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【発明の名称】 電磁式回転伝動装置
【発明者】 【氏名】千代倉 守成

【氏名】下村 亮

【目的】 電磁式回転伝動装置に係り、駆動体と被伝動体との連結、切り離しを簡易に実施し、かつ、伝達すべき回転駆動力あるいは制動力の増大、装置のコンパクト化等を図る。
【構成】 回転駆動される駆動側ロータ21と、これと同心に配される被駆動側ロータ22とを具備し、一側のロータに、他側のロータに向けて拡径するテーパ内面24aと、これに間隔を空けて配されるテーパ外面26aを有し軸線方向に相対移動自在かつ相対回転不可に取り付けられる内部ロータ26と、テーパ内面24aとテーパ外面26aとの距離を変化させる磁着手段23とを設け、他側のロータに、テーパ内面24aおよびテーパ外面26aに密接可能なテーパ外面36aおよびテーパ内面36bを有する摩擦部材36が軸線方向に移動自在かつ相対回転不可に取り付けることにより、直列に配される2箇所のテーパ面どうしの結合により大きな回転駆動力を伝達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転駆動される駆動体と、これと同心に配される被伝動体とを具備し、上記駆動体あるいは被伝動体のいずれか一側に、他側に向けて拡径するテーパ内面と、該テーパ内面に間隔を空けて対向させられるテーパ外面を有し軸線方向に相対移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けられる内部ロータと、前記テーパ内面とテーパ外面との距離を電磁力によって変化させる磁着手段とが設けられ、前記他側に、前記一側に設けたテーパ内面に密接可能なテーパ外面と前記内側ロータのテーパ外面に密接可能なテーパ内面とを有する摩擦部材が軸線方向に移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けられていることを特徴とする電磁式回転伝動装置。
【請求項2】 磁着手段が、内部ロータに軸線方向に相対移動可能に取り付けられかつ該内部ロータの小径側端面に当接可能に配される磁性部材と、該磁性部材と内部ロータとの間に取り付けられ両者を当接方向に付勢する付勢手段と、前記磁性部材を電磁力により付勢手段の付勢力に抗して内部ロータから離間させる方向に変位させる電磁石とからなることを特徴とする請求項1記載の電磁式回転伝動装置。
【請求項3】 付勢手段が、半径方向に配され、その半径方向の両端を磁性部材と内部ロータとに取り付けられる板バネよりなることを特徴とする請求項2記載の電磁式回転伝動装置。
【請求項4】 回転駆動される駆動体と、これと同心に配される被伝動体とを具備し、上記駆動体あるいは被伝動体のいずれか一側に、他側に向けて拡径するテーパ内面が設けられ、前記他側に、前記テーパ内面に密接可能なテーパ外面を有する摩擦部材が軸線方向に移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けられ、これらテーパ内面とテーパ外面との距離を変化させる磁着手段が設けられ、該磁着手段が、摩擦部材に軸線方向に相対移動可能に取り付けられかつ該摩擦部材の小径側端面に当接可能に配される磁性部材と、該磁性部材と摩擦部材との間に取り付けられ両者を当接方向に付勢する付勢手段と、前記磁性部材を電磁力により付勢手段の付勢力に抗して内部ロータから離間させる方向に変位させる電磁石とからなり、前記付勢手段が、半径方向に配され、その半径方向の両端を磁性部材と摩擦部材とに取り付けられる板バネよりなることを特徴とする電磁式回転伝動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、同心に配される駆動体と被伝動体とを電磁力によって連結し回転力を伝達する一方、電磁力の解除によってこれら駆動体と被伝動体とを切り離す電磁式回転伝動装置、すなわち、電磁クラッチおよび電磁ブレーキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】モータ等の回転駆動源によって駆動される装置に回転駆動源の動力を伝達したり回転駆動源から装置を切り離したりするための手段として、電磁力を利用した電磁クラッチがある。従来、電磁クラッチは、例えば、工作機械、印刷機械等の産業機械や複写機、プリンタ等のOA機器、自動販売機、エレベータ、車輌等の幅広い分野において利用されているものである。かかる電磁クラッチとしては、乾式、湿式、空隙式等、種々の方式のものが考案されている。また、図5に示すようなスプリングを利用した方式のものも簡易な構成によって確実に動力を切断、連結させることができるので広く利用されている。
【0003】この電磁クラッチ1は、回転駆動源(図示略)に接続する回転軸2にキー3を介して固定された駆動側ロータ4と、該駆動側ロータ4と同心に配され前記回転軸2にベアリング5を介して回転自在に取り付けられる被駆動側ロータ6と、前記駆動側ロータ4に設けられたフランジ部4aを軸方向に挟む位置に配置される電磁コイル7のような電磁石と磁性部材8とからなる磁着手段9を具備している。
【0004】前記電磁コイル7は、ベアリング10を介して前記回転軸2に相対回転自在に取り付けられるとともに、外部構造物11にボルト12によって固定されている。いわゆるコイル静止型の電磁クラッチ1である。また、前記磁性部材8は、リング板状に形成されており、板バネ13を介して前記被駆動側ロータ6に固定されている。なお、図5中符号14は電磁コイル7を励磁させる電力供給用のケーブル、15は被駆動側ロータ6に固定されベルト(図示略)等によって動力を外部に伝達するためのプーリである。
