| 【発明の名称】 |
油圧作動油組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】鎌田 栄司
【氏名】松下 庄蔵
【氏名】谷中 貢
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| 【目的】 |
摩擦係数が大幅に低減され、かつ、銅溶解性の低い油圧作動油組成物を提供すること。 |
| 【構成】 |
鉱油に対し、組成物全量基準で、(a)アルキル基の炭素数3〜8のジアルキルジチオりん酸亜鉛0.3〜1.5重量%、(b)グリセリン部分脂肪酸エステル0.1〜1.5重量%、及び(c)こはく酸エステル0.1〜1.0重量%を含有せしめてなることを特徴とする油圧作動油組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鉱油に対し、組成物全量基準で、(a)アルキル基の炭素数3〜8のジアルキルジチオりん酸亜鉛0.3〜1.5重量%、(b)グリセリン部分脂肪酸エステル0.1〜1.5重量%、及び(c)こはく酸エステル0.1〜1.0重量%を含有せしめてなることを特徴とする油圧作動油組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、油圧作動油組成物に関し、さらに詳しくは、摩擦係数が大幅に低減され、かつ、銅溶解性の低い油圧作動油組成物に関する。本発明の油圧作動油組成物は、自動車用油圧作動油、その中でも特にパワーステアリングフルード(PSF)として好適である。 【0002】 【従来の技術】油圧作動油は、油圧機器、流体継手、トルクコンバーター、自動変速機、緩衝器などにおける動力伝達、力の制御、緩衝、潤滑、防錆などの重要な機能を果たし、油圧システムの信頼性、耐久性に直接影響するため、潤滑性能、耐摩耗性、摩擦特性、その他の諸性能に優れていることが要求される。特に、パワーステアリングに使用されるPSFに関しては、耐摩耗性が良好で、かつ、低摩擦係数であることが求められる。 【0003】パワーステアリングは、ステアリング装置の途中に動力機構を設け、かじ取りの際、補助力を与えるようにしたもので、ハンドル操作を軽減し自動車の運転を容易にするための機構である。パワーステアリングは、オイル・タンク、オイル・ポンプ、コントロール・バルブ、パワーシリンダー、ステアリングギア・ボックスなどで構成されており、そこには油圧作動油が使用されている。PSFは、この油圧作動油に当たり、パワーステアリングの作用に重要な役割を果たしている。 【0004】PSFは、油圧作動やピストンとシリンダ間、ギア部などの潤滑の役割を果たしており、これらの働きに対する必要な性能としては、(1)適正な粘度特性を有すること、(2)耐摩耗性に優れていること、(3)摩擦特性に優れていること、(4)熱・酸化安定性に優れ、長期間の使用に耐えること、(5)耐焼付き性に優れていること、(6)ゴムシール材との適合性があること、(7)泡立ちが少ないこと、等が挙げられる。 【0005】従来、これらの要求性能に対して、鉱油等の基油に、ジチオりん酸亜鉛などの耐摩耗剤、粘度指数向上剤、酸化防止剤、消泡剤などを添加することにより、耐摩耗性や低温流動性などを向上させた各種PSFが開発されている。しかしながら、従来のPSFは、摩擦調整剤を添加することによって、ポンプ摺動部やバルブにおける摩擦係数を低く維持している。また、耐摩耗性を改善するためにジチオりん酸亜鉛を添加すると、耐摩耗性は改善されるものの、摩擦係数が高くなるという欠点を有する。PSFの摩擦特性が不十分であると、パワーステアリングの円滑さが失われ、異常音が発生してパワーステアリングの静粛性が損なわれる。また、パワーステリングには、銅製の配管が用いられているが、PSFの銅溶解性が高いと、油中に溶出した銅の作用によって、オイルシールの面荒れを起こし、シール不良を引き起こし易くなる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、摩擦係数が大幅に低減され、かつ、銅溶解性の低い油圧作動油組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、特に、パワーステアリングフルードとして好適な油圧作動油組成物を提供することにある。 【0007】本発明者は、前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、基油として鉱油を用い、これにジアルキルジチオりん酸亜鉛と、グリセリン脂肪酸エステルの内トリエステルを除くモノエステル及び/またはジエステルを選択的に添加することにより摩擦係数を大幅に低減させることができ、さらに、無灰清浄分散剤として、こはく酸エステルを選択して併用すると、銅溶解性を大幅に低減できることを見出した。そして、これら各成分の特定量の組み合わせにより、低摩擦係数かつ銅溶解性の低い油圧作動油組成物の得られることを見出した。