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【発明の名称】 絶縁ワニス乾燥硬化装置
【発明者】 【氏名】和田 光昭

【目的】 乾燥硬化炉内で被処理物から落下し硬化した絶縁ワニスを、安全にかつ効率良く炉外へ取出し除去することができる絶縁ワニスの乾燥硬化装置を提供する。
【構成】 本発明では、乾燥硬化炉10内に配設されたハンガーチェーン11に、絶縁ワニスが含浸された被処理物12を搭載する複数のハンガー13が、一定の間隔で吊下げ固定され、連続的または断続的に水平方向に搬送されるようになっている。また、このハンガー13の搬送路に沿ってその下方に、フッ素樹脂製のエンドレスベルト16を備えたベルトコンベア17が、入口部14から下り傾斜となるように配設されている。そして、被処理物12から落下する絶縁ワニス19が全てエンドレスベルト16上に落下して硬化し、このエンドレスベルト16を駆動走行させることで、ワニス硬化物21を取出し除去できるようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 加熱手段を備えた乾燥硬化炉内を水平方向に走行する長尺搬送体に、絶縁ワニスが含浸された被処理物を保持する複数のハンガーを、それぞれ所定の間隔をおいて吊下げ固定した絶縁ワニス乾燥硬化装置において、前記ハンガーの搬送路に沿ってその下方に、少なくとも主面が離型性の良好な材料から構成されたエンドレスベルトを、走行自在に配設してなることを特徴とする絶縁ワニス乾燥硬化装置。
【請求項2】 前記離型性の良好な材料が、フッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の絶縁ワニス乾燥硬化装置。
【請求項3】 前記エンドレスベルトを、前記乾燥硬化炉の入口部から前記ハンガーの搬送方向に向って下り傾斜となるように配設したことを特徴とする請求項1または2記載の絶縁ワニス乾燥硬化装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、絶縁ワニス乾燥硬化装置に係わり、特に乾燥硬化炉内で被処理物から落下し硬化した絶縁ワニスを、炉外へ容易に取出し除去することができるようにした乾燥硬化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電動機、発電機等の固定子コイル(ステーターコイル)やトランス等の電気機器部品の絶縁処理方法として、被処理物を低粘度の絶縁ワニス中に浸漬して含浸させるディップ方式が採られているが、近年、含浸、硬化等の工程を全て自動で連続的に行なう連続含浸処理方法が主流となっている。
【0003】このような絶縁ワニスの連続含浸処理方法に用いる乾燥硬化装置を、図2に示す。この装置は、加熱手段を備えた乾燥硬化炉1内に水平方向に走行するハンガーチェーン2を配設するとともに、このハンガーチェーン2に、ステーターコイル等の被処理物3を搭載する複数のハンガー4を所定の間隔をおいて吊下げ固定して成り、被処理物3をハンガー4およびハンガーチェーン2により、乾燥硬化炉1内を連続的にまたは断続的に移動させるように構成されている。
【0004】またこのような乾燥硬化装置では、従来から、ハンガー4の移動搬送路の下方の床面1aに複数個に分割された受け皿5を並置し、被処理物3から落下する絶縁ワニス6を受け皿5に受け溜めることが行なわれている。
【0005】すなわち、被処理物3に含浸された絶縁ワニスは非常に低粘度で滴下しやすく、滴状に落下した絶縁ワニス6は、床面1aに溜まって硬化し次第に滞積する。そして、滞積したワニス硬化物7が一定量を越えると、ハンガ−4等に接触して転倒させる等の不都合が生じていた。そのため、ワニス硬化物7を定期的に炉外へ取出す必要があり、この取出しを容易にするため、ハンガー4の搬送路に沿って乾燥硬化炉1の床面1aに、受け皿5を並置して落下する絶縁ワニス6を受け、滞積したワニス硬化物7を受け皿5ごと炉外へ引出して除去することが行なわれている。
【0006】さらに、このような受け皿5においては、ワニス硬化物7の剥離を容易にするために、全体をポリテトラフルオロエチレンのような離型性に優れた樹脂で構成したり、あるいは金属製受け皿の内周面に離型性の被膜を形成する等の方法が採られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのような従来の絶縁ワニス乾燥硬化装置においては、絶縁ワニス6がハンガ−4の搬送路に沿った下方全体に均等に落下するので、各受け皿5の間や炉の奥部にもワニス硬化物7が滞積し、このワニス硬化物7により隣合った受け皿5が相互に固着してしまう。
【0008】したがって、そのままでは炉の後部に設けられた硬化物取出し扉部8から受け皿5を取出すことが難しく、まず作業者9が狭い乾燥硬化炉1内に入り、ワニス硬化物7で固着した受け皿5を分断する作業を行う必要があるため、稼働率が大幅に低下するという問題があった。すなわち、乾燥硬化炉1内はそのままでは作業者9が立って作業するのが不可能であるため、ハンガー4等を取り外してから、各受け皿5間に固着したワニス硬化物7をハンマ−等でたたき落す作業を行なう必要があり、作業に時間と労力がかかるばかりでなく、作業中装置を長時間停止させなければならなかった。
【0009】本発明はこのような問題を解決すべくなされたもので、乾燥硬化炉内で被処理物から落下し硬化した絶縁ワニスを、効率よく炉外へ取出し除去することができる絶縁ワニスの乾燥硬化装置を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の絶縁ワニス乾燥硬化装置は、加熱手段を備えた乾燥硬化炉内を水平方向に走行する長尺搬送体に、絶縁ワニスが含浸された被処理物を保持する複数のハンガーを、それぞれ所定の間隔をおいて吊下げ固定した絶縁ワニス乾燥硬化装置において、前記ハンガーの搬送路に沿ってその下方に、少なくとも主面が離型性の良好な材料から構成されたエンドレスベルトを、走行自在に配設してなることを特徴とする。
