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【発明の名称】 直流リニアモータの励磁制御方法
【発明者】 【氏名】真山 修二

【目的】 直流リニアサイリスタモータの永久磁石に走行中に付着する強磁性体の異物を界磁方向を保守点検時に反転させて自重により落下させ除去する。
【構成】 地上側には電機子コイル2が垂直に立てて設けられ、これに跨るように車台側に設けられる電磁石3とによりリニアサイリスタモータ1が構成される。電磁石3の鉄芯4に巻かれたコイル5の電流は制御回路11を介して電源12から与えられ、通常走行時の推進力、浮上力が得られる。保守点検時にはホール素子13で検出された磁束に対応する出力を増幅器14を介して制御回路11に与え、電磁力を反転させて永久磁石6の磁力を減少又は消失させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 地上側に多数の電機子コイルを鉛直に立てて並べ、これら電機子コイルにその磁束が鎖交するように電磁石を配設した直流リニアモータに対して、上記電磁石が電機子コイルと鎖交する方向の磁路中に磁束密度検出器を設け、その出力をフィードバックし必要に応じて電磁石の発生磁力が永久磁石の発生磁力を減少又は消失させるように制御することから成る直流リニアモータの励磁制御方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鉄道車輌などに用いられる直流リニアモータの励磁制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気浮上式のリニアモータを鉄道車輌等に用いた輸送方式の研究開発が現在盛んに行なわれている。このリニアモータの方式の1つに直流リニアモータの一種であるリニアサイリスタモータがあり、この方式では推進力と浮上力が同時に得られるという利点がある。
【0003】その原理的な構成は、地上側に矩形状の電機子コイルを多数鉛直に立てて並べ、これらの電機子コイルに跨るように車台に配置した電磁石とから成るリニアサイリスタモータが用いられる。鉛直の電機子コイルに対して電磁石が形成する界磁は、その磁束が電機子コイルの鉛直辺と水平辺の両方に鎖交するように配置され、鉛直辺に流れる電流により推進力を発生し、水平辺に流れる電流により浮上力が発生する。
【0004】電機子コイルは、連続的に推進力を得るために、1つ置きに直列に接続され、これら2系統の電機子コイルにフリップフロップインバータから交互に通電することによって上記推進力と浮上力を得るようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従来のリニアサイリスタモータによる磁気浮上式輸送方法では、車台上の電磁石には強力な磁束を得るため電機子コイルに向い合って永久磁石が用いられる。
【0006】このため、車台が走行中に地上側に落ちている強磁性体の異物を吸着し、その異物が走行中に電磁レールとしての電機子コイルなどを傷付けてしまう等の問題を起す可能性がある。従って、定期的にこれら永久磁石に吸着された異物を除去する必要が生じる。
【0007】しかしながら、強力な車上磁界により吸着される強磁性体の異物を除去するには、吸着力に打ち勝つだけの強力で効果的な力が必要となり、車体下部のしかも狭い隙間でそのような作業を行うには著しい困難を伴うことは避けられない。
【0008】この発明は、上述した従来の直流リニアモータ方式の輸送手段に伴なう問題点に着目し、通常走行時に電磁力を生じている電磁石の磁力の方向を保守点検時に反転させて永久磁石の磁力を減少又は消失させるようにして永久磁石に付着する異物をその自重で落下除去できるように励磁制御する方法を得ることを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するためこの発明は、地上側に多数の電機子コイルを鉛直に立てて並べ、これら電機子コイルにその磁束が鎖交するように電磁石を配設した直流リニアモータに対して、上記電磁石が電機子コイルと鎖交する方向の磁路中に磁束密度検出器を設け、その出力をフィードバックし必要に応じて電磁石の発生磁力が永久磁石の発生磁力を減少又は消失させるように制御することから成る直流リニアモータの励磁制御方法としたのである。
【0010】
【実施例】以下この発明の実施例について図面を参照して説明する。図1は実施例のリニアサイリスタモータの全体概略構成を示す。リニアサイリスタモータ1は地上側に垂直に立てて設けられる多数の電機子コイル2と、これに跨って車台(簡略化のため図示省略)側に設けられる電磁石3とから成り、電磁石3はU字状の鉄心4にコイル5を巻回しかつ鉄心4の両端に永久磁石6を互いに電機子コイル2を挟んで対向するように設けて成る。
【0011】電機子コイル2は、図示のように1つおきに直列に接続されて2系統のコイル群として電磁レール2aを構成し、これら2系統のコイル群にフリップフロップインバータを介して直流定電流源8から直流が交互に切換えて送られる。その際に、フレミングの法則を応用して電機子コイル2の鉛直辺に流れる電流により推進力が生じ、水平辺に流れる電流により浮上力が生じる。
【0012】一方、車台上の電磁石3にはそのコイル5に制御回路11を介して電流が供給され、その電磁力が生じる磁界によって上記推進力、浮上力を生じる。図2に上記制御回路11を介して電源12から電流を供給するブロック図を示す。通常の走行時には、電源12から供給される電流によって生じる電磁力が永久磁石6の磁力に加算される方向に与えられる。
【0013】そしてこの実施例では、永久磁石6と電磁レール2aとの隙間に磁束密度検出器としてホール素子13が設けられ、磁束密度を検出することができる。このホール素子13の出力は増幅器14を介して制御回路11へ入力され、コイル電流を制御できるように構成されている。又、必要に応じてその出力に対応して電源口からの電流を逆方向に送り、永久磁石6の磁力を減少又は消失させる大きさの電磁力を発生させることができるように設けられている。
【0014】この実施例のリニアサイリスタモータは以上のように構成した励磁制御回路により通常は推進力、浮上力を生じるように励磁制御される。保守の必要が生じると、鉄芯4に巻かれたコイル5に永久磁石6の発生する磁界を弱める、あるいは消失させる程の大きさの電流を、ホール素子13により検出された永久磁石の磁束に対応して反対方向に流す。こうして作業員は走行中に永久磁石6に付着した強磁性体の異物を容易に取り除くことができる。
【0015】
【効果】以上詳細に説明したように、この発明の励磁制御方法では直流リニアモータの永久磁石と電磁レール間に磁束密度検出器を設け、これによって検出される磁力と反対方向の電磁力を必要に応じ加えて磁力を減少又は消失させるように励磁制御するようにしたから、保守点検時に上記反対方向の電磁力を加えると永久磁石に付着した強磁性体の異物が自重で落下し、電磁石と電磁レールとの狭い隙間に作業員が入ることなく容易に確実に異物を除去できるという効果が得られる。
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【出願日】 平成4年(1992)10月2日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開平6−121411
【公開日】 平成6年(1994)4月28日
【出願番号】 特願平4−264840