本発明は、これらの知見に基づいて完成するに至ったものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】かくして、本発明によれば、鉱油に対し、組成物全量基準で、(a)アルキル基の炭素数3〜8のジアルキルジチオりん酸亜鉛0.3〜1.5重量%、(b)グリセリン部分脂肪酸エステル0.1〜1.5重量%、及び(c)こはく酸エステル0.1〜1.0重量%を含有せしめてなることを特徴とする油圧作動油組成物が提供される。以下、本発明について詳述する。 【0009】(基油)本発明で使用する鉱油としては、例えば、軽質ニュートラル油、中質ニュートラル油、重質ニュートラル油、ブライトストックなどが挙げられる。これらの鉱油は、100℃での粘度が通常1.5〜30cSt(mm2/s)の範囲内にあることが好ましい。 【0010】(ジアルキルジチオりん酸亜鉛)本発明で使用するジアルキルジチオりん酸亜鉛は、下記一般式〔1〕で表される化合物である。 【0011】 【化1】
一般式〔1〕中、R1〜R4は、炭素数3〜8のアルキル基であり、それぞれ同一または相異なっていてもよい。 【0012】ジアルキルジチオりん酸亜鉛は、組成物全量基準で、0.3〜1.5重量%、好ましくは0.5〜1.0重量%の割合で使用する。また、2種以上のジアルキルジチオりん酸亜鉛を組み合わせて添加してもよい。ジアルキルジチオりん酸亜鉛の配合割合が小さすぎると、耐摩耗性改善効果が小さく、逆に、大きすぎると、耐摩耗性改善効果が飽和し、また、摩擦係数を増大させたり、腐食を発生させる場合がある。 【0013】(グリセリン部分脂肪酸エステル)本発明では、主として摩擦調整剤として機能させるために、グリセリンの脂肪酸モノエステル及び/またはジエステルを使用する。グリセリン脂肪酸エステルとしては、モノ−、ジ−及びトリ−エステルがあるが、本発明では、トリエステル成分を除いたモノエステル、ジエステル、及びこれらの混合物を選択的に使用する。グリセリン部分脂肪酸エステルをジアルキルジチオりん酸亜鉛と併用すると、摩擦係数を大幅に低減させることができる。本発明で使用するグリセリン脂肪酸モノエステルは、下記一般式〔2〕で表される化合物である。 【0014】 【化2】
一般式〔2〕中、R1は、炭素数8〜20の飽和または不飽和のアルキル基である。本発明で使用するグリセリン脂肪酸ジエステルは、下記一般式〔3〕で表される化合物である。 【0015】 【化3】
一般式〔3〕中、R1及びR2は、炭素数8〜20の飽和または不飽和のアルキル基であり、それぞれ同一または相異なっていてもよい。 【0016】脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸などが挙げられる。グリセリン部分脂肪酸エステルの具体例としては、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、オレイン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、などを挙げることができる。これらのグリセリン部分脂肪酸エステルは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。モノエステルとジエステルを併用する場合には、好ましい重量比は、30〜70重量%/30〜70重量%である。グリセリン部分脂肪酸エステルは、組成物全量基準で0.1〜1.5重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%の割合で添加する。この使用割合が小さすぎると、摩擦係数低減効果が小さく、大きすぎると酸化安定性が低下する。 【0017】(こはく酸エステル)本発明では、無灰清浄分散剤として、こはく酸エステルを選択的に使用する。従来、無灰清浄分散剤の大部分は、こはく酸イミド系であり、これらの他に、こはく酸アミド系、ペンチルアミン系、及びこれらのホウ素誘導体等が使用されてきた。ところが、本発明明者らの研究結果によると、汎用されているこはく酸イミド系などの無灰清浄分散剤を使用しても銅溶解性を抑制することができないが、驚くべきことに、こはく酸エステルを前記各成分と併用すると、銅溶解性を大幅に低減できることを見出した。こはく酸エステルの好ましい具体例としては、下記一般式〔4〕で表される化合物を挙げることができる。 【0018】 【化4】
一般式〔4〕中、Rは、炭素数6〜30のアルキル基である。 【0019】一般式〔4〕は、こはく酸とペンタエリトリトールとのモノエステルの場合を表しているが、ペンタエリトリトールのもう1つの水酸基がこはく酸のもう1つのカルボキシル基とエステル化したジエステルも好ましい。こはく酸エステルは、組成物全量基準で0.1〜1.0重量%、好ましくは0.3〜1.0重量%の割合で使用する。この使用割合が小さすぎると、銅溶解性の抑制効果が小さく、大きすぎると、効果が飽和する。 【0020】(その他の添加剤)本発明の油圧作動油組成物には、本発明の目的を損なわない限り、必要に応じて他の添加剤、例えば、粘度指数向上剤、金属清浄剤、酸化防止剤、防錆剤、消泡剤などを適宜添加することができる。 【0021】粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメタクリレート系、ポリイソブチレン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系等が挙げられ、通常1〜20重量%の割合で使用される。