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【発明の名称】 空気圧作動式摩擦クラッチの制御方法及びその装置
【発明者】 【氏名】イアン リチャード ジョセフ ベイツ

【目的】
【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 シリンダ内に密接かつ摺動可能に収容されて、前記シリンダに対して第1方向へ移動してクラッチを切り離し、前記第1方向とは逆の第2方向へ移動して前記クラッチを連結させる空気圧作動式ピストン(82)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第1方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第1ストップ手段(88)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第2方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第2ストップ手段(90)と、前記室を選択的に加圧及び排気する弁手段(78)と、前記弁手段を作動させる弁アクチュエータと、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を感知する位置センサ(76)と、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を表す信号を含む複数の入力信号を受け取って、それらを所定の論理規則に従って処理することによって、前記弁アクチュエータを含むシステムアクチュエータへコマンド出力信号を送る制御装置(60)とを有し、前記シリンダ及びピストンによって少なくとも1つの選択的に加圧及び排気される室(94)が形成され、前記室の加圧によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の一方へ移動し、また前記室の排気によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の他方へ移動するようになっており、完全連結位置及び完全切り離し位置を備えた対応の摩擦クラッチ(20)の連結及び切り離しを行う、摩擦クラッチアクチュエータアセンブリ(27)を制御する方法であって、(a) 前記クラッチを完全切り離し位置に留まらせ続けながら、前記ピストンを第1ストップ手段(88)から離脱させることができる所定のオフセット距離(112) を定める段階と、(b) 前記クラッチを完全に切り離すコマンド出力信号の発生時に、前記ピストンを、第1ストップ手段から前記第2方向に前記オフセット距離だけずれたオフセット位置(DOP)へ前記シリンダに対して移動させ、そこに留まら せる段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】 ピストンは、第2方向へ常時押し付けられていることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項3】 第1,第2ストップ手段は、シリンダの内部にあることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】 (a)段階は、ピストンを第1ストップ手段に接触させてから、オフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】 さらに、(c) ピストンが第1ストップ手段に接触する時のシリンダに対する前記ピストンの軸方向位置を決定する段階を有しており、 (b)段階は、ピストンを直接的にオフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項6】 シリンダ内に密接かつ摺動可能に収容されて、前記シリンダに対して第1方向へ移動してクラッチを切り離し、前記第1方向とは逆の第2方向へ移動して前記クラッチを連結させる空気圧作動式ピストン(82)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第1方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第1ストップ手段(88)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第2方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第2ストップ手段(90)と、前記室を選択的に加圧及び排気する弁手段(78)と、前記弁手段を作動させる弁アクチュエータと、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を感知する位置センサ(76)と、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を表す信号を含む複数の入力信号を受け取って、それらを所定の論理規則に従って処理することによって、前記弁アクチュエータを含むシステムアクチュエータへコマンド出力信号を送る制御装置(60)とを有し、前記シリンダ及びピストンによって少なくとも1つの選択的に加圧及び排気される室(94)が形成され、前記室の加圧によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の一方へ移動し、また前記室の排気によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の他方へ移動するようになっており、完全連結位置及び完全切り離し位置を備えた対応の摩擦クラッチ(20)の連結及び切り離しを行う、摩擦クラッチアクチュエータアセンブリ(27)を制御する方法であって、(a) 前記クラッチを完全連結位置に留まらせ続けながら、前記ピストンを第2ストップ手段(90)から離脱させることができる所定のオフセット距離(112) を定める段階と、(b) 前記クラッチを完全に連結するコマンド出力信号の発生時に、前記ピストンを、第2ストップ手段から前記第1方向に前記オフセット距離だけずれたオフセット位置(EOP)へ前記シリンダに対して移動させ、そこに留まら せる段階とを有することを特徴とする方法。
