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【発明の名称】 摩擦式の伝動クラッチの操作構造
【発明者】 【氏名】朝田 晃宏

【氏名】稲森 秋男

【氏名】北尾 裕一

【目的】 摩擦式の伝動クラッチを人為操作具(クラッチペダル等)により操作自在に構成した摩擦式の伝動クラッチの操作構造において、半クラッチ状態を維持し過ぎることによる伝動クラッチの焼き付きを未然に防止する。
【構成】 伝動クラッチ5,6が半クラッチ状態であるか否かを検出する判別手段を備え、判別手段の検出に基づいて伝動クラッチ5,6の半クラッチ状態が設定時間に亘って連続して維持されると、伝動クラッチ5,6を伝動遮断側に自動的に操作する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 摩擦式の伝動クラッチ(5),(6)と、人為的に操作される人為操作具(52)とを備え、前記伝動クラッチ(5),(6)及び人為操作具(52)を連係する連係機構(35),(36a),(36b),(37a),(37b)を備えて、前記人為操作具(52)の操作位置に対応する状態に、前記伝動クラッチ(5),(6)が操作されるように構成すると共に、前記伝動クラッチ(5),(6)が半クラッチ状態であるか否かを検出する判別手段(68)を備え、前記判別手段(68)の検出に基づいて前記伝動クラッチ(5),(6)の半クラッチ状態が設定時間に亘って連続して維持されると、前記伝動クラッチ(5),(6)を伝動遮断側に強制的に操作する牽制手段を備えてある摩擦式の伝動クラッチの操作構造。
【請求項2】 前記牽制手段により前記伝動クラッチ(5),(6)が伝動遮断側に操作されると、前記牽制手段により前記伝動クラッチ(5),(6)が伝動遮断側に操作されたことを報知する報知手段(71)を備えてある請求項1記載の摩擦式の伝動クラッチの操作構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、走行用や作業装置への伝動用等に使用されている摩擦式の伝動クラッチの操作構造に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば走行用の伝動クラッチにおいては、伝動クラッチとクラッチペダル(人為操作具に相当)とが連係されて、クラッチペダルにより伝動クラッチを伝動側及び伝動遮断側に操作する。この場合、クラッチペダルを伝動側及び伝動遮断側の間に操作して保持しておくと、伝動クラッチが半クラッチ状態となって機体はゆっくりと走行する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前述のような伝動クラッチの半クラッチ状態は、伝動クラッチが滑りながら動力を伝達していくので、誤って半クラッチ状態を連続的に長時間に亘って維持すると、伝動クラッチが焼き付くおそれがある。本発明は摩擦式の伝動クラッチの操作構造において、誤って半クラッチ状態を連続的に長時間に亘って維持してしまい、伝動クラッチを焼き付かせてしまうような事態を未然に回避できるようにすることを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は以上のような摩擦式の伝動クラッチの操作構造において、次のように構成することにある。
〔1〕摩擦式の伝動クラッチと人為的に操作される人為操作具とを備え、伝動クラッチ及び人為操作具を連係する連係機構を備えて、人為操作具の操作位置に対応する状態に、伝動クラッチが操作されるように構成すると共に、伝動クラッチが半クラッチ状態であるか否かを検出する判別手段を備え、判別手段の検出に基づいて伝動クラッチの半クラッチ状態が設定時間に亘って連続して維持されると、伝動クラッチを伝動遮断側に強制的に操作する牽制手段を備えてある。
【0005】〔2〕前項〔1〕の構成において、牽制手段により伝動クラッチが伝動遮断側に操作されると、牽制手段により伝動クラッチが伝動遮断側に操作されたことを報知する報知手段を備えてある。
【0006】
【作用】
〔I〕前項〔1〕のように構成すると、人為操作具を操作することによって連係機構を介して、伝動クラッチが伝動側及び伝動遮断側に操作されるのであり、これが通常の状態である。次に、作業者が人為操作具により伝動クラッチを半クラッチ状態に操作して半クラッチ状態を維持しても、前項〔1〕のように構成すれば半クラッチ状態が設定時間に亘って連続して維持されると、牽制手段により伝動クラッチが自動的に伝動遮断側に操作される。これにより、作業者が誤って人為操作具を半クラッチ状態に対応する位置に長時間に亘って維持しても、伝動クラッチの焼き付きが未然に防止される。
