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【発明の名称】 航空照明用変圧器
【発明者】 【氏名】金子 仁士

【目的】 耐衝撃性、耐水性、耐油性、高温水蒸気に対する耐久性に優れた、航空照明用変圧器を提供する。
【構成】 変圧器本体1に3本のケーブルが接続され、前記3本のケーブル3の各々の先端にプラグ4又はレセップ5が取付けられた航空照明用変圧器において、ケーブル3が弗素ゴム被覆ケーブルであり、ケーブル3の少なくとも変圧器本体1、プラグ4、及びレセップ5との境界部分にクロロプレンゴム層6が被覆されており、更に変圧器本体1、クロロプレンゴム層6が被覆されたケーブル7、プラグ4、及びレセップ5の表面に、弗素ゴム層12が一体に被覆されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 変圧器本体に3本のケーブルが接続され、前記3本のケーブルの各々の先端にプラグ又はレセップが取付けられた航空照明用変圧器において、前記ケーブルが弗素ゴム被覆ケーブルであり、前記ケーブルの少なくとも変圧器本体、プラグ、及びレセップとの境界部分にクロロプレンゴム層が被覆されており、更に前記変圧器本体、クロロプレンゴム層が被覆されたケーブル、プラグ、及びレセップの表面に、弗素ゴム層が一体に被覆されていることを特徴とする航空照明用変圧器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐衝撃性、耐水性、耐油性、更に高温水蒸気に対する耐久性にも優れた、航空照明用変圧器に関する。
【0002】
【従来の技術】航空照明用変圧器は、飛行場内の照明用高圧電源回路と照明灯器との間を接続して、■高圧電源回路と低圧灯器の電圧変換、及び回路の絶縁、■定電流変換による照度の調整等、を行うものである。
【0003】このような、航空照明用変圧器は、周囲温度が55℃〜−20℃の、ハンドホールの底部に設置して用いられる。ハンドホールには鉄蓋が被せられるが、底部には泥水が溜まるので、前記変圧器には、防水処理が必要である。
【0004】従来の航空照明用変圧器の構造は、図2に示すように、変圧器本体1に3本のケーブル8が接続され、前記3本のケーブル8の各々の先端にプラグ4又はレセップ5が取付けられたものである。そして、前記の変圧器本体1、ケーブル8、プラグ4、及びレセップ5の表面には、耐衝撃性、耐水性、耐油性に優れたクロロプレンゴム層16が一体に被覆されている。前記ケーブル8にはエチレンプロピレン(EP)ゴム絶縁クロロプレンゴムシースケーブルが使用されている。このような航空照明用変圧器の製造は、変圧器本体に前記ケーブルの一端を接続し、他端にプラグ又はレセップを取付け、これを金型内にセットし、この金型に未加硫クロロプレンゴムを注入し、次いでこれをプレス加硫する方法によりなされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】航空照明用変圧器は、前述のように、ハンドホール内で使用されるが、その環境は、場所によっては非常に過酷である。例えば、90〜100 ℃の水蒸気雰囲気中で使用される場合があり、このような雰囲気中で長期間使用すると、表面のクロロプレンゴム層が劣化し、ひび割れが生じて防水性が損なわれ、その結果、変圧器の絶縁性能が低下するという問題があった。本発明は、耐衝撃性、耐水性、耐油性のみならず、高温水蒸気に対する耐久性にも優れた、航空照明用変圧器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、変圧器本体に3本のケーブルが接続され、前記3本のケーブルの各々の先端にプラグ又はレセップが取付けられた航空照明用変圧器において、前記ケーブルが弗素ゴム被覆ケーブルであり、前記ケーブルの少なくとも変圧器本体、プラグ、及びレセップとの境界部分にクロロプレンゴム層が被覆されており、更に前記変圧器本体、クロロプレンゴム層が被覆されたケーブル、プラグ、及びレセップの表面に、弗素ゴム層が一体に被覆されていることを特徴とする航空照明用変圧器である。
【0007】本発明は、変圧器本体、ケーブル、プラグ、及びレセップにて構成される航空照明用変圧器を、耐衝撃性、耐水性、耐油性、更に高温の水蒸気に対する耐久性に優れた弗素ゴムで一体に被覆して、ハンドホール内の過酷な使用環境に長期間耐えるようにしたものである。
【0008】本発明では、弗素ゴム層が被覆されたケーブルが用いられる。前記ケーブルの弗素ゴム被覆層と、あとから変圧器本体等と一体に被覆される弗素ゴム層とは接着性が悪い。本発明は、前記弗素ゴム被覆ケーブルの少なくとも変圧器本体、プラグ、及びレセップとの境界部分にクロロプレンゴム層を被覆して、前記弗素ゴム層同士の接着性を改善したものである。クロロプレンゴム層は、弗素ゴム被覆ケーブルの全長に被覆してあっても差支えない。