【0005】このように構成された電磁クラッチ1によれば、電磁コイル7が励磁されない状態では、駆動側ロータ4と被駆動側ロータ6に固定された磁性部材8との間には、板バネ13によって間隙Gが形成された状態に保持されており、駆動側ロータ4は、被駆動側ロータ6に動力を伝達することなく単独で回転させられることになる。また、電磁コイル7に電力が供給され、該電磁コイル7が励磁された場合には、磁性部材8が電磁力によって、板バネ13の弾発力に抗しつつ電磁コイル7の方向に引き寄せられるので、該磁性部材8と駆動側ロータ4のフランジ部4aとが接触させられて、その摩擦力により動力が伝達されることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記構成の電磁クラッチ1であると、駆動側ロータ4のフランジ部4aと磁性部材8とを平面と平面で接触させて、電磁力による圧接力に応じて生ずる摩擦力により動力を伝達する構造であるために、伝達できる動力は電磁力に依存し、その増大を図ることは困難であった。特に、小型化、低電力化が要求される装置に配備される電磁クラッチ1においては、その外径寸法が制限されるために、鉄芯の断面積を広く確保することが困難であるとともに、寸法的、電力的な制限から大きな起磁力を有する電磁コイル7の設計が困難であり、動力の確実な伝達を実施することができないという不都合があった。
【0007】また、上記電磁クラッチと同様の原理によって作動させられる回転伝動装置として、電磁ブレーキがある。かかる電磁ブレーキの構成は、被駆動側ロータ6を固定している点を除き電磁クラッチとほぼ同一のものである。したがって、この電磁ブレーキにおいても、上記電磁クラッチと同様の不都合が生じることになる。
【0008】本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、駆動体と被伝動体とを堅固に連結して伝達動力あるいは制動力の増大を図るとともに、駆動体と被駆動体の連結を確実に切り離すことができる電磁式回転伝動装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、回転駆動される駆動体と、これと同心に配される被伝動体とを具備し、上記駆動体あるいは被伝動体のいずれか一側に、他側に向けて拡径するテーパ内面と、該テーパ内面に間隔を空けて対向させられるテーパ外面を有し軸線方向に相対移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けられる内部ロータと、前記テーパ内面とテーパ外面との距離を電磁力によって変化させる磁着手段とが設けられ、前記他側に、前記一側のテーパ内面に密接可能なテーパ外面と前記内側ロータのテーパ外面に密接可能なテーパ内面とを有する摩擦部材が軸線方向に移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けられている電磁式回転伝動装置を提案している。
【0010】また、上記電磁式回転伝動装置において、磁着手段が、内部ロータに軸線方向に相対移動可能に取り付けられかつ該内部ロータの小径側端面に当接可能に配される磁性部材と、該磁性部材と内部ロータとの間に取り付けられ両者を当接方向に付勢する付勢手段と、前記磁性部材を電磁力により付勢手段の付勢力に抗して内部ロータから離間させる方向に変位させる電磁石とからなる構成とすれば効果的である。また、上記電磁式回転伝動装置においては、付勢手段が、半径方向に配され、その半径方向の両端を磁性部材と内部ロータとに取り付けられる板バネよりなることとすれば効果的である。
【0011】また、本発明は、回転駆動される駆動体と、これと同心に配される被伝動体とを具備し、上記駆動体あるいは被伝動体のいずれか一側に、他側に向けて拡径するテーパ内面が設けられ、前記他側に、前記テーパ内面に密接可能なテーパ外面を有する摩擦部材が軸線方向に移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けられ、これらテーパ内面とテーパ外面との距離を変化させる磁着手段が設けられ、該磁着手段が、摩擦部材に軸線方向に相対移動可能に取り付けられかつ該摩擦部材の小径側端面に当接可能に配される磁性部材と、該磁性部材と摩擦部材との間に取り付けられ両者を当接方向に付勢する付勢手段と、前記磁性部材を電磁力により付勢手段の付勢力に抗して内部ロータから離間させる方向に変位させる電磁石とからなり、前記付勢手段が、半径方向に配され、その半径方向の両端を磁性部材と摩擦部材とに取り付けられる板バネよりなる電磁式回転伝動装置を提案している。
【0012】
【作用】請求項1の発明に係る電磁式回転伝動装置によれば、磁着手段の作動により電磁力が発生するとこの電磁力によって駆動体あるいは被伝動体のいずれかに設けられたテーパ内面と内部ロータのテーパ外面との距離が変化させられる。ここで、説明の簡単のため、駆動体にテーパ内面が設けられていることとする。また、磁着手段は、その作動によってテーパ内面とテーパ外面とを近接させる電磁力を発生するように配設されていることとする。
【0013】内部ロータは駆動体に軸線方向に移動自在に配されかつ軸線回りの相対回転を拘束されているので、駆動体が回転駆動されると、内部ロータもこれに伴って回転駆動され、前記テーパ内面とテーパ外面とは一体的に回転させられることになる。これらのテーパ内面とテーパ外面との間には、摩擦部材が配設されているので、磁着手段の作動によって前記テーパ内面と前記テーパ外面とが近接させられると両者間に摩擦部材が挟まれることになる。