【0007】〔II〕前項〔2〕のように構成すると、前項〔1〕の構成の場合と同様に前項〔I〕に記載の「作用」を備えており、これに加えて以下のような「作用」を備えている。前項〔I〕で説明したように、作業者が人為操作具を半クラッチ状態に対応する位置に保持している状態で、伝動クラッチが自動的に伝動遮断側に操作されると、作業者には伝動クラッチを伝動遮断側に操作する気持ちが無いのに伝動クラッチが伝動遮断側に操作されたことになるので、作業者は何か異常が発生したのかと誤解するおそれがある。そこで前項〔2〕のような報知手段を備えると、半クラッチ状態を長時間に亘って連続的に維持することによる焼き付きを防止するために、牽制手段により伝動クラッチが自動的に伝動遮断側に操作されたことが作業者に報知されるので、作業者は前述のような誤解を持つことはない。
【0008】
【発明の効果】請求項1のように構成すると摩擦式の伝動クラッチの操作構造において、作業者が誤って人為操作具を半クラッチ状態に対応する位置に長時間に亘って維持しても、伝動クラッチが自動的に伝動遮断側に操作されて伝動クラッチの焼き付きが未然に防止されるようになり、伝動クラッチの耐久性を向上させることができた。
【0009】請求項2のように構成すると、請求項1のように構成した場合と同様に前述の請求項1の「発明の効果」を備えている。請求項2のように構成すると、牽制手段により伝動クラッチが自動的に伝動遮断側に操作されたことが作業者に報知されて、作業者が誤解を持つことがないので、作業者の誤解による誤操作を未然に防止することができた。
【0010】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1)図1は四輪駆動型の農用トラクタのミッションケース8内を示しており、エンジン1からの動力が伝動軸2及び油圧多板式のPTOクラッチ3を介して、PTO軸4に伝達される。エンジン1からの動力が、前進クラッチ5(伝動クラッチに相当)、又は後進クラッチ6(伝動クラッチに相当)、円筒軸7、主変速装置10、第1副変速装置11、第2副変速装置12、及び後輪デフ装置13を介して左右の後輪14に伝達される。後輪デフ装置13の直前から分岐した動力が、伝動軸15、油圧クラッチ型式の前輪変速装置16、前輪伝動軸17及び前輪デフ装置18を介して左右の前輪19に伝達される。
【0011】前進クラッチ5及び後進クラッチ6は、摩擦板(図示せず)とピストン(図示せず)とを組み合わせた油圧多板式で、作動油を供給することにより伝動側に操作され、バネ(図示せず)により伝動遮断側に付勢されている。前進クラッチ5を伝動側に操作すると、エンジン1の動力が前進クラッチ5から円筒軸7に直接流れて機体は前進する。後進クラッチ6を伝動側に操作すると、エンジン1の動力が後進クラッチ6及び伝動軸20を介して、逆転状態で円筒軸7に伝達されて機体は後進する。
【0012】主変速装置10は4個の油圧多板式の1速クラッチ21、2速クラッチ22、3速クラッチ23、及び4速クラッチ24を並列的に配置した油圧クラッチ型式に構成されて4段に変速可能であり、1速〜4速クラッチ21〜24のうちの一つを伝動側に操作することにより、エンジン1側の円筒軸7からの動力が4段に変速操作されて下手側の伝動軸25に伝達される。
【0013】第1副変速装置11も2個の油圧多板式の低速クラッチ26、及び高速クラッチ27を並列的に配置した油圧クラッチ型式に構成されており、低速及び高速クラッチ26,27の一方を伝動側に操作することにより、主変速装置10側の伝動軸25からの動力が2段に変速操作されて下手側の第2副変速装置12に伝達される。第2副変速装置12はシフト部材53をスライド操作するシンクロメッシュ型式に構成されて2段に変速可能であり、後述する変速レバー28によって機械的に変速操作される。
【0014】(2)次に前進及び後進クラッチ5,6、主変速装置10等用の油圧回路について説明する。図3に示すようにポンプ29からの油路30に、前進及び後進クラッチ5,6に対する電磁比例弁35(連係機構に相当)、及びパイロット操作式の切換弁36a,37a(連係機構に相当)、主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜24に対するパイロット操作式の切換弁31a,32a,33a,34a、第1副変速装置11の低速及び高速クラッチ26,27に対する電磁比例弁38,39が並列的に接続されている。
【0015】油路30から分岐した油路40に、前輪デフ装置18におけるデフロック操作用の油圧クラッチ41に対するパイロット操作式の切換弁42a、後輪デフ装置13におけるデフロック操作用の油圧クラッチ43に対するパイロット操作式の切換弁44a、前輪変速装置16の標準クラッチ45及び増速クラッチ46(図1参照)に対するパイロット操作式の切換弁47a,48aが並列的に接続されている。各切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aは、バネで排油側(伝動遮断側)に付勢されており、後述するようにパイロット作動油が供給されることで、供給側(伝動側)に操作される。
