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【発明の名称】 アルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法
【発明者】 【氏名】加茂 哲郎

【目的】 本発明の目的は200m2/g以上の高比表面積を有するアルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法を提供すること。
【構成】 アルミナに対してチタニアのモル比が2.0以下で、且つ前記チタニアに対してハイドロオキシカルボン酸のモル比が0.2〜2.0となるように、チタンのハイドロオキシカルボン酸塩及び/又はチタンの酸化物、水酸化物のゾルとハイドロオキシカルボン酸を、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物に添加して混練し、焼成することを特徴とするアルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アルミナに対してチタニアのモル比が2.0以下で、且つ前記チタニアに対してハイドロオキシカルボン酸のモル比が0.2〜2.0となるように、チタンのハイドロオキシカルボン酸塩及び/又はチタンの酸化物、水酸化物のゾルとハイドロオキシカルボン酸を、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物に添加して混練し、焼成することを特徴とするアルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法。
【請求項2】 前記ハイドロオキシカルボン酸の炭素数が6以下であることを特徴とする請求項1記載のアルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭化水素油の水素化処理触媒用担体に関する。
【0002】
【従来の技術】石油系原油の常圧残油留分や減圧蒸留油留分等の炭化水素油には硫黄や窒素の化合物が多量に含まれるため、これらを燃料とすると硫黄の酸化物や窒素の酸化物を大気に放出することになり好ましくない。そのため水素化処理を行い、予め該炭化水素油から硫黄分を硫化水素として、窒素分をアンモニアとして除去している。この処理に使用されている水素化処理触媒としては、アルミナを担体とし、これに周期律表第6族金属や周期律表第8族金属或は双方を担持したものが使用されている。これらの触媒が工業的に用いられるにあたり、触媒の活性の寿命が最も重視されていることは周知である。
【0003】ところが含有される該窒素化合物を多く含む炭化水素油を、前述の触媒をもって水素化処理する場合、触媒の活性劣化が急速であり、反応開始初期の高活性が保たれないという好ましくない問題がある。この主因としては原料油中にはピリジンやキノリンのような強い塩基性窒素化合物が触媒や担体の表面酸性点に強吸着し活性表面を不可逆的に覆うことにより起こる。
【0004】この問題の解決法として、特開昭60−232248号公報ではゼオライトにチタニアを被覆せしめることで、劣化の少ない触媒用の担体を提供した。最近までよく知られて来たように、チタニアはアルミナに比べ強い酸性質を持つ。前記公報でも述べられているように、触媒上の活性点上に強く吸着した窒素化合物は更にチタニア表面に強く引き付けられて、無害な窒素(N2)へ分解反応させることが出来る。従って触媒活性の被毒現象を抑制しつつ、水素化脱窒素を行うことが出来る。
【0005】しかしながらこれにも拘らず、チタニア或はチタニアを含む担体を調製する上で、チタニアを被覆したゼオライトの比表面積はγ−Al23に比べて著しく小さい欠点を持っている。これはチタニアがアルミナに較べて極めて凝集しやすい性質を持っているために起こるものである。この問題の解決法として、チタニア原料である水酸化チタンの焼成温度を極力低くすることで比表面積の低下を抑える方法がある。しかし工業的に安価な水酸化物にはそれぞれ多くの硫酸イオンや塩化物イオンが含有されるので、これらの除去のために500℃以上の温度で焼成しなければならず、この結果比表面積低下は免れない。
【0006】一方、含浸方法を用いて無機酸化物担体にチタニアを担持することが出来るが、該方法でも焼成された後は担持チタニアが島状に凝集し、担体上に高分散しない。しかも担体表面に完全に被覆するための必要担持量を一度に含浸することは含浸液のチタン濃度を著しく上昇させて高粘性となるので含浸が不可能である。以上のように種々な従来技術を試行しても、工業的な高比表面積チタニア被覆触媒担体を調製する方法は未だない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は200m2/g以上の高比表面積を有するアルミナ・チタニア複合触媒担体の製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明触媒担体は、アルミナに対してチタニアのモル比が2.0以下で、且つ前記チタニアに対してハイドロオキシカルボン酸のモル比が0.2〜2.0となるように、チタンのハイドロオキシカルボン酸塩及び/又はチタンの酸化物、水酸化物のゾルとハイドロオキシカルボン酸を、アルミニウムの酸化物及び/又は水酸化物に添加して混練し、焼成する点に特徴がある。