【0014】摩擦部材は、軸線方向に移動自在に配されているので、テーパ内面あるいはテーパ外面が軸線方向に変位するとその変位に倣って軸線方向に変位させられ、駆動体のテーパ内面にそのテーパ外面を、また、内部ロータのテーパ外面にそのテーパ内面を同等の圧力によって密接させる。そして、その接触により発生する摩擦力によって駆動体の回転駆動力が摩擦部材に伝達される。
【0015】摩擦部材は、被伝動体に相対回転を拘束された状態に取り付けられているので、駆動体から摩擦部材に伝達された回転駆動力は、そのまま被伝動体に伝達されることになる。したがって、駆動体の回転駆動力が、摩擦部材を介して被伝動体に伝達されることになる。
【0016】この場合に、回転駆動力の伝達は、テーパ内面とテーパ外面との接触によって実施されるので、くさび効果によって発生する大きな圧接力によって大きな摩擦力が確保される。さらに、駆動体のテーパ内面と摩擦部材のテーパ外面および摩擦部材のテーパ内面と内部ロータのテーパ外面という直列に配される2箇所において、回転駆動力の伝達が実施されるので、きわめて大きな回転駆動力を伝達することが可能となる。また、テーパ内面とテーパ外面とを接触させるので、外径寸法を小さく抑えても、十分な摩擦力または伝達力を確保することができることになる。
【0017】上記においては、摩擦部材のテーパ外面に密接させられるテーパ内面を駆動体に設けることとしたが、これに代えて、被伝動体に設けることとしてもよい。この場合には、内部ロータも被伝動体に取り付けられ、摩擦部材は駆動体に取り付けられることとすれば、上記と同様に作用する電磁式回転伝動装置が構成されることになる。
【0018】また、上記においては、磁着手段の作動によって駆動体のテーパ内面と内部ロータのテーパ外面とが近接させられる場合について説明したが、これに代えて、磁着手段の作動時に駆動体のテーパ内面と内部ロータのテーパ外面とが離間する方向に変位するものとしてもよい。この場合には、磁着手段が作動する前に摩擦部材が駆動体のテーパ内面と内部ロータのテーパ外面との間に挟まれて駆動体の回転駆動力が被伝動体に伝達されており、磁着手段の作動によって回転駆動力の伝達が切断されることになる。
【0019】また、上記電磁式回転伝動装置において、磁着手段を磁性部材とこれを内部ロータの小径側端面に当接する方向に付勢する付勢手段と磁性部材を内部ロータから離間させる方向に変位させる電磁石とから構成することとすれば、電磁石による電磁力が作用していない状態においては、付勢手段の付勢力によって磁性部材が内部ロータの小径側端面に当接状態に保持される。そして、電磁石を作動させて電磁力を発生させると、磁性部材が付勢手段の付勢力に抗して内部ロータから離間する方向に軸線方向に沿って変位させられる。
【0020】内部ロータは、例えば、上記例においては、駆動体に軸線方向に摺動自在かつ軸線回りに回転を拘束された状態に取り付けられているので、磁性部材の変位に伴う付勢力の増大により、磁性部材の変位に伴って軸線方向に変位させられる。そして、内部ロータのテーパ外面が摩擦部材に密接し、摩擦部材のテーパ外面が駆動体のテーパ内面に密接させられると、内部ロータのそれ以上の軸線方向への変位は係止され、磁性部材が内部ロータから軸線方向に離間させられる。
【0021】この状態においては、内部ロータと摩擦部材、摩擦部材と駆動体とは付勢手段の付勢力によってテーパ外面とテーパ内面とを密接させており、駆動体の回転駆動力が、これらの部分に生ずる摩擦力により摩擦部材を介して被伝動体に伝達されることになる。
【0022】次いで、電磁石の作動を停止して電磁力を消滅させると、磁性部材は、それを軸線方向に吸引していた電磁力から瞬間的に開放され、付勢手段の付勢力によって内部ロータの小径端面に向けて軸線方向に沿って急激に変位させられる。その結果、磁性部材が内部ロータの小径端面に衝突させられ、その衝撃力によって、内部ロータのテーパ外面と摩擦部材のテーパ内面との結合、延いては、摩擦部材のテーパ外面と駆動体のテーパ内面との結合が切り離されることになる。
【0023】すなわち、電磁石の作動停止によって、駆動体と被伝動体とが切り離され、回転駆動力の伝達が停止されることになる。上記においては、駆動体にテーパ内面が設けられていることとしているが、これに代えて、被伝動体にテーパ内面および内部ロータが設けられることとしても上記と同様の作用を奏する。また、電磁石の作動によって回転駆動力の伝達を切り離すように構成することも可能であることは上記と同様である。
【0024】また、上記電磁式回転伝動装置において、付勢手段を、半径方向に配され、その半径方向の両端を磁性部材と内部ロータとに取り付けられる板バネにより構成すれば、付勢手段の占める軸線方向の寸法を必要最小限に抑制し、かつ、摩擦部材とテーパ内面およびテーパ外面とを適正な押圧力によって圧接させて所望の摩擦力による確実な回転駆動力の伝達を図ることができる。しかも、磁性部材が電磁力から開放されたときには、磁性部材を内部ロータに衝突させるための付勢力を発生させ、テーパ面どうしの堅固な結合状態を確実に解除することが可能となる。
【0025】さらに、請求項4の発明に係る電磁式回転伝動装置によれば、磁着手段の作動によって、磁性部材が軸線方向に沿って変位させられると、該磁性部材と摩擦部材とを連結している付勢手段の付勢力が増大させられて、摩擦部材が磁性部材とともに軸線方向に変位させられる。そして摩擦部材のテーパ外面が駆動体あるいは被伝動体のいずれか一側に設けられているテーパ内面に当接すると、これらのテーパ面は、付勢手段の付勢力によって相互に結合されることになる。
