体層4を形成する。具体的には、LBフィルムの素材を、例えば水又はクロロフォルム等の有機溶媒に溶解させ、このLBフィルムの素材を溶解させた水又はクロロフォルム等の有機溶媒を、水の表面上に展開させ、単分子の膜を形成する。
【0071】そして、この水の表面上に形成された単分子の膜に、上述の球体配列層3の表面に付着させ、累積することにより感光体層4を形成することができる。
【0072】これにより、50nm乃至100nm程度の微小球体2からなる球体配列層3上に感光体層4が形成され、上述の図1に示すような構成の記録媒体10が形成される。
【0073】上述のような記録媒体の製造方法では、記録光の波長以下の間隔で規則的に繰り返す凹凸を有する感光体層4を容易に形成することができる。このため、記録光の波長以下の微小領域に光学記録を行なうことができる記録媒体を容易に製造することができ、記録媒体の製造コストを低減させることができる。
【0074】ここで、本発明の記録方法及び記録装置を適用した第3実施例について説明する。
【0075】この記録装置は、例えば図11に示すような構成を有するフォトン走査トンネル顕微鏡に本発明を適用したものであり、上述の図1に示すような構成の記録媒体10に記録を行なう記録装置として機能する。
【0076】すなわち、この記録装置では、光ファイバプローブ20に記録光を入射し、光ファイバプローブ20の先端に設けられ、コアを先細り状に先鋭化した先鋭部21により記録光を集光し、先鋭部21の先端から集光した記録光を記録媒体10の表面の感光体層4に照射することによって、記録を行なうようになっている。
【0077】この記録装置は、その記録光発生部として、記録光を発生させるレーザ光源40と、シャッタ41及びフィルタ42を介した記録光を集光して上記光ファイバ20に入射させるレンズ43とを有している。
【0078】また、この記録装置は、光ファイバプローブ20を上下方向に移動させるZ駆動部45と、記録媒体10を水平方向に移動させるXY駆動部46とを有しており、これらのZ駆動部45、XY駆動部46は、制御部47からの制御に基づいて動作する。
【0079】また、制御部47は記録を行なう前に感光体層4の表面の形状を測定しておき、記録時にはこの測定した感光体層4の表面形状に基づいて、記録媒体10を構成する微小球体2の頂点に相当する感光体層4から、記録光の波長以下の位置に先鋭部21の先端が位置するようにZ駆動部45、XY駆動部46を制御して光ファイバプローブ20を移動させる。
【0080】すなわち、この記録装置では、先鋭部21と感光体層4との距離を一定に保った状態で、上記XY駆動部46によって記録媒体10を水平方向に走査させ、圧電素子50により光ファイバプローブ20をその固有振動数で振動させ、先鋭部21と感光体層4の表面との距離に応じて先鋭部21と感光体層4の表面の原子との間に働く原子間力によって光ファイバプローブ20の振動の振幅が変化することを利用して先鋭部21と感光体層4との間の距離を測定することにより、感光体層4の表面の形状を測定する。
【0081】具体的には、光ファイバプローブ20の振幅の測定は、検出光源51からの平行光線とされた検出光を光ファイバプローブ20の側面に照射し、光ファイバプローブ20によって散乱された検出光の散乱をスリット52を介してフォトダイオード53により検出し、このフォトダイオード53の検出出力をアンプ54によって増幅し、いわゆるロックインアンプ55によって検出出力の振幅を測定することによって行なわれる。
【0082】ところで、上記光ファイバプローブ20は、例えば図12に示すように、先鋭部21の表面に遮光部22を有し、この遮光部22の先端に記録光の波長以下程度の開口部23を有する。
【0083】このような光ファイバプローブ20に先鋭部21の他端から入射された記録光は、先鋭部21において集光され、開口部23から感光体層4に照射される。
【0084】この記録光の波長以下程度の開口部23から感光体層4に照射される記録光は、空間を伝搬しないで波長以下程度の領域に存在するいわゆるエバネッセント光となっている。
【0085】このようなエバネッセント光の伝搬は、先鋭部21の先端と、感光体層4の表面との相互作用によって起こっているため、感光体層4に入射された記録光の記録効率は、先鋭部21の先端の局率半径と、感光体層4の表面の局率半径と、先鋭部21の先端と感光体層4の表面との距離が、それぞれ等しくなったときに最大となる。