【0016】油路30から減圧弁49を介してパイロット油路50が分岐して、このパイロット油路50が切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aの操作部に接続されており、各操作部に電磁操作弁31b,32b,33b,34b,36b(連係機構に相当),37b(連係機構に相当),42b,44b,47b,48bが接続されている。各電磁操作弁31b〜34b,36b,37b,42b,44b,47b,48bは、バネで排油側(伝動遮断側)に付勢されており、これらを電気的に供給側に操作すると、パイロット作動油が切換弁31a〜34a,36a,37a,42a,44a,47a,48aの操作部に供給されて、これらが供給側(伝動側)に操作される。
【0017】(3)次に、前進及び後進クラッチ5,6、主変速装置10等の操作部の構成について説明する。図2及び図3に示すように、前輪19用の操縦ハンドル58の基部に、電気的な前進信号及び後進信号を発信する前後進レバー59が備えられ、機体の操縦部の横軸芯周りに変速レバー28が揺動操作自在に支持されている。第2副変速装置12(図1参照)のシフト部材53をスライド操作するシフトフォーク54と変速レバー28とが、連係機構55により機械的に連動連結されており、変速レバー28を中立停止位置N、低速位置L及び高速位置Hの3位置に操作して第2副変速装置12を変速操作する。変速レバー28が低速位置L及び高速位置Hに操作されていることを検出する一対のリミットスイッチ9が備えられている。
【0018】変速レバー28の横側部に上下に移動自在なロックピン56が備えられて、ロックピン56を上下に移動操作する操作ボタン57が変速レバー28の上部に備えられている。ロックピン56はバネ(図示せず)により紙面上方の固定位置に移動するように付勢されており(操作ボタン57も紙面左方の突出側に付勢されている)、固定側のガイド板60にロックピン56を係合させることにより、変速レバー28を中立停止位置N、低速位置L及び高速位置Hの各々で保持する。操作ボタン57を押し込み操作するとロックピン56が紙面下方の保持解除位置に移動操作されて、変速レバー28を中立停止位置N、低速位置L及び高速位置Hに操作できる。
【0019】変速レバー28の左横側面にシフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62が上下に配置されており、後述するようにシフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62を一度押し操作すると、一つのシフトアップ信号及びシフトダウン信号が発信されて、図1に示す主及び第1副変速装置10,11の変速操作が行われる。
【0020】図2に示すように、主及び第1副変速装置10,11の変速位置(1速〜8速)を表示する7セグメントの変速表示部64、前後進レバー59により前進及び後進クラッチ5,6のどちらが伝動側に操作されているかを表示する前進ランプ65及び後進ランプ66、変速レバー28が中立停止位置Nに操作されていることを示す中立停止ランプ67が操縦部に備えられている。図3に示すように、前進及び後進クラッチ5,6の作動圧が伝動状態の所定圧に達しているか否かを検出する圧力センサー74が備えられており、圧力センサー74の検出により前進及び後進ランプ65,66を点灯させる。
【0021】(4)次に前後進レバー59、変速レバー28、シフトアップボタン61及びシフトダウンボタン62による変速操作について説明する。図2に示す前後進レバー59が前進位置Fに操作されていると、図3に示す電磁操作弁36bに操作電流が供給されて切換弁36aが供給側に操作され、前進クラッチ5が伝動側に操作されて前進ランプ65が点灯する。逆に、前後進レバー59が後進位置Rに操作されていると、図3に示す電磁操作弁37bに操作電流が供給されて切換弁37aが供給側に操作され、後進クラッチ6が伝動側に操作されて後進ランプ66が点灯し、図2に示すブザー71(報知手段に相当)が間欠的に作動する。
【0022】図1に示すように主変速装置10が4段に変速可能で、第1副変速装置11が2段に変速可能であるから、主変速装置10及び第1副変速装置11により8段の変速が可能である。この場合、第1副変速装置11の低速クラッチ26が伝動側に操作されている状態で、主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜24が1速〜4速の変速位置に対応するのであり、第1副変速装置11の高速クラッチ27が伝動側に操作されている状態で、主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜24が5速〜8速の変速位置に対応する。
