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【発明の名称】 木材チップの再生方法
【発明者】 【氏名】稲井 俊実

【目的】 乾式法により、木材チップ中に混在する異物を効率良く除去することの出来る木材チップの再生方法を提供することを目的とする。
【構成】 篩孔の面積が1〜100mm2 である振動篩により小サイズの異物を除去した木材チップを、低壁面1に多数の空気孔2が穿孔され、上方に木材チップ3より比重の大きい異物4を振動により排出し得る開閉機構付き排出口5を有する傾斜したデッキ6を備えた比重選別機に供給して、上記比重の大きい異物4を振動により排出口5から排出すると共に、木材チップ3を空気孔2からの気流aにより浮遊させて下方に送り、排出機構を備えた金属検知機に供給して、検知された金属類を除去することを特徴とする木材チップの再生方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 篩孔の面積が1〜100mm2 である振動篩により小サイズの異物を除去した木材チップを、底壁面に多数の空気孔が穿孔され、上方に木材チップより比重の大きい異物を振動により排出し得る開閉機構付き排出口を有する傾斜したデッキを備えた比重選別機に供給して、上記比重の大きい異物を振動により排出口から排出すると共に、木材チップを空気孔からの気流により浮遊させて下方に送り、排出機構を備えた金属検知機に供給して、検知された金属類を除去することを特徴とする木材チップの再生方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パーチクルボード、木片セメント板、製紙等用として好適な木材チップの再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、建物解体材や梱包材等から得られる木材チップには、釘、ホッチキス、無機建材片、ガラス片、木材の節等の異物(以下、単に「異物」と記す)が含まれている。一方、木材チップの主用途は、パーチクルボード、木片セメント板、製紙等であるが、これらの用途に用いられる時、木材チップはフレーカー等で繊維状に加工されるので、上記異物が含まれていると、フレーカー等の刃が欠けて繊維状に加工することが困難となったり、得られる製品中に異物が残存して製品の品質を低下させる等の問題点がある。
【0003】上記問題点に対応するため、従来、木材チップから異物を除去する方法として、水で木材チップを洗浄して異物を沈殿させ除去する方法、磁選機を用いて磁力で異物を除去する方法、及び、これらを組み合わせて異物を除去する方法等が一般的に行われている〔「木くずチップ工場の現状と問題点」,日本住宅材料技術センター報,11号,P25〜27(1992年)〕。
【0004】しかし、上記前者の除去方法の場合、比重が1以下の木材の節は除去し難いという問題点や、洗浄に用いられた水は木材チップ中から溶出した防腐剤、リグニン等の有機物や泥等を含むため、そのまま排水することは好ましくないが、排水処理を行えばコスト高となる等の問題点がある。
【0005】又、上記後者の除去方法の場合、鉄は除去出来るが、銅、アルミ、ステンレス等の非鉄金属、ガラス等の無機系素材、木材チップに付着した金属等は除去出来ないという問題点があり、上記二つの方法を組み合わせた除去方法もそれぞれ単独の除去方法の場合と同様の問題点が残る。さらに、異物を充分除去するために洗浄除去等を繰り返すと、再生された木材チップの回収率が低下するという問題点もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の問題点を解決するため、乾式法により、木材チップ中に混在する異物を効率良く除去することの出来る木材チップの再生方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明による木材チップの再生方法は、篩孔の面積が1〜100mm2 である振動篩により小サイズの異物を除去した木材チップを、底壁面に多数の空気孔が穿孔され、上方に木材チップより比重の大きい異物を振動により排出し得る開閉機構付き排出口を有する傾斜したデッキを備えた比重選別機に供給して、上記比重の大きい異物を振動により排出口から排出すると共に、木材チップを空気孔からの気流により浮遊させて下方に送り、排出機構を備えた金属検知機に供給して、検知された金属類を除去することを特徴とし、そのことにより上記目的が達成される。
【0008】本発明による木材チップの再生方法の工程は以下のフローシートで示される。
【0009】