【0026】摩擦部材は、駆動体あるいは被伝動体の他側に軸線方向に移動自在かつ軸線回りの回転を拘束された状態に取り付けられているので、前記一側のテーパ内面と摩擦部材のテーパ外面とが結合されることによってその摩擦力により駆動体から被伝動体へ回転駆動力が伝達されることになる。そして、磁着手段の作動が停止されると、磁性部材が付勢手段の付勢力により摩擦部材の小径端面に衝突し、そのときの衝撃力によってテーパ外面とテーパ内面との結合状態が切り離されることになる。
【0027】したがって、磁着手段の作動、および作動停止によって、駆動体から被伝動体への回転駆動力の伝達が確実に接続、切断されることになる。この場合に、回転駆動力の伝達は、テーパ内面とテーパ外面との接触によって実施されるので、くさび効果によって発生する大きな圧接力によって大きな摩擦力が確保される。また、テーパ内面とテーパ外面とを接触させるので、外径寸法を小さく抑えても、十分な摩擦力または伝達力を確保することができることになる。
【0028】さらに、付勢手段を半径方向に配される板バネにより構成することとしているので、軸線方向の寸法を必要最小限に抑制し、上記テーパ面の結合による外径寸法の抑制効果とともに、電磁式回転伝動装置をきわめてコンパクトに構成することが可能となる。
【0029】
【実施例】以下、本発明に係る電磁式回転伝動装置の一実施例について、図1および図2を参照して説明する。なお、本実施例の電磁式回転伝動装置も、例えば、電磁クラッチ20であって、図5に示した従来例と共通する箇所に同一符号を付して、説明を簡略化する。
【0030】本実施例の電磁クラッチ20は、基本的にコイル静止型の電磁クラッチ20である点で、従来例の電磁クラッチ1と共通している。しかし、本実施例の電磁クラッチ20は、駆動側ロータ(駆動体)21、被駆動側ロータ(被伝動体)22および磁着手段23の構造において従来例の電磁クラッチ1と相違している。
【0031】本実施例の電磁クラッチ20の駆動側ロータ21は、フランジ部21aの外周部に、被駆動側ロータ22方向に向かって、軸線方向に拡径するテーパ内面24aを有する筒状部24を具備している。駆動側ロータ21は、図示しないキーあるいはピン等によって回転軸2に固定されている。図1において、符号25は電磁コイル7によって形成される磁気回路Cを図1のように構成するための非磁性材部分である。
【0032】また、前記駆動側ロータ21の筒状部24の半径方向内方には、前記テーパ内面24aに半径方向に平行間隔を空けて対向させられるテーパ外面26aを有する内部ロータ26が配設されている。該内部ロータ26はリング状に形成されており、その内周面に後述する磁性部材27をメタル軸受28を介して嵌合状態に配している。
【0033】前記磁性部材27は、さらに、メタル軸受29を介して回転軸2に外嵌されている。これにより、磁性部材27は、メタル軸受29によって軸線方向に移動自在とされている。また、内部ロータ26は、メタル軸受28によって磁性部材27に支持されて軸線方向に移動自在とされている。
【0034】前記磁性部材27は、その軸線方向の一端に、前記内部ロータ26の小径側端面26bと前記駆動側ロータ21のフランジ部21aとに軸線方向に挟まれるように配置されるフランジ部27aを有している。このフランジ部27aは、内部ロータ26の小径側端面26bより大きな径寸法に形成されている。また、磁性部材27の軸線方向の他端には、該磁性部材27とその半径方向外方に外嵌状態に配されている前記内部ロータ26とを連結する板バネ部材30が取り付けられている。
【0035】この板バネ部材30は、自由状態において半径方向に沿って配されるリング板状に形成されており、その半径方向の両端を、例えば、リベットのような締結部材31a・31bによってそれぞれ磁性部材27と内部ロータ26とに取り付けられている。締結部材31a・31bとしては、ボルト等他の任意のものを選択することとしてよい。これにより、少なくとも、板バネ部材30が自由状態とされる場合には、磁性部材27のフランジ部27aと内部ロータ26の小径側端面26bとが当接状態とされるようになっている。
【0036】これら内部ロータ26および磁性部材27は、前記駆動側ロータ21のフランジ部21aに軸線方向に突出するように固定された支持ピン32を挿入状態に配する挿入孔26c・27bをそれぞれ有している。すなわち、支持ピン32が挿入孔26c・27bに挿入状態に配されることによって、内部ロータ26および磁性部材27は、その軸線方向への変位は許容されているが、駆動側ロータ21に対する軸線回りの相対回転を支持ピン32によって拘束されるようになっている。
【0037】すなわち、駆動側ロータ21が回転させられると、支持ピン32を介して回転駆動力が内部ロータ26および磁性部材27に伝達され、これら駆動側ロータ221、内部ロータ26および磁性部材27が一体として同時に回転させられるようになっている。
【0038】前記被駆動側ロータ22は、内部ロータ26を挟んで駆動側ロータ21と対向する位置に、ベアリング33によって回転軸2に回転自在に支持されている。この被駆動側ロータ22の外周部近傍には、軸線方向に突出する突起34が周方向に間隔を空けて複数設けられている。これらの突起34には、該突起34に係合する係合溝35aを有する連結ブロック35がそれぞれ軸線方向から組み合わせられ、これら連結ブロック35にはリング状の摩擦部材36が、例えば、接着剤等によって一体的に取り付けられている。