【0023】図3に示すように主変速装置10の1速〜4速クラッチ21〜24、第1副変速装置11の低速及び高速クラッチ26,27の各々に、これらの作動圧が伝動状態の所定圧に達しているか否かを検出する圧力センサー74を設けており、各圧力センサー74の検出により現在の主及び第1副変速装置10,11の変速位置(1速〜8速)が検出されて、検出された変速位置が変速表示部64に表示される。
【0024】図2に示す変速レバー28を低速位置L又は高速位置Hに操作している状態において、変速レバー28のシフトアップボタン61を一度押し操作すると、主及び第1副変速装置10,11が現在の変速位置よりも一つ高速側の変速位置に変速操作されて、変速後の変速位置が変速表示部64に表示され、ブザー71が一回だけ作動して変速操作の終了が作業者に報知される。逆に、シフトダウンボタン62を一度押し操作すると、主及び第1副変速装置10,11が現在の変速位置よりも一つ低速側の変速位置に変速操作されて、変速後の変速位置が変速表示部64に表示され、ブザー71が一回だけ作動して変速操作の終了が作業者に報知される。
【0025】次に、例えば前後進レバー59を前進位置Fに操作し(前進クラッチ5が伝動側に操作され、後進クラッチ6が伝動遮断側に操作されている状態)、変速レバー28を低速位置Lに操作している状態において(操作ボタン57及びロックピン56により変速レバー28を低速位置Lに保持している状態)、操作ボタン57を押し操作してロックピン56をガイド板60から下方に外し操作すると、図3に示す電磁操作弁36bにより切換弁36aが排油側に操作されて、前進クラッチ5が伝動遮断側に自動的に操作される。
【0026】これにより、操作ボタン57を押し操作した状態で変速レバー28を低速位置Lから中立停止位置N又は高速位置Hに操作し、操作ボタン57を戻し操作してロックピン56により変速レバー28を中立停止位置N又は高速位置Hに保持する。この場合、中立停止位置Nにおいて操作ボタン57を戻し操作すると、電磁操作弁36bにより切換弁36aが供給側に操作されて、電磁比例弁35により前進クラッチ5が直ちに伝動遮断側に自動的に操作される。高速位置Hにおいて操作ボタン57を戻し操作すると、電磁操作弁36bにより切換弁36aが供給側に操作されて、電磁比例弁35により前進クラッチ5が漸次的に伝動遮断側に自動的に操作される。前後進レバー59を後進位置Rに操作した状態において(後進クラッチ6が伝動側に操作され、前進クラッチ5が伝動遮断側に操作されている状態)、前述のように変速レバー28の操作ボタン57を押し及び戻し操作すると、後進クラッチ6が自動的に伝動遮断側及び伝動側に操作される。
【0027】(5)次に、クラッチペダル52による前進及び後進クラッチ5,6の伝動及び伝動遮断側への操作について、図5及び図6に基づいて説明する。図2及び図3に示すように、前進及び後進クラッチ5,6の操作用のクラッチペダル52(人為操作具に相当)が備えられ、クラッチペダル52の操作位置を検出するポテンショメータ68(判別手段に相当)が備えられている。切換弁36a,37aの操作部からパイロット作動油を排油可能な開閉弁51(バネ(図示せず)により閉側に付勢)が備えられており、クラッチペダル52を限度の少し手前まで踏み操作すると、クラッチペダル52により開閉弁51が機械的に開側に操作されて、切換弁36a,37aが排油側に操作される。
【0028】これにより、クラッチペダル52を戻し位置から限度まで踏み込んだ踏み位置の範囲において踏み操作すると、ポテンショメータ68によりクラッチペダル52の操作位置が検出されて(ステップS1)、図4の実線に示すようにクラッチペダル52の操作位置に対応する作動圧となるように、図3に示す電磁比例弁35により前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)の作動圧Pが設定される(ステップS2)。クラッチペダル52を中間位置に踏み操作すると、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)を半クラッチ状態とすることができるのであり、クラッチペダル52を限度の踏み位置の手前まで踏み操作すると、開閉弁51が機械的に開側に切換操作されて切換弁36a,37aが排油側に操作され、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)の作動圧Pが零となる。