【請求項7】 ピストンは、第2方向へ常時押し付けられていることを特徴とする請求項6の方法。
【請求項8】 第1,第2ストップ手段は、シリンダの内部にあることを特徴とする請求項6の方法。
【請求項9】 (b)段階は、ピストンを第2ストップ手段に接触させてから、オフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項6の方法。
【請求項10】 さらに、(c) ピストンが第2ストップ手段に接触する時のシリンダに対するピストンの軸方向位置を決定する段階を有しており、 (b)段階は、ピストンを直接的にオフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項6の方法。
【請求項11】 シリンダ内に密接かつ摺動可能に収容されて、前記シリンダに対して第1方向へ移動してクラッチを切り離し、前記第1方向とは逆の第2方向へ移動して前記クラッチを連結させる空気圧作動式ピストン(82)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第1方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第1ストップ手段(88)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第2方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第2ストップ手段(90)と、前記室を選択的に加圧及び排気する弁手段(78)と、前記弁手段を作動させる弁アクチュエータと、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を感知する位置センサ(76)と、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を表す信号を含む複数の入力信号を受け取って、それらを所定の論理規則に従って処理することによって、前記弁アクチュエータを含むシステムアクチュエータへコマンド出力信号を送る制御装置(60)とを有し、前記シリンダ及びピストンによって少なくとも1つの選択的に加圧及び排気される室(94)が形成され、前記室の加圧によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の一方へ移動し、また前記室の排気によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の他方へ移動するようになっており、完全連結位置及び完全切り離し位置を備えた対応の摩擦クラッチ(20)の連結及び切り離しを行う、摩擦クラッチアクチュエータアセンブリ(27)を制御する装置であって、前記論理規則は、(a) 前記クラッチを完全切り離し位置に留まらせ続けながら、前記ピストンを前記第1ストップ手段(88)から離脱させることができる所定のオフセット距離(112) を定める規則と、(b) 前記クラッチを完全に切り離すコマンド出力信号の発生時に、前記ピストンを第1ストップ手段から前記第2方向に前記オフセット距離だけずれたオフセット位置(DOP)へ前記シリンダに対して移動させ、そこに留まらせ る規則とを有することを特徴とする装置。
【請求項12】 ピストンは、第2方向へ常時押し付けられていることを特徴とする請求項11の装置。
【請求項13】 第1,第2ストップ手段は、シリンダの内部にあることを特徴とする請求項11の装置。
【請求項14】 (b)段階のための論理規則は、ピストンを第1ストップ手段に接触させてから、オフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項11の装置。
【請求項15】 さらに、(c) ピストンが第1ストップ手段に接触する時のシリンダに対するピストンの軸方向位置を決定する論理規則を有しており、(b)段階のための論理規則は、ピストンを直接的にオフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項11の装置。
