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【発明の名称】 塗料吹き付け装置
【発明者】 【氏名】藤井 金蔵

【氏名】市橋 伸之

【氏名】鈴木 啓之

【目的】 立設した被描写面に、所望の塗料密度パターンで、均一幅の線を描くことのできる塗料吹き付け装置の提供。
【構成】 プランジャ41、永久磁石42、吸引コイル43、及び復帰コイル44を有するキープソレノイド4のプランジャ41に、塗料噴射ノズル1の塗料出口12の隙間を調節するニードル3を継合してなり、可動アームを右方向に移動させながら、吸引コイル43への通電時間、休止時間の比率を増減し、壁に、所望の塗料密度パターンで線を描く。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水平方向に設けた塗料通路の前端に漏斗状の塗料出口を開口し、塗料を重力流下させる塗料溜を前記塗料通路の後端に連結した塗料噴射ノズルと、後部を気体供給源に連通し、前記塗料出口の外周に円環状の気体出口を同軸的に形成した気体吹出ノズルと、前記塗料出口から前方に突出する針状部、前記塗装出口に臨む円錐状部、及び前記塗料通路を横貫する遊嵌部を有し、前記塗料噴射ノズルの後部で滑動自在に支持されるニードルと、該ニードルに継合されるプランジャ、前側に周設される永久磁石、通電によりプランジャを吸引する吸引コイル、及び該吸引コイルと同軸的に巻かれ通電されると前記永久磁石の磁力を打ち消す様に励磁する復帰コイルを有する自己保持形ソレノイドと、コイル非通電時に前記ニードルの円錐状部が前記塗料出口を塞ぐ様に、前記プランジャを付勢するバランススプリングと、これら塗料噴射ノズル、気体吹出ノズル、ニードル、自己保持形ソレノイド、バランススプリングで構成されるノズルユニットを、立設する被描写面と平行な垂直面内で変移させる移動手段と、前記吸引コイルへの通電時には前記復帰コイルへの通電を休止し、前記吸引コイルの通電休止時には前記復帰コイルへ通電するパルス通電手段とを具備し、前記移動手段と連動して、前記吸引コイルへの通電時間、休止時間の比率を増減する塗料吹き付け装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、立設した被描写面に、所望の塗料密度パターンで以て、均一幅の線を描く塗料吹き付け装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、塗料通路の前部に漏斗状の塗料出口を設けた塗料噴射ノズルと、塗料出口の外周に気体吹出口を同軸的に設けた気体吹出ノズルと、塗装出口に円錐状部を臨ませたニードルと、ニードルに継合されるプランジャを通電により吸引するソレノイドと、非通電時に円錐状部が塗料出口を塞ぐ様にプランジャを付勢するスプリングと、これらの部材群で構成されるノズルユニットを立設する被描写面と平行な垂直面内で変移させる移動手段と、移動手段と連動して、ソレノイドに流す電流を増減する通電手段とを具備し、立設する被描写面に所望の塗料密度パターンで線を描く事を狙った塗料吹き付け装置が知られている。尚、この塗料吹き付け装置を用いて、上記線の上に、別の色の塗料で同様に、異なる塗料密度で線を描く事により色が混ざり、ずらして線を多数描いていく事によりカラー図形となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、従来の塗料吹き付け装置は、ソレノイドへ流す電流量を変えても、直ぐに塗装出口の開口度合が変化しないので、実際には被描写面に希望通りの塗料密度パターンで線を描く事ができない。このため、塗料を重積して混ぜ合わせて描いた図形は、色づれを起こしたり、輪郭が崩れたりして品位が劣る。本発明の目的は、立設した被描写面に、所望の塗料密度パターンで、均一幅の線を描くことのできる塗料吹き付け装置の提供にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する為、本発明は、水平方向に設けた塗料通路の前端に漏斗状の塗料出口を開口し、塗料を重力流下させる塗料溜を前記塗料通路の後端に連結した塗料噴射ノズルと、後部を気体供給源に連通し、前記塗料出口の外周に円環状の気体出口を同軸的に形成した気体吹出ノズルと、前記塗料出口から前方に突出する針状部、前記塗装出口に臨む円錐状部、及び前記塗料通路を横貫する遊嵌部を有し、前記塗料噴射ノズルの後部で滑動自在に支持されるニードルと、該ニードルに継合されるプランジャ、前側に周設される永久磁石、通電によりプランジャを吸引する吸引コイル、及び該吸引コイルと同軸的に巻かれ通電されると前記永久磁石の磁力を打ち消す様に励磁する復帰コイルを有する自己保持形ソレノイドと、コイル非通電時に前記ニードルの円錐状部が前記塗料出口を塞ぐ様に、前記プランジャを付勢するバランススプリングと、これら塗料噴射ノズル、気体吹出ノズル、ニードル、自己保持形ソレノイド、バランススプリングで構成されるノズルユニットを、立設する被描写面と平行な垂直面内で変移させる移動手段と、前記吸引コイルへの通電時には前記復帰コイルへの通電を休止し、前記吸引コイルの通電休止時には前記復帰コイルへ通電するパルス通電手段とを具備し、前記移動手段と連動して、前記吸引コイルへの通電時間、休止時間の比率を増減する構成を採用した。