【0029】図1に示すように、前進及び後進クラッチ5,6への入力回転数W1(エンジン1の回転数)を検出する回転数センサー72、及び前進及び後進クラッチ5,6からの出力回転数W2(円筒軸7の回転数)を検出する回転数センサー73が備えられている。次に、クラッチペダル52を中間位置に踏み操作して前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)を半クラッチ状態としていると(ステップS3)、図3に示す圧力センサー74により前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)の作動圧P、回転数センサー72,73により入力回転数W1及び出力回転数W2が検出される(ステップS4,S5,S6)。これにより、単位吸収エネルギーEA及び単位吸収効率EATが、次に示す数式によって算出される(ステップS7)。
【0030】
【数1】F=P・AP−FSP :前進クラッチ5(後進クラッチ6)の作動圧AP:前進クラッチ5(後進クラッチ6)のピストンの面積FS:前進クラッチ5(後進クラッチ6)を伝動遮断側に付勢するバネの付勢力TC=C1・C2・F・RM・ZC1:機械効率C2:前進クラッチ5(後進クラッチ6)の摩擦板の動摩擦係数RM:前進クラッチ5(後進クラッチ6)の摩擦板の有効径Z :前進クラッチ5(後進クラッチ6)の摩擦板の面数E=∫T 0 TC・(W1−W2)dtW1:入力回転数W2:出力回転数T :クラッチペダル52を中間位置に踏み操作してからの時間EA=E/(AC・Z・104
AC:前進クラッチ5(後進クラッチ6)の摩擦板の面積EAT=EA/T【0031】以上のようにして、単位吸収エネルギーEA及び単位吸収効率EATが算出されると、吸収エネルギーE1が単位吸収エネルギーEA及び単位吸収効率EATの積として算出され(ステップS8)、算出された吸収エネルギーE1が設定値E2と比較されて(ステップS9)、吸収エネルギーE1が設定値E2に達してしなければステップS1に戻る。吸収エネルギーE1はクラッチペダル52を中間位置に保持し続ける限り、時間の経過に伴い積算されて大きくなっていくので、設定時間に亘ってクラッチペダル52を中間位置に保持し続ければ、吸収エネルギーE1はいずれ設定値E2に達する。
【0032】次に、クラッチペダル52を中間位置に保持し続けて吸収エネルギーE1が設定値E2に達すると、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が焼き付くと判断されて、図3に示す電磁操作弁36b,37bにより前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が自動的に伝動遮断側に操作されて保持される(ステップS10)(牽制手段に相当)。この場合、ブザー71が簡欠的に作動して(前後進レバー59を後進位置Rに操作している状態よりも、作動間隔は短い)(ステップS11)、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が自動的に伝動遮断側に操作されて保持されたことを作業者が認識する。
【0033】逆に吸収エネルギーE1が設定値E2に達する前に、クラッチペダル52を戻し操作して前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)を伝動遮断側に操作したり、クラッチペダル52を踏み位置にまで踏み操作して前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)を伝動側に操作したりすると(ステップS3)、積算されていた吸収エネルギーE1がクリアされて(ステップS20)、ステップS1に戻る。
【0034】(6)次に、前項(5)の説明のように前進クラッチ6(又は後進クラッチ6)が自動的に伝動遮断側に操作された後、元の状態への復帰について説明する。前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が自動的に伝動遮断側に操作されて保持されている状態において、前項(4)で説明したように変速レバー28により第2副変速装置12の変速操作を行うために、変速レバー28の操作ボタン57を押し操作したり(ステップS12)、前後進レバー59を前進位置Fから後進位置Rに(後進位置Rから前進位置F)に操作すると(ステップS13)、ブザー71が停止して(ステップS18)、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が伝動遮断側に保持される状態が解除される(ステップS19)。