【0010】本発明による木材チップの再生方法に用いられる木材チップとしては、特に限定されるものではないが、家屋解体材、型枠、木枠、コンパネ、パレット、製材後の端材等から得られる廃木材をハンマークラッシャーやハンマーシュレッダー等の破砕機でチップ化した木材チップ等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0011】上記木材チップの大きさは、特に限定されるものではないが、通常5〜100mm程度に加工されたものであることが好ましいが、200mm程度のストランド状に加工されたものであっても良い。
【0012】本発明においては、木材チップ中に混在する砂、金属粉、建材屑等の小サイズの異物を除去するために振動篩が用いられる。振動篩を用いないと、次工程で用いられる比重選別機のデッキ低壁面に穿孔された多数の空気孔から小サイズの異物が比重選別機中に落下し、送風のためのファン等を損傷するので好ましくない。
【0013】本発明においては、上記振動篩の篩孔の面積が1〜100mm2 であることが必要である。上記振動篩の篩孔の面積が1mm2 未満であると、目詰まりを生じ易くなり小サイズの異物を充分除去出来ず、逆に100mm2 を超えると、木材チップの1部も除去され再生木材チップの回収率が低下する。
【0014】又、上記振動篩の振動数は、特に限定されるものではないが、100〜1000rpmであることが好ましい。振動篩の振動数が100rpm未満であると、振動篩に付着した小サイズの異物を充分除去出来ず、逆に1000rpmを超えると、小サイズの異物の除去効果はもはや向上しないにもかかわらず、振動篩の耐久性が低下する。
【0015】さらに、上記振動篩の篩面は水平であっても良いし、傾斜していても良い。
【0016】本発明においては、上記振動篩で小サイズの異物を除去された木材チップから石、釘、木材の節等の木材チップより比重の大きい異物を除去するために比重選別機が用いられる。
【0017】本発明においては、上記比重選別機は、図1に示されるように、低壁面1に多数の空気孔2が穿孔され、上方に木材チップ3より比重の大きい異物4を振動により排出し得る開閉機構付き排出口5を有する傾斜したデッキ6を備えていることが必要である。
【0018】前記振動篩により小サイズの異物を除去された木材チップ3はフィーダー7から比重選別機の傾斜したデッキ6上に供給される。この時、木材チップ3は比重選別機に設けられたシロッコファン等のファン8から空気孔2を介して送られている気流aにより浮遊した状態で下方に送られ、次工程の金属検知機に供給される。又、デッキ6上に沈んだ石、釘、木材の節等の木材チップ3より比重の大きい異物4は、振動装置9により上方部方向に向かって楕円状に振動しているデッキ6の上方に送られ、デッキ6上方部に設けられた開閉機構付き排出口5から排出される。さらに、木材チップ3中に残存する小サイズの異物は比重選別機の空気孔2から落下し、比重選別機の底部に備えられた回収容器10により回収除去される。
【0019】上記比重選別機の傾斜したデッキ6の傾斜角度は、木材チップ3や異物4の量、デッキ6の長さ等に応じて適宜設定されれば良く、特に限定されるものではないが、0.1〜30度であることが好ましく、なかでも5〜15度であることがより好ましい。上記デッキ6の傾斜角度が0.1度未満であると、木材チップ3を下方に送るのに長時間を要し、逆に30度を超えると、木材チップ3や異物4が下方に速くずり落ちるので分別効率が悪くなる。
【0020】又、上記デッキ6の振動数は、特に限定されるものではないが、100〜1000rpmであることが好ましい。デッキ6の振動数が100rpm未満であると、異物4を上方に送るのに長時間を要し、逆に1000rpmを超えると、異物4の送り速度はもはや向上しないにもかかわらず、デッキ6の耐久性が低下する。
【0021】さらに、デッキ6上方部に設けられた開閉機構付き排出口5の開閉頻度は、木材チップ3の処理量、異物4の量や嵩等に応じて適宜設定されれば良く、特に限定されるものではない。木材チップ3の処理量や異物4の量が少なかったり、異物4の嵩が小さい場合には、1日に1回程度の開閉でも良いが、木材チップ3の処理量や異物4の量が多かったり、異物4の嵩が大きい場合には、運転中に一定の頻度で定期的に開閉して異物4を除去することが好ましい。
【0022】本発明においては、前記振動篩により小サイズの異物を除去され、上記比重選別機により木材チップより比重の大きい異物を除去された木材チップから木材チップに付着した釘やホッチキス針等の金属類を除去するために排出機構を備えた金属検知機が用いられる。
【0023】上記金属検知機の種類は、特に限定されるものではないが、磁場による検知機構を備えているものが好ましく、又、ダンパー等の排出機構を備えていることが必要である。
【0024】上記金属検知機のベルト速度は、特に限定されるものではないが、5〜50m/分であることが好ましく、なかでも25〜35m/分であることがより好ましい。金属検知機のベルト速度が5m/分未満であったり、逆に50m/分を超えると、金属検知機の検知能力が低下する。金属検知機の運転にあたっては、鉄、非鉄金属、木材チップに付着した金属等の金属類を用いて予備試験を行い、上記ベルト速度を予め設定しておくことが好ましい。
【0025】上記金属検知機により検知された金属類はダンパー等の排出機構から排出除去される。
【0026】本発明においては、木材チップの処理量、木材チップ中の異物の量や嵩に対応して、振動篩、比重選別機及び金属検知機の1種もしくは2種以上が1台もしくは2台以上用いられても良いし、又、同一の木材チップを上述の工程で1回もしくは2回以上処理しても良い。さらに、木材チップとして、水洗、磁選、あるいはその他の方法で予め異物の一部が除去された木材チップが用いられても良い。
【0027】上述の工程を経て異物が除去された木材チップは、再生木材チップとして回収され、フレーカー等で繊維状に加工された後、パーチクルボード、木片セメント板、製紙等の原料として好適に用いられる。
【0028】
【作用】本発明の木材チップの再生方法によれば、振動篩、比重選別機及び金属検知機を用いて、木材チップ中に混在する小サイズの異物、木材チップより比重の大きい異物及び金属類を順次除去するので、水や磁力を用いることなく、乾式法で効率的に木材チップの再生を行うことが出来る。
【0029】
【実施例】本発明をさらに詳しく説明するため、以下に実施例をあげる。
【0030】(実施例1)
【0031】(1)木材チップ試料の作製表1に示すように、製材工場の端材から得られた木材チップ(製紙用、渡辺チップ社製)100kgに対し、下表に示す種類及び量のモデル異物を予め混合して、木材チップ試料を作製した。尚、各モデル異物は、家屋解体材、梱包材等から実際に得られたものを用いた。
【0032】

