| 【発明の名称】 |
超高速円筒ころ軸受 |
| 【発明者】 |
【氏名】真弓 透
【氏名】石川 浩二
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| 【目的】 |
本発明は、超高速で回転する回転軸を支持するための超高速円筒ころ軸受に関する。従来の軸受は、転動体(ころ)のスキッドを防止するため、転動体の公転する内、外輪の軌道面の一部分を非真円にして、転動体に局部的な予圧をかけるようにしていた。このため、dN値の大きい回転軸を支持する軸受では、振動が大きくなるとともに、軸受寿命が短くなるという不具合があった。 |
| 【構成】 |
本発明は内、外輪の軌道面を略真円で形成するとともに、潤滑油供給のためのノズルが、同一位相をなして内輪の内径面から転動体の両端部に向けて、内輪を貫通させて設けた。これにより、転動体に局部的にかかる予圧による振動がなくなるとともに、軸受の寿命を長くすることができる。さらに、ノズルから噴出する潤滑油の回転方向の速度成分により、転動体を公転方向に駆動するのでスキッドが防止できるとともに、同一位相からの同量の潤滑油で転動体を駆動するので、スキュウを防止することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高速回転する軸の外周に固着された内輪、前記軸の支持台に固着された外輪、および前記内輪の軌道面と前記外輪の軌道面の間に介装され相対位置が保持器により規制されて転動する円筒状の転動体からなり、前記軸を支持する超高速円筒ころ軸受において、前記内輪の軌道面、および前記外輪の軌道面が略真円で形成されるとともに、前記転動体の前端部、および後端部のそれぞれに潤滑油を供給するノズルが略同一位相の前記内輪の内径面から軌道面、若しくは前記転動体の端面部に貫通して設けられていることを特徴とする超高速円筒ころ軸受。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は航空機、若しくは発電設備等に使用されるガスジェネレータ高速軸、又は工作機械主軸等、超高速で回転する軸の支持部に使用される超高速円筒ころ軸受に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、使用されている超高速回転軸を支持する超高速円筒ころ軸受を図3〜図5に示す。図4に示すものは、軸受を組込んだ状態において、外輪01の軌道面をバイローブ形状にしたもの、図5に示すものは、トライローブ形状にしたものである。これらの図に示すように、外輪01又は内輪04の、何れかの軌道面を非真円形にすることにより、保持器03により、相対的な位置が規制されて、外輪01の軌道面と内輪04の軌道面の間に介装された転動体02は、これらの軌道面に対するスキッディングを制御しながら自転するとともに、内輪04の軌道面まわりを公転する。 【0003】また、内輪04を固定する回転軸05に突設した鍔部06の一側には、内輪04を介装してスクープ09が固着されている。このスクープ09は、回転軸05の外周面上に配設された給油ノズル07から噴出する給油08を受ける。また、スクープ09の内径面には、このスクープ09開口に連通して、油路011が回転軸05の軸心と平行に穿設されている。内輪04の内径面と鍔部06の外周面との間には、一端が油路011に連結され、断面積を該連結部から内方向に向けて拡大させた、潤滑油通過溝010が形成されている。さらに、内輪04には、内輪04の軌道面上を転動する転動体02の前端側、および後端側の、それぞれに開口する前端側ノズル012、および後端側ノズル013が径方向に貫通して設けられている。前端側ノズル012と後端側ノズル013とは、互に90°の位相差が設けられて内輪04の軌道面に開口し、周方向に各々2個設けられている。 【0004】従って、スクープ09で受けた給油08は油路011を通り、潤滑油通過溝010、前端側ノズル012、および後端側ノズル013を通って、内輪04の軌道面の90°位相の異る転動体02の前端側、および後端側へ吐出し、転動体02の接触面と、内輪04および外輪01の軌道面との間に、油膜を形成し潤滑を行う。 【0005】このような、超高速円筒ころ軸受で回転軸05を支持した場合、回転軸05の回転に伴い内輪04の軌道面上を転動する転動体02は、非真円度を誇張して示した、図4,図5に示すように、内輪04の軌道面と外輪01の軌道面が接近した位置にある転動体02では予圧の状態となり、この予圧の与えられた部分では内、外輪軌道面と転動体間の接触面圧が大きくなる。このため、転動体02は、スキッディングが制御され、内輪04および外輪01の軌道面の間を転動するとともに、回転軸05の回転速度と一定比率の速度で、内輪04の軌道面まわりを公転する。 