【0039】この摩擦部材36は、前記駆動側ロータ21のテーパ内面24aに密接可能なテーパ外面36aと、前記内部ロータ26のテーパ外面26aに密接可能なテーパ内面36bとを有しており、駆動側ロータ21と内部ロータ26との間に、これらのロータ21・26と同心に配置されている。すなわち、摩擦部材36は、被駆動側ロータ22に対して、軸線方向に相対移動自在に配されているとともに、軸線回りの相対回転を拘束された状態に配されている。
【0040】前記磁着手段23は、前記磁性部材27と、駆動側ロータ21を挟んで対向配置された電磁コイル7(電磁石)と、前記板バネ部材30とから構成されている。電磁コイル7が無励磁状態では、磁気回路Cは形成されず、磁性部材27は、板バネ部材30によって駆動側ロータ21から離間した位置に保持されている。そして、電磁コイル7が励磁されると、磁気回路Cが形成されることによって磁性部材27が駆動側ロータ21に向けて引き寄せられるようになっている。
【0041】また、図中符号37は、内部ロータ26および磁性部材27を駆動側ロータ21から離間する方向に付勢するコイルスプリングである。
【0042】このように構成された本実施例の電磁クラッチ20の作用について、以下に説明する。まず、回転軸2に回転駆動力が付与されて軸線回りに回転させられると、該回転軸2にキー等を介して締結されている駆動側ロータ21が回転駆動される。また、この駆動側ロータ21には、支持ピン32によって内部ロータ26および磁性部材27が相対回転を拘束された状態に取り付けられており、しかも、内部ロータ26および磁性部材27は、メタル軸受29によって回転軸2に回転自在に取り付けられているので、駆動側ロータ21の回転に伴って、内部ロータ26および磁性部材27も回転駆動させられることになる。
【0043】この場合に、電磁コイル7が無励磁状態であるときは、図2(a)に示すように、板バネ部材30は自由状態、すなわち、半径方向に沿って配される平板状に形成されている。これにより、磁性部材27は、そのフランジ部27aを内部ロータ26の小径側端面26bに当接状態に保持されている。そして、これら内部ロータ26および磁性部材27は、コイルスプリング37の付勢力によって駆動側ロータ21のフランジ部21aから十分に離間した位置に保持されている。
【0044】したがって、内部ロータ26のテーパ外面26aと駆動側ロータ21のテーパ内面24aとの間隔が広げられ、それらの間に配されている摩擦部材36は、両テーパ面26a・24aに緊密に接触しない自由状態に保持されている。すなわち、駆動側ロータ21の回転駆動力が、被駆動側ロータ22に伝達されないように、両ロータ21・22の連結が切り離されていることになる。
【0045】次いで、電磁コイル7が励磁された場合について説明する。この場合には、図2(b)に示すように、磁気回路Cが形成されるので、磁性部材27は、電磁力によって駆動側ロータ21のフランジ部21aに向けて引き寄せられることになる。この場合に、磁性部材27は、メタル軸受29および支持ピン32によってその軸線方向への移動を安定して支持されることになる。
【0046】そして、磁性部材27の変位が開始されると、この磁性部材27と駆動側ロータ21との間に配されているコイルスプリング37および磁性部材27と内部ロータ26との間に取り付けられている板バネ部材30の弾性変形が開始されることになる。これにより、磁性部材27には、これを駆動側ロータ21から遠ざける方向に付勢力が作用することになるが、電磁コイル7による電磁力を十分に大きく設定しておけば、磁性部材27は、これらの付勢力に抗して駆動側ロータ21に密着するまで変位させられることになる。
【0047】一方、内部ロータ26は、板バネ部材30を介して磁性部材27に連結されているので、板バネ部材30の弾性変形によって生じる付勢力によって、駆動側ロータ21に近接する方向に変位させられることになる。その結果、内部ロータ26のテーパ外面26aと駆動側ロータ21のテーパ内面24aとの間隔寸法が狭められることになる。
【0048】すなわち、内部ロータ26が駆動側ロータ21に向けて変位させられると、まず、そのテーパ外面26aが摩擦部材36のテーパ内面36bに接触する。摩擦部材36は、軸線方向に移動自在とされているので、この状態では、両テーパ面26a・36bの緊密な結合は行われず、摩擦部材36は、内部ロータ26のテーパ外面26a上にそのテーパ内面36bを摺動させながら、駆動側ロータ21に向けて軸線方向に変位させられることになる。
【0049】そして、摩擦部材36がそのテーパ外面36aを駆動側ロータ21のテーパ内面24aに当接する位置まで変位させられると、摩擦部材36はその内外面を内部ロータ26のテーパ外面26aと駆動側ロータ21のテーパ内面24aとの間に挟まれる。これにより、摩擦部材36は、この位置で軸線方向の変位を停止される。その一方、磁性部材27は、図2(c)に示すように、駆動側ロータ21のフランジ面21aに当接するまで、摩擦部材36に対して相対的に変位させられる。
【0050】したがって、板バネ部材30は、一定の弾性変形が発生させられた状態に保持される。そして、摩擦部材36と内部ロータ26、摩擦部材36と駆動側ロータ21の接触部はともに、テーパ面どうしの接触であるから、板バネ部材30に生じた一定の付勢力によって相互に密着させられ、クサビ効果によって結合が促進されて、確実な結合が達成されることになる。