【0009】本発明の航空照明用変圧器は、例えば、次のようにして製造される。即ち、3本の弗素ゴム被覆ケーブルの両端部分に未加硫クロロプレンゴムテープをラップ巻きし、次いで、その一端を変圧器本体に接続し、他端にプラグ又はレセップを取付けて変圧器組立材とし、この変圧器組立材を金型内にセットし、この金型に未加硫弗素ゴムを注入し、次いで未加硫クロロプレンゴムと未加硫弗素ゴムを一緒にプレス加硫する。未加硫クロロプレンゴム層の被覆厚さは0.2 〜1mm 、特には0.5 〜1 mmが好適である。プレス加硫は、プレスと加硫とを分けて行っても良い。
【0010】
【作用】本発明の航空照明用変圧器は、耐衝撃性、耐水性、耐油性、更に高温水蒸気に対する耐久性に優れた弗素ゴム層により一体に被覆されているので、ハンドホール内の過酷な環境にも長期間耐えられる。又ケーブルの弗素ゴム被覆層と、あとから一体に被覆される弗素ゴム層とは、接着性が悪いが、間に、弗素ゴムと接着性の良いクロロプレンゴムを介在させるので、前記弗素ゴム同士は緊密に接着される。
【0011】
【実施例】以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)図1は、本発明の航空照明用変圧器の実施例を示す正面説明図である。変圧器本体1に弗素ゴム層2が被覆されたケーブル3が3本接続されている。前記3本のケーブル3の先端にはプラグ4又はレセップ5が取付けられている。以下、レセップ5が取付けられたケーブル7について説明する。前記弗素ゴム被覆ケーブル3の、変圧器本体1及びレセップ5との境界部分にクロロプレンゴム層6が被覆されている。更に変圧器本体1、弗素ゴム2とクロロプレンゴム6が被覆されたケーブル7、及びレセップ5の表面に、弗素ゴム層12が一体に被覆されている。プラグ4が取付けられたケーブルの場合も、図を省略したが同様である。
【0012】図1に示した航空照明用変圧器は、次のようにして製造した。即ち、3本の弗素ゴム被覆ケーブルの両端部分に未加硫クロロプレンゴムテープを1mm厚さにラップ巻きし、次いで、その一端を変圧器本体に接続し、他端にプラグ又はレセップを取付けて変圧器組立材とした。次にこの変圧器組立材を金型内にセットし、この金型に未加硫弗素ゴムを注入し、次いで未加硫クロロプレンゴムと未加硫弗素ゴムを一緒にプレス加硫した。
【0013】(比較例1)実施例1において、弗素ゴム被覆ケーブルに未加硫クロロプレンゴム層を被覆しなかった他は、実施例1と同じ方法により航空照明用変圧器を製造した。
【0014】(比較例2)実施例1において、ケーブルにEPゴム絶縁クロロプレンゴムシースケーブルを用い、弗素ゴムに代えてクロロプレンゴムを一体被覆した他は、実施例1と同じ方法により航空照明用変圧器を製造した。
【0015】前記3種の航空照明用変圧器を、90〜100 ℃の高温水蒸気が発生するハンドホールの底部に配置して長期間使用した。使用後、表面性状及び変圧器内への浸水状況を調べた。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】

【0017】表1より明らかなように、本発明例品(No.1)は、被覆層の表面性状が良好で、浸水もなく、従って変圧器の絶縁性能は良好であった。これに対し、比較例品のNo.2は、浸水が認められた。これはケーブルの弗素ゴム被覆層と、その上に一体被覆された弗素ゴム層との間にクロロプレンゴム層を介在させなかった為、両弗素ゴム層間の接着性が悪く、その間隙から水蒸気が侵入したことによる。又No.3は、クロロプレンゴム層で被覆した為、被覆層にひび割れが入り、浸水量が多く、変圧器の絶縁性能が低下した。
【0018】以上、航空照明用変圧器を、ハンドホール内にて使用した場合について説明したが、本発明の航空照明用変圧器は、過酷な条件下で使用される他の用途においても、その耐久性が発揮されるものである。
【0019】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の航空照明用変圧器は、弗素ゴム層が一体に、密着性良く被覆されているので、耐衝撃性、耐水性、耐油性、更に高温水蒸気に対する耐久性に優れ、従って過酷な使用条件下でも高い信頼性が得られ、工業上顕著な効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
【出願日】 平成6年(1994)8月29日
【代理人】
【公開番号】 特開平8−69707
【公開日】 平成8年(1996)3月12日
【出願番号】 特願平6−203754