【請求項16】 シリンダ内に密接状に摺動可能に収容されて、前記シリンダに対して第1方向へ移動してクラッチを切り離し、前記第1方向とは逆の第2方向へ移動して前記クラッチを連結させる空気圧作動式ピストン(82)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第1方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第1ストップ手段(88)と、前記シリンダに対するピストン(82)の前記第2方向への移動を制限するためにピストン(82)に係合可能な第2ストップ手段(90)と、前記室を選択的に加圧及び排気する弁手段(78)と、前記弁手段を作動させる弁アクチュエータと、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を感知する位置センサ(76)と、前記シリンダに対する前記ピストンの位置を表す信号を含む複数の入力信号を受け取って、それらを所定の論理規則に従って処理することによって、前記弁アクチュエータを含むシステムアクチュエータへコマンド出力信号を送る制御装置(60)とを有し、前記シリンダ及びピストンによって少なくとも1つの選択的に加圧及び排気される室(94)が形成され、前記室の加圧によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の一方へ移動し、また前記室の排気によって前記ピストンが前記シリンダに対して前記方向の他方へ移動するようになっており、完全連結位置及び完全切り離し位置を備えた対応の摩擦クラッチ(20)の連結及び切り離しを行う、摩擦クラッチアクチュエータアセンブリ(27)を制御する装置であって、前記論理規則は、(a) 前記クラッチを完全連結位置に留まらせ続けながら、前記ピストンを第2ストップ手段(90)から離脱させることができる所定のオフセット距離(112) を定める規則と、(b) 前記クラッチを完全に連結するコマンド出力信号の発生時に、前記ピストンを第2ストップ手段から前記第1方向に前記オフセット距離だけずれたオフセット位置(EOP)へ前記シリンダに対して移動させ、そこに留まらせ る規則とを有することを特徴とする装置。
【請求項17】 ピストンは、第2方向へ常時押し付けられていることを特徴とする請求項16の装置。
【請求項18】 第1,第2ストップ手段は、シリンダの内部にあることを特徴とする請求項16の装置。
【請求項19】 (b)段階のための論理規則は、ピストンを第2ストップ手段に接触させてから、オフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項16の装置。
【請求項20】 さらに、(c) ピストンが第2ストップ手段に接触する時のシリンダに対するピストンの軸方向位置を決定する論理規則を有しており、(b)段階のための論理規則は、前記ピストンを直接的にオフセット位置へ移動させ、そこに留まらせることを特徴とする請求項16の装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用マスター摩擦クラッチ用の制御方法および制御装置、特に空気圧作動式車両用マスター摩擦クラッチを自動的に制御するための制御方法及び制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両用マスター摩擦クラッチを制御するための制御装置及び制御方法、及び自動制御形マスター摩擦クラッチを用いた車両用自動機械式変速装置は従来より公知であり、例えば、米国特許第4,081,065 号、第4,361,060 号、第4,595,986 号、第4,648,290 号、第4,712,658 号、第5,275,267 号、第5,377,979 号及び第5,337,874 号に記載されており、これらの開示内容は参考文献として本説明に含まれる。
【0003】空気圧作動式マスタークラッチ用の従来型制御装置では、クラッチアクチュエータピストンが一般的に完全連結位置及び完全切り離し位置の両方またはいずれか一方でストップ部材に釘付け状態となる結果、空気圧ガスの圧縮性のために作動シリンダ内の圧力状態が過剰に高くなるか低くなることが多く、ピストンを別の位置へ移動させる時、それに打ち勝つためにある程度の時間が必要で、そのためにアクチュエータの応答性が低下することから、従来のものでは完全には満足できなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的は、空気圧作動式車両用マスター摩擦クラッチにおけるアクチュエータの応答性を向上させた制御方法及び制御装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、特許請求の範囲に記載の構成を有しており、ピストンがシリンダ内を第1方向へ移動してクラッチを連結し、第2方向へ移動してクラッチを切り離すことができ、両方向の行程を第1,第2ストップ手段によって制限して、同様な従来型制御装置よりも応答性を向上させる形式の空気圧作動式車両用マスター摩擦クラッチ用の制御方法及び制御装置を構成する。この構成により従来装置の欠点が最小限に抑えられるか、解決される。
【0006】これは、ピストン位置センサを準備し、ストップ手段と係合する時のピストン位置を決定してから、ピストンによってマスタークラッチの完全連結または完全切り離しを行う時、ピストンがストップ手段と係合する位置から最小量だけずれた位置にピストンを移動させて、(好ましくは閉ループ形制御によって)そこに留まることを命令することによって達成される。あるいは、ピストンをストップ手段係合位置まで移動させてから、最小限ずれた位置へ戻してそこに保持することもできる。その後、クラッチ状態の変化が必要になった時、ピストンを所望方向へ移動させる前に、クラッチアクチュエータが余分な圧力を逃がしたり、不十分な圧力を上昇させる必要がなく、それによって制御の応答性を向上させることができる。