【0006】しかし、回転軸05の回転速度が大きくなると、転動体02への遠心力の影響も加わり、転動体02の予圧部分の接触面圧が高くなりすぎ、耐久性に不具合が生じる。すなわち、図2は、図4に示すバイローブ形状の軸受の外輪軌道面非真円度と、軸受計算寿命を示す図であるが、この図に示されるように、d・N値が一定のときの軸受計算寿命は、外輪軌道面非真円度の増加につれて低下する。但し、dは回転軸05の直径(m/m)、Nは回転軸05の1分間当りの回転数(rpm)である。また、転動体02が局部的に接触面圧を大きくするようにした予圧部分を通過することにより、この部分で振動を発生するが、この振動は回転速度の増加とともに大きくなるという不具合もある。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】このため、本発明は上述した従来の軸受の不具合を解消し、高速になっても、寿命を飛躍的に長くできるとともに、転動体の振動を小さく抑えることのできる超高速円筒ころ軸受を提供することを課題とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】このため、本発明の超高速円筒ころ軸受は、次の手段とした。 (1)転動体を介装する内輪の軌道面、および外輪の軌道面を略真円形状で形成した。 (2)転動体の前端部、および後端部に潤滑油をそれぞれ供給するノズルを内輪の略同一位相角位置に、内輪の内径面から内輪の軌道面、若しくは転動体の端面部へ貫通して設けた。 【0009】 【作用】本発明の超高速円筒ころ軸受は上述の手段により、(1)転動体に、局部的な予圧がかからない、すなわち局部的に接触面圧が大きくならないため、支持する軸が超高速で回転しても、転動体若しくは内、外輪の軌道面を損傷することがなくなり、軸受を長寿命化できる。また、転動体が局部的な予圧部分を通過することによる振動がなくなり、軸受の振動を低減できる。 (2)また、内輪および外輪の軌道面を略真円にすることにより、従来、転動体と軌道面との間に生じていたスキッディングは、内輪の軌道面、若しくは転動体の端面部のノズルから供給され、内輪の軌道面まわりの、いわゆる、公転方向の速度成分が発生した潤滑油により、転動体が公転方向に駆動されるので発生しなくなる。さらに、潤滑油は転動体の前端部、および後端部の略同一位相角に設けた、それぞれのノズルから同時に、同量供給されるので、転動体の前端部および後端部の公転速度を一致させることができ、転動体のスキュウ発生を防止できる。また、潤滑油の供給量を調整することにより、転動体の公転速度をスキッド損傷が生じさせない、適切な速度に設定することもできる。 【0010】 【実施例】以下、本発明の超高速円筒ころ軸受の実施例を図面にもとづき説明する。図1は、本発明の超高速円筒ころ軸受の一実施例を示す図面であって、図1(A)は側断面図、図1(B)は図1(A)の矢視A−A断面図である。 【0011】図に示すように、回転軸5に設けた鍔部51外周面に、その内径面を嵌合して内輪4が設置されている。また、内輪4の外側には、内輪4の外径面を略真円にして形成された軌道面22と間隔をあけて設けられ、略真円に形成された軌道面21を内径面に具える外輪1が設けられている。内輪4の軌道面22と外輪1の軌道面21との間には、その接触面との間にラジアルすき間を設けて、円筒形状の転動体2が介装されている。転動体2は周方向に等ピッチに12個配設されており、隣接する転動体2同志の間隔は保持器3に規制されて、内、外輪4、1の軌道面22,21を自転するとともに、軌道面22,21の間を公転する。 【0012】内輪4の内径面12には、回転軸5の鍔部51外周面との間に潤滑油を通過させるための潤滑油通過溝8が90°間隔で形成されている。潤滑油通過溝8は、内輪4の軸方向中央に向けて、両側部から断面積が拡大するように形成され、中央部で最大の断面積になるようにしている。また、内輪4には、内輪4の軌道面22に介装された転動体2の両端部に、それぞれ一端が開口し、他端が内径面に設けた潤滑油通過溝8に開口する、ノズル9が径方向に穿設されている。転動体2の両端部に開口する、それぞれのノズル9は略同一の位相角、すなわち、周方向の略同一角度位置に設けられている。 【0013】また、回転軸5の鍔部51に嵌装された内輪4の両側部には、スクープ10が鍔部51外周面に固着され、設けられている。鍔部51外周面に当接するスクープ10の内径面には、溝が設けられており、鍔部51の外径面との間に、潤滑油通過溝8と連通させた油路7を形成している。また、スクープ10の両側開口に向けて噴射口が設けられた給油管6が設置されている。 【0014】本実施例は、上述の構成により、図示しない支持台に固着された外輪1、回転軸5の鍔部51の外周面に嵌合された内輪4、および外輪1の軌道面21と内輪5の軌道面22の間を転動しつつ公転する転動体2、とから構成される円筒ころ軸受に支持され、回転軸5は軸受のdN値220万以上の超高速で回転する。