【0035】次に前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が自動的に伝動遮断側に操作されて保持されている状態で、クラッチペダル52を踏み位置にまで踏み操作した場合(ステップS14)、図2に示す第2副変速装置12の変速レバー28が高速位置H又は中立停止位置Nに操作されていると(ステップS15)、前述と同様にブザー71が停止して(ステップS18)、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が伝動遮断側に保持される状態が解除される(ステップS19)。そしてステップS1に戻り、クラッチペダル52を踏み位置にまで踏み操作していることによって、ステップS1,S2により前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が伝動遮断側に保持される。
【0036】前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が自動的に伝動遮断側に操作されて保持されている状態で、クラッチペダル52を踏み位置にまで踏み操作した場合(ステップS14)、図2に示す第2副変速装置12の変速レバー28が低速位置Lに操作されていると(ステップS15)、図1に示す第1副変速装置11の低速及び高速クラッチ26,27が自動的に伝動遮断側に操作され(ステップS16)、主変速装置10の1速及び4速クラッチ21,24が伝動側に操作されてから(ステップS17)、前述と同様にブザー71が停止して(ステップS18)、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が伝動遮断側に保持される状態が解除される(ステップS19)。
【0037】前述のようにステップS1に戻り、クラッチペダル52を踏み位置にまで踏み操作していることによって、ステップS1,S2により前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が伝動遮断側に保持されていると、前進クラッチ5での連れ回り現象により、エンジン1の動力が前進クラッチ5を介して下手側に伝達されて機体が前進しようとする。第2副変速装置12を低速位置Lに変速操作している場合、低回転高トルクの動力が伝達されるので、前述のような現象が特に顕著に現れる。
【0038】これにより、主変速装置10の1速及び4速クラッチ21,24を伝動側に操作して、主変速装置10を1速及び4速クラッチ21,24において伝動比の異なる二重伝動状態として、主変速装置10で動力を止めて機体の前進を抑える。そして、第1副変速装置11の低速及び高速クラッチ26,27を伝動遮断側に操作することにより、クラッチペダル52を踏み位置にまで踏み操作して前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)が伝動遮断側に操作されている状態と同じ状態を現出する。前述の状態はクラッチペダル52を戻し操作したり、変速レバー28を中立停止位置Nや高速位置Hに操作したり、前後進レバー59を前進位置Fから後進位置R(後進位置Rから前進位置F)に操作したりすることによって解除される。
【0039】〔別実施例〕図5に示すステップS10において、前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)を自動的に伝動遮断側に操作する場合、図3に示す電磁操作弁36b,37bに代えて専用の開閉弁(図示せず)を備え、この開閉弁により前進クラッチ5(又は後進クラッチ6)を自動的に伝動遮断側に操作するように構成してもよい。乾式の伝動クラッチ(図示せず)とクラッチペダル52とを、連係ロッド(連係機構に相当)(図示せず)により機械的に連係した場合に、アクチュエータ(牽制手段に相当)(図示せず)によって、クラッチペダル52を強制的に戻し操作するようにして、本発明を構成してもよい。
【0040】図2に示すブザー71に代えて、警告ランプ(図示せず)を報知手段として使用し、図5に示すステップS11において警告ランプを点滅させるように構成してもよい。ブザー71と警告ランプ(図示せず)の両方を備え、図5に示すステップS11において、ブザー17を簡欠的に作動させると同時に、警告ランプを点滅させるように構成してもよい。
【0041】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を便利にする為に符号を記すが、該記入により本発明は添付図面の構成に限定されるものではない。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成7年(1995)3月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修
【公開番号】 特開平8−247179
【公開日】 平成8年(1996)9月24日
【出願番号】 特願平7−56849