【0005】
【作用】塗料溜内の塗料は、重力により流下して塗料通路を通り、塗料出口に達する。パルス通電手段の作動により、プランジャに継合されるニードルは、後方に変移するとともに微震動し、円錐状部と塗料開口との間に隙間ができる。塗料出口の塗料は、気体出口から吹き出される気体流により前方に吹き飛ばされるが、針状部により、円錐状部と塗料開口との隙間の大きさに拘わらず均一径の霧状に整流され、被描写面に向かう。隙間の大きさにより霧状塗料の濃淡が変化するので、ノズルユニットの動きに連動して、吸引コイルへの通電時間、休止時間の比率を増減させ、立設した被描写面に、所望の塗料密度パターンで、均一幅の線を描く。
【0006】
【発明の効果】塗料吹き付け装置は、立設した被描写面に、所望の塗料密度パターンで、均一幅の線を描くことができる。
【0007】
【実施例】本発明の一実施例を図1〜図6に基づいて説明する。図に示す様に、ペインティングロボットAは、塗料噴射ノズル1、空気吹出ノズル2、ニードル3、キープソレノイド4、及びバランススプリング5、5a(これらは4組)等を有し、可動アーム61に挟装されたT字状の移動基台611にねじ止めされるノズルユニットNと、ノズルユニットNを壁Kと平行に垂直に設置したフレーム60内で移動させる駆動機構6と、キープソレノイド4を通電制御するパルス通電手段7とを具備する。
【0008】ノズルボディ(アルミニウム製)10に形成される塗料噴射ノズル1は、水平に穿設された断面円形の塗料通路11の前端に漏斗状の塗料出口12を開口し、塗料溜13を塗料通路11の後端に連結している。
【0009】空気吹出ノズル2は、塗料噴射ノズル1、ノズルボディ10、及びキャップ20等で構成され、後部を空気通路101を介して空気供給源(図示せず)に接続し、塗料出口12の外周に円環状の気体出口21を同軸的に形成している。尚、キャップ20の先端には、空気吸入穴201を輪設したガイド筒202が螺着されている。
【0010】ニードル3は、塗料出口12から前方に突出する針状部31、塗料出口12に臨む小円錐状部32、小円錐状部32- 遊嵌部33間に位置する大円錐状部34及び塗料通路11を横貫する遊嵌部33を有し、塗料噴射ノズル1の後部で液密性の支持部材102により滑動自在に支持されている。また、ニードル3の遊嵌部33の後端は、ジョイント室103内で、ショックアブソーブ用バネ104を介してプランジャ連結棒301に継合されている。
【0011】キープソレノイド4は、プランジャ連結棒301に嵌着されるプランジャ41、鋼製のハウジング40の前部に周設される永久磁石42、通電によりプランジャを吸引する吸引コイル43、吸引コイル43の外周に巻かれ通電されると永久磁石42の磁力を打ち消す様に励磁する復帰コイル44、及び固定鉄心45を備える。また、このキープソレノイド4は、ニードルストロークアジャスト機構401により位置決めが成される。
【0012】プランジャ連結棒301(ニードル3、プランジャ41)を図示前方、後方に付勢するバランススプリング5、5aは、プランジャ連結棒301の適所に固定可能な付勢リング51、52- ボディキャップ105、ハウジング40の前端面間に弾装され、ニードル3に微震動(通電時)を付与する。このバランススプリング5、5aは、ニードルストロークアジャスト機構401、及び付勢リング51、52の調整により、コイル非通電時に、ニードル3の小円錐状部32が塗料出口12を塞ぐ。
【0013】駆動機構6は、フレーム60(高さ2.4m×横2.9m)、フレーム60上を横方向に摺動可能な可動アーム61、及び可動アーム61上を上方から約5mmづつ下降する移動基台611、及び可動アーム61や移動基台611を動かすステッピングモータ(図示せず)等で構成され、ステッピングモータは、近傍に設置したパーソナルコンピュータシステムPCにより制御される。