内輪4の両側部に設けられた、スクープ10の両側開口に向けられた、給油管6の噴出口から噴射された潤滑油は油路7を通って、同時に同量の潤滑油が両側から潤滑油通路溝8に流入する。潤滑油通路溝8に流入した潤滑油は、回転軸5とともに、回転する内輪4に働く遠心力により加速されて、ノズル9を通って内輪4の軌道面22より噴射される。 【0015】内輪4の軌道面22より噴射された潤滑油は、径方向の速度成分を持ち、転動体2の外周面と内輪4、および外輪1の軌道面21,22の間に流入し、接触面を潤滑するとともに、周方向の速度成分が転動体2に作用して、転動体2に公転速度を発生させる。これにより、転動体2の外周面と外輪1、および内輪4の略真円にされた軌道面21,22との間に、ラジアルすき間を設け、転動体2に、予圧された部分、すなわち接触面圧の大きくなる部分を設けなくても、転動体2は回転軸5の回転速度と一定比率の速度で公転する。また、ノズル9から供給される潤滑油量を調整することにより、転動体2の公転速度を制御できる。これにより、スキッド損傷を生じない適切な転動体2の公転速度に設定することもできる。 【0016】また、内輪4および外輪1の軌道面22,21を略真円にして、転動体2の接触面との間にラジアルすき間を設けて、転動体2の接触面圧が大きくなる部分がなくなることは、特に回転速度の上昇とともに大きくなる、軸受における振動の発生を防止できるとともに、軸受の寿命を長くすることができる。 【0017】すなわち、図2は略真円の軌道面を持つ内輪と、非真円度を種々変えた軌道面を持つ外輪とを具える軸受の計算寿命を示す図であるが、外輪軌道面の非真円度が小さくなるにつれて、軸受の寿命が長くなることが示されている。特に、非真円度80μm程度以下であれば、真円のものと同程度の耐久性が期待できることが示されている。 【0018】また、ノズル9の軌道面22への開口の位相角が、転動体2の両端部に開口する2つのノズル9で略同一になるようにしているので、転動体2の両端部に、同時に、同量の潤滑油が噴出し、転動体2の両端部の潤滑油から受ける公転方向の力は同じになり、転動体2両端部の公転速度は同一となり、転動体2が斜行して起るスキュウ現象の発生を防止できる。 【0019】なお、上記実施例では、ノズル9を転動体2の両端部に開口する2個設けたものを示したが、転動体2の中央の内輪4軌道面22に開口する第3のノズルを設けるようにしても良い。これにより、転動体2を公転方向に駆動する駆動力を増加させることができるとともに、転動体2に作用するノズル9の駆動力を良好にバランスさせることができ、スキュウの発生をより一層防止できる。 【0020】 【発明の効果】以上、説明したように、本発明の超高速円筒ころ軸受によれば、特許請求の範囲に示す構成により次の効果が得られる。 (1)局部的な予圧がかからない為、内、外輪と転動体間の局部的な接触面圧が大きくなることがない。この結果、支持を行う回転軸が超高速で回転しても、転動体、若しくは内、外輪の軌道面を損傷することがなくなり、軸受を長寿命化できる。また、局部的な予圧により発生していた振動がなくなり、振動を低減できる。 (2)また、内輪および外輪の軌道面を略真円にすることにより、従来、生じていたスキッディングは、転動体の両端部の内輪軌道面、若しくは転動体の端面部のノズルから供給され、内輪の軌道面まわりの、いわゆる公転方向の速度成分が発生した潤滑油により、転動体が公転方向に駆動されるので発生しなくなる。 (3)さらに、潤滑油は転動体の前端部、および後端部の略同一位相に設けた、それぞれのノズルから同時に、同量供給されるので、転動体の前端部、および後端部の公転速度を一致させることができ、転動体のスキュウ発生を防止できる。また、潤滑油の供給量を調整することにより、転動体の公転速度をスキッド損傷が生じない適切な速度に設定することもできる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】594012069 【氏名又は名称】株式会社先進材料利用ガスジェネレータ研究所
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| 【出願日】 |
平成6年(1994)6月16日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】坂間 暁 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開平8−4775 |
| 【公開日】 |
平成8年(1996)1月9日 |
| 【出願番号】 |
特願平6−134265 |
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