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【発明の名称】 減衰器
【発明者】 【氏名】ラース センステレッド

【目的】 リニヤソレノイドを用いることなく減衰力を制御することができ、構造が簡単で動作の信頼性が高い減衰器を提供する。
【構成】 高圧側主油室内圧が導かれる副油室と、この副油室内圧が設定圧を越えると開いてパイロット通路を介してこの副油室から低圧側主油室に作動油を逃がすパイロット弁と、この副油室内圧と高圧側主油室内圧との差圧の増減によって両主油室間をつなぐ主油路を開閉する制御弁とを備える減衰器であって、前記副油室の反対側から前記パイロット弁を開閉する弁体をばねを介して押圧する押圧部材と、前記押圧部材を前記ばねに対向して変位させる位置調節手段とを備え、前記パイロット弁の設定圧を前記位置調節手段により制御可能にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高圧側主油室内圧が導かれる副油室と、この副油室内圧が設定圧を越えると開いてパイロット通路を介してこの副油室から低圧側主油室に作動油を逃がすパイロット弁と、この副油室内圧と高圧側主油室内圧との差圧の増減によって両主油室間をつなぐ主油路を開閉する制御弁とを備える減衰器であって、前記副油室の反対側から前記パイロット弁を開閉する弁体をばねを介して押圧する押圧部材と、前記押圧部材を前記ばねに対向して変位させる位置調節手段とを備え、前記パイロット弁の設定圧を前記位置調節手段により制御可能にしたことを特徴とする減衰器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、減衰力を制御可能にした減衰器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車や自動二輪車等の車輛に用いられる減衰器では、走行条件によって減衰力を自由に変更できるのが望ましい。そこで出願人は、減衰器の伸縮量および伸縮速度を検出し、減衰器のピストンに設けた油路を開閉する切換弁の作動圧をリニヤソレノイドによって変化させるものを提案した(例えば特開平2−85535号、特開平2−182514号参照)。
【0003】ここに用いた減衰器は、シリンダ内に2つの主油室を画成するピストンと、このピストン内に設けられピストンに第1・第2副油室を画成する制御弁と、これら第1・第2副油室間に介在するオリフィスとを備え、第1副油室に高圧側主油室の油圧を導く一方、第2副油室内圧がリニヤソレノイドにより設定される圧力を超えることにより前記制御弁を移動させて両主油室間の油路を開き減衰力を制御するようにしたものである。
【0004】
【従来技術の問題点】このようにリニヤソレノイドを用いて制御弁の開閉動作する圧力(設定圧)を制御するものでは、リニヤソレノイドやその電源回路や制御回路が複雑になるという問題があった。
【0005】
【発明の目的】本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、リニヤソレノイドが不要となり、構造が簡単になり動作の信頼性が高い減衰器を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の構成】本発明によればこの目的は、高圧側主油室内圧が導かれる副油室と、この副油室内圧が設定圧を越えると開いてパイロット通路を介してこの副油室から低圧側主油室に作動油を逃がすパイロット弁と、この副油室内圧と高圧側主油室内圧との差圧の増減によって両主油室間をつなぐ主油路を開閉する制御弁とを備える減衰器であって、前記副油室の反対側から前記パイロット弁を開閉する弁体をばねを介して押圧する押圧部材と、前記押圧部材を前記ばねに対向して変位させる位置調節手段とを備え、前記パイロット弁の設定圧を前記位置調節手段により制御可能にしたことを特徴とする減衰器、により達成される。
【0007】
【実施例】図1は本発明の一実施例の要部断面図、図2はこの減衰器全体の断面図、図3は減衰力特性を示す図である。
【0008】図1において符号10はシリンダ、12はこのシリンダ10内に2つの主油室14、16を画成するピストンである。ピストン12は下端が開いた筒型のピストンハウジング18を備え、このピストンハウジング18の閉じた上端面にはピストンロッド20が接続されている。シリンダハウジング18の開口側の外周にはシールリング22が装着されている。
【0009】24はパイロット弁ハウジングであり、ここにはパイロット弁26、パイロット通路28、ボールチェック弁30、30等が組付けられる。このパイロット弁ハウジング24はピストンハウジング18に下方から装填され、さらにその下方に主油路ハウジング32が装填されて固定される。