【0009】
【作用】本発明の作用は明らかではないが、前述のハイドロオキシカルボン酸がアルミナやチタニアに吸着するので、焼成時の凝集や焼結が抑制されるからであると考えられている。しかも混練方法によってハイドロオキシカルボン酸はよくアルミナを解こうとするので、生成したチタニアの凝集が抑制され、均一な高分散が得られる。この結果高比表面積のアルミナ・チタニア触媒担体を調製出来ると考えられる。
【0010】以下本発明の内容について説明する。本発明方法に用いる酸化チタン、水酸化チタンとしては、酸化チタンゾル又は水酸化チタンのゾルが用いられるが、特に水酸化チタンのゾルを用いるのが良い。即ち市販のゾルは塩化チタンや硫酸チタンの加水分解で得られた水酸化チタンの分散溶液であり、非常に微小な結晶子の集合である。しかも塩化物イオンや硫酸イオンを含まないものを用いることが出来るのでこれら不純物を含まない触媒調製が可能である。
【0011】チタニアゾル又は水酸化チタンゾル中のチタニアのアルミナ水和物に対する添加割合は、アルミナに対するチタニアのモル比で2.0以下が良い。2.0を超えるとチタニア又は水酸化チタンの凝集が著しく高比表面積が得られないので望ましくない。チタンはハイドロオキシカルボン酸の塩の形で添加することも出来、こうするとハイドロオキシカルボン酸とチタンを同時に添加でき、アルミナとの混合が容易である。
【0012】又ハイドロオキシカルボン酸としては、酒石酸、クエン酸、グリコール酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸等のいずれかを添加しても良いが、好ましくは安価で分子量が低く、水溶液にして粘性の大きくないグリコール酸や酒石酸が選ばれる。これらハイドロオキシカルボン酸は炭素数6以下のものが好ましい。炭素数が6を超えると粘性が大きくなり、均一な混練が出来なくなるからである。
【0013】これらの物質はチタニアの含有モル比に対して0.2〜2.0の重量比で添加されるのが望ましい。2.0を超えるとさらなる比表面積の向上は望めず、又混練物の粘性を著しく増加させ、混練操作上極めて困難となるので好ましくない。又、0.2未満ではチタニア又は水酸化チタンの凝集を抑える効果が低くなり、比表面積が低下するので好ましくない。
【0014】本発明で用いられるアルミナは酸化物でも水和物でも良く、効果的に高分散を得ることが出来る。但し好ましくはチタニアの分散度をより向上させるために結晶子径の小さい水和物のアルミナと混練する方法が望ましい。尚、水和物としてはアルミナベーマイト〔AlO(OH)〕やアルミナ擬ベーマイトを挙げることが出来る。混練後は含有された水分と添加剤の炭素質を取り除くため、含酸素気流中所定の温度での乾燥と焼成が必要である。即ち本発明は有機化合物を添加して焼成する方法であるから、それを完全に除去させるに必要な雰囲気や焼成温度及び焼成時間を抑制することが肝要である。
【0015】
【実施例】
実施例1Al23としての含有率が36.4重量%(以下単に%という)のアルミナ水和物627gに、チタニア品位14.5重量%(以下単に%という)の乳酸チタンアンモニウム水溶液675gを添加し撹拌混練した。これを110℃で16時間乾燥した。次いで、600℃まで2時間かけて昇温し、更に2時間600℃で焼成した。尚焼成時の雰囲気は毎分1リットルの空気気流下とした。焼成後の組成物を担体Aとした。担体AのTiO2/Al23モル比、ハイドロオキシカルボン酸/TiO2モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0016】実施例2Al23としての含有率が36.4%のアルミナ水和物806gに、チタニア品位14.5%の乳酸チタンアンモニウム塩の水溶液225gを添加し撹拌混練した。これを実施例1と同条件で乾燥し焼成した。焼成後の組成物を担体Bとした。担体BのTiO2/Al23モル比、ハイドロオキシカルボン酸/TiO2モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0017】実施例3Al23としての含有率が36.4%のアルミナ水和物806gに、チタニア品位14.5%の乳酸チタンアンモニウム塩の水溶液2428gを添加し撹拌混練した。充分水分を除去したのち、これを実施例1と同条件で乾燥し焼成した。焼成後の組成物を担体Cとした。担体CのTiO2/Al23モル比、ハイドロオキシカルボン酸/TiO2モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0018】実施例4Al23としての含有率が36.4%のアルミナ水和物550gにチタニアゾル(チタニア品位14.5%)276gを添加し撹拌した。これに炭素数4、カルボン酸数2の酒石酸38gを添加した水溶液を添加し水分を除去するために80℃で加熱・撹拌・混練した。この混練物を110℃で16時間乾燥した。次いで、600℃で2時間かけて昇温し、更に2時間600℃で焼成した。