【0011】本発明においてエンドレスベルトとしては、端部の無い(無端)輪状で、少なくとも主面(使用状態で外側に位置する面)が離型性の良好な材料により構成された帯状体が使用される。ここで、離型性の良好な材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロルエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体のようなフッ素系樹脂や、シリコーン系樹脂等があり、このような樹脂材料により成形されたベルトの他に、金属製または他の樹脂製のベルトの主面に、前記樹脂材料を被覆して離型性被膜を形成したベルトも使用することができる。
【0012】また、本発明においては、乾燥硬化の初期の段階で落下する絶縁ワニスももれなく取出し除去するために、エンドレスベルトを、乾燥硬化炉の入口部からハンガーの搬送方向に向って下り傾斜となるように配設することが望ましい。さらに、このようなエンドレスベルトの上に、従来から使用されている金属製等の受け皿を載せておくことにより、ワニス硬化物の取出しをいっそう容易に行なうことができる。
【0013】
【作用】本発明の絶縁ワニス乾燥硬化装置においては、ハンガーの搬送路の下方に、少なくとも主面がフッ素系樹脂のような離型性の良好な樹脂材料で形成されたエンドレスベルトが、走行自在に配設されているので、ハンガーに搭載保持された被処理物から落下する絶縁ワニスは、炉の床面へ落下することなく、全てエンドレスベルトの主面の上に落下し、そこに溜って硬化する。そして、ワニス処理作業後にエンドレスベルトを駆動して走行させ、絶縁ワニスの硬化物が滞積したベルト部分を取出し扉部の近くへ移動させることにより、作業者が炉の中に入ることなく、ワニス硬化物を容易に取出し除去することができる。
【0014】また、エンドレスベルトの主面が離型性の良好な材料で形成されているので、滞積付着したワニス硬化物の引剥がし除去が容易である。除去後は再びエンドレスベルトを適当に駆動走行させ、ワニス処理作業を開始することができる。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0016】図1は、本発明の絶縁ワニス乾燥硬化装置の一実施例を模式的に示す図である。 図において、符号10は加熱手段を備えた乾燥硬化炉を示し、この内部には水平方向に走行するハンガーチェーン11が配設されている。またこのハンガーチェーン11には、前工程(ワニス浸漬工程)で絶縁ワニスが含浸されたステーターコイル等の被処理物12を搭載する複数のバスケット形のハンガー13が、互いに一定の間隔をおいて吊下げ固定されている。そしてこれらのハンガー13は、ハンガーチェーン11により連続的または断続的に搬送され、乾燥硬化炉10内を入口部14から硬化物取出し扉部15へ向かい再び入口部14へ戻る搬送路に沿って、移動循環されている。
【0017】また、このようなハンガー13の搬送路に沿ってその下方には、フッ素樹脂製のエンドレスベルト16を備えたベルトコンベア17が、乾燥硬化炉10の入口部14からハンガー13の搬送方向に向って下り傾斜となるように配設されている。すなわち、このベルトコンベア17は、ポリテトラフルオロエチレンのような離型性の良好なフッ素樹脂からなるエンドレスベルト16を、一対のベルトプーリー車18の間に架け渡して成り、エンドレスベルト16の上側主面がハンガー13の搬送方向に向って下り傾斜となるように、乾燥硬化炉10の入口部14から硬化物取出し扉部15までの床面10a上に設置されている。
【0018】このように構成される実施例の絶縁ワニス乾燥硬化装置においては、ハンガー13に搭載された被処理物12から落下する絶縁ワニス19は、炉の床面10aに落下することなく、全てエンドレスベルト16の上に落下して硬化する。
【0019】したがって、ワニス処理作業後に、作業者20が乾燥硬化炉10の外からベルトコンベア17を駆動し、エンドレスベルト16のワニス硬化物21が付着滞積した部分を取出し扉部15の近くへ移動させることにより、作業者20が炉の中に入ることなく、安全かつ短時間でワニス硬化物21を取出し除去することができる。また、エンドレスベルト16が離型性の良好なフッ素樹脂により形成されているので、その上に滞積したワニス硬化物21の引剥がし除去が容易であり、除去後はそのままであるいは再びエンドレスベルト16を適当に走行させることにより、ハンガー13の搬送路の下方にエンドレスベルト16の非付着部分を配置し、再びワニス処理作業を開始することができる。
【0020】さらに、エンドレスベルト16の主面が、乾燥硬化炉10の入口部14からハンガー13の搬送方向に向って下り傾斜となるように配設されているので、被処理物12が乾燥硬化炉10に入ったばかりの初期の段階で落下する絶縁ワニス19も、エンドレスベルト16の屈曲端部から床面10aに落下することがなく、全てエンドレスベルト16上に滞留して硬化する。
【0021】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の絶縁ワニス乾燥硬化装置によれば、被処理物から落下する絶縁ワニスを全てエンドレスベルトの離型性の良好な主面で受け溜めて硬化させることができるので、受け皿どうしのワニス硬化物による固着を防止することができる。
【0022】したがって、作業者が炉内に入ることなく安全にワニス硬化物の取出し除去を行なうことができる。また、事前に余分な作業をする必要がないので、従来は約1日かけて行っていた硬化ワニスの除去作業を1時間程度の短時間で行うことができ、稼働率が著しく向上する。
【出願人】 【識別番号】390022415
【氏名又は名称】東芝ケミカル株式会社
【出願日】 平成7年(1995)3月14日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】須山 佐一
【公開番号】 特開平8−243464
【公開日】 平成8年(1996)9月24日
【出願番号】 特願平7−54122