【0014】パルス通電手段7は、図5に示す様に、吸引コイル43、復帰コイル44- 電源間にパワートランジスタ71、72を接続してなり、吸引コイル43への通電時には復帰コイル44への通電が休止し、吸引コイル43の通電休止時には復帰コイル44へ通電が成される様に、パワートランジスタ71、72の各ベースには、パーソナルコンピュータシステムPCによりPWM信号が加えられる。本実施例では、周期Tを一定にし、吸引コイル43への通電時間の長さを増減する事により、プランジャ41(プランジャ連結棒301、ニードル3)の釣合位置を決めている。尚、図6において、状態701は何方のトランジスタにもPWM信号を加えない場合(塗料14は非噴射)、状態702は吸引コイル43への通電時間が短い場合(薄く噴射)、状態703は吸引コイル43への通電時間が長い場合(濃く噴射)である。
【0015】つぎに、ペインティングロボットAの使用方法を簡単に説明する。パーソナルコンピュータシステムPCは、イメージスキャナやビデオ信号入力装置を用いて原画のイメージを取り込む。パーソナルコンピュータシステムPCの画面上に写し出されたイメージの各部の色彩を作業者が決める。本実施例の場合、壁Kが白色でないので、白色塗料(非透光性)を壁Kの描画範囲(全面)に噴射する。パーソナルコンピュータシステムPCは、可動アーム61の右方向への移動に対応して、最上段の噴射ライン(5mm×2m)における、各色の塗料14の時間的濃度変化(=塗料出口12の開度変化)を、色付きイメージから演算して求め、該時間的濃度変化が得られる様なPWM信号をパルス通電手段7に送出し、帯状に各色の塗料14を壁Kに吹き付ける。ノズルユニットNを順次下方にずらしていき、最下段の噴射ライン迄、ペインティングを行ない、乾くと、色付きイメージを拡大したフルカラー描画が完成する。
【0016】ここで、ペインティングロボットAによる塗料14の噴射について述べる。塗料溜13内のアクリル系の塗料14(白、青、黄、赤)は、重力により流下路15を通って流下し、塗料通路11を経て塗料出口12に達する。パルス通電手段7にPWM信号が加わると、プランジャ41に継合されるニードル3は、後方に変移するとともに周期Tで微震動し、小円錐状部32と塗料出口12との間に隙間が生じる。塗料出口12の塗料14は、気体出口21から吹き出される空気流により前方に吹き飛ばされるが、針状部31により、小円錐状部32と塗料出口12との隙間の大きさに拘わらず均一直径(約5mm)の霧状に整流され、各色の霧状塗料140は壁Kに向かう。ノズルユニットNは、可動アーム61の右方移動に従って移動し、この動きに連動してPWM信号が変化するので、パルス通電手段7は、例えば、状態701、702、703に示す様に吸引コイル43、復帰コイル44に通電し、垂直な壁Kに濃淡をつけて5mm幅でペイントして行く。
【0017】以下、ペインティングロボットAの利点を述べる。
(ア)パルス通電によりプランジャ41(ニードル3)を前後に微震動させ、滑動性を高くしている。この為、吸引コイル43への通電時間を変えると、直ぐにニードル3が反応し、塗料出口12の開口度合が変化するので正確に濃淡を付与する事ができ、塗料を重ね合わせても、色ずれを起こさず、輪郭も崩れない。よって、色付きイメージを拡大したフルカラー描画を高品位に描くことができる。
(イ)パルス通電によりプランジャ41(ニードル3)の滑動性が高く、吸引コイル43への通電時間を変えると直ぐにニードル3が反応して、塗料出口12の開口度合が変化する。この為、可動アーム61を30cm/秒程度の高速度で右方に移動させても充分、噴射ラインに、正確に濃淡を付与する事ができる。よって、高品位のフルカラー描画を短時間に描くことができる。
(ウ)キープソレノイド4を用いてパルス通電を行っているので、プランジャ41(ニードル3)の位置決めを行うのに必要な吸引駆動電力が少なくて済み、パワートランジスタ71、72に小定格のものを使用でき、製造コストを低減できる。また、連続通電を行っていないので、吸引コイル43や復帰コイル44の発熱は極めて少ない。
【0018】本発明は、上記実施例以外に、次の実施態様を含む。
a.上記実施例では、周期Tを一定にし、吸引コイル43への通電時間の長さを増減する事により、プランジャ41(プランジャ連結棒301、ニードル3)の釣合位置を決めているが、吸引コイル43への通電時間(=復帰コイル44への非通電時間)の長さを、パルス数の増減により制御しても良い。
b.気体吹出ノズルから吹き出す気体は、窒素や二酸化炭素等の気体であっても良い。
c.被描写面の種類や大きさは任意である。
【出願人】 【識別番号】592036519
【氏名又は名称】株式会社ピーシージー・テクニカ
【出願日】 平成4年(1992)3月23日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二
【公開番号】 特開平5−261321
【公開日】 平成5年(1993)10月12日
【出願番号】 特願平4−64491