尚、焼成時の雰囲気は毎分1リットルの空気気流下とした。焼成後の組成物を担体Dとした。担体Dにおいて、酒石酸のチタニアに対する添加モル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0019】実施例5実施例4において用いられた酒石酸量を137gとする他は、実施例4と同条件で担体を調製した。得られた組成物を担体Eとした。担体Eにおいて、酒石酸のチタニアに対する添加モル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0020】実施例6実施例4において用いた酒石酸に代えて34gの炭素数4、カルボン酸数2のリンゴ酸を用いた他は、実施例4と同条件で担体を調製した。得られた組成物を担体Fとした。担体Fにおいて、リンゴ酸のチタニアに対する添加モル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0021】実施例7実施例4において用いた酒石酸に代えて53gの炭素数6、カルボン酸数3のクエン酸を用いた他は、実施例4と同条件で担体を調製した。得られた組成物を担体Gとした。担体Gにおいて、クエン酸のチタニアに対する添加モル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0022】実施例8実施例4において用いた酒石酸に代えて76gの炭素数2、カルボン酸数1のグリコール酸を用いた他は、実施例4と同条件で担体を調製した。得られた組成物を担体Hとした。担体Hにおいて、グリコール酸のチタニアに対する添加モル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0023】比較例1Al23の含有率が36.4%のアルミナ水和物806gに、チタニア品位67.0%の水酸化チタン186gを添加し撹拌混練した。これを実施例1と同条件で乾燥し焼成した。焼成後の組成物を担体R−1とした。担体R−1のTiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0024】比較例2実施例1で用いた同じアルミナ水和物824g(Al23の含有率36.4%)と、水酸化チタン(チタニア品位67%)70gを混合し適量の水を加えて混練した。これを110℃で16時間空気気流下で乾燥した。次いで、乾燥後のものを空気気流下、2時間600℃で焼成した。この組成物を担体R−2とした。該組成物のTiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0025】比較例3Al23の含有率が36.4%のアルミナ水和物550gに、チタニアゾル(チタニア品位14.5%)276gを添加し撹拌した。この混練物を110℃で16時間乾燥した。次いで、600℃で2時間かけて昇温し、更に2時間600℃で焼成した。焼成後の組成物を担体R−3とした。担体R−3において、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0026】比較例4実施例4において用いたチタニアゾルの添加量を2484gとし、酒石酸を342gとした他は、実施例4と同条件で担体を調製した。得られた組成物を担体R−4とした。担体R−4において、酒石酸のチタニアに対する添加モル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0027】比較例5実施例4において用いたチタニアゾルの添加量を276gとした以外は実施例4と同条件で担体を調製した。得られた組成物を担体R−5とした。担体R−5において、酒石酸のチタニアに対するモル比、TiO2/Al23モル比、焼成後のBET比表面積を表1に示す。
【0028】
【表1】
担 TiO2/Al23 ハイドロオキシカルボン酸 BET比表面積 体 モル比 /TiO2モル比 m2/g─────────────────────────────────── 1 A 0.55 1.0 267 2 B 0.19 1.0 299実3 C 1.53 1.0 200 4 D 0.26 0.5 245施5 E 0.26 1.8 270 6 F 0.26 0.5 231例7 G 0.26 0.5 222 8 H 0.26 0.5 256───────────────────────────────────比1 R−1 0.54 − 121 2 R−2 0.20 − 170較3 R−3 0.26 − 132 4 R−4 2.3 0.5 168例5 R−5 0.26 2.2 129───────────────────────────────────【0029】
【発明の効果】本発明によれば、高比表面積のアルミナ・チタニア複合触媒担体を製造することが出来る。
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成4年(1992)1月10日
【代理人】 【弁理士】
【氏名又は名称】中村 勝成 (外1名)
【公開番号】 特開平5−184921
【公開日】 平成5年(1993)7月27日
【出願番号】 特願平4−22058