【0033】(2)再生処理上記で得られた木材チップ試料を、下表に示す設備に順次供給し、下表に示す運転条件等で運転して異物を順次除去し、木材チップ試料の再生を行った。尚、再生処理速度は150kg/時間で行った。
【0034】

【0035】(3)評価上記再生処理の終了後、振動篩、比重選別機及び金属検知機のそれぞれで除去された種類別異物と木材チップを計量すると共に、回収された再生木材チップの量を計量した。その結果は表2に示すとおりであった。
【0036】(実施例2)
【0037】木材チップ試料の作製において、表1に示すように、木材チップ100kgに対する各モデル異物の混合量を半分としたこと以外は実施例1と同様にして、木材チップ試料の作製及び再生処理を行った。
【0038】(実施例3)
【0039】木材チップ試料の作製において、表1に示すように、木材チップ100kgに対する各モデル異物の混合量を半分とし、再生処理において、比重選別機の排出口の開閉を1回/10分の頻度で定期的に行ったこと以外は実施例1と同様にして、木材チップ試料の作製及び再生処理を行った。
【0040】(比較例1)
【0041】実施例1と同様の木材チップ試料を用い、再生処理において、振動篩を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、再生処理を行った。
【0042】(比較例2)
【0043】実施例1と同様の木材チップ試料を用い、再生処理において、比重選別機を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、再生処理を行った。
【0044】(比較例3)
【0045】実施例1と同様の木材チップ試料を用い、再生処理において、篩孔の面積が120mm2 (4mm×30mm)の振動篩を用いたこと以外は実施例1と同様にして、再生処理を行った。
【0046】実施例2〜3及び比較例1〜3の再生処理終了後、実施例1と同様の評価を行った結果は表2に示すとおりであった。
【0047】
【表1】

【0048】
【表2】

【0049】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の木材チップの再生方法によれば、乾式法で効率的に木材チップの再生を行うことが出来る。又、得られた再生木材チップは、パーチクルボード、木片セメント板、製紙等の原料として好適に用いられる。
【0050】
【出願人】 【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
【出願日】 平成7年(1995)2月17日
【代理人】
【公開番号】 特開平8−216120
【公開日】 平成8年(1996)8月27日
【出願番号】 特願平7−29242