【0010】パイロット弁26は、両ハウジング24、32の対向面間に挾持された弁板34と、この弁板34に開口する弁孔36と、この弁孔36をパイロット弁ハウジング24側から開閉する弁体38とを備える。前記ピストンロッド20内には押圧部材としてのプッシュロッド40が貫挿され、その下端が前記弁体38に対向する。このプッシュロッド40と弁体38との対向部には円板が一体に形成され、これらの円板の対向面間にはコイルばね42が縮装されている。
【0011】プッシュロッド40の上端は、図2に示すようにピストンロッド20の上端に突出している。ピストンロッド20の上端には位置調節手段としてのモータ組立体43が取付けられている。この組立体43のモータ43Aはその作動によりプッシュロッド40を進退動させて、その上下方向の位置決めができるようになっている。
【0012】パイロット通路28はハウジング24の下部にあり、パイロット弁26から半径方向に延びてハウジング24の外周面に開口する。なおこの開口部分には作動油の外周方向への流れのみを許容するように前記ボールチェック弁30、30が装着されている。またこのパイロット通路28はチェック弁30の内径側で下方へ分岐してハウジング24の下面に開口し、主油路ハウジング32側のパイロット通路48に連通する。
【0013】主油路ハウジング32は、ポペット弁44、主油路46およびパイロット通路48を含む。主油路46は、ピストンハウジング18の側面に設けた開口50、50と主油路ハウジング部32の下面に形成した開口52とを連通する。この開口52は主油路ハウジング32の上面に開いたポペット弁装填室54に連通する。この装填室54の内径は開口52の内径より大きく設定され、開口52の装填室54側の縁には円錐状の段部56が形成される。
【0014】ポペット弁44はポペット弁装填室54に上方から装填され、開口52から下方へ突出する整流傘部58と、開口52の段部56に係合する弁体部60と、主油路46内に臨む環状溝62と、装填室54内を摺動するスリーブ部64とを有する。弁体部60の半径r1 は、開口52とほぼ同一径であり、4ケ所に外径方向に突出する爪を有する。これらの爪が段部56に当接してこの開口52を閉じる。
【0015】ここにスリーブ部64の半径r2 は開口52の半径r1 よりも大きくする。また弁体部60に上向きに作用する受圧面積S1 =πr12と、スリーブ部64の環状溝62に臨む下面65に作用する上向きの受圧面積S2 =π(r22−r12)とを、例えばS1 =2S2 に設定する。
【0016】スリーブ部64には装填室54側へ開く凹部が形成され、この凹部はパイロット弁26に臨む副油室66を形成する。この副油室66の内周面には防振リング68が摺接する。すなわち防振リング68はその下端外周縁がスリーブ部64の内周面に摺接する一方、その上端に形成されたフランジ部がパイロット弁26の弁板34の下面に当接する。
【0017】そしてこの防振リング68のフランジ部とスリーブ部64の凹部の底との間にコイルばね70が縮装されている。このばねはポペット弁44が開口52を閉じる方向に付勢する。この防振リング68は、スリーブ部64の上下動に伴い防振リング68と装填室54との間の作動油がスリーブ部64内へ流入・出する時に減衰力を付与して、スリーブ部64の防振を行う。
【0018】このポペット弁44には、整流傘部58に設けたオリフィス72およびチェック弁74を介して、下の主油室16から副油室66へ作動油を流すパイロット通路76が形成されている。また環状溝62には上の主油室14から主油路46を介して副油室66に油を導くオリフィス78およびチェック弁80が設けられている。
【0019】この主油路ハウジング32に形成した前記パイロット通路48は、前記パイロット通路28にチェック弁82を介して連通する。このチェック弁82は、パイロット通路28から作動油を下の主油室16に導くものである。
【0020】このピストン12を組立てるためには、予めパイロット弁ハウジング24と主油路ハウジング部32とに、それぞれの部品を組付けて予備組立てしておき、これをピストンハウジング18に図1のように下から順に装填する。そしてこのピストンハウジング18の開口縁に主油路ハウジング32の外周を螺入することによってこれらを固定すればよい。なお適宜の位置に0リングなどのシール84を装着しておく。
【0021】この減衰器は例えば図2に示すように使用される。この使用例は複筒式の減衰器に適用したものである。シリンダ10の下端にベースバルブ86を設け、ピストンロッド20のシリンダ10内への進入・退出に伴うシリンダ10内の作動油収容容積の変化を、シリンダ10と外筒88との間に形成したリザーバ室90で吸収させるものである。すなわちピストンロッド20がシリンダ10内に進入するのに伴ってシリンダ10内の作動油は、ベースバルブ86を通ってリザーバ室90に流出する。またピストンロッド20がシリンダ10から退出すれば、リザーバ室90から作動油はベースバルブ86を通ってシリンダ10内に戻る。