【0051】その結果、駆動側ロータ21および内部ロータ26に付与されている回転駆動力は、摩擦部材36に伝達される。摩擦部材36は、連結ブロック35を介して被駆動側ロータ22との周方向の相対変位を拘束されているので、摩擦部材36に伝達された回転駆動力は、連結ブロック35の係合溝35a、被駆動側ロータ22の突起34を介して被駆動側ロータ22に伝達され、被駆動側ロータ22が軸線回りに回転させられることになる。被駆動側ロータ22に伝達された回転駆動力は、例えば、該被駆動側ロータ22に固定される図示しないギヤ、プーリを介して、あるいは可動体(図示略)を直結することによって取り出され、適宜利用されることになる。
【0052】次に、本実施例の電磁クラッチ20の駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22との連結を切り離す場合の作用について説明する。駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22との連結を切り離すには、電磁コイル7への電流供給を停止する。これにより、磁気回路Cは瞬時にして消滅し、磁性部材27はそれを駆動側ロータ21に引き寄せていた電磁力から開放されることになる。
【0053】すなわち、磁性部材27は内部ロータ26との間に配されている板バネ部材30および駆動側ロータ21との間に配されているコイルスプリング37の弾発力によって、駆動側ロータ21から離間する軸線方向に沿って急激に変位させられる。そして、磁性部材27は、内部ロータ26に対して相対的に変位させられることになり、図2(d)に示すように、そのフランジ部27aを内部ロータ26の小径側端面26bに衝突させられる。
【0054】その結果、まず、内部ロータ26と磁性部材27との衝突によって発生する衝撃力によって、内部ロータ26と摩擦部材36との結合が切り離される。次いで、磁性部材27のフランジ部27aは摩擦部材36の端面36cにも衝突し、その衝撃力によって該摩擦部材36と駆動側ロータ21との結合も切り離されることになる。これにより、駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22との連結が完全に切り離されることになる。
【0055】このように、本実施例に係る電磁クラッチ20によれば、駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22とがテーパ面24a・36a、26a・36bどうしの接触によって連結されるので、クサビ効果による堅固な結合によって、回転駆動力の確実な伝達を達成することができる。しかも、同時に回転させられる駆動側ロータ21と内部ロータ26との間に摩擦部材36を挟むことにより、直列に配される2箇所においてテーパ面24a・36a、26a・36bどうしを接触させることができる。
【0056】すなわち、電磁コイル7により板バネ部材30に発生する付勢力によって駆動側ロータ21のテーパ内面24aと摩擦部材36のテーパ外面36aおよび摩擦部材36のテーパ内面36bと内部ロータ26のテーパ外面26aを密接させるものであるが、付勢力により発生する接触圧力を低減することなく、接触面積を増大させることができる。したがって、伝達可能な回転駆動力を増大させることができることになる。
【0057】また、テーパ面24a・36a、26a・36bどうしの接触を採用することにより、接触部が軸線に対して角度をなして配されるので、十分な摩擦力を発生させて確実な連結を確保しつつ、電磁クラッチ20の外径寸法を縮小することが可能となる。
【0058】さらに、本実施例に係る電磁クラッチ20によれば、内部ロータ26および磁性部材27を支持ピン32によって駆動側ロータ21と同時に回転させることとし、かつ、内部ロータ26と電磁力によって変位させられる磁性部材27とを板バネ部材30によって連結することとしたので、駆動側ロータ21と接触するまで磁性部材27を変位させることができ、その結果、生ずる板バネ部材30の弾性変形による付勢力を一定の値に設定することができる。
【0059】すなわち、磁性部材27を駆動側ロータ21に接触させても両者間に摩耗を生じないので、機構部の健全性を維持することができるとともに、磁性部材27と駆動側ロータ21との間に隙間を形成するような微調整を排除して組み付け作業の容易化を図ることができる。また、一定の付勢力を発生させることによって、駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22との確実な連結を達成することができる。
【0060】しかも、磁性部材27と内部ロータ26とを半径方向に沿って配されるリング板状の板バネ部材30によって付勢力を発生させることとしているので、付勢力を発生させるための手段としては、軸線方向の寸法を最小限に押えることができる。したがって、電磁クラッチ20の軸線方向寸法の縮小を図ることができ、テーパ面24a・36a、26a・36bによる結合を採用したことによる径寸法の縮小と相俟って電磁クラッチ20全体のコンパクト化を図ることができる。
【0061】また、本実施例に係る電磁クラッチ20によれば、このように堅固に結合される駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22とを確実に切り離すことができる。すなわち、磁性部材27を内部ロータ26および摩擦部材36に衝突させることによって、衝撃力を発生させ、この衝撃力によってテーパ面24a・36a、26a・36bどうしの堅固な結合を容易に切り離すことができる。したがって、駆動側ロータ21から被駆動側ロータ22への大きな回転駆動力の伝達を達成し、切り離しに際しては、テーパ面24a・36a、26a・36bどうしの結合を瞬時に切り離して回転駆動力の伝達を即座に遮断することができる。