【0007】本発明の上記及び他の目的及び利点は、添付の図面を参照した好適な実施例の詳細な説明を読めば、明らかになるであろう。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の自動クラッチ制御を含む重量形トラック等の重量形自動車の駆動系統が図1に概略的に示されている。典型的な駆動系統は、ディーゼルエンジン等の燃料スロットル制御形エンジンと、それの燃料供給を制御するスロットル制御部12とを備えている。エンジン10は、クランク軸または出力軸15にトルクを与え、それの回転速度がエンジン速度センサ13によって感知される。
【0009】車両マスター摩擦クラッチ20は、エンジン出力軸15によって駆動される固定プレート21と、固定プレート21に対して軸方向に移動して、完全または部分連結する可動プレート23とを備えている。図1は、固定及び可動プレートを一対だけ示しているが、クラッチ20にそのようなプレートを複数対設けることができることは、当業者には理解されるであろう。
【0010】クラッチアクチュエータアセンブリが設けられて、可動プレート23と連動して、クラッチ20を切り離し状態から部分連結状態へ、さらに完全連結状態へ操作する。図示のように、クラッチアクチュエータは空気圧作動式であり、供給源28から調整ろ過空気等の加圧ガスが供給される。供給源28は、重量形トラックの搭載形空気コンプレッサにすることができ、それは車両ブレーキ系統及びその他の、変速機アクチュエータ等の様々なアクチュエータへも作動流体を送る。
【0011】図示のように、マスター摩擦クラッチ20の可動プレート23は、多段速度変速機30の入力軸25に回転可能に取り付けられている。入力軸25の回転速度は、入力軸速度センサ31によって感知される。
【0012】変速機30は、好ましくは米国特許第4,735,109 号または第4,754,665 号に記載されている形式の多段速度機械式変速機であり、これらの特許の開示内容は参考文献として本説明に含まれる。変速機30のシフト動作を制御するために変速機シフトアクチュエータ33が設けられており、これは米国特許第4,873,881 号及び第4,899,607 号に記載されている「X−Y」形等の公知の形式にすることができ、これらの特許の開示内容は参考文献として本説明に含まれる。
【0013】変速機30の出力部は出力軸35であって、それの回転速度は、出力軸速度センサ37によって感知される。図示のように、出力軸35は、車軸間ディファレンシャル40に駆動連結することによって、前駆動車軸42及び後駆動車軸43を有するタンデム形駆動車軸アセンブリ41を駆動して、車輪51、52、53及び54を駆動することができる。この形式のタンデム形駆動車軸アセンブリは公知であって、米国特許第4,050,534 号に記載されており、これの開示内容は参考文献として本説明に含まれる。
【0014】マイクロプロセッサを基本とする制御装置ECU60が、様々な入力信号62を受け取って、それらを所定の論理規則に従って処理することによって、スロットル制御部12、クラッチアクチュエータ27及び変速機シフトアクチュエータ33等の様々なシステムアクチュエータまたはコントローラへコマンド出力信号64を送る。ECU60が受け取る入力信号には、エンジン速度センサ13、入力軸速度センサ31及び出力軸速度センサ37からの回転速度信号と共に、スロットル制御部12、クラッチアクチュエータ27及び変速機シフトアクチュエータ33からのフィードバック信号が含まれる。また、手動操作形スロットルペダル66の位置をスロットル位置センサ68が感知し、シフトセレクタレバー70の位置をシフトセレクタセンサ72が感知して、これらの両センサはECU60へ入力信号を送る。ECU60は、上記米国特許第4,595,986 号に記載されている形式のものでよい。
【0015】ECU60は、SAE J1922 、SAE J1936 及びISO 11898 または同様なプロトコルに一致した形式の電子データリンクによって、エンジンECUの制御及びそれとの連通の両方またはいずれか一方を行うことができる。
【0016】マスター摩擦クラッチ20の連結及び切り離しを制御する空気圧作動式のクラッチアクチュエータアセンブリ27が、図2に概略的に示されている。アクチュエータアセンブリ27は、ピストン及びシリンダアセンブリ(弁アクチュエータ)74と、ピストン位置センサ76と、ピストン及びシリンダアセンブリ74の作動を制御する弁アセンブリ(弁手段)78とを備えている。
【0017】ピストン及びシリンダアセンブリ74は、シリンダ80と、その内部に密接かつ摺動可能に収容された空気圧作動式のピストン82とを備えている。ピストン82は、クラッチ解除機構に接続したピストンロッド84と、それに軸方向に固定されてピストン位置センサ76と協働する第2ロッド部材86とを支持している。
【0018】シリンダ80に対する、クラッチ切り離し方向へのピストン82の移動を制限するために第1ストップ手段88が設けられ、また連結方向へのピストン移動を制限するために第2ストップ手段90が設けられている。ピストン82は、弾性圧縮ばね92によって常時連結方向へ押し付けられて、シリンダ80との間に選択的に加圧及び排気可能な室94を形成しており、その室を加圧することによって、ピストン82をクラッチ解除機構内で圧縮ばね92の付勢力に逆らう方向に移動させることができる。室94の加圧及び排気は、空気圧流体供給源28に接続している弁アセンブリ78によって制御される。