【0022】
【作用】圧縮時においては、ピストン12が図1、2で下向きに押される。このため下の主油室16が昇圧し、作動油がオリフィス72、パイロット通路76、チェック弁74を通って副油室66に入るから、副油室66が昇圧する。一方パイロット弁26の弁体38はプッシュロッド40の位置とばね42で設定された設定圧で弁孔36を閉じているから副油室66の内圧がこのパイロット弁26の設定圧を越えるとパイロット弁26が開き、作動油はパイロット通路28からチェック弁30を通って上の主油室14に逃げる。
【0023】このため副油室66が減圧するから、ポペット弁44は下の主油室16の圧力により押上げられ、弁体部60が開口52の段部56から離れる。すなわち主油路46が開き、主油室16から主油室14へ油が流れる。両主油室14、16の差圧が一定以下になるとポペット弁44がコイルばね70により戻されて主油路46を閉じる。以上の動作を繰り返すことによりピストン12は下降してゆく。以上の圧縮時の作動油の流れは図1に実線の矢印で示されている。
【0024】伸長時においては、ピストン12は上向きに引かれる。このため上の主油室14が昇圧し、その圧力は主油路46を介してポペット弁44の環状溝62に導かれる。そしてこの環状溝62からオリフィス78、チェック弁80を介して副油室66に油が入る。副油室66の内圧が、プッシュロッド40とばね42とで設定された設定圧を越えるとパイロット弁26が開き、油はパイロット通路28、チェック弁82、パイロット通路48を経て下の主油室16に逃げる。このため副油室66が減圧しポペット弁44が上昇して主油路46が開く。
【0025】従って主油室14から主油室16へ油が流れ、両主油室14、16の差圧が一定以下になると主油路46が閉じ、以上の動作を繰り返しながらピストン12は上昇してゆく。以上の伸び時の作動油の流れは、図1に破線の矢印で示されている。
【0026】ポペット弁44の弁体部60は開口52とほぼ同一の半径r1 に設定され、弁体部60の爪を段部56に当接させてポペット弁44を閉じるから、弁体部60と開口52との半径方向の重なりはほとんど無くなり、ポペット弁44が振動せず動作が円滑になる。すなわち弁体部60と開口52とは半径方向の重なりが殆どないから、両者の間隙を作動油が通る際の絞り効果によりこの間隙が減圧しても、弁体部60を段部56に引きつける力は弱くなるからである。
【0027】なおこの実施例ではポペット弁44の弁体部60に作用する上向きの受圧面積S1 と、環状溝62に作用する上向きの受圧面積S2 は、前記したようにS1 =2S2 に設定したから、この場合には伸・縮両方向で同じだとすれば、伸び側でポペット弁44が開き始める圧力は圧縮側の2倍になる。このため伸び側の減衰力を圧縮側の約2倍に設定できる。
【0028】減衰力を変えるためには、モータ43Aを正逆転させてプッシュロッド40をパイロット弁26の弁体38に対して進退動させる。プッシュロッド40を弁体38に向って進出させれば、パイロット弁26の設定圧は上昇し、圧縮時および伸び時の減衰力Fは図3にA、aで示すように大きくなる。
【0029】同様にプッシュロッド40を退出させれば、その退出量に応じて減衰力Fは、B、bからC、cに次第に減少する。従ってこの減衰器の使用中にモータ43Aでプッシュロッド40を進退出動させることにより、減衰力を大幅に速やかに変化させることができる。
【0030】なお以上の実施例では主油路を開閉する制御弁としてポペット弁44を用いているが、本発明はこれに限定されない。また位置調節手段は、モータ43Aにより形成したが、モータ43Aに代えて手動のハンドルにより調節するものであってもよい。さらにばね42のばね特性を非線型とすれば、図3に示す減衰力特性の傾きをある程度好みに応じて変えることも可能である。
【0031】
【発明の効果】本発明は以上のように、副油室の反対側からパイロット弁の弁体をばねを介して押圧部材で押圧し、この押圧部材の押圧位置を位置調節手段により変化できるようにしたものであるから、パイロット弁の設定圧を簡単な構成で容易に制御することができ、信頼性が高くなる。
【出願人】 【識別番号】593009712
【氏名又は名称】オーリンス レーシング アクティエ ボラーグ
【氏名又は名称原語表記】OHLINS RACING AB
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
【出願日】 平成5年(1993)1月20日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】山田 文雄 (外1名)
【公開番号】 特開平6−221362
【公開日】 平成6年(1994)8月9日
【出願番号】 特願平5−23460