【0062】なお、本実施例に係る電磁クラッチ20においては、内部ロータ26および摩擦部材36は、電磁コイル7によって通電時に得られる磁気回路Cの構成に何ら影響を与えるものではないので、その材質は磁性材料に限定されず、任意の材質を適用することができる。すなわち、耐摩耗性の高い材質とすることにより、電磁クラッチ20の寿命向上を図ることができる。また、所定の静止摩擦係数あるいは動摩擦係数を有する材質、例えば、適当なエンジニアリングプラスチック等を適用することができ、この場合には、伝達トルクの上限を設定する、いわゆるトルクリミッタとしての機能を付加することが可能となる。
【0063】また、駆動側ロータ21のテーパ内面24aと内部ロータ26のテーパ外面26aとを、平行間隔を空けて配されること、すなわち、テーパ角度を同等のものとしたが、これに代えて、テーパ角度を異ならせることとしてもよい。また、駆動側ロータ21と磁性部材27および内部ロータ26との相対回転を拘束するために支持ピン32を配設することとしたが、これに代えて、例えば、キーとキー溝等によって構成することとしてもよい。
【0064】さらに、磁性部材27と内部ロータ26とを連結する板バネ部材30に代えて、例えば、皿バネ、コイルスプリング等の任意の付勢手段を使用することとしてもよい。この場合には、寸法を縮小する効果を除いて、本実施例の電磁クラッチ20と同等の効果を奏することができる。
【0065】また、駆動側ロータ21にテーパ内面24aおよび内部ロータ26を設け、被駆動側ロータ22に摩擦部材36を設けることとしたが、これに代えて、駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22とを入れ替えることとしてもよい。さらに、摩擦部材36を係合溝35aおよび突起34によって被駆動側ロータ22に軸線方向に移動自在かつ軸線回りの相対回転を拘束された状態に取り付けることとしたが、これに代えて、例えば、上記支持ピン32のような摺動ピン、キー等によって同様の作用を得ることとしてもよい。
【0066】次に、本発明に係る電磁式回転伝動装置の他の実施例について、図3および図4を参照して説明する。なお、上記実施例および従来例と共通する構成には同一符号を付して説明を簡略化する。本実施例の電磁式回転伝動装置も、例えば、電磁クラッチ40であるが、上記実施例と異なり、摩擦部材36が内部ロータ26に一体的に固定され、内部ロータ26および磁性部材27は、駆動側ロータ21に対して相対的に回転させられるようになっている。
【0067】したがって、電磁コイル7の作動によって駆動側ロータ21のフランジ部21aに密接させられる磁性部材27が、駆動側ロータ21との接触によって摩耗しないように、四フッ化エチレン樹脂等の適当な低摩擦材料よりなる摺動部材41が、駆動側ロータ21のフランジ部21aに埋め込まれている。なお、摺動部材41は、磁性部材27に埋め込まれているものとしてもよい。
【0068】また、内部ロータ26には、被駆動側ロータ22の突起34に係合する係合溝35aが設けられている。これにより、内部ロータ26は、被駆動側ロータ22に対して軸線方向に移動自在に配されるとともに、軸線回りの相対回転を拘束されるようになっている。
【0069】この実施例に係る電磁クラッチ40によれば、図4(a)に示す無励磁状態から、図4(b)に示すように、電磁コイル7に通電されることによって、磁性部材27が駆動側ロータ21に向けて変位させられ、これによって、板バネ部材30に生ずる付勢力により、内部ロータ26が駆動側ロータ21に向けて変位させられる。内部ロータ26には、摩擦部材36が固定されているので、摩擦部材36のテーパ外面36aが駆動側ロータ21のテーパ内面24aに密接させられてテーパ面24a・36aどうしが堅固に結合され、駆動側ロータ21の回転駆動力が内部ロータ26に伝達されることになる。
【0070】また、内部ロータ26と被駆動側ロータ22とは突起34と係合溝35aとを係合させて相互に相対回転を拘束されているので、駆動側ロータ21から内部ロータ26に伝達された回転駆動力は被駆動側ロータ22にそのまま伝達されることになる。この場合に、内部ロータ26は、図4(c)に示すように、板バネ部材30に発生した弾性変形による付勢力によって摩擦部材36を駆動側ロータ21のテーパ内面24aに押し付け、確実な結合を達成するようになっている。
【0071】次いで、駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22との連結を切り離すには、電磁コイル7への電流の供給を瞬時に停止する。これにより、図4(d)に示すように、板バネ部材30およびコイルスプリング37に蓄えられた弾性エネルギが磁性部材27の軸線方向への運動エネルギに変換され、磁性部材27のフランジ部27aが内部ロータ26の小径側端面26bに衝突させられる。したがって、その際における衝撃力によって、摩擦部材36のテーパ外面36aと駆動側ロータ21のテーパ内面24aとのクサビ効果による堅固な結合が容易に切り離され、回転駆動力の伝達が遮断されることになる。
【0072】このように、本実施例に係る電磁クラッチ40においても、上記第1実施例と同様に、内部ロータ26と磁性部材27との間を連結する板バネ部材30によって、テーパ面24a・36aどうしの堅固な結合と、その結合の簡易な切り離しの両方が達成されることになる。また、半径方向に配される板バネ部材30によれば、軸線方向の寸法の縮小を図ることができ、テーパ面24a・36aどうしの結合による径方向の寸法縮小と相俟って電磁クラッチ40全体のコンパクト化を図ることができる点も、上記第1実施例と同様である。