【0019】弁アセンブリ78は、二ポート二位置ソレノイド制御形高速連結弁96と、二ポート二位置ソレノイド制御形低速連結弁98とを備えており、これらは共に常時閉じており、また共に開位置において室94を排気して、ばね92がピストンを連結位置へ押し付けることができるようにする。弁アセンブリ78はさらに、常時閉の二ポート二位置ソレノイド制御形低速切り離し弁100 を備えており、これは開放時に供給源28に接続して、室94を加圧する。弁アセンブリ78はまた、三ポート二位置ソレノイド制御形高速切り離し弁102 を備えており、これは常時通気位置へ押し付けられており、開位置へ移動した時、二ポート二位置常時閉高速切り離し弁104 を開いて、室94を急速に加圧する。
【0020】アクチュエータピンとして構成されるピストン82は、面積差ピストンであるため、加圧空気または他の作動ガス供給源28をばね92が入っている室に常時接続して、ばね92をなくすことができる。さらに、第1,第2ストップ手段88,90をシリンダ80の外側及びそれから離れた位置の両方またはいずれか一方に設けることができる。ピストン位置センサ76も、シリンダ80の内部及びそれから離れた位置の両方またはいずれか一方に設けることができ、いずれの公知の構造にすることもできる。
【0021】クラッチ20及びクラッチアクチュエータアセンブリ27の作動特徴が、図4にグラフで示されている。説明上、シリンダ80内のピストン82の変位量が、室94内の圧力変化に対して線形関係にあり、また固定クラッチプレート21に対する可動クラッチプレート23の移動がピストン82の軸方向移動に対して線形関係にあるものとする。図4には、クラッチ20の状態が実線で、ピストン82の位置が点線で示されている。
【0022】図4からわかるように、ピストン82が切り離しストップ部材(第1ストップ手段)88に突き当たる前に、クラッチ20が完全に切り離されるようになり、ピストン82が連結ストップ部材(第2ストップ手段)90に突き当たる前に、クラッチ20が完全に連結されるようになる。例えば、クラッチ20を完全に切り離す時に、ピストン82が切り離しストップ部材88に係合して、係合したままである(点106 で示されている)場合、アクチュエータシリンダ内の圧力が増加し続ける(例えば点108 )。
【0023】その後、クラッチ20の連結を開始する場合、クラッチ20を実際に切り離し始める前に、シリンダ室94内の圧力を点108 から点110 まで逃がす必要がある。このため、点108 から点110 までの圧力の逃がしは、制御にとって不感帯DBであって、完了するために一定の時間が必要で、ECU60からのコマンド出力信号に対してクラッチアクチュエータ27がある程度無応答となる。クラッチ20を完全連結位置に保持する時、ピストン82を連結位置ストップ部材90に係合させてそこに留まらせる時も、同様な状況が発生する。
【0024】本発明の空気圧作動式車両用マスタークラッチのクラッチ制御方法及び制御装置によれば、完全な連結及び切り離し状態のクラッチピストンの位置に関連した不感帯(DB)を最小限に抑えることによって、空気圧式クラッチアクチュエータ27の応答性を向上させる。
【0025】これを達成するため、ピストンが切り離しストップ部材88及び連結ストップ部材90の2つのストップ部材と係合する時のピストンの位置を学習して記憶する。例えば、校正ルーチンにおいて、室94を一定時間にわたって完全に脱気することによって、連結ストップ部材90との係合時のピストン位置を感知し、次に室94を所定時間にわたって加圧してから、切り離しストップ部材88との係合時のピストン位置を感知して記憶する。
【0026】その後、クラッチ20の切り離しが命令された時、ピストン82は、クラッチ20が完全に切り離されたままであるように選択された所定オフセット量(図4に112で示されている)だけ、切り離しストップ88との接触位置からずれた、切り離しオフセット位置(図4のDOP)と呼ばれる位置を取るように命令される。ピストン82がこの位置に移動してそれを維持することによって、不感帯(図4のDB)の幅が小さくなり、従ってクラッチアクチュエータ27の応答性が向上する。
【0027】同様に(図4を参照)、クラッチを完全に連結させる時、ピストン22は連結ストップ部材90との係合位置からEOP(連結オフセット位置)まで所定のオフセット量だけずれた位置に維持され、これによってクラッチアクチュエータ27の応答性を向上させるという同様な結果が得られる。
【0028】シリンダ80内のピストン82のオフセット位置DOPが、図3に説明のために誇張して示されている。
【0029】本発明の変更例として、クラッチを完全切り離し位置に入れる時、ピストン82をストップ部材88に接触するまで切り離し方向に移動させてストップ部材88に接触した後、ピストン82をわずかに、すなわちオフセット量112 だけ連結方向に切り離しオフセット位置へ移動させる。
【0030】上記の本発明における制御が、図5にフローチャートで示されている。
【0031】以上に本発明をある程度詳細に説明してきたが、発明の精神の範囲内において様々な変更を加えることができることを理解されたい。
【出願人】 【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
【住所又は居所原語表記】Eaton Center,Cleveland,Ohio 44114,U.S.A.
【出願日】 平成8年(1996)2月16日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫 (外2名)
【公開番号】 特開平8−247169
【公開日】 平成8年(1996)9月24日
【出願番号】 特願平8−54038