【0086】この場合では、先鋭部21の先端の局率半径と、感光体層4の表面の局率半径とがそれぞれ光の波長以下程度となっているため先鋭部21の先端と感光体層4の表面との距離が上述のように光の波長以下となったときに記録効率が最大となる。
【0087】また、この記録装置では、記録時に上述したように先鋭部21の先端を微小球体の頂点上すなわち感光体層4の凹凸の凸部上に位置している。
【0088】エバネッセント光の光強度は、光源からの距離が波長程度以上となると急激に減少するため、このような場合に感光体層4の凸部の周辺の凹部の感光体層4に到達する記録光の強度は、凸部における強度に比較して極めて弱くなる。このため、凸部の感光体層4のみに記録光が照射された状態と等価となり、凸部の感光体層4のみが感光する。
【0089】すなわち、この記録装置では、1つの微小球体2の頂点に相当する領域の感光体層のみを感光させることができ、また、微小球体2が記録光の波長以下の直径を有することから、記録光の波長以下の領域の感光体層4に光学記録を行なうことができる。
【0090】
【発明の効果】本発明に係る記録媒体は、球体配列層の上に感光体層が形成されているため、感光体層は、その上面に記録光の波長以下の間隔で規則的に繰り返す凹凸を有している。このため、感光体層に記録光を照射すると、凹部での光強度に対して凸部での光強度が強くなり、凸部の感光体がより強く感光され、コントラスト比が高い光学記録を行なうことができる。
【0091】また、1つの微小球体に対応する感光体層の凸部のみに記録光を照射することにより、記録光の波長以下の領域の感光体層を感光させることができ、記録光の波長以下の微小領域に記録を行なうことができる。
【0092】また、本発明では、記録光の波長以下の直径を有する微小球体を液体に混合し、平板状の基盤の表面の微小球体を混合した液体に対する親和力を増加させた後、微小球体を混合した液体を基盤に付着させ、基盤を傾斜させた状態で液体を蒸発させて微小球体が均一に配列された球体配列層を形成し、球体配列層の上面に感光体層を形成する。これにより、記録光の波長以下の間隔で規則的に繰り返す凹凸を有する感光体層を容易に形成することができ、記録光の波長以下の微小領域に光学記録を行なうことができる記録媒体を容易に製造することができ、記録媒体の製造コストを低減させることができる。
【0093】また、本発明に係る記録方法では、光ファイバプローブの先鋭部が、記録媒体を構成する微小球体の頂点上の感光体層から記録光の波長以下の位置となるように光ファイバを移動させ、光ファイバプローブの先鋭部と反対側のコアに記録光を入射させ、記録光に基づいて上記先鋭部から放射される放射光を上記微小球体の頂点上の受光体層に照射することにより、1つの微小球体の頂点に相当する領域の感光体層のみを感光させることができる。
【0094】また、この微小球体は、記録光の波長以下の直径を有しているため、このような記録によって波長以下の領域に光学記録を行なうことができ、記録密度を向上させることができる。
【0095】また、本発明に係る記録方法では、光ファイバプローブの先鋭部の表面の遮光部が突出部からの光の放射を遮光する遮光部として機能する。このため、波長以下の開口のみから記録光を感光体層に照射することができ、安定した記録を行なうことができる。
【0096】また、本発明の記録装置では、制御部が、光ファイバプローブの先鋭部が、記録媒体を構成する微小球体の頂点上の感光体層から記録光の波長以下の位置となるように、上記駆動部を制御した後、記録光発生部を制御して記録光を発生させることにより、1つの微小球体の頂点に相当する領域の感光体層のみを感光させることができるため、記録密度を向上させることができる。
【0097】また、本発明の記録装置では、光ファイバプローブの先鋭部の表面の遮光部が突出部からの光の放射を遮光する遮光部として機能し、波長以下の開口のみから記録光を感光体層に照射することができ、安定した記録を行なうことができる。
【出願人】 【識別番号】591243103
【氏名又は名称】財団法人神奈川科学技術アカデミー
【出願日】 平成6年(1994)12月6日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃 (外2名)
【公開番号】 特開平8−160564
【公開日】 平成8年(1996)6月21日
【出願番号】 特願平6−301936