金属清浄剤としては、例えば、Ca−スルホネート、Mg−スルホネート、Ba−スルホネート、Ca−フェネート、Ba−フェネート等がある。10〜400の塩基価を持つ塩基性または過塩基性の金属清浄剤も使用することができる。これらは、通常、0.1〜5重量%の割合で使用される。 【0022】酸化防止剤としては、例えば、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4′−メチレンビス−(2,6−ジターシャリブチルフェノール)等のフェノール系酸化防止剤等を挙げることができ、これらは、通常、0.05〜2重量%の割合で使用される。 【0023】(油圧作動油組成物)本発明の油圧作動油組成物は、鉱油、ジアルキルジチオりん酸亜鉛、グリセリン部分脂肪酸エステル、及びこはく酸エステルを必須成分とし、所望により他の添加剤を添加して、均一に混合することにより得ることができる。本発明の油圧作動油組成物の100℃での粘度は、通常2〜15cSt、好ましくは5〜10cStである。 【0024】本発明の油圧作動油組成物は、優れた耐摩擦性と低摩擦係数を兼ね備え、しかも銅溶解性の低減効果が顕著である。ジアルキルジチオりん酸亜鉛とグリセリン部分脂肪酸エステルのそれぞれ単独使用では、摩擦係数低減効果は小さいが、両者を併用することにより、摩擦係数を大幅に低減することができる。また、こはく酸エステルを併用すると、銅溶解性が著しく小さくなる。本発明の油圧作動油組成物は、各種機器の油圧作動油として使用することができるが、特に、PSFとして好適である。 【0025】 【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。 【0026】[実施例1〜3、比較例1〜4]基油として100℃での粘度が3.0cStの高度精製鉱油を用い、表1に示す各成分を添加して潤滑油組成物を調製した。使用した各成分は、以下のとおりである。 (1)基油:100℃での粘度が3.0cStの高度精製鉱油(2)粘度指数向上剤:ポリメタクリレート(3)酸化防止剤:2,6−ジターシャリーブチルパラクレゾール(4)消泡剤:ジメチルポリシロキサン(5)ジチオりん酸亜鉛:1級−C5/C6アルキル基混合タイプ(6)こはく酸エステル(1):オクタデセニルこはく酸とペンタエリトリトールとのエステル(7)こはく酸エステル(2):オクタデセニルこはく酸モノラウリルエステル(8)グリセリン部分脂肪酸エステル:C18アルキル基、モノエステル/ジエステル=50/50の混合物(9)こはく酸イミド系無灰清浄分散剤:下記化学式の化合物。 【0027】 【化5】
(R:ポリブテニル基) (9)ソルビタンエステル:下記化学式の化合物。 【0028】 【化6】
(R:C18アルケニル基) 各成分の配合割合、摩擦係数と銅溶解性の測定結果を一括して表1に示す。 【0029】 【表1】
【0030】(*1)摩擦係数の測定法:LFW−1による。即ち、図1に示す試験機を用いて、油温50℃、荷重40kg、回転速度10rpm、鉄−ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)間の摩擦により測定した。図1中、1は鉄製回転リングであり、2はPTFE製ブロックであり、3は歪み計である。PTFE製ブロックに荷重をかけ、リングを回転する時に生じる抵抗を歪み計で検出し、摩擦係数を算出する。試験油は、リングの半分程度まで浸っている。 【0031】(*2)銅溶解性の測定法:JISに規定されるビニールコードの銅線3g、オイルシールゴム及び高圧配管ホースゴムの細片をそれぞれ約3g、試供油100mlを蓋付き三角フラスコに入れ、80℃の恒温槽に一定時間放置する。その後、油中の銅溶解量を測定する。 【0032】表1の結果から、本発明の組成物(実施例1〜3)が優れた摩擦低減効果と銅溶解性の抑制効果を示すことが分かる。 【0033】 【発明の効果】本発明によれば、従来品と比較して、摩擦係数が顕著に低減され、かつ、銅溶解性が大幅に低減された油圧作動油組成物が提供される。本発明の油圧作動油組成物は、自動車および工業用油圧作動油として使用することができるが、特に、PSFとして好適である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390022998 【氏名又は名称】東燃株式会社 【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成4年(1992)10月31日 |
| 【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】西川 繁明
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| 【公開番号】 |
特開平6−145684 |
| 【公開日】 |
平成6年(1994)5月27日 |
| 【出願番号】 |
特願平4−315791 |
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