【0073】なお、本実施例においても、第1実施例と同様に実施態様を変更することができる。すなわち、駆動側ロータ21と被駆動側ロータ22を入れ替え、板バネ部材30に代えて皿バネ等を使用し、突起34と係合溝35aに代えてキーを配設することとしてもよい。
【0074】また、上記第1、第2実施例においては、以下の技術を採用することができる。磁性部材27としては、鉄等任意の材質を採用することができるが、応答速度を考慮すると磁気反応の速い純鉄系の磁性材料が好ましい。テーパ内面24a・36bおよびテーパ外面26a・36bの傾斜角度には、特に限定はないが、くさび効果による連結の確実性を達成し得るとともに、衝撃力によって容易に離間し得る程度の傾斜角度とすることが好ましい。
【0075】なお、上記第1、第2実施例においては、電磁式回転伝動装置として電磁クラッチを例示して説明したが、これに代えて、電磁ブレーキに上記機構を採用することとしてもよい。この場合には、上記被駆動側ロータを外部構造物に固定すればよい。これにより、上記電磁クラッチにおいて駆動側ロータ21から伝達されていた回転駆動力は、制動力として作用し、駆動側ロータ21は大きな制動力によって確実に減速させられることになる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明に係る電磁式回転伝動装置は、回転駆動される駆動体と、これと同心に配される被伝動体とを具備し、これら駆動体あるいは被伝動体の一側に、他側に向けて拡径するテーパ内面と、これに間隔を空けたテーパ外面を有し軸線方向に相対移動自在かつ相対回転不可に取り付けられる内部ロータと、テーパ内面とテーパ外面との距離を変化させる磁着手段とを設け、前記他側に、テーパ内面およびテーパ外面に密接可能なテーパ外面およびテーパ内面を有する摩擦部材が軸線方向に移動自在かつ相対回転不可に取り付けたので、駆動体と内部ロータとの間に摩擦部材を挟み、直列に配される2箇所において摩擦力を発生させることにより、伝達トルクを増大させることができるという効果を奏する。
【0077】また、テーパ外面とテーパ内面とを接触させることによって、クサビ効果による堅固な結合を得ることができ、回転駆動力の確実な伝達を達成することができるとともに、伝達可能な回転駆動力を低減することなく電磁式回転伝動装置の径方向寸法を低減することができる。
【0078】また、上記電磁式回転伝動装置において、磁着手段を、内部ロータに軸線方向に相対移動可能に取り付けられかつその小径側端面に当接可能に配される磁性部材と、磁性部材と内部ロータとの間に取り付けられ両者を当接方向に付勢する付勢手段と、記磁性部材を電磁力により付勢手段の付勢力に抗して内部ロータから離間させる方向に変位させる電磁石とから構成することとすれば、電磁石の作動によって磁性部材を変位させ付勢手段に生ずる一定の付勢力によって内部ロータを摩擦部材に圧接させることができる。これにより、テーパ面どうしの確実な結合を得ることができる。
【0079】また、電磁石の作動を停止すれば、付勢手段に生じている付勢力によって磁性部材を内部ロータの小径側端面に衝突させることができ、その衝撃力によって、テーパ面どうしの堅固な結合を簡易に切り離すことができる。その結果、電磁石のON、OFFによって、大きな回転駆動力の伝達、切り離しを簡易かつ確実に実施することができるという効果を奏する。
【0080】さらに、上記電磁式回転伝動装置において付勢手段を、半径方向に配される両端を磁性部材と内部ロータとに取り付けられる板バネにより構成することとすれば、付勢手段に必要な軸線方向の寸法を最小限に抑制して上記効果を奏する電磁式回転伝動装置の軸線方向の寸法を縮小することができるという効果を奏する。また、テーパ面どうしの結合によって回転駆動力を伝達することとして半径方向寸法の縮小をも図ることができるので、両者を併せて、電磁式回転伝動装置のコンパクト化を図ることができる。
【0081】また、請求項4に係る電磁式回転伝動装置は、回転駆動される駆動体と、これと同心に配される被伝動体とを具備し、これらの一側に、他側に向けて拡径するテーパ内面を設け、その他側に、テーパ内面に密接可能なテーパ外面を有する摩擦部材を軸線方向に移動自在かつ相対回転不可に取り付け、これらテーパ内面とテーパ外面との距離を変化させる磁着手段を、摩擦部材に軸線方向に相対移動可能かつ摩擦部材の小径側端面に当接可能に配される磁性部材と、その磁性部材と摩擦部材とを当接方向に付勢する付勢手段と、磁性部材を電磁力により内部ロータから離間させる電磁石とから構成し、付勢手段を板バネにより構成したので、テーパ面どうしの堅固な結合によって、回転駆動力の確実な伝達を実施し、かつ、板バネの付勢力により発生する磁性部材と摩擦部材との衝突によってテーパ面どうしの堅固な結合を切り離すことができるという効果を奏する。また、伝達される回転駆動力を低減することなく電磁式回転伝動装置のコンパクト化を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】391007024
【氏名又は名称】株式会社加藤スプリング製作所
【出願日】 平成7年(1995)3月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外2名)
【公開番号】 特開平8−247170
【公開日】 平成8年(1996)9月24日
【出願番号】 特願平7−54806